- オルタナティブ投資の概要と特性について理解したい。
- 株式投資や債券投資との違いを知りたい。
- オルタナティブ投資を上手に活用するためのステップを学びたい。
投資手法を検討する際、オルタナティブ投資に興味を持つ人も多いだろう。株式や債券だけでなく、多種多様な投資先を求めてポートフォリオを構築したい場合は魅力的な選択肢の1つになり得る。
今回はオルタナティブ投資の概念や特徴、メリットデメリット、実際の投資方法等について解説する。
オルタナティブ投資の基本概念とその特徴
一般的には馴染みが薄い言葉かもしれないオルタナティブ投資の概念や特徴について解説する。
オルタナティブ投資とは
オルタナティブ(alternatibe)は直訳すると「代替」「代わり」の意味がある。さまざまな方法を駆使してリターンの最大化を狙うため、比較的リスクが高いとされる。
オルタナティブ投資の種類と特性
オルタナティブ投資にはさまざまな種類がある。暗号資産(仮想通貨)やWeb3.0など金融技術の進歩によって登場するものもあり、時代が進むと種類や投資手法も増える傾向がある。ここでは代表的なものを6つ挙げる。
暗号資産(仮想通貨)
インターネット上でやりとりできる財産的価値で、ブロックチェーン技術をもとに不特定多数の者と代金等の支払いができるものである。法定通貨とは異なり中央銀行等の管理者が存在しない。
ヘッジファンド
多種多様な投資手法を使い分けながらハイリターンを狙うファンドをいう。専門的な金融知識や経験、運用技術等を背景に私募で資金調達を行う。
商品先物や信用取引なども駆使するため、リスク許容度が高い投資家が出資するケースが多い。
プライベートエクイティファンド
未公開株式に、ファンドを通じて運用する投資手法である。創業したばかりのベンチャー企業から成熟期を過ぎた企業まで投資対象は幅広い。
未公開株を保有して経営権を握り、将来の上場や事業譲渡時の売却益を狙うバイアウト投資も多い。
不動産
物件を保有して賃料収入を得たり、売却益を得る不動産投資もオルタナティブ投資の1つである。複数の投資家から資金を集めて物件を購入、運用する不動産投資信託(REIT)も含まれる。
デリバティブ
金融派生商品とも呼ばれ、株式や債券等の金融商品のリスクやリターンをカスタマイズして設計された運用手法である。基本的に先物取引やオプション取引が含まれ、設計状況によっては商品の仕組みが複雑になりやすい。
コモディティ
商品先物市場で取引される金やプラチナ、大豆、原油等の商品に投資することをいう。少ない資金でレバレッジをかけられるため、取引内容によってはリスクが高くなる。
オルタナティブ投資のメリットとデメリット
オルタナティブ投資にはどのようなメリットデメリットがあるのだろうか。
メリット
オルタナティブ投資は代表的な株式や債券投資とは異なる要因に影響を受け、値動きも変化することが多い。投資対象も多岐にわたるため、さまざまなリスクやリターンの特性を持つ金融商品を組み合わせることもできる。
投資先やリスクを分散させ、さまざまな相場状況に対応できるのはリターンの最大化を狙う意味でも大きなメリットだ。
デメリット
さまざまな投資先に資金を投入して利益の最大化を狙いやすい一方で、価格変動のリスクも大きくなりやすい。正確な情報を入手して評価を行うのが難しい場合がある。
一般的な投資信託でみられるような指標が存在せず、投資基準を設定しにくいことも多い。
オルタナティブ投資におけるリスクとリターン
投資を行う際に気になるのはリスクとリターンの関係だ。
株式投資・債券投資とオルタナティブ投資のリスク比較
株式や債券投資の場合は指標の動向に左右されることが多いが、オルタナティブ投資は市場動向だけでなく、投資基準が分かりにくい、公開情報が少ないなどのリスクがある。
投資の種類によって注意すべきポイントも変わるため、複数の投資先に資金を向ける場合は運用管理をしっかり行う必要がある。
オルタナティブ投資のリターンとは
オルタナティブ投資のリターンは種類によって異なる。たとえばプライベートエクイティファンドの場合は、株式上場やM&Aによる企業売買等によって得られる資金の獲得が期待される。
リスクもあるが成功すると高いリターンが得られる可能性がある。
リスクを理解してオルタナティブ投資を行う
オルタナティブ投資をする際はリスクの内容を適切に理解、管理することが重要だ。市場動向が大きく変化するとどのような事態が発生する可能性があるのか、投資資金がロックされる期間の有無も確認しておこう。
オルタナティブ投資の開始方法:ステップバイステップガイド
ここからは具体的にオルタナティブ投資を始める方法や流れを解説する。
焦って詐欺案件等を掴まされるようなことがないように必要な初期投資や準備物、成功させるための戦略を確認しておきたい。
オルタナティブ投資に向いている投資家の特性
オルタナティブ投資は一般的にリスクが高くなりやすいため、下記のような特性が求められる。
専門知識や情報収集力
投資の専門知識はもちろん、常に最新情報を収集する能力や意欲が求められる。いままで全く投資をしたことがない初心者の場合は向かない可能性が高い。
長期視点
デイトレードのような短期視点ではなく、場合によっては数十年単位の長期視点が求められることが多い。目の前の情報や状況に一喜一憂することなく、運用や資金管理をする必要がある。
積極的にリスクをとる
ハイリスク運用になりやすいためリスク許容度が高い投資家に向いている。逆にあまりリスクをとりたくない投資家には不向きのため、自身のリスク許容度を確認しよう。
オルタナティブ投資に必要な初期投資とその準備
できる限りリスクを避けるためにもオルタナティブ投資を始める際は入念な準備が欠かせない。投資目標や出口戦略、運用に回せる資金規模は必ず事前に確認しておきたい。
投資対象が多く玉石混交のため、投資先を検討する際には運用成績やリスク要因、ファンドマネージャーの能力や信頼性を調査するデューデリジェンスは必須だ。
オルタナティブ投資を成功させるための戦略
比較的リスクが高いオルタナティブ投資を成功させるには、投資先の選定と分散投資は欠かせない。
それぞれの運用手法のメリットやデメリットを理解し、互いに補完し合うポートフォリオを構築することが重要だ。
IFAと一緒にオルタナティブ投資を探求する
オルタナティブ投資は株式や債券投資の場合と異なり、仕組みが複雑で専門用語も多い。そのため実際に投資をする際には、随時サポートしてくれる運用のプロの存在は不可欠だ。
ここからは専門家とのコミュニケーション方法や期待できる成果、アドバイスを得るメリット等を解説する。
IFAのアドバイスを得るメリット
IFA「Independent Financial Advisor」とは、特定の金融機関に所属せず、独立した立場で資産運用のアドバイスやポートフォリオの提案などを行う専門家である。IFAからアドバイスを得るメリットは下記のようなものがある。
自分に合った投資戦略の策定ができる
IFAは顧客から投資目的や目標、考え方、リスク許容度、資金状況などをヒアリングして、それぞれのニーズに合った投資戦略を策定する。状況に合わせて随時見直しもできるため、常に最適なポートフォリオを組める。
専門知識や経験が豊富で、常に最新情報を手に入れることができる
専門知識や経験が豊富で最新情報の収集や分析も任せられるため、自分で行う手間や時間を省ける。
IFAの知識とノウハウをファンド運用に活かせる
IFAは金融機関出身者が多く、ファンドマネージャーや金融機関などとの関係から多くの情報を保有している。IFAを通じて正確な情報やファンド運用のノウハウにアクセスできるのは非常に大きなメリットだ。
IFAとのコミュニケーション方法と期待できる成果
IFAとの関係構築に悩む人も多いだろう。今回はIFAとのコミュニケーション方法や彼らに依頼することで期待できる成果を解説する。具体的には下記のステップで進めてみよう。
- 自身の投資目標やリスク許容度を明確にする
- ポートフォリオを構築し、ファンドや企業等の経営や財務状況等を精査してもらう
- 市場動向やライフステージ等に合わせて定期的にポートフォリオの見直しを行う
IFAが豊富な専門知識や経験を有していても、顧客ニーズを把握できなければ先に進めない。最適な投資戦略を策定するためにも、自身の投資目標やリスク許容度を明確にしよう。
ポートフォリオを構築し、運用するファンドが決まったらデューデリジェンスを行う必要がある。詐欺案件は論外だが、そうでなくても経営や財務状況が悪化していると運用継続が困難になる可能性があるからだ。
一般人がデューデリジェンスを行うのは簡単ではない。正しく見極めを行うためにも専門知識や最新情報を持ち、金融業界にも精通しているIFAのサポートは欠かせない。
市場動向や投資家のライフスタージは常に変化するため、状況に合わせてポートフォリオの見直しを行い最適化する必要がある。
オルタナティブ投資に関する情報はもちろん、その他の投資手法の状況も含めて総合的にアンテナを張る必要がある。これらを全て1人で行うと時間がいくらあっても足りない。「餅は餅屋」という言葉もあるが、専門家に任せるのも重要だ。
また、そもそも投資家の投資経験や投資意向によって、最適なIFAの選択肢は異なる。検索プラットフォーム「資産運用ナビ」などを活用し、自身の条件にあったアドバイザーを探すことも忘れないようにしよう。
IFAが推奨するオルタナティブ投資事例
IFAは顧客のニーズや投資目標、リスク許容度等をもとに金融商品を選定してポートフォリオを構築する。具体的なファンドの選択はIFAの手腕や顧客によって異なるが、ここでは日本の年金を運用するGPIFと米国のハーバード大学の投資事例を紹介する。
私たちの年金はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によって運用されているが、オルタナティブ投資も少し含まれている。
2020年度から始まった第4期中期計画では「資産全体の5%を上限にオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、不動産)の運用を行うこと」とされている。
ハーバード大学の場合はさらに積極的で、2021年のデータでは資産の70%以上がオルタナティブ投資に向けられている。
まとめ
今回はオルタナティブ投資の基本的な知識、その特性、リスクとリターン、実践方法などを解説した。株式や債券投資に比べると一般的に馴染みが薄く、より専門的な知識が求められる傾向がある。
そのためIFAに相談して専門的な知識を持つ者の視点からオルタナティブ投資のリスクとリターンへの理解を深めることも重要だ。
IFAと一緒にオルタナティブ投資の戦略を作成することで、自身の投資目標に適したポートフォリオを作成することができる。
また、IFAの検索には「資産運用ナビ」などのプラットフォームを活用し、自身にあったアドバイザーを効率よく探すようにしよう。無料相談もできるので、長期的な資産形成のパートナーとなる、信頼できるIFAが見つかるはずだ。
オルタナティブ投資に限らず資産運用に関するあらゆるお悩み解決のために相談してみよう。