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なぜ金投資は「おすすめしない」と言われるのか?その理由と対策法を解説

この記事で解決できるお悩み
  • 金投資に関する懸念点やリスクを知りたい
  • 金投資の適切な対策を知りたい

金の価格は、直近10年で大きく値上がりしている。

円安も進んでいるため、すでに金地金や金貨を持っている人は売りどきと判断しているかもしれない。

金は社会情勢が不安定なときに価値が上がるため、これからも上がり続けると予測している人もいるだろう。

しかし、金投資を勧められない理由がある。これから金投資する人にとっては注意すべき点だ。

この記事では、「金投資に関する懸念点やリスク、適切な対策を知りたい」と考えている人向けに、金投資における注意点を解説する。

目次

 金投資はおすすめしない?金投資のリスクとは

最近、金の価格は値上がりしているため、金投資に興味を持ち始めた人もいるかもしれない。

金投資は投資対象のひとつとしてポートフォリオに組み込むことも可能だ。

しかし、金投資のデメリットとなるリスクについても理解しておかなければならない。

ここでは、金投資におけるリスクについて解説する。

市場価格の変動によるリスク

金の価格は、株式や投資信託と同様、需要と供給の関係で変動する。

金投資にも購入時より価格が下がり、損をしてしまう市場変動リスクがある。

価格が下がりきったところで購入し、天井付近で売却すれば利益を得られるが、価格推移の予測は難しい。

高値で購入し、怖くなって安値で売却してしまうこともよくある。

金の価格が値上がりし続けている状況での買い時判断はしにくいだろう。

通貨価値の変動によるリスク

金の取引はドルで行われる。金価格の値動きに加え、ドル/円の為替相場による影響を受ける。

売買のタイミング次第では、金価格は値上がりしても、為替相場による影響で、利益が目減りしたり損失を被ったりする可能性がある。

一般的に円安ドル高のときに金の価格は上がる。円高ドル安のときに金を購入し、円安ドル高のときに売却すれば、利益になりやすい。

ただし、金の価格の推移と同様、さまざま条件で値動きするため、予測をするのは難しい。

なぜ金投資は「おすすめしない」と言われるのか

金投資には、ほかの投資先と同様にメリットとデメリットがある。

ここでは金投資のデメリットに注目し、金投資をおすすめしない理由について解説する。

投資初心者には難解な情報

金の現物投資は、投資初心者にとってどのような情報が必要で、どのように理解したらよいかわかりにくいかもしれない。

投資対象となる金地金(金の延べ棒)や金貨は、現物で購入し、値上がりしたら売却する。

利益を生み出す仕組みはシンプルだが、売却するまでに金をどのように保管するか考えなければならない。

保管会社に保管を依頼する場合、保管料や年会費、預入手数料などの費用がかかる。

コスト分を含めて利益を得るためには、時間がかかる可能性がある。

需要と供給の影響による不確実性

金は社会情勢が不安定なときに値上がりする資産である。

ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの拡大で金価格はこれまでにない値上がりを見せている。

このほか、金価格は需要と供給の関係で決まり、為替相場の影響も受ける。

一見単純そうだが、これから金に投資して、引き続き価格は上がり続けるだろうか。

次の社会情勢の変化まで投資を待つのが得策だろうか。

戦争や感染症はいつ起こるかはわからない。

単純そうに見えても需要と供給の関係は予測できないので注意が必要だ。

長期的なリターンの不安定さ

金を保有していても、株式の配当金や投資信託の分配金のようなインカムゲインはない。

保有しているだけではリターンを生まないため、利益を得るためには、購入時よりも高い価格で売却するキャピタルゲインを狙うしかない。

今後も金価格は上昇すると見込んで金を購入するか、社会情勢が落ち着き、円高の時期を見計らって購入し、タイミングよく売却するかを判断しなければならない。

利益は売却益のみであるため、売買のタイミングが重要となり、一度の失敗が運用成績に大きな影響を与え、長期的なリターンが不安定になる恐れがある。

必ずしも「おすすめしない」とは限らない!金投資(現物)をする際の注意点

金投資の特徴から、どうすれば利益を得られるかを理解することは重要である。

一方で、金投資の注意点を理解し、必要であれば対策しておくことも忘れてはいけない。

ここでは金投資(現物)をする際の注意点をまとめる。

リスク管理の重要性

金投資ではリスク管理が重要である。金投資の売買で利益を得るためには、売却するまでリスク管理をしなければならない。

金地金や金貨を自分で保管する場合、盗難されるリスクのほか、劣化リスクがある。

自分で保管する場合は、重量のある専用の金庫で、定期的に汚れを拭くなどして劣化を防がなければならない。

一番安全・安心なのは金融機関の貸金庫や保管会社に保管を依頼することである。

ただ、毎月費用がかかるため、金の保有期間が長くなるほど利益を圧迫する。

リスク管理と管理方法、コストとリターンについて理解しておかなければ、期待した利益を得られない可能性があるため注意が必要だ。

適切な情報収集と分析

金投資では、適切な情報収集と分析も重要である。金の価格は、ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの拡大で値上がりしている。

今後も価格が上昇傾向にあれば購入、下落すると予測するなら底値を待つ。

利益はキャピタルゲインだけであるため、売りどき・買いどきの判断が難しい。

また保有期間が長いと保管料などの費用負担が増える。

需要と供給の影響だけでなく、為替相場の影響も受けるため、金価格が上がっていても円高により円建て受取額が減少すると、売るのを躊躇ってしまう可能性がある。

適切な情報収集を行い、売りどき・買いどきの見極めやコストの計算、収支分析をしておきたい。

ポートフォリオの多様化

金投資のみだとリターンを得るタイミングは難しいが、ほかの金融商品と組み合わせたアセットアロケーションを構築すれば、柔軟性のある資産形成が可能となる。

とくに株や債券、投資信託のポートフォリオが十分で、金投資でさらなる総資産の安定化を図りたい場合に有効だ。

また一般的な金地金(現物)の売買のほか、純金積立や純金ファンド、金ETFなどでも金投資は可能だ。

NISAやiDeCoでも金の投資信託を購入できるため、ポートフォリオの多様化を図れる。

金投資はおすすめしない?金投資をするべきか迷ったら専門家に相談を

金投資にはさまざまなリスクがあり、長期的なリターンの不安定さなどの課題があることは、ここまでで確認してきたとおりだ。

適切に投資判断を下すためには、専門家への相談が不可欠だ。

ここではその理由とともに、金投資の相談相手にIFAを選ぶ理由について解説する。

金投資では専門家への相談が不可欠

金投資は一般的に、「おすすめしない」とされるほど難しい。

この「難しさ」は、以下の4点にまとめられる。

  • 金価格に影響する要因の理解: 世界経済の動向、地政学的リスク、通貨価値の変動、需給バランスなどを理解する必要がある
  • リスク管理: 価格変動リスク、為替リスク、流動性リスク等、金投資に伴うリスクを適切にコントロールする必要がある
  • 情報の取捨選択: 玉石混交の市場情報を精査し、必要な情報を取捨選択する必要がある
  • 投資タイミングの見極め: 投資すべき時期についての的確かつ合理的な投資判断が求められる

また、金投資は分散投資の一環として行うことが望ましく、投資家の投資目的やリスク許容度に合わせたポートフォリオの構築が重要となる。組み入れに際しては、他の資産クラスとバランスを取る必要もあるだろう。

これらのすべてを個人投資家が一人で担うのは、現実的ではない。

安定的にリターンを追求するためには、専門家のサポートが必要不可欠なのである。

金投資のパートナーにIFAを選ぶべき理由

専門家の中でも、とくにおすすめなのがIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)だ。

IFAは特定の金融機関に属さず活動するため、顧客の利益を最優先に考えた中立的なアドバイスを提供できる。

また、IFAは、顧客一人ひとりの財務状況や投資目標に合わせた個別の投資戦略を設計する。

これにより、金を含めたポートフォリオ全体を概観し、リスクを分散してリターン獲得を目指すことが可能になるのだ。

さらに、長期的な付き合いができる点も魅力である。市場の変動やライフステージの変化に応じた、長い時間軸での投資が行えるため、金投資の成功確率を高めることが期待できる。

IFAを探すなら「資産運用ナビ」がおすすめ

IFAの選定には、経験、実績、サービス内容などの確認が必要だ。

しかし、日本ではまだ知名度が高くないIFAについて情報を収集し、比較検討するのは、難しいこともあるだろう。

そこでおすすめしたいのが、検索サービス「資産運用ナビ」の活用だ。

このサービスなら、全国の登録IFAの中から、地域や相談内容で候補者が簡単に絞り込める。

初回相談は無料だから、複数のアドバイザーに相談してから比較することも可能だ。

人物や相性を確認してから次のステップに進めるので、「IFAってどんな仕事?」という方から「IFAへの相談を迷っている」という方まで、安心して利用できる。

金投資を含めたポートフォリオを最適化したいなら、IFAに相談!

この記事では、金投資のリスク、おすすめしない理由、注意点について解説した。

IFAに相談することで、金投資のポートフォリオ最適化や運用管理ができる。

金投資に関する最新情報や分析内容を提供してくれるため、リスクを把握しやすくなるだろう。

適切な投資計画をサポートしてくれる点も魅力だ。

「資産運用ナビ」は信頼できるIFAを紹介し、お客様の投資の安心をサポートしている。

これを機会に、無料相談を利用しよう。

金への投資に関するQ&A

金投資が初心者に向かない理由は何ですか?

金投資が「初心者に向かない」とされる主な理由は、以下の点にある。

  • 金価格の変動要因が複雑で、予測が難しい
  • リスクを把握し管理するのが難しい
  • 投資タイミングの見極めが難しい

さらに、投資効率が高くない点も、初心者におすすめできない理由の一つだ。

金への投資では、現物であれ投資信託等の金融商品であれ、手数料等が比較的高く設定されている。

また、新NISAでの取り扱いは限定されており、税制上の優遇措置も期待できない。

金の価格はどのように決まるのですか?また、金の価格が下がる主な要因は何ですか?

金の価格は主に需要と供給のバランスで決まる。需要が増えれば価格は上昇し、供給が増えれば価格は下がる。

たとえば、世界経済の不安定化や地政学的リスクの高まりは、「価値貯蔵資産としての金」への需要を増加させ、金価格の上昇要因となる。

インフレ懸念も、金の価格を変動させる。金には「貨幣価値の下落に強い」という特性があるため、インフレ懸念が高まると価格が上昇しやすくなる。逆に、世界経済が安定すると売却が進み、金価格は下落する。

金利も、金価格の変動要因だ。金利上昇により債券など他の投資商品の魅力が高まると金需要は減少し、価格下落につながる。

為替相場は金投資にどのような影響を与えますか?

為替相場の変動は、日本での金投資に直接影響する。

金は国際的にドル建てで取引されているため、日本人投資家が円で取引する場合は円換算された価格で売買するからだ。

一般的に、円安は日本での金価格の上昇要因となり、円高は下落要因となる。

具体的な例を挙げて説明しよう。

金の価格が「1トロイオンス(約31.1グラム)あたり2,000ドル」で、為替レート: 1ドル=135円の場合(その他の経費を勘案しない)、金の価格は以下のようになる。

2,000ドル × 135円/ドル ÷ 31.1グラム ≒ 8,682円/グラム

ここで、金の国際価格が2,000ドルのまま、1ドル=150円の円安になった場合は、日本での金価格は以下のように上昇する。

2,000ドル × 150円/ドル ÷ 31.1グラム ≒ 9,646円/グラム

金の価格が同じでも、為替の動向によっては円の価格は異なるのである。

金価格の長期的な見通しはどうなっていますか?

ブラックロックは、2023年3月に発表したGlobal Outlookレポートで、今後数年間は金価格が上昇傾向を維持すると予測した。

主な理由は以下の3つだ。

  • インフレ懸念の高まりにより、インフレヘッジとして金需要が高まる
  • 世界的な地政学的リスクが高まりにより、安全資産としての金需要が増加する
  • 中国やインドなどの新興国で経済成長に伴う金需要の拡大が、長期的な金価格の支援材料になる

JPモルガンは、2025年にはオンスあたり2,300ドルに達すると予測した。

金地金の販売促進機関であるWorld Gold Councilはさらに強気で、2025年には2,400〜2,600ドルに達する可能性があると発表している。

金を売却する際の税金の仕組みを教えてください。

金の売却にかかる税金は、投資家の状況や取引金額等により、取り扱いが異なる。以下に概要をまとめるが、実際の税務処理に際しては専門家への相談を強くおすすめする。

営利を目的としない金の売却

(金地金や金貨などの、いわゆる「現物」)の売却による所得は、原則として「譲渡所得として総合課税の対象」となる。

負担すべき税金は、【課税所得×税率】で求められる。

課税所得は、所有期間5年以内(短期譲渡所得)と5年超(長期譲渡所得)で計算方法が異なる。

所得税の税率は、給与などの他の所得と合わせた金額に対して累進課税(5〜45%)が適用される。

金を組み込んだ金融商品からの利益

金に投資できる投資信託やETFからの利益は、分離課税の譲渡所得として扱われ、20.315%の税金が課される。

金融機関が販売する「金投資口座」や「金貯蓄口座」から得た所得は、金融類似商品収益として扱われ、20.315%の源泉分離課税となる。

営利を目的とした継続的な金の売買

営利を目的とした継続的な金の売買を行う場合、所得は実態により「雑所得」か「事業所得」として扱われる。

金の売買を事業として行っている場合には事業所得、営利目的でも事業でない場合は雑所得とされる。

金投資の代替としておすすめの投資商品はありますか?

金投資の代替として検討できる投資商品は、大きく分けて2つある。実際の投資にあたっては、投資目的やリスク許容度に合致しているかを見極め、自身に合った商品を選択してほしい。

金に関連する金融商品

金の現物投資の代替として、金ETFや金投資信託などがある。

これらは金の価格に連動する投資商品で、金の現物を保有せずに金価格の変動による利益を期待できる。

金投資と同様の効果が期待できる投資商品

金投資と同様の、「インフレヘッジ」や「分散投資」の効果を期待するなら、代替投資商品として、以下のようなものがある。

  • 物価連動債(インフレ連動債、インフレ率に応じて元本や利息が調整される債券)
  • 不動産投資信託(REIT、インフレヘッジと分散投資の効果が期待できる)
  • 原油や穀物などの、金以外のコモディティ

金を購入する際に信頼できる業者を見分ける方法はありますか?

業者選定にあたっては、以下のポイントを確認してほしい。

検討にあたっては、複数業者を比較し、IFAのような中立的立場からの助言も活用していただきたい。

  • 業歴は十分に長く、取引実績は豊富か
  • 業者の提供価格は、市場価格と大きく乖離していないか
  • 取り扱う金の品質が高く、品ぞろえは豊富か
  • 購入時の手数料やスプレッドは妥当か
  • 購入後に十分なサポートを提供してくれるか
  • 業界団体への参加はあるか(日本金地金流通協会など)

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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