- 投資信託の分配金を再投資すべきか知りたい
- 分配金に関する基礎知識を身につけたい
- 分配金についての注意点を知りたい
投資信託で支払われる「分配金」は、そのまま受け取るだけでなく再投資するという方法もある。
「受け取らずに再投資すべき」という意見も多く、どのように取り扱うべきか悩んでいる方も多いだろう。
本記事では分配金の基本的な特徴を解説し、再投資について理解を深めた上でどのように取り扱うべきか解説していく。
注意点やおすすめの相談先も紹介していくので、ぜひ本記事の内容を自身の運用戦略に落とし込んでベストな運用を実践しよう。
再投資を検討する前に知っておきたい分配金の基礎知識
投資信託の保有期間中に支払われる分配金だが、そもそもどういった仕組みになっているのだろうか。
ここでは、分配金の基本的な仕組みや配当金・利息との違い、計算方法について解説していく。
分配金の仕組み
分配金とは、投資信託の収益から投資家に還元される形で支払われる金銭のことを指す。
投資信託の決算の際に支払われることが一般的であり、金額も決算で決められることが特徴だ。
運用方針や運用成果によっては支払われないケースもある。
分配金は大きく「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類に分けられる。
この2種類は、投資信託を購入したときの基準価額である「個別元本」をもとに判断される。
普通分配金とは、個別元本が決算日の基準価額と同額または下回った場合に受け取る分配金のことだ。
一方の元本払戻金は、個別元本が決算日の基準価額を上回り、投資元本が払い戻されるケースの分配金である。
後ほど詳しく解説するが、種類によって税金の取り扱いなどが変わってくるため、違いをきちんと理解しておこう。
配当金や利息との違い
株式における配当金や預貯金の利息も分配金と同様に定期的に受け取れる性質の金銭だが、どういった違いがあるのだろうか。
配当金は、企業が事業活動によって得た利益を投資家に還元する仕組みの金銭だ。
配当金を支払ったことが直接的な原因となって株価が下落することはない。
一方で分配金は投資信託の純資産を取り崩して支払われる金銭であるため、支払われた分だけ基準価額が低下する。
支払い元が分配金と配当金では異なっているのだ。
また、利息についてはあらかじめ決められた利率で定期的に支払われる金銭である。
運用成果に応じて金額が変化したり、支払われなかったりする分配金とは違い、利息は原則として約束された内容通りに支払われる。
分配金・配当金・利息はいずれも定期的に支払われるという点は共通しているものの、細かい性質や仕組みは異なることに注意しておこう。
分配金の計算方法
支払われる分配金の額は単位口数あたりの金額で表示されるため、実際に受け取れる金額は計算して導き出すこととなる。
計算式は「単位口数あたりの分配金額×(保有口数÷単位口数)」である。
例えば単位口数が1万口の商品を20万口保有しており、1万口あたりの分配金が100円のケースで計算してみよう。
「100円×(20万口÷1万口)=2,000円」が税引前の分配金となる。
保有口数と単位口数あたりの分配金額が把握できれば、簡単に受け取れる分配金額を算出できる。
保有している投資信託でいくら分配金を受け取れるのか計算してみよう。
なお、多くの投資信託の単位口数が1万口となっているが、なかには1口の投資信託もあるため注意が必要だ。
分配金は再投資するべきなのか
投資信託には「支払われた分配金を受け取るコース」と「受け取らずに再投資するコース」がある。
投資効率の観点から再投資すべきと言われることも多いが、実際分配金はどのように取り扱うべきなのだろうか。
ここでは、分配金の再投資・受け取りの特徴やそれぞれの向いている人のタイプについて解説していく。
分配金を再投資するケース
分配金を受け取らずに再投資する場合、複利効果が得られるというメリットがある。
複利効果とは、運用で得られた利益を投資元本に加えることで、利益が利益を生んでいく仕組みのことだ。
例えば投資元本に対して毎年3%の分配金が得られると仮定した場合、100万円を投じたときの1年目の分配金は「100万円×3%=3万円」となる。
この分配金を受け取った場合は翌年以降も3万円の分配金となるが、元本の100万円に加えて再投資した場合は「103万円×3%=30,900円」が2年目の分配金となる。
1〜2年程度ではわずかな差だが、上記の運用を20年続けると元利合計で約182万円となり、80万円以上のリターンが得られる。
同じ期間に再投資しなかった場合は60万円のリターンであるため、投資効率に大きな差があることが分かるだろう。
効率良く資産を増やしていける点が再投資を行う大きな魅力だ。
一方、分配金を再投資するデメリットは、利益をリスクがある環境に再び晒すことになるという点である。
運用環境によってはせっかく得た利益がゼロになったり、マイナスになったりするリスクがある。
先ほど解説した複利効果のシミュレーションは毎年利益が出ていることを前提としていたが、金融危機などで大きな損失を抱えるリスクも考えなければならない。
必ずしも再投資がプラスに働くとは限らないのだ。
投資効率を高められる一方、損失を抱えるリスクがあることも踏まえて再投資すべきかどうかを判断しよう。
分配金を受け取るケース
投資信託のニーズが高まる中、高配当の銘柄について興味を持っている人もいるのではないだろうか。
分配金を受け取るメリットとして、定期的に現金を受け取れるという点が挙げられる。
口座に現金が入金されることで投資の成果を実感しやすく、お小遣い感覚で楽しめることが魅力だ。
再投資するケースの場合、投資信託を売却するまで利益は確定できず、売買のタイミングによってはほとんど利益を得られないというパターンもある。
分配金が支払われている限りは現金として確保できるという点が受け取るケースの魅力だ。
一方、分配金を受け取る注意点として投資効率が低くなる点が挙げられる。
先ほど解説した「複利効果」を十分に活かせず、運用で得られるトータルリターンが少なくなる可能性がある。
定期的な現金受け取りで投資成果を実感しやすい点は魅力だが、投資効率の観点からは分配金は受け取らない方が良いと言えるだろう。
それぞれの手法が向いている人
分配金の再投資が向いている人の特徴は以下の通りだ。
- トータルリターンを重視する人
- 資産形成を行っている段階の人
分配金は再投資によって投資効率が高まり、受け取る場合に比べてトータルリターンが大きくなる可能性が高い。
トータルリターンを重視する人はもちろん、これから資産を築いていく「資産形成期」の人も効率良く資産を増やしていく再投資がおすすめだ。
一方、以下のようなタイプの人には受け取りが向いている。
- 今受け取れる現金がお得であると感じる人
- 資産を取り崩す段階に入っている人
分配金を受け取る場合、定期的に現金が入ってくる実感を得られる。
将来的に受け取れるかどうか不確定な大きな利益よりも、今手元に入ってくる現金を重視したい人は分配金の受け取りを推奨する。
また、すでにある程度の資産を築いており、取り崩していく段階に入っているという場合も分配金を受け取るという選択肢が視野に入る。
給与や年金に上乗せした安定的な収入を得られることとなり、魅力的な収入源となるだろう。
自身の性格や資産状況に合わせ、分配金の取り扱いを考えていこう。
再投資を検討している方が知っておきたい分配金の注意点
次に、投資信託の分配金に関する注意点を紹介していく。
資産運用に投資信託を活用する方はぜひ参考にしてほしい。
分配金の多さだけで投資信託を選ぶデメリット
分配金を多く支払っている投資信託は一見魅力的に見えるが、必ずしも良い商品とは言い切れない。
トータルのリターンをもとに商品を比較し、優良な投資信託を選ぶことが大切だ。
前述の通り、分配金は投資信託の純資産を取り崩す形で支払われる。
つまり運用の元手となる資金が減少し、その分基準価額が下落してしまう。
例えば、投資信託を100万円分購入して年間で5万円の分配金を受け取れたとしても、基準価額が下落して保有商品の評価額が90万円まで下落していたらトータルで5万円の損失となる。
分配金だけでは商品の収益性を評価できない。
投資信託を選定するときは分配金の多さだけではなく、トータルリターンなどを総合的に考慮して比較していくことが大切だ。
分配金の種類による税金の違い
前述の通り、分配金には「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類が存在する。
この2つは税金の面で取り扱いが異なるため注意が必要だ。
元本払戻金は投資元本が払い戻されているだけであり、実際は利益を得たことにはならない。
そのため、元本払戻金に対しては非課税となる。
一方、普通分配金は個別元本を上回る部分が支払われているため、利益が分配されたことになる。
配当所得として課税対象となり、所得税・住民税・復興特別所得税を合わせて税率20.315%が課される仕組みだ。
また、普通分配金と元本払戻金が両方同時に支払われるケースもある。
支払われた分配金が個別元本を上回る部分と下回る部分を含んでいた場合、普通分配金と元本払戻金が支払われる。
税金の違いなどを踏まえ、受け取れる分配金額を把握しておこう。
分配金の税金対策
普通分配金にかかる税金の負担を軽減させるポイントとして「NISA・iDeCoの活用」が挙げられる。
いずれも税制面での優遇を受けながら投資を行える制度だ。
NISAは、年間一定額までの投資で得た利益が非課税になる制度である。
もちろん投資信託の分配金も非課税で受け取れるため、定期的に現金を受け取りながら運用したい方におすすめの制度だ。
iDeCoは、税制優遇を受けながら老後の資金準備を行える制度である。
「運用益の非課税再投資」「掛金の全額所得控除」「受け取り時の控除適用」といった点が魅力であり、老後に向けた資産形成に魅力的な制度だ。
iDeCoで投資信託を運用する場合、分配金は非課税で再投資される。
現金を受け取りたい方には不向きな制度だが、長期的な投資で複利効果を活かせる。
NISAやiDeCoを活用し、税金の負担を抑えながら賢く資産を運用していこう。
分配金を再投資するべきかで迷ったら誰に相談するべき?
ここまで、投資信託の分配金の仕組みや再投資と受け取りの特徴について解説してきたが、結局どのように運用すべきか悩んでいるという方も多いのではないだろうか。
資産運用の最適解を自分自身で導き出すことが難しい場合は、専門家への相談を推奨する。
ここでは、専門家に相談すべき理由やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するメリットなどを紹介していく。
投資助言を行う専門家に相談する重要性
資産運用を始める際、超えなければならないハードルが多くある。
自分自身のリスク許容度の把握や運用目的・余剰資金に基づいた投資計画の策定、最適な投資先の選定・分析など、時間や手間がかかってしまう。
本業で忙しい人にとってこれらすべてを行うことは容易ではないだろう。
投資助言を行う専門家への相談により、リスク許容度や運用目的などを踏まえた最適な投資先の提案を受けられる。
マーケットの動向や今後の需要などを的確に分析し、効率的に資産を増やせる商品のアドバイスを提供してくれる。
自身の大切な資金をリスクがある投資に回す以上、高い専門性を有するアドバイザーの助言は不可欠と言えるだろう。
投資信託などで資産運用を始めようと検討中の方は、専門家に相談してみてはいかがだろうか。
IFAの役割とメリット
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、金融機関から独立した立場で顧客に投資助言を行う資産運用アドバイザーだ。
顧客のライフプランに合わせた投資計画の策定や具体的な投資商品の提案・仲介などを役割として担っている。
IFAは金融機関と業務提携を行うことで投資商品の提案・仲介を行っているが、販売方針や営業ノルマなどを金融機関側から指示されない。
金融機関から独立した経営立場を保ち、中立な目線で顧客に投資助言を行えることが強みだ。
また、運用が始まってからもマーケットの動向や顧客のライフステージの変化に合わせ、保有商品の見直し相談に対応している。
異動や転勤などの制度も原則としてないため、同じ担当者が中長期的にサポートを継続してくれる点もIFAに相談するメリットだ。
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信頼できる相談先をお探しの方は、ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用して自分に合ったIFAを探してみよう。
効率良く資産を増やすなら分配金は再投資しよう
分配金は投資信託の純資産額を取り崩す形で支払われる金銭であり、定期的に現金を受け取れる点が魅力だ。
しかし受け取ることで投資効率が低下するため、効率良く資産を増やしていきたい場合は再投資をおすすめする。
また、分配金に関してはさまざまな注意点が存在しており、自分にとってベストな投資プランを導き出すことは容易ではない。
資産運用に疑問や不安を抱えているのであれば、専門家からアドバイスを受けることを推奨する。
特に、IFAは中立な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれる専門家だ。
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