- 投資信託とETFのリターンを比較したい
- 自分に適した運用法が知りたい
- 投資信託とETFの違いを理解したい
投資信託やETFは、いずれも手軽に分散投資ができる金融商品として知られている。
ETFは投資信託の一種であるため、基本的な仕組みは似ているものの、大きく異なる部分もいくつかある。
資産運用を始める際は、両者の違いをしっかりと理解した上で、自分に適した商品を選ぶのが重要だ。
本記事では、投資信託とETFのどっちを選ぶべきか迷う方へ、その特徴やリターンの違い、どんな投資家に向いているかを詳しく解説する。
投資信託とETFの基本的な違い
投資信託は、投資家から集めたお金をまとめてプロが運用し、運用成果を投資家に配分する仕組みの金融商品だ。
一方、ETFは「Exchange Traded Funds」の頭文字をとったもので、日本語では上場投資信託とも呼ばれる。
ETFは投資信託の一種であるため、両者は似ている部分も多いが、異なる箇所も存在する。
まずは、投資信託とETFの違いを下記にまとめた。
投資信託 | ETF | |
---|---|---|
上場/非上場 | 非上場 | 上場 |
銘柄数 (2024年1月末) | 約5,900本 | 約300本 |
取引価格 | 1日1回算出される基準価額での売買 | 市場価格での売買 |
取引可能時間 | 販売会社によって定められた時間 | 取引所立会時間(リアルタイム) |
購入場所 | 証券会社、銀行など | 証券会社 |
取引方法 | 基準価額を元に購入価額を算出(指値/成行での注文は不可) | 指値/成行で注文 |
購入時手数料 | 販売会社や銘柄ごとに異なる 購入時手数料が必要 | 証券会社ごとに異なる 売買委託手数料が必要 |
運用管理費用(信託報酬) | 一般的にETFより高い | 一般的に投資信託より低い |
解約時手数料 | 信託財産留保額が必要 | 売買委託手数料が必要 |
取引方法
まず、投資信託とETFは上場しているかどうかという点が異なるため、取引方法も変わってくる。
投資信託は非上場の金融商品なので、証券会社だけでなく銀行や郵便局などでも購入できる。
注文時は、基準価額をもとに購入価額を算出するが、指値や成行といった注文方法は利用できないため、注文の翌営業日以降にならないと購入価額がわからない。
一方、ETFの場合は上場しているため、証券会社を通じて証券取引所で取引される。
株式と同様の取引方法となるため、指値や成行といった注文方法も利用できる。
価格変動や売買のタイミング
投資信託は、1日1回算出される基準価額での売買となる。
株やETFと異なり、1日の中で価格が上下しないのが特徴だ。
取引できる時間は販売会社によって異なるため、あらかじめ確認しておこう。
ETFは、株と同様に取引所の立会時間中はいつでもリアルタイムで売買できる。
同じ日の売買であっても、タイミングによって売買価格が異なる。
リアルタイムで取引できる時間は、平日の9:00〜11:30、12:30〜15:00となる。
コストの種類
投資信託やETFの取引には運用コストが必要だが、それぞれにかかるコストの種類や大きさには違いがある。
まず、投資信託の購入時は「購入時手数料」が必要となる。
購入時手数料の大きさは、販売会社や銘柄によって異なり、ネット証券などでは投資信託の購入時手数料を無料としているケースも多い。
一方、ETFの購入時には、株と同様の売買委託手数料が必要となる。
こちらも、証券会社によって水準が異なるため、あらかじめ確認しておこう。
また、保有している期間中は、投資信託とETFでいずれも「運用管理費用(信託報酬)」が必要となる。
ただし、これは購入時手数料や売買委託手数料のように別途支払うものではなく、毎日運用資産の中から差し引かれるものだ。
ただし、信託報酬は運用期間中ずっとかかってくるコストのため、なるべく信託報酬が低い商品を選ぶのをおすすめする。
一般的に、ETFよりも投資信託の方が、信託報酬が高い傾向にある。
解約時は、投資信託の場合は「信託財産留保額」、ETFの場合は「売買委託手数料」が必要となる。
投資信託とETF、より高いリターンが得られるのは?
投資信託のETFの違いを踏まえた上で、高いリターンを得やすい選択肢について考えていく。
同じインデックスを基準とする投資信託とETFについて、リターンを比較してみよう。
日経平均株価
ベンチマーク | 投資信託 | ETF | |
---|---|---|---|
銘柄/騰落率 | 日経平均 | ニッセイ日経225インデックスファンド | NEXT FUNDS日経225連動型上場投信 |
6ヶ月 | 21.2% | 21.1% | 21.1% |
1年 | 45.7% | 45.3% | 45.5% |
3年 | 43.5% | 42.1% | 42.7% |
日経平均株価とは、日本経済新聞社が選定した225銘柄から構成される株価指数のことだ。
日本を代表する株価指数の一つで、景気を表す指標としても捉えられている。
この日経平均をベンチマークとする投資信託・ETFを比較してみると、ややETFの方が運用パフォーマンスが良い。
6ヶ月や1年間といった短い期間では騰落率はほぼ変わらないが、3年間の運用期間で見ると騰落率が0.6%程度変わってくる。
これは、投資信託とETFの信託報酬の違いによるものだと言えそうだ。
S&P500
ベンチマーク | 投資信託 | ETF | |
---|---|---|---|
銘柄/騰落率 | S&P500 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF |
6ヶ月 | 16.3% | 16.5% | 16.44% |
1年 | 42.3% | 42.6% | 42.6% |
3年 | 94.0% | 95.1% | 95.15% |
S&P500とは、米国の代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している株価指数だ。
ニューヨーク証券取引所やNAADAQに上場および登録されている約500の銘柄が採用されている。
S&P500をベンチマークとする投資信託およびETFのリターンを比較したところ、両者にそれほど大きな差はないことがわかった。
投資信託の信託報酬は年率0.09372%、ETFの信託報酬は年率0.066%とほとんど差がないことから、騰落率にもあまり影響が出ていないものだと考えられる。
NASDAQ100
ベンチマーク | 投資信託 | ETF | |
---|---|---|---|
銘柄/騰落率 | NASDAQ100 | iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | NEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信 |
6ヶ月 | 19.5% | 19.3% | 19.3% |
1年 | 64.7% | 64.1% | 64.3% |
3年 | 100.9% | 98.7% | 99.5% |
NASDAQ100は、米国のナスダック市場に上場している金融銘柄を除く時価総額上位100銘柄で構成される株価指数だ。
革新的な製品やサービスを提供するテクノロジー企業が多数採用されている。
NASDAQ100をベンチマークとする投資信託とETFを比較すると、短期間ではほとんど差が出ないものの、3年という期間では若干騰落率に差が出る。
長期間の運用を考えるのであれば、投資信託よりもETFの方が有利に運用できる可能性があるだろう。
リターンから見た投資信託とETFの選び方
ここまで解説した投資信託とETFの違いや両者のリターンの差を踏まえ、それぞれのメリット・デメリットや適性のある投資家属性について解説する。
投資信託のメリット・デメリット
投資信託のメリットとしては、少額から金額買付ができるため、積立投資に適していることが挙げられる。
「毎月1,000円だけ購入する」といったように金額を指定した積立投資も行えるため、初心者にも始めやすいだろう。
一度積立投資の設定をしておけば、毎月決められた日に自動で投資が行われるため、手間がかからないのも特徴だ。
また、投資信託はETFに比べて種類が豊富なので、自分の運用ニーズに合わせて銘柄を選べるのもメリットと言えるだろう。
特に、アクティブファンドの中にはSDGsやAI、IoTなどテーマに従って運用するファンドもあるため、自分の好きなテーマに投資をしたい人にもおすすめだ。
逆にデメリットとしては、リアルタイムで売買できないことや指値注文ができないことなどが挙げられる。
そのため、相場を見ながら機動的に売買したい人や短期間の投資を行いたい人にはあまり適さない可能性がある。
また、複雑な仕組みで運用するアクティブファンドの場合は、インデックスファンドやETFに比べて信託報酬が高くなりやすい点にも注意しよう。
ETFのメリット・デメリット
ETFのメリットは、リアルタイムで値動きがチェックできることや、運用コストを安く抑えやすいことなどが挙げられる。
注文時点で価格がわかり、指値注文なども利用できるため、その日のうちに利益確定することもできる。
指数に連動して価格が動くため、日々の価格動向を確認しやすいのもメリットだ。
投資信託と比べて信託報酬が安く抑えやすいため、長期間の運用でお得になりやすいとも言えるだろう。
ETFのデメリットとしては、自動積立に対応していない金融機関が多いことや、分配金の再投資ができないことが挙げられる。
積立投資を行うためには、手動で毎月同じ銘柄を購入する必要があるため、手間がかかると感じる人もいるだろう。
それぞれの投資手法が適している投資家の属性
投資信託が向いている人は、下記のような人だ。
- 投資初心者の人
- 将来に向けてコツコツ積立投資を行いたい人
- さまざまな商品の中から選びたい人
投資信託は積立投資が手軽にできるため、コツコツと資産を増やしたい人に適している。
分散投資や積立投資によってリスクを抑えやすいため、投資初心者にもおすすめだ。
NISAのつみたて投資枠で購入できる銘柄も多いため、新NISAを活用したいという人も投資信託が向いているだろう。
一方、ETFが向いている人は、下記のような人だ。
- リアルタイムで取引したい人
- なるべく運用コストを抑えて運用したい人
ETFと投資信託の最大の違いは、上場しているかどうかだ。
ETFは、株と同様に取引所で取引されるため、リアルタイムで売買できて指値注文も可能だ。
自分の指定した価格で売買したい人や、機動的に売買したい人にはETFが向いているだろう。
また、ETFは投資信託に比べて信託報酬が低い傾向があるため、なるべく低コストで運用したいという人にもおすすめだ。
ただし、銘柄によってはそれほど費用がかわらないケースも多いため、複数の商品をよく確認するのをおすすめする。
ここまで、投資信託とETFについて比較してきたが、両者にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、一方が優れているというわけではない。
それぞれの特徴をしっかりと把握した上で、自分の投資目的や投資スタイルに合致している方を選ぶのが重要だ。
リターンを比べて投資信託とETFを選びたいなら、誰に相談するべき?
投資信託やETFでの投資を始める場合は、専門家に相談してみるのをおすすめする。
以下では、専門家に相談するメリットや、おすすめの相談先について解説する。
資産運用における専門家の重要性
投資信託とETFは、それぞれ異なる特徴を持つ金融商品だ。
自分に最も適している運用手法を把握するためには、それぞれの商品の仕組みやリスク、メリット・デメリットをしっかりと理解する必要がある。
加えて、自分の投資目的や投資スタイル、許容できるリスクを整理しておくのも重要だ。
人によって最適な運用商品は異なるため、プロの目線でアドバイスをもらうことで、自分にとってぴったりの資産運用方法を見つけやすくなるだろう。
IFAの役割とメリット
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リターンから考える投資信託とETFの投資適性は人それぞれ
ETFは投資信託の一種であるため、両者は似ている部分も多くあるが、大きく異なる部分も多い。
商品の仕組みの違いによってメリット・デメリットや向いている投資家も変わってくるため、それぞれの特徴をしっかりと押さえておくことが重要だ。
本記事では、投資信託とETFのリターンの違いや、それぞれの運用手法に適性のある投資家の特徴について紹介した。
ただし、本記事で解説した内容はあくまで一例であり、人によって選ぶべき商品や最適な運用方法は異なる。
そのため、自分にあった運用手法の選択に迷った際は、資産運用の専門家にアドバイスを求めることを推奨する。
IFAは、金融機関から独立した立場で、中立の目線から顧客に資産運用のアドバイスを行う専門家だ。
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