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【7140】ペットゴー株式会社代表取締役社長 黒澤弘氏「デジタルでペットライフを幸せに」

※本コラムは2023年11月29日に実施したIRインタビューをもとにしております。

ペットゴー株式会社は、Eコマースを中心にペットヘルスケア事業を展開している会社です。

沿革や事業内容、及び成長戦略について代表取締役社長の黒澤弘氏に伺いました。

目次

ペットゴー株式会社を一言で言うと

国内初の「ペットヘルスケア×デジタル」の上場企業です。

沿革とターニングポイント

ペットゴー株式会社代表取締役社長 黒澤弘氏

当社は2004年に創業しました。自社オンラインサイト「ペットゴー(petgo.jp)」を開設し、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのオンラインモールに次々に出店していきました。

ターニングポイントとしては、2008年に動物病院を買収し、ペットヘルスケア領域にピボットしたことが挙げられます。

それまでは一般的なペット用品を販売していましたが、なかなか差別化を図ることが難しい状況にありました。

また、ペットのQOL向上や健康サポートをしていくという我々のビジョンを達成するためには、ペットヘルスケア商品をメインにしていく必要があると考えました。

ただ、当時これらのペットヘルスケア商品は動物病院でしか提供されていなかったため、M&Aによってこれらを取り扱えるようにし、さらにインターネット上で販売をしていく方向に舵を切りました。

その後は長い時間をかけながらも着実に事業規模を拡大していき、2020年4月には独自ブランド「VETSOne(ベッツワン)」の展開も開始しました。

さらにその認知度を高める目的もあり、2022年4月に東証グロース市場に上場を果たしました。

事業内容

概要

当社は、「ペットヘルスケア×デジタル」の領域で事業を展開する会社です。

創業来、自社サイト「ペットゴー(petgo.jp)」でのEコマース事業に取り組んできたため、当社を通販会社とご認識いただいている投資家の方も多いかもしれません。

ですが、我々の最大の特徴はペットデータを膨大に保有していることにあります。

この蓄積されたデータをもとに、最適な商品・サービスの開発や提供が実現できる点は、我々の強みでもあります。

ペットヘルスケア商品とは、主に機能性フード、動物用医薬品、サプリメント、ケア用品等のペットの病気予防及び健康改善を目的としたフード・用品のことで、主に動物病院などで販売されています。

当社はビジョンである「ペットのQOL向上」を実現するために、こうしたペットヘルスケア領域の商材を取り扱っています。

これらの商材は、自社サイトに加え、Yahoo!ショッピングや楽天市場など現在計11店舗で展開しています。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

ペットデータの価値

先ほどもご説明した通り、当社は膨大なペットデータ、例えばペットの種類、犬種や猫種、ライフステージ(年齢)、性別、疾患等のデータを保有しており、これが優位性に繋がっています。

例えば、ある飼い主が男の子で去勢済みのチワワを飼い始めたとしましょう。

この子に合う商品を探したいと思いペットショップに行ったとしても、「男の子で去勢済みのチワワ向けの商品」が集約して並んでいるわけではありません。

また、必ずしもペットショップの店員さんが全ての知識に精通しているということでもないでしょう。

この点、ペットデータを蓄積していけば、お客様それぞれにあった商品をオススメすることができるではないかと考え、これを創業時のコンセプトとしました。

そしてデータを収集した結果、飼い主さんが何について悩んでいるのか、また犬や猫がどのような病気に罹っているのか、などさまざまな情報を得ることができました。

一口にペットを対象にした事業と言っても、まず犬なのか猫なのか、さらに幼犬なのか老犬などによって、提供をする商品は大きく変わります。

ペットデータが最大の強みではありますが、そもそもペットデータがなければこの領域で事業を展開することはできないと考えています。

また、このデータをもとにマーケティングや広告、製品企画なども行っており、まさにペットデータは当社事業の核となるアセットだと言えます。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

自社ブランド「VETSOne(ベッツワン)」

2020年4月に立ち上げた自社ブランド「VETSOne(ベッツワン)」ですが、実は創業時にはこのような展開は全く想定していませんでした。

当初Eコマースプラットフォームでペットデータを蓄積し、それに基づいて最適な商品を提案することを基本コンセプトとしていました。

日本のペットヘルスケア市場は特殊で、食事療法食をはじめ多くのペットヘルスケア商品の供給を、アメリカやヨーロッパからのナショナルブランド商品の輸入に依存しています。

しかし、日本は地理的にアメリカやヨーロッパから遠く離れているため、海外メーカーに依存すると供給量が限られ、欠品のリスクを抱えていました。

また、2013年に定期購入サービスを開始したことで、自社ブランドの必要性をさらに強く感じるようになりました。

そこで2015年頃からブランド立ち上げの準備を始め、ペットのQOL向上を目指して安定した供給を実現する自社製品の開発に取り組んだのです。

また、「VETSOne(ベッツワン)」は自社のペットデータを活用し、独自の製品を開発することで市場での差別化を図っています。

今後は我々の事業領域においてもブランドの価値が高まっていくと考えており、独自のファンベースを構築していきたいと考えています。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

マーケット環境

日本のペット市場は1970年代から伸び続けています。犬猫の数は、現在では15歳未満の子供の数を上回っています。

数自体は人口に比例をするので、人口が天井を打ってくると、犬猫の数も減少していくと考えています。

しかし、事業環境としてはより詳細な部分に注目していただきたいと考えています。

犬猫の寿命は近年伸長傾向にあり、今後はさらに伸びていく見通しです。

犬猫も年齢が上がると人間同様に病気になるリスクが高まるわけですが、ここにペットヘルスケア領域で事業を展開する当社のポテンシャルが秘められています。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

また、ペット関連支出も右肩上がりで伸びています。1頭あたりにかけるペットフードやペット用品の総額はどんどん増えています。

飼い主さんにとってペットは自分の家族のような存在で、できるだけ良いペットフードやサプリメント等を与えたり、医薬品を買い揃えたりしておきたいと考える人は多く、今後もペットにかけるコストを減らしていくとは考えられません。

爆発的に伸びていくことはないのですが、着実に安定的に伸び続ける市場だと認識しています。

ペット市場は不況に強い市場とも言われており、過去の大きな不況時にも飼い主さんが1頭にかけるお金は減らずに市場は伸びてきました。

このことからも、当社が事業を展開するマーケットには中長期的な拡大ポテンシャルがあるのです。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

各戦略のポイント

当社の成長戦略は、事業の特徴に紐づく形でマルチコマース戦略・サブスクコマース戦略・D2Cブランド戦略の3つを掲げています。

マルチコマース戦略

オンラインモールの店舗数をさらに拡大し、お客様へのリーチをより広げていきたいと考えています。

Eコマースに関しては、19年間取り組み、多くのお客様から好評をいただいた結果、盤石な基盤が出来上がったと考えています。

一方、日本のペット市場におけるEC化率は2022年時点で約11%と言われ、まだまだポテンシャルは大きいと考えています。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

サブスクコマース戦略

当社のオンラインサイトには、サブスクコマースの仕組みが備わっています。

定期購入していただくお客様が増えればリカーリング収益の拡大につながるため、今後はYahoo!ショッピングや楽天市場といった他社オンラインモールにも展開していきたいと考えています。

ペットヘルスケア商品のサブスクリプションは、システムの他にも十分な量の在庫や365日稼働し続けることができる物流が揃って初めて実現できます。

そのため、これらの条件が整ったタイミングで、他社オンラインモールにも展開していきたいと考えています。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

D2Cブランド戦略

まずはSKU数を拡充し、多くの疾患に対応できるようなブランドに成長させていきたいと考えています。

現在の全社売上高実績は半期が終わって50億円程度、通期業績予想は100億円強としています。

全社売上高に占めるD2Cブランドの比率は第2四半期累計で14%程度となっており、ナショナルブランド等が占める残りの86%がそのまま拡大余地であると考えています。

ただ、そのどこまでをD2Cブランドにスイッチしていくかについては慎重に検討していきます。

ペットヘルスケア全体のマーケット規模を約2300億円と推定していますが、先ほどもご説明したように、医薬品や食事療法食に関しては未だ動物病院で購入される方が多いため、今後EC化を進めることで当事業の成長余地はさらに広がっていくと認識しています。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

注目していただきたいポイント

当社はペットのQOL向上を目指していて、まだまだポテンシャルを秘めています。

それは、日本のペット市場のEC化率がまだまだ低いからです。

爆発的に伸びることはありませんが、ストックビジネス的に、着実に増えていくことが当社のスタイルです。

そのベースにあるのが、ペットデータやDXプラットフォームです。当社が成長できるアセットは、しっかりと基盤が出来ています。

その中で、当社としてもドライブをかけていき、日本のペット市場のEC化率が上がれば、当社の収益も伸びていくと考えています。

短期目線ではなく、長期の目線で皆様にも見ていただきたいと思っています。

ペットゴー株式会社 個人投資家向け説明会 2023年11月より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社は、犬や猫を幸せにすることで、世の中を幸せにしていきたいと思っています。

実現に向けては、犬猫の保護団体への物資支援や保護犬猫への支援といった「アニマルウェルフェア」などの活動にも取り組んでおり、今後も世の中に貢献できる経営をしていきます。

ペットを幸せにしていくことが結果として世の中を幸せにしていくことにつながると信じています。

ぜひ投資家の皆様からご支援をいただけますと幸いです。

ペットゴー株式会社

本社所在地:〒164‒0012 東京都中野区本町1‒32‒2 ハーモニータワー12F

設立:2004年11月17日

資本金:451,357,250円(2023年10月19日時点)

上場市場:東証グロース市場(2022年4月28日上場)

証券コード:7140

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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