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【4445】リビン・テクノロジーズ株式会社代表取締役社長 川合大無氏「住生活領域の悩みを解決し持続可能な社会を実現する」

※本コラムは2022年11月21日に実施したIRインタビューをもとにしております。

不動産査定サイトで全国No.1の認知度を誇る「リビンマッチ」を運営するリビン・テクノロジーズ株式会社は、創業以来住生活領域で多様なサービスを展開し続けています。代表取締役社長の川合大無氏に、今後の事業展開の構想をお伺いしました。

目次

リビン・テクノロジーズ株式会社を一言で言うと

住生活領域における持続可能な社会を実現するプラットフォームを展開する企業です。

現在、新規物件購入者のうち中古物件を選択する人の割合は14%程度に過ぎません。しかし今後国内の人口が減少していくことを考えると、このままでは空き家が増え続けることになってしまいます。

欧米ではすでに6〜8割の方が中古物件を購入していますが、日本においても既存の建物を再利用し使い続ける社会が出来上がっていくよう、この有効活用のサポートを行なっているのが当社です。

リビン・テクノロジーズ株式会社 2022年9月期 決算説明資料 より引用

創業の経緯

大学で就職活動をしていた頃から自身で会社を経営したいという思いがありました。様々な会社の説明会を聞いて回ったものの働くイメージが湧かず、仕事をやるのであれば世の中にインパクトを与える存在になりたいと思ったことがきっかけです。

5年で3社ほど経験してから会社を作ろうと思っていました。1998年に新卒でニチモウ株式会社に入社後、バリューコマース株式会社、株式会社サイバーエージェントを経て、2004年に当社を設立しましたので、計画通りのスタートでした。

当初ネット広告の代理店事業から開始したのですが、5年ほどたった時に主要メンバーで営業部長を担っていた2人が会社から離れてしまいました。ネット広告の代理店ビジネスは、営業マンのレベルが売上に比例するところがありまして、売上は短期間で三分の一ほどに落ち込んでしまいました。商材の特性上、他社との差別化が難しく、元営業部長が数人の社員を引き抜いたため人材不足に陥り、採用や育成を行うことも当時の規模感からはできず、事業の転換を迫られることとなったのです。

代理店ビジネスでの売上が傾いてきた段階で、並行して新たな事業をいくつか始めていたのですが、その中で現在の主力サービスであるリビンマッチを含む不動産分野を選択していくことになります。

広告代理店の事業を行なっていた関係で、検索数を調べることのできるツールを持っておりました。そこで、「検索数が多いものの、検索結果に質の高いサービスがない分野はビシネスチャンスがあるのではないか」と考え、行き着いたのが不動産の査定や売却という領域でした。

よくいえばブルーオーシャンと捉えられますが、実際にどのくらいの売上がたつかもわからない状態であったというのが正直なところです。結果的にですが、常に良いマーケットを探し、その領域で事業を立ち上げるスピード感が、今も当社の特徴の一つであるとも言えると思います。

会社として11期目を迎えていた2015年の終わり頃になると、この不動産メディアが軌道に乗り、売上もかなり上がってきました。また、ちょうどその頃不動産投資専門のメディア「楽待」などを運営するファーストロジック社が上場を果たします。当社も同じ規模感の売上が出せていましたし、隣接する事業分野の会社の上場は刺激になりました。内部の業績面、および外部の事象が重なり、このタイミングで本格的に上場の準備を始め、2019年に上場を果たすことができました。

事業内容について

事業カテゴリーはマッチングサービスと不動産DXサービスに分かれます。マッチングサービスでは、特に不動産売却領域にて複数の不動産会社に問い合わせる一括査定を通じ、不動産所有者と企業のマッチングを行うのが主力ビジネスです。後者の不動産DXサービスでは、SaaS型のSMS追客システムや査定書作成システムの提供など、不動産会社の業務効率化をサポートしています。両事業とも、不動産会社のビジネスのコアとなるサービスを、ウェブを通じて提供していくというのが根底にある考え方です。

リビン・テクノロジーズ株式会社 2022年9月期 決算説明資料 より引用

当社のサービスはお問合せベースで課金をするという成果連動型の料金体系をとっています。前職や祖業のネット広告代理店事業にて多様な業界のネット広告を扱っていた経験とノウハウを基に、不動産領域にて最もビジネスになりそうな体系を選択したというのがこのモデルが確立された背景です。

実際に試さなければ効果を確かめることが難しい部分もありますので、PV数やクリック数で課金するモデルに比べて導入の心理的ハードルが低い反響課金モデルを選択したことで、現在では2,000社超のクライアント網を確立することができました。

また、サービスを開始したタイミングではほとんど競合もおりませんでしたので、今振り返るとこの目の付け所の良さも、やはり現在の当社の強みの一つであると言えます。

リビン・テクノロジーズ株式会社 2022年9月期 決算説明資料 より引用

先ほども申し上げた通り、当社は常に不動産会社向けのto Bサービスを展開することで事業を拡大させていくという構想を持っています。過去、サービスを粗製乱造するような時期もありましたが、その過程において、「同じ営業担当者が、同じ業界(クライアント)に、違うサービスを提案していく」という形が最も効率的であるという結論にいたりました。

この発想のもと展開していったのが不動産売却領域における「リビンマッチ」や「リースバック比較PRO」といったメディアです。ただ、そうは言っても少しずつ領域をずらしていかなければ売上に幅を持たせることができません。そのため、「リビンマッチ」でも賃貸やリノベーションといった非売却の領域を拡充させたり、メディア以外での業務効率化を図る「SMSハンター」や「ターボ査定」等のサービスを展開してきました。

また、直近では外壁塗装マッチングの「ぬりマッチ」やVR住宅展示場の「メタ住宅展示場」というサービスを開始しました。これは既存サービスと完全に隣接していない住生活領域内の異業種への展開という位置付けになり、さらに新たな収益の柱を作っていくというイメージです。

極端に言えば、事業は外して当たり前、くらいの感覚を持っておりますので、新規サービスの立ち上げはシステム開発等含めかなり柔軟に動ける体制を整えております。これも当社の継続的な成長を実現する要因の一つとなっています。

中長期の成長イメージとそのための施策

新サービスの「ぬりマッチ」、「メタ住宅展示場」事業の収益化、および当社の競争力の源泉とも言えるお取引社数のさらなる拡大を実現させていきます。特に、当社の事業は「持続可能な社会を実現するプラットフォーム」を目指しておりますので、中古不動産のマーケットにフォーカスしていく方針です。

ただ、事業環境の全体感としては、既存住宅流通市場やリフォーム市場を始め、とにかく規模が大きいマーケットですので、市場動向は当社の事業に過度に影響しないと思います。そのため、特定の領域に偏りすぎるよりも、自社のアイディアとプロダクト次第で、いかようにも成長が可能だと考えています。

そういった観点から、不動産DX市場の未開拓領域への進出を加速させるために、積極的なM&Aや業務提携も行なっていきます。具体的にはIoT分野、ローン、クラウドファンディング等が考えられますが、先ほどもお伝えしたように当社には新規事業を立ち上げる柔軟な体制が備わっていますので対象先も広く捉えています。

リビン・テクノロジーズ株式会社 2022年9月期 決算説明資料 より引用

会社の沿革としてもネット広告代理店が祖業であるため、ネットサービスが強みであり事業としても展開しやすいのは事実ですが、我々はネットだけで完結させようとは考えていません。不動産DX市場において、システム開発とプロダクト提供を行う、いわゆるテック企業は多く存在します。その中で当社は、ウェブと人間の融合によって差別化を図ろうと考えています。

以上の戦略を通じ、より一層中古不動産流通や既存建物に関連する市場の拡大に寄与し、不動産・住宅関連会社の業務効率化を推進する存在であり続けたいと思います。

投資家の皆様へメッセージ

複数の事業を展開しているため、主力の「リビンマッチ」以外の当社の価値をどう判断するべきなのかが難しいと感じる投資家の方もいらっしゃるかと思います。これまでの、そして今後の、当社の事業展開の構想や、持続可能な社会を目指すプラットフォームを提供する会社であるということをぜひご理解いただき、ご支援いただけると嬉しいです。

リビン・テクノロジーズ株式会社

本社所在地:東京都中央区日本橋堀留町1-8-12 ホウライ堀留ビル8階

設立:2004年1月

資本金:194,260,392円(2022年9月末現在)

上場市場:東証グロース(2019年6月28日上場)

証券コード:4445

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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