「人生100年時代」といわれる現代において、100年の人生で自分がどのように生きていくか、家族とどのように過ごしていくか、生涯に渡って社会とのかかわり合いをどうしていくかを改めて考えることが重要になっている。
前段の人生のビジョンが明確になると、それに合わせた適切な資産運用を行うことの重要性が高まってくる。
中でも株式投資は資産運用の代表格であり、適切な資産運用にとっては切っても切り離せない関係にある。
そこで本記事では、株式投資について効果的な運用方法のひとつである「株式投資におけるマークミネルヴィニの投資手法」を例に、株式投資について解説していきたい。
この記事で伝えたい内容を結論から申し上げると、「やみくもに株式を買うのではなく、株式投資にも一定のルールを設けることは非常に大切である」ということだ。
マークミネルヴィニ氏とは
米国の成長株投資におけるメジャーな存在「マークミネルヴィニ氏の投資手法」であるが、提唱したミネルヴィニ氏は米国株式の著名投資家で、有名投資本「マーケットの魔術師」でも紹介された実力派のトレーダーだ。
チャートから値動きを判断するテクニカル分析と、企業の成長率などから多角的に判断するファンダメンタルズ分析を織り交ぜ、負けない投資にこだわった手法を取っているといわれている。
本手法は、ミネルヴィニ氏の成長株投資法という書籍でも紹介されている。
株式投資を本格的に行う方にとっては手に取っていただきたい一冊だが、書籍は400以上のページ数で構成されているため、今回は重要なポイントをいくつか絞って解説していきたい。
マークミネルヴィニ氏の投資手法とは?
全体を通してミネルヴィニ氏が伝えていることは「リスク管理の重要さ」である。
- 底値で買わずに上昇を確認してから買う
- 本当に株価が上昇する銘柄なのかを判断する
そして、利益を伸ばすよりも損失を抑えることにフォーカスを置く。ミネルヴィニ氏は自分自身に以下の資金管理ルールを課している。
- 損切りは買値から10%程度下落したタイミング
- 総資金の0.75%程度でエントリー
ミネルヴィニ氏にとって上記のルールに例外はない。事前に設定した数値以上に損失が出た場合は躊躇せず損失を確定することで、想定外の損を避けているのである。
ミネルヴィニ氏自身、「良い企業が良い株ではなく、上昇しない株は全てダメな株」と発言している。
A good company doesn’t always mean it’s a good stock. The first rule for achieving superperformance is… all stocks are bad unless they are going up.
引用:ミネルヴィニ氏の公式ツイートより(2021年5月22日 午前1:11 ツイート)
つまり、「上昇する銘柄を選ぶことで勝率を安定させ、当初の想定通りに上昇しなければ速攻で手仕舞うべき」と言い換えることができる。
トレンドに順張りしつつ資金管理(損失管理)を徹底している。
ミネルヴィニ氏の手法においてどのようなタイミングで買うの?
株価は売買する投資家の需給で成り立っている。そのためミネルヴィニ氏の手法において、株価のサイクルは以下の4ステージに分けられると言われている。
第1ステージ | 底固め局面 | 無関心 |
第2ステージ | 上昇局面 | 機関投資家が買い集める |
第3ステージ | 天井圏 | 機関投資家が売り抜ける |
第4ステージ | 下落局面 | 投げ売り |
ステージごとに以下のような特長がある。
- 第1ステージ:最も期間が長く出来高も少ない
- 第2ステージ:多く買われるため出来高が急増
- 第3ステージ:上昇の勢いが落ち着く
- 第4ステージ:一般投資家の売りで出来高が急増
これらの特長を踏まえて、相場の方向性(トレンド)に沿った取引をするのがミネルヴィニ氏の成長株投資法である。
ミネルヴィニ氏の手法の実践での使い方
ミネルヴィニ氏の手法は「成長株を探し、順張りしていく手法」である。成長株を探すためにファンダメンタルズ分析を行い、成長株を探した後で上昇するタイミングをテクニカル分析で判断していくというものだ。実践では以下の3段階で順に活用していく。
- STEP1:ファンダメンタルズが好調か確認する
- STEP2:第2ステージで買う
- STEP3:第3ステージで売る
ファンダメンタルズが好調か確認する
実際に株式を売買する前には、株式を発行している企業自身に期待できるかどうか「ファンダメンタルズ分析」を行う必要がある。具体的には、以下のポイントを重視すべきとミネルヴィニ氏は提唱している。
- 売上高
- 利益率
- EPS(1株あたりの純利益)
つまり、現在が増収増益状態の企業であり、増加ペースも加速している企業の株を選ぶべきであると言い換えられる。
第2ステージで買う
投資銘柄をある程度スクリーニングできれば、次はエントリーポイントを探していく。ミネルヴィニ氏の手法では、第2ステージになってから買う方法を推奨している。
なぜ第2ステージで買うかというと「確実に上昇したのを確認してから購入する」という意図があるからだ。
以下の表はそれぞれのステージで株式を購入した場合の想定される結果である。
購入タイミング | 購入した場合の想定結果 |
---|---|
第1ステージ(底固め局面) | 保有期間が長くなる |
第2ステージ(上昇局面) | 上昇相場に乗れる |
第3ステージ(天井圏) | 上昇率が低い可能性 |
第4ステージ(下落局面) | 下落して損をする |
表から、第1ステージもしくは第2ステージで購入すべきと読み取ることができる。ただし
第1ステージで購入した場合は保有期間が長くなるという欠点を持っているため、第2ステージが相応しいと結論付けることができるのだ。相場全体が買い集めだしたタイミングで購入して短期間で利益を積み重ねていくのがスタンダードな手法となっている。
第2ステージかどうかを判断する一例は以下の通りだ。
- 株価が200日移動平均線を上回る
- 150日移動平均線が200日移動平均線を上回る
- 200日移動平均線自体が上向きで上昇トレンドを示す
- 高値と安値が切り上がり、明らかに上昇トレンドと判断できる
- 平均以上出来高がある場合、下落よりも上昇する日や週の方が多い
移動平均線とはある一定期間の価格の平均値を結んだ線を指し、テクニカル分析で用いられる指標である。
一般的に上向きであれば相場は上昇している「上昇トレンド」と判断されることが多い。
第3ステージで売る
第2ステージで購入した後は、機関投資家が売り抜けて上昇の勢いが弱まってきた第3ステージで手仕舞う。機関投資家が売り終わると第4ステージへと移行してしまう。
そのタイミングでは下落してきたことで恐怖した個人投資家が「狼狽売り」をして価格が急落するリスクを避ける必要があるのだ。
第2ステージで購入していた場合の想定結果は以下の通りである、
売却タイミング | 売却した場合の想定結果 |
---|---|
第1ステージ(底固め局面) | なし |
第2ステージ(上昇局面) | 短期間での手仕舞いになり、利幅が取れない可能性 |
第3ステージ(天井圏) | 上昇した分が利益となる |
第4ステージ(下落局面) | 下落して損をする可能性 |
第2ステージでは利幅を上手く取れない可能性があり、第4ステージでは基準価格よりも下落してしまい損をするリスクもある。
そのため、上昇後の第3ステージで利益がある状態で手仕舞う方が成績も安定すると考えられるのではないだろうか。
つまり、「トレンドに乗って購入した株の売り場は、トレンドが転換した瞬間に手仕舞う」のがミネルヴィニ氏の実践方法といえるだろう。
まとめ
全体を通してミネルヴィニ氏が伝えていることの根幹は「自ら決めたルールを徹底的に遵守することの大切さ」と「リスク管理の重要さ」である。
買ってから上昇するかは需給や世界情勢に左右されることが多いが、売るタイミングは我々のコントロール下にある。
建物を建てるときも工務店の方と綿密に打ち合わせをし、設計図通りに建築されていくように、株式投資にも投資をする前段階でのデザインや設計・ルール作りが大切である。
ここまで解説をしてきたが、本手法が株式投資における一番の最適な手法というわけではない。
個人それぞれによって手法は違ってもよいが、明確なルールやそれを守るという最初のマインドセットがとても重要であるといえるだろう。
こういったルールを個人で決めていくのは楽しくもあるが難しいと感じる方もいるだろう。
そういった場合は資産運用のアドバイザーと相談しながら進めていくのも良いのではないだろうか。
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