- 株価の板とは何か、板情報の見方や板に表示される記号について
- 実際の板の見方、寄り付き前や取引時間内に売買する際の見方
- 板情報を活用する方法
株価の板の見方を知ることは、現在取引されている株価の需給を判断するのに役立つ。
この記事では、株価の板の見方について実際の板状況を交えながら、わかりやすく解説していく。
板の仕組み
板とは
板とは、株の買い注文と売り注文の内容を見るための情報である。
板情報は、現在取引されている値段の株数が表示されるため、リアルタイムで需給を判断するのに役立つのだ。
また、いくらで注文を出せば取引が成立するのか一目で分かることから、とりわけ株価を指定する指値注文を行うのに、板は欠かすことができない。
板情報の見方を知ることで、株式投資をより有利に進められるのである。
板情報の見方
株の板は基本的に、下記のように表示される。左側に売り注文が集まる売数量、右側に買い注文が集まる買数量となる。
そして、真ん中に株価が価格(気配値)という形で表示される。
価格(気配値)のすぐ下には「成行」と表示された箇所があり、寄り付き前の買数量と売数量が表示されるのである。
板のさらに詳しい見方について解説する。
まず、価格1,000円の買数量に5,000と表示されている。この数字は株数を表すため、1,000円で買いたい人たちの注文が合わせて5,000株あることを示している。
また、999円であれば買いたい人の株数は合計で7,500株あることを示し、998円であれば買いたい人の株数が合計で12,500株あることを示す。
一方、1,001円の左側には、5,000と表示されている。
この数値は、1,001円で売りたい人の注文が合わせて5,000株あることを示している。
したがって、1,002円であれば、売りたい人の注文が合計で3,000株であることを意味するのだ。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
150,000 | OVER | |
3,000 | 1,002 | |
5,000 | 1,001 | |
1,000 | 5,000 | |
999 | 7,500 | |
998 | 12,500 | |
UNDER | 250,000 |
さらに「OVER」という表示は、1,002円より高い値段で出ている売り注文の合計株数を表す。
そして、「UNDER」という表示は、998円より安い値段で出ている買い注文の合計株数を示している。
そのため、この場合であれば、998円より安い値段に合計で25万株の買い注文が発注されており、1,002円より高い値段に合計15万株の売り注文が発注されていることを示すのだ。
板情報を見ることで、現在の株価の買い注文と売り注文の状況が一目で分かるのである。
板に表示される記号
株の板は需給が一方向に大きく傾くと、普段は見られない記号が表示される。
具体的な記号の種類には、以下のようなものがある。
- 「特」
- 「前」
- 「連」
「特」とは、特別気配のことである。売り注文が多く取引が成立しないときには、売りの特別気配が表示される。
例えば、下記の板情報の場合には、1,008円で72,000株の特別売り気配となっていることを意味しているのだ。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
58,000 | 成行 | 15,600 |
800 | 1,014 | |
600 | 1,013 | |
72,000特 | 1,008 | |
1,008 | 26,300 | |
1,000 | 1,400 | |
999 | 900 | |
998 | 600 |
反対に買い注文が多く、取引が成立しないときには、買いの特別気配が付く。
例えば、下記の板情報では、1,008円に36,800株の特別買い気配が付いていることを意味する。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
10,800 | 成行 | 15,600 |
800 | 1,014 | |
600 | 1,013 | |
21,200 | 1,008 | |
1,008 | 特36,800 | |
1,000 | 1,400 | |
999 | 900 |
また、「特」は株価が、値幅制限の上限であるストップ高、値幅制限の下限であるストップ安に張り付いた場合にも、表示される。
「前」は寄前気配のことを示す。
始値が決定される前の気配であり、売り注文と買い注文の需給が等しくなる値段に、それぞれの累計株数が表示されるのだ。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
3,800 | 成行 | 1,500 |
150,000 | OVER | |
8,600 | 527 | |
5,200前 | 525 | |
524 | 前2,700 | |
523 | 3,600 | |
UNDER | 250,000 |
「連」は、連続約定気配のことを指す。
連続約定気配とは、株価の急激な変動を抑えることを目的として、直前の約定値段から更新値幅の2倍を超える注文数量が出された場合に、表示される記号である。
例えば、下記の板状況は価格が500円の株であるため、更新値幅は10円である。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | 1,800 | |
6,800 | 527 | |
8,600 | 526 | |
5,200 | 525 | |
524 | 連2,700 | |
513 | ||
504 | 5,900 | |
503 | 7,800 |
そのため、更新値幅の2倍は20円となる。連続約定気配が表示された場合には、取引が1分間停止された上で、需給を拮抗させるために反対売買の注文を呼び込むのである。
そして、それでも約定しない場合には、特別気配に変更される。
実際の板の見方
では実際の板を見てみよう。
寄り付き前
前場と後場の寄り付き前の板は、売りと買いのそれぞれに成行注文の株数が表示される。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
8,000 | 成行 | 15,000 |
3,000 | 1,002 | |
13,000前 | 1,001 | |
1,000 | 前20,000 | |
999 | 7,500 | |
998 | 12,500 |
上記の場合では、寄り付き直後の始値で買いたい人が合計で15,000株の買い注文を、始値で売りたい人が合計で8,000株の売り注文を出していることが分かる。
そして、1,000円の価格に5,000株の指値注文と合わせて20,000株の買い注文が発注されており、1,001円の価格に5,000株の指値注文と合わせて13,000株の売り注文が発注されている。
もしこの板状況で、始値で1,000株買いたいのであれば、買いの成行注文を出せば良い。
成行で1,000株の買い注文を発注すると、板付きは次のように変わる。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
8,000 | 成行 | 16,000 |
3,000 | 1,002 | |
13,000前 | 1,001 | |
1,000 | 前21,000 | |
999 | 7,500 | |
998 | 12,500 |
成行注文が1,000株増えて16,000株に、価格1,000円に表示される買数量の総数は1,000株増えて21,000株となるのだ。
そして、寄り付き直後には、板付きが次のように変わる。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
3,000 | 1,002 | |
1,001 | ||
1,000 | 5,000 | |
999 | 7,500 | |
998 | 12,500 |
成行注文が全て約定したのち、1,000円の指値注文に5,000株が残る。
そして成行注文で発注した株数1,000株は、始値1,000円で取引が成立するのである。
取引時間内に買うとき
次に場中の板状況から、買い注文を発注する場合を見てみよう。
例えば、次のような板付きで取引される銘柄があるとしよう。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
1,500 | 1,003 | |
1,000 | 1,002 | |
500 | 1,001 | |
1,000 | 2,000 | |
999 | 7,500 | |
998 | 12,500 |
上記の板状況で、1,001円に1,000株の買い指値注文を発注すると、板付きは次のように変わる。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
1,500 | 1,003 | |
1,000 | 1,002 | |
1,001 | 500 | |
1,000 | 2,000 | |
999 | 7,500 | |
998 | 12,500 |
1,001円に出ていた売りの指値注文500株が全て約定した上で、残り500株が約定することなく、買い板に残る。
しかしながら、もし1,002円に向かって、買いの指値注文1,000株を発注したならば、板状況は次のように変わる。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
1,500 | 1,003 | |
500 | 1,002 | |
1,001 | ||
1,000 | 2,000 | |
999 | 7,500 | |
998 | 12,500 |
1,001円の売り注文500株が全て約定したのち、1,002円の売り注文1,000株が部分約定して、500株の売り注文が残るのだ。
成行注文で1,000株出した場合も同様に、買い板に注文が残ることなく、1,002円に指値注文を出した時と同じような板状況になる。
取引時間内に売るとき
取引時間内に売り注文を出した場合を見てみよう。例えば、以下のような板状況で取引されている銘柄があるとする。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
7,000 | 1,003 | |
5,000 | 1,002 | |
1,000 | 1,001 | |
1,000 | 100 | |
999 | 500 | |
998 | 1,000 |
上記の板状況で1,000円に向かって、1,000株の売り指値注文を出すと、板状況は次のように変わる。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
7,000 | 1,003 | |
5,000 | 1,002 | |
1,000 | 1,001 | |
900 | 1,000 | |
999 | 500 | |
998 | 1,000 |
1,000円に置かれていた100株の買い指値注文が全て約定し、残り900株が部分約定という形で、売り板に残るのである。
そのため、もし1,000株全てを売りたいのであれば、998円に向かって指値注文を発注する、または売りの成行注文を行う必要があるだろう。
998円に向かって1,000株売ると、板付きは次のように変わる。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
7,000 | 1,003 | |
5,000 | 1,002 | |
1,000 | 1,001 | |
1,000 | ||
999 | ||
998 | 600 |
100株と500株が全て約定したのち、残り400株が998円の1,000株と部分約定するのである。
板情報の活用方法
板情報を活用できれば、株取引を有利に進められる。主な活用方法としては、以下の二点を見ることで、取引銘柄の状況理解が進むだろう。
注文数の多さ
注文数の多さを見ることで、株価の需給バランスを見極めるのに役立つ。例えば、次のような板状況の銘柄があるとする。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
5,000 | 1,003 | |
3,000 | 1,002 | |
1,000 | 1,001 | |
1,000 | 12,500 | |
999 | 15,000 | |
998 | 20,000 |
注文数が多いということは、基本的にはそれだけ需要が旺盛であることを意味する。
したがって、上記の場合には1,000円以下で買いたい人が多く、下値が底堅いことが分かる。
そして、買い手が多いことから、目先の株価は下がりにくいことが予想できるのだ。
板の厚さ
板が厚いということは、それだけ取引参加者が多く、人気を集めていることを意味する。
例えば、以下の板状況で取引されている銘柄があるとする。
売数量(株数) | 価格(気配値) | 買数量(株数) |
成行 | ||
67,800 | 303 | |
89,000 | 302 | |
105,000 | 301 | |
300 | 57,800 | |
299 | 89,000 | |
298 | 97,600 |
上記の板付きは、売り買いともに板に乗っている注文が多いことが分かる。
そのため、流動性が高く、数量の多い注文が通りやすい。
また板が薄い銘柄と比べて、株価がきちんと大勢の投資家たちの心理で決まるため、少数の注文で株価が乱降下しにくいという特徴があるのだ。
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株価の板の見方を知ることで、一目で銘柄の需給が分かるため、取引をより有利に進められるのである。
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