- 新NISAのつみたて投資枠を最大限活用する方法が知りたい
- 成長投資枠との違いと適切な運用戦略を理解したい
- 資産運用におけるリスクとリターンのバランスの取り方を学びたい
2024年から開始された新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠が用意されている。
投資初心者には、まずつみたて投資枠から始めることを推奨している。
そこでつみたて投資枠で資産形成を始めるなら、なるべく効率的に運用したいと考えている方が多いのではないだろうか。
ただそのためには、新NISAの仕組みや運用時のポイントを把握しておく必要がある。
本記事ではつみたて投資枠の基本やほかの非課税枠との違いを紹介する。
また効率的な資産運用やリスク管理のポイントも解説しているので、気になる方はぜひ確認してほしい。
運用を始める前に知っておきたい新NISAつみたて投資枠の基本
効率的な運用法を知る前には、つみたて投資枠の概要やメリットを理解しておこう。
ここでは基本的な仕組みや魅力を解説する。
新NISAつみたて投資枠の概要
つみたて投資枠 | |
---|---|
1年間に投資 できる金額 | 120万円 |
トータルの 非課税枠 | 1,800万円 |
購入から非課税で運用できる期間 | 無期限 |
投資対象 | 金融庁の基準を満たした 長期のつみたて・分散投資に適した投資信託 |
新NISAのつみたて投資枠は、2023年まで新規買い付けが可能だったつみたてNISAが改良された税制優遇制度だ。
投資対象が金融庁から認められた投資信託に限定されている点は同じだが、年間の非課税投資上限額や非課税保有限度総額、非課税保有期間は全てつみたて投資枠の方が良い条件が設定されている。
また購入方法はつみたて購入のみで、毎月決めた金額を定期的に買い付ける仕組みだ。
月10万円までは設定可能になっている。
つみたて投資枠で運用に取り組むメリット
以下のようなメリットが挙げられる。
- 非課税で運用できる
- 優良な投資信託を購入できる
- リスクを分散させられる
- 少額からでも運用を始められる
つみたて投資枠は非課税限度額が1,800万円まで認められているため、本来なら利益に対して約20%かかるはずの税金がかからない。
税金分の利益をそのまま受け取って、再投資したり生活資金に充てたりとさまざまな使い道が可能だ。
また投資対象が限定されているため、投資初心者でも優良な投資信託を購入できる。
購入できる代表的な投資信託は以下の通りだ。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・VTI)
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド
- SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
- SBI・バンガード・全世界株式インデックス・ファンド
- SBI・iシェアーズ・日経225インデックス・ファンド
- たわらノーロード NYダウ
- 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族
- eMAXIS NYダウインデックス
- 東京海上セレクション・バランス50
- iFreeETF TOPIX(年1回決算型)
- iFreeETF 日経225(年1 回決算型)
- 上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本
- iシェアーズ・コア S&P 500 ETF
また証券会社によっては少額からの運用が可能になっている。
例えば人気ネット証券の楽天証券やSBI証券では、最低100円からつみたて購入が可能だ。
その他にも100円からつみたて購入可能な証券会社をまとめているので、ぜひ確認してほしい。
証券会社 | 最低つみたて金額 |
---|---|
楽天証券 | 【楽天キャッシュ(電子マネー)・楽天カードクレジット決済・証券口座の場合】 100円以上、1円単位 【その他金融機関の場合】 1,000円以上、1円単位 |
SBI証券 | 100円以上、1円単位 |
松井証券 | 100円以上、1円単位 |
マネックス証券 | 100円以上、1円単位 |
出典:株式会社SBI証券「100円からはじめられるNISA」
出典:松井証券株式会社「投資信託はいくらから購入できますか。」
出典:マネックス証券株式会社「100円からでも買えるってホント?」
つみたて投資枠で始める資産運用のポイント
資産運用を始める際、証券会社選びが重要なポイントになる。
なぜなら、手数料やポイントの貯まりやすさに違いがあるからだ。
投資信託は買付手数料や信託報酬といった手数料がかかるのだが、銘柄によって異なる。
ただし、つみたて投資枠で購入可能な投資信託は買付手数料は無料となっており、信託報酬はどの金融機関で購入しても同じである。
ただし、証券会社によっては手数料が高い銘柄が多いところもあるため、事前に確認しておく必要があるのだ。
一般的に投資に関する疑問を窓口で聞くことができる大手証券会社はサポートが手厚い分、手数料が高くなりやすい。
ただ連動する指数が同じ投資信託を購入しているにもかかわらず、手数料が高いとなるともったいなく感じる方が多いのではないだろうか。
資産運用を始めるのであれば、手数料が安いネット証券がおすすめだ。
またネット証券はクレジットカードのつみたて購入に対応しており、つみたて金額に応じてポイントが付与される仕組みが整備されている。
資産になる投資信託を購入しているだけなのに、追加でポイントが付与されるのだ。
例えば楽天証券での購入に楽天カードを使用すると、つみたて金額の0.5%がポイントとして還元される。
つまり毎月3万円ずつ購入していれば月に150ポイント、年間で1,800ポイントが貯まるのだ。
30年後には約2,000万円の資産を貯めながら、合わせて54,000ポイントも受け取れる。
新NISAつみたて投資枠と成長投資枠の運用戦略の違い
新NISAにはつみたて投資枠のほかに、成長投資枠も用意されている。
ここでは成長投資枠との具体的な違いや投資目的に応じた非課税枠の選択方法を解説しよう。
つみたて投資枠と成長投資枠の違い
それぞれの特徴は以下の通りだ。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
1年間に投資できる金額 | 120万円 | 240万円 |
トータルの 非課税枠 | 1,800万円 | 1,200万円 |
購入から非課税で 運用できる期間 | 無期限 | 無期限 |
購入方法 | つみたて購入のみ | スポット購入 つみたて購入 |
投資対象 | 金融庁の基準を満たした長期の積立・分散投資に適した投資信託 | 上場株式や投資信託 (①整理・管理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外) |
表から非課税保有期間が無期限である点以外は、違いがあることがわかるだろう。
成長投資枠は年間の非課税投資上限額が240万円と大きく、スポット購入が認められている。
また上場株式の購入が可能なことに加えて、つみたて投資枠では購入できない投資信託が投資対象として含まれているのだ。
これらのポイントから、成長投資枠の方が自由度は高いと言える。
投資目的に応じた非課税枠の選択方法
成長投資枠は非課税保有限度総額が1,200万までに設定されているため、それだけでは新NISAの非課税保有限度総額の1,800万円には到達しない。
つまり、成長投資枠も活用する場合は併用が基本線になる。
以下のような投資目的がある場合は、成長投資枠の活用を検討すると良いだろう。
- なるべく早く非課税保有限度総額に到達させたい
- 配当金の出る上場株式を購入したい
- ポートフォリオのバランスが崩れた際のリバランスとしてスポットで購入したい
つみたて投資枠を毎月10万円ずつ1年間で120万円運用に回した場合、1,800万円に到達するまでに15年かかる。
それぞれの非課税枠を満額まで毎年使い続けると5年で1,800万円に到達するため、なるべく早く非課税枠を埋めたい場合は併用が欠かせない。
また日本株や米国株を購入して配当金が欲しい方にとっても、上場株式を購入できる成長投資枠はおすすめだ。
そして後述するリバランスを行う際、スポット購入に対応している成長投資枠は非常に有効である。
各枠の利用に適した運用戦略
それぞれの非課税枠を活用する際、どちらにどれだけの金額を回すかは運用戦略として考えておくべきである。
ここでは金額配分ごとに、どのような方におすすめかを紹介しよう。
①つみたて投資枠1,800万円
つみたて投資枠枠のみで新NISAを使い切る方法は、投資期間を30年以上かけられる方におすすめだ。
20代や30代の方は定年までまだ長い時間が残っており、毎月3万円程度のつみたて投資を継続しているだけで2,000万円近い資産を形成できる可能性が高い。
購入タイミングを図る必要があるスポット購入と違い、淡々とつみたてるだけで良いため投資初心者でも取り組みやすい。
資産運用にはあまり手間や時間をかけたくない方におすすめの方法だ。
1,800万円に到達するまでの投資期間は、月3万円の場合は50年、月5万円の場合は30年、月10万円の場合は15年である。
②つみたて投資枠1,200万円 成長投資枠600万円
つみたて投資枠をメインで運用しながら、サブで成長投資枠を活用する方法だ。
サブの成長投資枠の役割は、リバランス時のスポット購入や毎月の投資額がつみたて投資枠の10万円を超える場合の追加などがある。
この際、成長投資枠ではつみたて投資枠と同じ商品をつみたて購入、気になる銘柄をスポット購入など購入方法は自由だ。
あまり運用に手間や時間をかけたくない場合は、成長投資枠でもつみたて購入を活用すると良い。
③つみたて投資枠600万 成長投資枠1,200万円
成長投資枠を最大まで活用する方法は、なるべく早く非課税枠を埋めたい方や自ら株式を選んで購入したい方におすすめだ。
両方の非課税枠を毎年上限(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)まで投資に回した場合、5年後にそれぞれの元本がこのようになっている。
相続や退職金によって運用で失っても許容できるお金が多い方は、最速で元本を埋める方法は合っているだろう。
また業績やデータを自ら調べて個別の銘柄を購入したい場合にも、難易度が高くなるものの成長投資枠を最大限活用できるこの配分がおすすめだ。
今回は3つのパターンに限定したが、つみたて投資枠でのおすすめの運用戦略については下記の記事でも詳しく解説している。
あわせてチェックしていただければ、より理解を深めることができるはずだ。
新NISAのつみたて投資枠で効率的な運用を目指すには
ここでは効率的な資産運用とリスク管理のポイントを紹介しよう。
効果的な銘柄選択と資産配分の重要性
同じ商品を購入し続けるつみたて投資では、効果的な銘柄選択が非常に重要だ。
投資信託のリターンによって、同じ金額をつみたてた場合でも資産総額が大幅に変わるからだ。
リターンによる資産総額の違いをイメージしやすくするために、毎月5万円ずつつみたてたケースをシミュレーションしてみよう。
運用年数 | リターン3% | リターン5% | リターン7% |
---|---|---|---|
1年目 | 608,319円 | 613,943円 | 619,629円 |
5年目 | 3,232,336円 | 3,400,304円 | 3,579,645円 |
10年目 | 6,987,071円 | 7,764,114円 | 8,654,240円 |
20年目 | 16,415,100円 | 20,551,683円 | 26,046,333円 |
30年目 | 29,136,844円 | 41,612,932円 | 60,998,550円 |
それぞれ運用元本は全く同じだが、リターンによって資産総額は大きく異なる。
また預貯金と投資信託の配分も大事だ。預貯金の割合が多いと眠っているお金が多くて資金効率が悪いのに対し、投資信託の配分が多いとリスクを背負い過ぎて暴落時に売却せざるを得なくなってしまうからだ。
暴落時に売却することは購入時よりも安い金額で売ることを意味するため、資産は目減りしてしまう。
万が一の場合にも問題なく保有し続けられるように、リスクを取り過ぎない配分に設定しておこう。
長期投資による複利効果
投資期間を長く確保することによって、利息が利息を生む仕組みである複利効果をより効果的に活用できる。
運用して増えた資産をそのまま再投資することによって、翌年以降に得られる利益が増加する仕組みだ。
複利のインパクトをイメージしやすいように、100万円の元本を年利5%で30年間運用するケースを表にまとめてみよう。
運用年数 | 資産総額 (複利) | 資産総額 (単利) |
---|---|---|
1年目 | 1,050,000円 | 1,050,000円 |
5年目 | 1,283,359円 | 1,250,000円 |
10年目 | 1,647,009円 | 1,500,000円 |
20年目 | 2,712,640円 | 2,000,000円 |
30年目 | 4,467,744円 | 2,500,000円 |
10年目までに約60万円増加したのに対し、最後の10年間では約170万円も増えている。
新たに資金を拠出していないにもかかわらず、投資期間を長く確保して利息を再投資し続けていることによって利益が出ているのだ。
投資リスクの理解と管理法
リスクと言うと危険をイメージする方が多いかもしれないが、投資におけるリスクとは不確実性のことを指す。
つまり、リスクが高い商品ほど値動きが激しいことを意味するのだ。
リスクの高さはリターンに直結するため、リスクが高いこと自体は悪いことではない。
ただ自身の許容度を超えたリスクを取ることは投資を続けられなくなることにつながるため、適切なリスクに留めておくことが大事だ。
リスクを管理するうえで最初に資産配分を決定しているはずだが、投資信託の価格変動や収入の増加、支出の増大などによってバランスが崩れることがあるだろう。
そこで資産配分を調整してリスクとリターンのバランスを取るリバランスを行う必要がある。
例えば200万円ある投資信託100万円・預貯金100万円に分けて運用を開始したケースで、3年後に投資信託の価値が倍になったとする。
投資信託200万円・預貯金100万円の資産額300万円になり、投資信託の割合が50%から約66%まで増加するわけだ。
そのタイミングで投資信託を500万円分売却することによって、当初の設定割合である投資信託:預貯金=50:50に戻すことができる。
新NISAつみたて投資枠で運用を始めなら誰に相談するべき?
ここまでの内容を受けて
「投資計画の策定を1人でできる気がしない」
「運用資産を売却するタイミングがわからない」
と思っている方がいるのではないだろうか。ここでは、資産運用の相談先としておすすめの存在を紹介しよう。
新NISAの活用と資産運用における専門家の重要性
つみたて投資枠で資産運用を始める際、運用戦略が重要な役割を占めている。
資産配分や売却時期の判断の指針となるからだ。
ただ投資初心者の方にとって、最初に戦略を立てるのは難しいかもしれない。
運用の指針となる運用戦略は重要なため、スタートから間違った方向に進まないように運用のプロフェッショナルへの相談をおすすめしている。
IFAを活用するメリット
資産形成に関する相談相手としては、運用のプロフェッショナルであるIFAがおすすめだ。
IFAとは独立系ファイナンシャルアドバイザーの略で、資産運用の仕組みや投資信託の銘柄選定、ポートフォリオの見直しまで幅広くアドバイスしてくれる貴重な存在である。
金融機関から独立した中立的な立場にいるため、銀行や証券会社でおすすめされるケースがある手数料の高い商品を避けられる。
そしてパフォーマンスの高い商品を購入できるのが大きなメリットだ。
また多くの人に当てはまる一般論ではなく、家計状況や投資目標に合わせた提案をしてくれるのも魅力的だろう。
あなたのライフプランや資産状況によってパーソナライズされた投資プランを作成してくれるため、新しく投資を始める方でもリスクとリターンのバランスが取れたポートフォリオを構築できる。
さらに運用開始後のサポートも充実しており、定期的に行う必要があるポートフォリオの見直しも範囲内だ。
銀行や証券会社のように3年程度で担当が異動することがないため、売却時期や運用計画の変更に関して疑問点や不明点がある場合でも、長期的な目線からアドバイスを提供してくれる。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の利用方法とその効果
IFAを利用したいが、相性の良い担当者を探す方法がわからない方も多いだろう。
そのような場合は、投資家とIFAを結ぶサービスである「資産運用ナビ」を利用してほしい。
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つみたて投資枠をメインに据えたNISAの活用方法について聞きたい方には、資産運用でも特に新NISAに関する相談が得意な担当者が紹介されるため、自身に合った専門的な投資プランを提案してもらえる。
最初のポイントとなる証券口座選びから今後の運用結果を左右するポートフォリオ構築、リスクとリターンのバランスを調整するリバランスまで幅広く対応してもらえるのが大きな特徴だ。
プロフェッショナルからのアドバイスを聞きながらNISA制度を有効に活用したい方は、ぜひ無料相談に申し込んでみてはどうだろうか。
新NISAつみたて投資枠で運用を始めよう
新NISAのつみたて投資枠を活用して資産運用に取り組む方法を解説してきた。
新NISAで併用可能なつみたて投資枠と成長投資枠の概要は以下の通りだ。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
1年間に投資できる金額 | 120万円 | 240万円 |
トータルの 非課税枠 | 1,800万円 | 1,200万円 |
購入から非課税で 運用できる期間 | 無期限 | 無期限 |
購入方法 | つみたて購入のみ | スポット購入 つみたて購入 |
投資対象 | 金融庁の基準を満たした長期の積立 ・分散投資に適した投資信託 | 上場株式や投資信託 (①整理・管理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外) |
新NISAで運用を開始する投資初心者には、つみたて投資枠をメインに据える運用方法がおすすめだ。
優良な投資信託のみが投資対象になっており、投資初心者でも良い銘柄を購入しやすいからだ。
成長投資枠は、リバランスや投資資金の増額時に使うと良いだろう。
また新NISAでリスクを管理する際は、リスクとリターンのバランスが決まる資産配分が重要になる。
運用期間が長くなって資産配分が崩れた場合は買い増しや売却を行い、リスクとリターンのバランスを調整しよう。
ここまで戦略について紹介してきたが、運用法や投資商品の最適解は個人により異なる。
新NISAを活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることがおすすめだ。
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