- LINE証券の口座が事業再編後にどうなるのか知りたい
- 移管の方法やおすすめの移管先が知りたい
- LINE証券から出金するための手順が知りたい
2023年6月に、LINE証券は事業再編による証券事業の縮小を発表した。
2024年度中には、LINE証券の口座での売却や出金もできなくなるため、「LINE証券の口座をどうしたら良いか」と悩んでいる人も少なくないだろう。
本記事では、LINE証券の事業再編の内容や、今後のスケジュール、どのように対応すべきかなどを詳しく解説する。
LINE証券の口座はどうなるの?事業再編の概要と影響
まずは、LINE証券の事業再編の概要と、今後のスケジュールなどについて確認していこう。
事業再編の概要
2023年6月に、LINE証券が事業再編によって証券事業から撤退することを明らかにした。
これはLINE証券株式会社の出資元である「LINE Financial」と「野村ホールディングス」との合意に基づく決定だ。
LINE証券はもともと、連絡ツールである「LINE」が持つユーザーベースと野村グループの金融ビジネスにおけるノウハウを活かし、幅広い投資家でも証券取引を手軽に行えるようにサービスを提供してきた証券会社だ。
一般的な株式や投資信託の取引のほかに、FXサービス「LINE FX」や差金決済取引サービス「LINE CFD」、株式を1株単位で取引できる「いちかぶ」などといった特徴的なサービスを展開してきた。
今回の事業再編の背景には、LINE証券を取り巻く経営環境の変化や事業別の収益性の見通しの変化がある。
より効率的な経営を目指す上では、事業再編によって事業の選択と集中を行うことが、LINE証券の持続的な成長につながるという判断がなされたためだ。
証券事業は会社分割によって野村證券に移管されるため、基本的にLINE証券で継続して取引することはできなくなる。
LINE FXのみ、これまで通りLINE証券として取引を行うことが可能だ。
各種サービスの手続きスケジュールについては、下記の通りとなる。
【取引】
サービス | 種別 | 商品 | 買付/新規建 終了 | 売却(解約)/決済終了 |
---|---|---|---|---|
証券サービス | 株式等 | いちかぶ | 2023年7月21日(金)約定分 | 2024年7月19日14時50分 |
現物取引 | 2024年7月25日15時 (2024年7月25日15時時点で未約定の注文はすべて失効) | |||
信用取引 | 2024年1月19日 | |||
IPO・STO | 2023年6月12日(月) | ― | ||
投資信託 | 投資信託 | 2023年12月1日(金) | 2024年7月19日15時 | |
つみたて投資 | 2023年12月買付分 | |||
つみたてNISA | 2023年12月買付分 | |||
LINE CFDサービス | 2023年8月以降順次※ | 2023年12月15日まで順次 (銘柄によって日程が異なる) |
新規申し込み
サービス・口座 | 申込受付終了 |
---|---|
証券口座開設 | 2023年6月27日(火)15時 |
信用取引口座開設 | |
つみたてNISA口座開設 | |
LINE CFD口座開設 | |
LINEのiDeco |
上記の表からもわかる通り、2024年5月現在では、すでにLINE FXを除くサービスの新規申し込みは全て終了している。
また、新たな商品の買い付けも2023年中に終了している。
LINE証券で保有する資産の取り扱い
LINE証券で現在資産を保有している場合、どのような方法を取れば良いのだろうか。
基本的には、以下の3つのいずれかの選択肢から選ぶこととなる。
- 保有資産を売却して出金する
- 野村證券への移管を待つ
- 他の証券会社に資産を移管する
それぞれ詳しく確認していこう。
保有資産を売却して出金する
最も手続きが簡単な方法としては、保有資産を売却して出金してしまうことだ。
下記の金融商品を保有している場合は、期日までに売却注文が成立すれば運用していた資金を出金できる。
- いちかぶ
- 現物取引
- 信用取引
- 投資信託
- つみたて投資
- つみたてNISA
いちかぶ取引の売却時スプレッドおよび現物取引の売却時手数料は、223年7月24日より無料化されている。
また、期日までに売却注文が成立しなかった場合、注文は取り消されるためそのまま保有資産は売却されずに残ることとなる。
この方法では、一度資産を売却して損益を確定する必要があるため、長期投資を実践している人は注意が必要だ。
野村證券への移管を待つ
LINE証券に預けてある資産をそのままにしている場合は、2024年8月に野村證券に口座ごと移管される。
対象となるのは、2024年1月31日時点で株式(ETF・REIT/ETN含む)の残高があるか、2024年4月30日時点で株式もしくは投資信託、現金の残高がある場合だ。
今まで投資していた商品をそのまま保有し続けられるという点はメリットだが、取引手数料やサービス内容は野村證券のものに変わる点に注意しよう。
他の証券会社に資産を移管する
最後の選択肢は、他の証券会社に資産を移管することだ。
野村證券ではなく、ネット証券などで取引をしたい方におすすめの方法だ。
なお、今回の事業再編に伴って他社移管を行う場合は、通常必要な移管(出庫)手数料が無料となる。
株式の移管手続きは、移管先の証券会社に特定口座を開設していることが条件となるため、事前に口座開設の手続きを行っておこう。
移管手続きの終了期限は下記の通りだ。
- 株式
- 2024年5月31日(金)15時までのオンライン申請
- 投資信託
- 2024年5月31日(月)24時までの書類請求
2024年5月10日時点で、移管の完了予定日は申請から1週間〜2週間程度となっているため、余裕を持って手続きを行うようにしよう。
LINE証券から出金するには
LINE証券からの出金手続きは、2024年7月30日12時までに行う必要がある。
利用できる出金方法は、「LINE Pay」または「登録銀行口座への出金」のいずれかだ。
株式や投資信託を保有しておらず、現金残高のみ保有の方は、2024年4月上旬以降にLINE証券にて自動的に出金処理が行われる。
LINE証券から他のネット証券に移管する方法
LINE証券で運用資産を保有している場合、何も手続きをしないと自動的に野村證券に口座が移管される。
しかし、野村證券ではなくネット証券など他の証券会社で取引したいという人も多いだろう。
LINE証券で運用していた資産を他のネット証券に移管したい場合、具体的にどのように手続きを行えば良いか確認していこう。
楽天証券への移管方法
LINE証券から楽天証券へ移管する場合、以下の手順で手続きを行う。
- 楽天証券で口座を開設する
- LINE証券で移管手続きのオンライン申請または書類申請を行う
- 移管が完了すると楽天証券のWEBサイト「マイメニュー」>「保有商品一覧」に預りが反映される
株式の場合はオンライン申請が可能だが、投資信託の場合は書類のやりとりが必要となる。
すでに楽天証券に口座を持っている方の場合は、特に楽天証券側での手続きは発生しない。
SBI証券への移管方法
LINE証券からSBI証券へ移管する場合、以下の手順で手続きを行う。
- SBI証券で口座を開設する
- LINE証券で移管手続きのオンライン申請または書類申請を行う
- 移管が完了するとSBI証券のWEBサイト「口座管理」>「保有証券」に預りが反映される
基本的な流れは楽天証券と同じで、SBI証券に口座を開設していればLINE証券での申請のみで移管手続きが完了する。
それぞれどのような投資家におすすめか
SBI証券と楽天証券は、どちらも運用コストの安さや魅力的なサービス内容で人気のネット証券だ。
それぞれどのような投資家におすすめかを以下にまとめた。
SBI証券がおすすめな人 | 楽天証券がおすすめな人 |
---|---|
投資信託のポイント還元率を重視する人 取扱商品の豊富さを重視する人IPO投資に興味がある人 | 楽天経済圏を活用している人 楽天ポイントを利用したい人 無料で日経テレコンを利用したい人 |
SBI証券は、取扱商品が豊富という特徴がある。
特に、外国株式の取扱数は5,190銘柄以上となっていて、さまざまな企業の中から選んで投資したいという人におすすめだ。
IPOの取扱数も多く、IPOチャレンジポイントという制度があるため、IPO投資に興味のある方にも適した証券会社だと言える。
一方、楽天証券は楽天経済圏という強みを活かして、お得に投資を始められるというメリットがある。
また、楽天証券に口座を持っている人は無料で日経テレコンを利用できるため、日経新聞で情報収集をしたいという方にもおすすめだ。
LINE証券からNISA口座を移管するには
LINE証券でNISA口座を保有していた人が、他社に移管する方法を確認していこう。
新NISAのメリットやおすすめの移管先についても紹介する。
LINE証券からNISA口座を移管する方法
LINE証券でつみたてNISAを行っていた人が、今後は他社で新NISAを行いたい場合、以下の手順で手続きを行おう。
- LINE証券の「つみたてNISA口座閉鎖申請画面」より閉鎖申請を行う
- 閉鎖完了後、登録住所に「非課税口座廃止通知書」または「勘定廃止通知書」が届く
- 乗り換えたい金融機関に「非課税口座廃止通知書」または「勘定廃止通知書」を提出する
NISA口座の移管は税務署の確認が必要となるため、早めに他社への乗り換え手続きを行おう。
つみたてNISA口座で保有している投資信託がある場合は、つみたてNISA口座のまま移管することはできないため、特定口座への払い出し後に他社への移管が可能となる。
新NISAの概要・メリット
NISA口座の移管は面倒に感じるかもしれないが、効率よく資産運用を行う上で新NISAは外せない。
新NISAは、従来のNISA制度が2024年に大きく改正されたものだ。
そもそもNISAとは、投資から得られる利益を非課税で受け取れる制度で、個人投資家の投資を促進するために始まった制度だ。
2024年からの新NISAでは、非課税期間が無期限化し、これまでよりも長期的な運用が可能となった。
また、非課税枠は売却後再利用できるようになったため、以前よりも流動的な資産の使い方をしやすくなった。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用も可能となったため、投資目的に合わせて運用枠を使い分けて、より柔軟な運用も実現しやすくなったと言える。
このように、新NISAにはさまざまなメリットがあるため、ぜひまだ利用していない方は利用してみよう。
おすすめのNISA口座移管先
NISA口座を移管する際は、使い勝手の良いネット証券への移管がおすすめだ。
本記事で紹介したようなSBI証券や楽天証券は、運用コストを抑えて効率よく資産運用を行いやすい。
また、取扱商品が豊富に取り揃えられているため、幅広い運用方法を試したいという方にも適している。
スマホアプリやテクニカルチャートなど取引ツールの使い勝手も良いため、初心者にも簡単に投資を始められるだろう。
資産運用の相談は誰にするべきか
資産運用を成功させたい方は、専門家に相談しながら運用を進めることをお勧めする。
資産運用における専門家の重要性
資産運用においては、自分のリスク許容度や投資目的、ライフスタイルなどに合わせた運用戦略を立てるのが重要だ。
運用に対する考え方は人によって異なり、同じ人であってもライフステージによって変わっていくものなので、常にそのときのニーズに合わせて調整することが求められる。
金融や経済に関する最新の情報を得た上で、自分に適した運用方法を決めるためには、専門家の手助けが不可欠となるのだ。
自分に合った専門家を見つけることで、安心して資産運用を任せられて、将来に向けて計画的にお金を増やしやすくなるだろう。
IFAとは何か
資産運用=証券会社に相談する、と考えている人は、ぜひIFAという選択肢も検討してみてほしい。
IFAは、独立系ファイナンシャルアドバイザーとも呼ばれる資産運用の専門家だ。
金融機関から独立した立場で、資産運用に関する提案や商品の販売・仲介などを行う。
IFAの多くは、証券会社などの金融機関出身者であるため、豊富な知識や経験に基づく具体的なアドバイスが期待できる。
IFAの役割とメリット
IFAは、銀行や証券会社など特定の金融機関には所属していないため、中立的な立場で顧客に資産運用のアドバイスを行えるというメリットがある。
会社の営業方針や販売ノルマに左右されず、顧客に本当に必要だと思う金融商品や運用計画を提案してくれるため、安心して資産運用の相談を行えるだろう。
会社都合の転勤や異動も原則として発生しないため、長期的に信頼関係を築きながら運用を続けられるのも大きなメリットだ。
なんでも相談できる資産運用のプロを見つけたいという方は、ぜひIFAを利用してみてほしい。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法
自分にぴったりのIFAを見つけるためには、IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用がおすすめだ。
年齢や金融資産、投資目的などを入力するだけで、自動で自分に適したアドバイザーが表示される。
アドバイザーの実績や経歴などはプロフィールページから詳細に確認できるため、自分でもしっかりとどんな人かをチェックした上で面談に臨めるというメリットがある。
相談料は無料で、全国どこでも相談できるため、仕事や家事などで忙しい人にも利用しやすいだろう。
IFAに興味のある方は、ぜひ気軽にIFA検索サービス「資産運用ナビ」を利用してみてほしい。
LINE証券から他の証券会社への移管は早めに手続きしておこう
LINE証券は、事業再編によって証券サービスを縮小していく予定だ。
LINE証券に資産を預けたままにしておくと、野村證券に資産がそのまま移管されることとなる。
今回の記事では、他の証券会社に移管したい人に向けて、手続きのスケジュールや移管方法、おすすめのネット証券などを紹介した。
資産運用に取り組む際は、専門家に相談した上で自分に適した運用戦略を見つけることを推奨する。
自分に適した相談先を探している方には、IFAの活用をおすすめする。
IFAは、独立系ファイナンシャルアドバイザーとも呼ばれ、運用戦略の立案から金融商品の提案までをサポートをする資産運用のプロフェッショナルだ。
自分に適した運用方法を提案してくれ、長期にわたって資産運用のフォローを行なってくれる。
IFAを資産運用に利用したい場合は、ぜひIFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用してみよう。