- エコファンドの基本知識を身につけたい
- 環境を考えた投資を行いたい
- 投資先選びのポイントを抑えたい
地球温暖化をはじめとした環境問題は国際的な問題であり、日本でも脱炭素や省エネなど環境への配慮に対する補助金や支援などが政策として組み込まれ始めている。
環境問題へ配慮した事業を行う企業も増えたことから、近年投資家の中でエコファンドも注目され始めている。
ここでは環境配慮型投資の概要と投資する際のポイントを紹介する。
エコファンドの概要とメリット
ここではエコファンドを聞いたことがない方に向けて概要と投資するメリットについて紹介する。
エコファンドとは何か?
エコファンドとは環境へ配慮した企業の銘柄を購入する投資信託の一種だ。
近年Co2排出量0を目標としたカーボンニュートラルの実現やSDGSなど、環境配慮が世界各国の共通意識であり、企業が社会的責任(CSR)を果たしているのかが投資家の中で注目されている。
環境配慮がされていない企業は今後成長が著しく低下するのではないかと考えられているためだろう。
なおエコファンドは和製英語であり、海外ではグリーンファンドが日本のエコファンドにあたる。
投資家としての利益と環境保護を両立
環境問題に配慮した企業は今後の成長にも期待できるため、利益の安定性が高いことが見込まれる。
もちろん投資する企業によって業績の成長率が異なるため一概には言えないものの、現代においては世界各国の企業が注目していることから成長が見込める業種であるだろう。
また投資家にとっても環境問題の解決を手伝う意義にもつながる。
環境問題への取り組みとは
では企業が環境問題へ取り組む内容はどのようなことが挙げられるのだろうか。ここでは3つの内容を紹介する。
地球温暖化対策の現状
IPCC第5次評価報告書によると、世界の気温が132年間で0.85℃上昇していることが確認されている。一見大きく変わっていないと思われるが、北極圏の海氷面積が1979年以降10年当たり73万㎦~107㎦の範囲分減少している。
さらにこのまま温室効果ガスを排出し続けると「世界の平均気温の上昇は1.5度に達することが推定される」と指摘されていることから、地球温暖化は年々深刻化していることがわかるだろう。
そのため世界共通で温室効果ガスの減少として「SDGsによる13の目標によって気候変動に対する対策」と、温室効果ガスの削減目標の作成と提出、維持と達成のための取り組みを規定した「パリ協定」が締結された。
今では国はもちろん各企業、個人が地球温暖化に対して向き合わなければいけない事実となっている。そのため投資家も単純に投資するのではなく、地球温暖化をはじめとした環境問題の改善に対して協力的になっているのだろう。
持続可能なエネルギーへのシフト
温室効果ガスを排出せず低炭素で国内生産できる再生可能エネルギーを持続可能なエネルギーと呼ぶ。現在のエネルギーは火力発電や原子力発電によって生成されており、温室効果ガスの発生が問題視されている。
再生可能エネルギーは太陽光や風力、バイオマスなど自然のエネルギーを利用することで温室効果ガスの排出をなくすことから、近年では持続可能なエネルギーへシフトが始まっている。
環境関連企業の評価基準
環境省は2019年より環境要素を取り入れた企業を評価する軸を発表し、投資家が投資する企業の判断材料を取り入れることにした。
評価軸は以下の4つの要素からなる。
- リスク・事業機会・戦略
- 企業が中長期的に環境問題が自社の経営やリスクになることを把握し、対策を行っているかを評価する。
- KPI
- 環境問題に対してどのようなプロセスで行うのかを評価する。KPI(Key Performance Indicator)は一言で表すと過程。KGIが達成するべき目標を示す指標であるのに対し、KPIは目標に対してどのような過程で計画しているのか、その進捗が順調に進んでいるのかを評価する。
- ガバナンス
- 企業の経営陣や社員体制、情報開示などを踏まえて評価される。環境課題に対して組織全体としてどのような取り組みをしているかがポイントだ。
- 加点要素
- 上記の他にSBT(パリ協定が求める水準と整合した企業の温室効果ガス排出削減目標)やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、RE100(企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ)などの取り組みを行っている場合は加点要素として評価される。
投資先としてのエコファンド選びのポイント
ここではエコファンドへの投資を検討する方に向けて、投資先を選ぶポイントについて紹介する。
ESG投資を理解しよう
ESGとは「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字を取ったもので、財務的な要素に加え、上記の3つを考慮する投資のことをESG投資と言う。
本来は財務状況や経営状況などから投資すべき企業であるかの判断軸になるのだが、ESG投資では3つの非財務情報も考慮したうえで投資先として適切であるかを判断する。
ESG投資は2006年に機関投資家の投資原則「責任投資原則(PRI)」を国連が提唱し、PRIの署名数は以下の画像の通り年々増加している。
このような背景から投資家の中でESG投資が広く普及したこともあり、エコファンドをはじめとした環境問題を考慮した投資が注目されている。
投資先企業の環境への取り組みをチェック
もちろん環境への配慮を行っている企業であれば良いというわけではない。どのような取り組みを行っているのか具体的にチェックすることも大切だ。
企業がエコファンドの対象となるためには以下のようなスクリーニングが必要だ。
- 環境マネジメントシステム
- 省エネ環境
- 情報公開への配慮
- 生産・製品に対する環境配慮
投資家はスクリーニング項目を確認し、企業がどれだけ環境へ配慮した取り組みを行っているかをチェックして選定した方が良いとされている。
リスクとリターンのバランスを見極める
エコファンドには環境問題の解決に協力できるというメリットがあるものの、投資である以上リスクとリターンのバランスを見極めなければいけない。
エコファンドに投資する際は対象となる銘柄の企業調査はもちろん、「どの価格になったら利益確定するのか、どれくらいの損失になったら損切りするのか」というルールを決めておく必要がある。
とはいえ投資を行ったことがない方にとってリスクとリターンを決めることは困難だ。
そこで投資の専門家であるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談することをおすすめする。
IFAがエコファンドを活用した資産運用をサポート
IFAはどの金融機関にも属していないため、中立な立場で顧客の資産運用をサポートしてくれる。証券会社に相談すると自社商品を提案されるが、IFAは顧客に合った資産運用方法を紹介してくれる特徴がある。他にもさまざまな役割があるため、ここではIFAのメリットを紹介する。
投資戦略の立案と適切な投資先選び
エコファンドだけでなく、さまざまな投資方法のスペシャリストであるIFAに相談することで、自身に合った投資を見つけることが可能だ。エコファンドは投資信託の一種であり、銘柄の選定は専門的な知識と判断が求められる。
しかし投資初心者にとって利益が見込めるであろう銘柄の選定は非常に難しく、場合によっては損失を生む可能性の方が高い。しかしIFAに相談すれば銘柄の選定だけでなく、適切な投資先を紹介してくれるメリットがある。
リスク管理と資産運用の最適化
投資種類によってリスクは異なるが、IFAに相談すればリスク管理方法を教えてもらえるため資産運用を最適化した状態にすることが可能だ。投資には金融、経済、世界情勢など様々な要因によって損失が生まれるリスクが伴う。
そのため投資をする際は、いかにリスクヘッジできるのかが重要なカギとなる。
IFAはリスクヘッジも踏まえた投資方法をアドバイスしてくれるため、資金管理を適切に行うことができ損失を最小限にすることが可能となるだろう。
定期的な投資状況のモニタリングとアドバイス
IFAには異動や転勤がない。そのため、一度相談したら終わりというわけではなく、定期的に相談することが可能だ。投資家の資産状況を確認し、運用方法や新たな投資についてのアドバイスも行ってくれる。
まとめ
エコファンドは環境問題への取り組みを行う企業へ投資する投資信託の一種である。地球温暖化などは世界各国の共通問題として認識されており、投資家も環境問題の解決に協力するメリットがある。
とはいえ利益が出る企業へ投資しなければ意味がない。
「資産運用ナビ」を活用し、IFAに相談することで、今後成長が見込まれる企業の紹介や顧客に合った投資方法を紹介してくれる。
最終的には自己判断となるが、投資初心者にとっては心強い見方になってくれるためぜひ相談してみてほしい。