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【5527】株式会社property technologies 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2023年12月8日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社property technologiesは査定スピード・査定結果の客観性を向上させた不動産AI査定システムを用いて、気軽な住み替えをサポートする不動産テック企業です。

代表取締役社長の濱中雄大氏へ、事業戦略の変遷や今後の成長方針を教えていただきました。

目次

株式会社property technologiesを一言で言うと


テクノロジーで「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えができる未来をつくる会社です。 

property technologiesの沿革

株式会社property technologies代表取締役社長 濱中雄大氏

34歳で独立

1988年に新卒で入社した会社で富裕層向けの節税効果を目的としたアパート販売を行う営業職としてキャリアをスタートさせました。

しかし、土地の価格が高騰したことで1990年頃には総量規制がかかり、翌年の1991年にはバブル崩壊という状況になりました。

そこで、土地の有効活用提案を目的としたアパート建築事業にモデルチェンジします。

当時、私は営業本部長として全国展開を推進しこれを成功させました。

その後、不動産業での経験を活かして2000年に株式会社ホームネットを設立。自由が丘に店舗を構え、不動産仲介業をスタートさせました。

これが当社の始まりです。

リーマンショックによる事業転換

売上を着々と伸ばし、2004年頃には金融機関からの融資で資金調達ができるほどに成長しました。

はじめに手掛けたのは、13世帯くらいの小さなアパートの販売でした。

その後、新築戸建ての販売も行い、売上は20億円程まで伸びました。

しかし、2008年にリーマンショックが起こり、在庫として抱えていたアパートやマンションが売れなくなってしまいました。

新築建売のスキームだとプロジェクトが1年を超えることも多く、金融機関からの融資の返済に逼迫してしまう為、相場に左右されないビジネスへの転換を考えました。

そこで、2010年から始めたのが中古住宅再生事業です。

中古マンションに着目し、住宅の仕入れから販売までが6ヶ月と新築の半分以下の為、資金効率が良いというメリットがありました。また、当時欧米ではすでに中古住宅売買が全体の7割から8割を占めていましたが、日本では拡大していなかったため、ビジネスチャンスと捉えて事業転換に踏み切りました。

property technologiesの事業の概要と特徴

概要

当社グループのビジネスは中古住宅再生事業と戸建注文住宅事業です。

中古住宅再生事業ではiBuyer(オンライン買取再販)プラットフォーム「KAITRY」を活用して中古住宅の買取、リノベーション、販売を行うとともに業務支援SaaSの提供も行っています。

戸建注文住宅では、グループ子会社の2社が秋田と山口で注文住宅の設計から販売を行っています。

不動産に関わるステークホルダーのニーズに応え、中古住宅再生市場を活性化させていくことを目指しています。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

事業における優位性

リアルビジネスの全国展開による競争優位性

現在当社グループは全国17都道府県に拠点を持っています。

地方展開の参入障壁の高さとして、ファイナンス面での難しさがあります。

当社グループは地元密着型専門業者として事業を展開してきましたが、これは一朝一夕でなし得るものではありません。

地方銀行はその地域に根差したビジネスに対して資金を提供します。

つまり、地元の業者がそこに住む住民のために物件を取引する際に、貸し出しを行います。

そのため、投資用マンションといった地元以外を対象とした業者や個人に対する事業に対し金融機関の融資審査は簡単には下りません。

そこで、当社グループは地方拠点を作る際、地元に根差した地方創生を意識しています。具体的には、社員は現地採用を行い、地元の仲介会社から不動産情報をいただき、リノベーションは地元の協力会社に委託します。

また、地産地消できるように実需に基づいた物件の買取と販売を行っているのです。

長い年月をかけて地方銀行からの信頼を獲得できたことでファイナンスも受けられ、取引を堅調に伸ばすことができています。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

AIを活用した不動産査定システム「KAITRY」

2020年に不動産AI査定システムを自社開発し、当社グループの業務効率化を図るため販売物件共有システムや仲介会社マネジメント・案件管理システムを統合した「KAITRYプラットフォーム」を構築しました。

また2021年には、最短5秒で買取査定結果がわかる不動産査定システムとして、一般顧客向けにiBuyer(オンライン買取再販)ポータルサイト「KAITRY」をリリースしました。

2023年12月現在、全国91%のマンションに対応した無料査定サービスを展開しています。

他社で展開されているサービスで知ることができるのは、成約金額ではなく、あくまで相場です。

更には査定結果が返ってくるまで2、3日かかることも少なくありません。

当サービスはお客様が物件情報を入力後、最短5秒で当社グループの買取金額をお伝えしているので、査定後に住み替え先の物件探しに移れる、というわけです。

またこのAI査定システムは、当社グループの社員に好影響をもたらしました。AIによる査定結果には査定技術が詰まっており、これを社内で展開することで新人であっても戦力となることができ、効率良くお客様にアプローチできるようになりました。

実際に、今年新卒2年目の社員が17件の買取を成約したという事例もあるほどです。

経験値の少ない新人でも成果をあげることが出来る、再現性の高いビジネスを展開しています。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

property technologiesの中長期の成長イメージとそのための施策

「KAITRY」を活用したリアルビジネスの拡大

現在、当社グループは年間1,300件を超える物件買取を行っています。

実は、1,300件の物件買取の為にはおよそ3万件の情報をいただいた上で成約させていただいています。

AI査定の精度の向上には、このリアルな取引データの蓄積が必要です。

特に、当社グループは買取金額を提示するサービスのため、このリアルなデータの取得が非常に重要なポイントとなります。

そのためにはリアルの拠点拡充も欠かせませんし、今後も拠点数を増やしながら、全国各地でリアルの接点を持てる当社グループの強みを活かしていきます。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

SaaSとしての事業展開

これまでは仲介会社に対してのみSaaSを展開していましたが、今後は不動産業界のみならず他業界にも展開していきます。

安定的なストック収益はもちろんのこと、多岐にわたる情報を得ることができる点がメリットです。

仲介業者へのサービス拡充

これまでAI査定システムなど、社内向けの業務効率化に活用してきたツール「HOMENET Pro」を仲介会社に対してパッケージ化、SaaSとして提供していきます。

既に73社に利用していただいていますが、まだまだ拡大余地があります。

また、これらの査定結果はデータとして蓄積され、AI査定の精度向上に役立て、当社グループの買取事業拡大にも着実に貢献しています。

サービスを拡充することで利用業者の拡大を図り、新鮮な情報と過去から蓄積されたデータを活用したビジネスに繋がっていくと考えています。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

金融機関向けの展開

2023年7月に「KAITRY finance」として金融機関向けに不動産の査定を行うSaaSを提供し始めました。

このサービスは、「HOMENET Pro」を金融機関向けにカスタマイズしたものです。

銀行でのアナログで非効率な不動産査定の業務の時間短縮にも繋がり、日々の担保評価業務や不良債権の回収など幅広く利用できると考えています。

このサービスをきっかけに金融機関との良好な関係を築くことで、新たなビジネスチャンスになるのでは、と期待しています。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

士業向けの展開

弁護士や司法書士等の士業向けにも「KAITRY professional」としてサービスを展開していく予定です。

士業では、相続や離婚などの不動産に関わる相談が絶えず、迅速な対応が必要なことから、本サービスの効果を実感いただけると考えています。

そのまま当社グループにご相談いただければ最短3日で現金化が可能となることから、物件買取の新しい間口が広がると期待しています。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

人材の開発と積極的な若手登用

当社グループでは積極的な若手の採用を行っています。

2023年度は新卒を40名ほど採用しています。

私も元々営業マンだったので非常に気持ちがわかるのですが、営業成績が振るわないと、苦しい思いをすることも多くあります。

しかし、当社グループには他の不動産会社とは異なる点があります。

先ほどの新卒2年目の例にもある通り、KAITRYを利用することで業務を効率化し、成果を上げやすい仕組みづくりができていることです。

千葉では新卒4年目の社員が支店長をしていますし、若手が活躍出来るような環境が整っています。

今後も積極的な人材採用と育成、チャレンジできる環境に力を入れていく予定です。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

注目していただきたいポイント

当社グループは「リアル×テクノロジー」で事業を伸ばしていきます。

リアルビジネス、つまり顧客接点が持てる場所や機会がなければ人口減少化における日本での不動産ビジネスは伸びていかないと考えています。

そのリアルビジネスを伸ばしていく上で欠かせないのがテクノロジーです。

この「リアル×テクノロジー」のシナジーを活かす事のできる土台や技術があるということに注目していただければと思います。

株式会社property technologies 2023年11月期通期決算説明資料+中期経営計画及び成長可能性に関する事項 より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社グループは「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができる未来を目指しています。

現在、テクノロジー開発への投資を積極的に行っています。

中長期的な目線で考えていただければ、我々と業界はともに成長していく余地が大いにありますのでご支援のほどよろしくお願いします。

株式会社property technologies

本社所在地:東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館12階

設立:2020年11月16日

資本金:695,920,000円(2023年11月30日現在)

上場市場:東証グロース市場 (2022年12月13日上場)

証券コード:5527

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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