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【5290】株式会社ベルテクスコーポレーション代表取締役社長 土屋明秀氏「安心のカタチを造る」〜自然災害から安心して暮らせる世界を追求する〜

※本コラムは2023年12月5日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社ベルテクスコーポレーションは高い技術力を持ち、コンクリート二次製品の製造販売を中心に私たちの安心を提供する会社です。

代表取締役社長の土屋明秀氏に、事業戦略の変遷や今後の成長方針についてお話を伺いました。

目次

株式会社ベルテクスコーポレーションを一言で言うと

「まだここにない安心のカタチを造る」会社です。 

沿革

株式会社ベルテクスコーポレーション代表取締役社長 土屋明秀氏

大手4社の合併

当社はコンクリート業界の老舗4社からなる企業です。

最も歴史のある会社は1924年創業の羽田コンクリート工業であり、今年で100周年を迎えます。

M&Aの経緯を簡単にご説明します。

まず、2011年に株式会社ハネックスと日本ゼニスパイプ株式会社の持株会社となるゼニス羽田株式会社を設立しました。

翌年の2012年には羽田コンクリート工業株式会社がグループに合流、2014年には3社が合併してゼニス羽田ホールディングス株式会社を発足しました。

そして、2018年にはゼニス羽田ホールディングス株式会社と関西、北陸を主力拠点とする大手の株式会社ホクコンの共同株式移転により、完全親会社となる株式会社ベルテクスコーポレーションを設立し、現在の体制になっています。

株式会社ベルテクスコーポレーション HP/VELTEXについて より引用

稀有な水平統合モデル

当社はコンクリート業界では珍しい水平統合を行ってきました。

高度経済成長期以降、1992年には84兆円にまで膨れ上がった公共事業への建築投資ですが、2010年には42兆円と半数にまで減少してしまいました。

ゼネコンを中心とした建設会社からの受注は減少していき、コンクリート業界全体の売上も減少していきました。

当時、当社を含め国内のコンクリート業界は800社と言われていましたがその多くが赤字でした。

業界柄、吸収合併をする垂直統合モデルは多かったのですが、その中で当社は同規模の企業と業務提携を行いながら合併していきました。

当社は合併後、低採算製品の取り扱いの見直し、オリジナル製品である高付加価値製品へシフトする取り組みにより高い利益率を確保しています。

事業の概要と特徴

概要

当社の事業は大きくコンクリート事業、パイル事業、防災事業(落石・土砂崩壊防護)に分かれ、その他RFID事業やセラミックス事業等の新事業も展開しています。

売上の約70%はコンクリート事業、その他で約30%という内訳で、大規模な公共事業の工事案件等、行政やゼネコンからの受託がほとんどです。

その中で、防災・減災や国土強靭化に特化した製品に注力して、開発・設計から製造、販売、施工に至るまでワンストップで提供しています。

事業における優位性

課題解決型営業

まず、ビジネスモデルをご説明します。

例えば、行政が浸水対策工事を計画した場合、設計コンサルタントに依頼することになります。

しかし、コンサルタントといっても製品の機能や工法の特徴などに関しての情報は持ちえません。

そこで、当社の営業担当が役所とコンサルタントの間で橋渡し役となり、実際のニーズや最適な解決策を提案します。

このアプローチにより、エンドクライアントに求められているニーズを的確に把握し、提供できることが私たちの大きな強みとなっています。

株式会社ベルテクスコーポレーション HP/VELTEXについて より引用

災害大国日本のマーケット優位性

政府は2023年11月10日に「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の4年目の予算として、国費1兆5188億円を計上しました。

日本は台風やゲリラ豪雨に伴う洪水や土砂崩れ、地震による建物の倒壊などが多数発生する災害大国です。

このような中で、当社は以前より防災に関わる分野にターゲットを絞り事業を展開してきました。

そのため、これまで蓄積してきたノウハウと製品力には大きな優位性があります。

この当社の強みとマーケットの可能性については以下でお話しさせていただきます。

内閣官房/防災、減災、国土強靭化のための5か年加速化対策(概要) より引用

高い技術力と独自の製品力

営業から集めた情報をもとに、当社の高い技術力で製品を作り上げています。

トピックでいうと、2023年4月には技術研究所を設立し、社外の研究機関や大学を中心に産学官民との連携を強め、既存事業の強化や新技術の開発に注力しています。

この高い技術力で新製品を開発して知的財産を蓄積し、業界におけるオンリーワンの製品を数多く生み出してきました。

このように、当社の強みは、社会課題を解決する新製品の開発と、それを実現する技術力を有していることにあります。

そして、これらの活動で生み出された製品が高付加価値を提供する収益ドライバーになっています。

株式会社ベルテクスコーポレーション 2023年3月期 決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

防災、減災、国土強靭化のマーケットの拡大

先程申し上げました通り、当社がターゲットとしている防災関連のマーケットは、今後も成長が見込まれると考えています。

政府の5か年計画が終わったとしても災害の発生頻度は変わらず、マーケットからの需要は底堅いはずです。

そのため、当社は中長期的な成長戦略として以下の3つを掲げています。

・主力事業の深掘りによるオーガニック成長の推進

・成長事業の育成と新たな収益機会の獲得

・持続的成長を可能とするための経営基盤整備

これらについて説明していきます。

株式会社ベルテクスコーポレーション 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

主力事業の深掘りによるオーガニック成長の推進

コンクリート事業においては、特に浸水対策事業に注力していきます。

具体例として当社が期待している製品、「スパイラルホール」を紹介いたします。

これは、雨水をマンホールの内側に沿って螺旋状に落水させることで、騒音と振動の発生を回避し、スムーズに地下大深度の流出管(下水に流すための管)に流し込むことができる「高落差対応組立マンホール」です。

また、組立式であることから施工性に優れていて、工期短縮や省人化も可能にします。

昨年のトピックスとして、工期短縮を目的に内閣府前の永田町の雨水対策の工事において、深さ48.5mのスパイラルホールが採用されました。

この製品は、地下構造物が入り組んでいる都市部を中心に、ニーズが拡大していくのではないかと考えています。

株式会社ベルテクスコーポレーション 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

成長事業の育成と新たな収益機会の獲得

主力事業の成長に加え、鉄道事業やRFID事業など、新たな収益機会の獲得にも注力していきます。

特に鉄道業界では当社でしかできないような製品や技術力が使える分野が多いことが分かっています。

そこで、すでに鉄道事業部を立ち上げて本格的に参入しています。

実はホームドアの土台になっているコンクリートの多くは当社の製品です。

ホームドアの性質上、鉄筋コンクリートは採用できず、無筋で、しかも丈夫なコンクリートで施工する必要があります。

東京駅や上野駅を含め、多くの駅で当社のコンクリート製品が採用されています。

株式会社ベルテクスコーポレーション作成資料 より引用

また、RFID事業として成田国際空港(株)に製品とサービスを導入していただきました。

具体的にはペーパレス点検システムの「点検マスター」と屋外環境でも長期間使えるステンレス製のICタグの「インメタルタグ」、ペーパレスシステムの「帳票達人」という3つのシステムを合わせたサービスです。

「インメタルタグ」は当社独自の技術であり、汚れ等によって識別できない工場のような場所でも容易に点検が行えます。

株式会社ベルテクスコーポレーション 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

ご紹介した分野以外にも様々な事業がありますが、今後も新たな柱となるような事業領域への投資を進めていきます。

持続的成長を可能とするための経営基盤整備

最後に人的資本の強化についてお話しします。

当社では人的資源強化の一環として「ベルテクスアカデミー」という研修プログラムを開始しました。

私が当社に参画して18年になりますが、これまで培ってきたマーケティング等のノウハウを積極的に社員に共有していきたいと考えました。

そこで、従業員一人一人が「どうすれば会社の利益に繋がるのか」といった経営者目線の知識や考え方を養うことが非常に大切だと思い、ベルテクスアカデミーを立ち上げました。

昨年は、経営戦略やマーケティングの基礎について私自らが教壇に立って講義をしました。

今後は次世代の経営者を育てていくことが必要になってくると考えていますので、現在は外部の専門家も招き新しいスタイルの研修も行っています。

また、これらの知識については、営業だけではなく技術職や工場の従業員にも知識を共有することで、チームベルテクスとして同じベクトルを向けるように育てていくつもりです。

株式会社ベルテクスコーポレーション 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

建設・土木業界は、投資家の皆様にとっては公共事業のイメージが強く、先細っていくのではないかとお考えの方もいらっしゃると思います。

しかし、当社が主戦場としているのは防災・減災、国土強靭化の分野であり、単なる公共事業ではありません。

また、先ほどご説明したスパイラルホールのように、当社はプレキャストコンクリートという、工場で製造して現場で組み立てる製品を製造しています。

このプレキャストコンクリートは、人口減少で現場の人材が足りず工期が遅れてしまうという課題に非常にマッチしているのです。

さらに、当社は他社にはないオンリーワンのコンクリート製品を幾つも持っており、これらの製品が今後の国内公共事業で大きな役割を果たすと見込んでいます。

これからの国内公共事業において、当社製品が課題を解決できる場面が増えてくると見込んでいます。

株式会社ベルテクスコーポレーション作成資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

先ほども申しましたが、当社の置かれているマーケットの見通しは良好で、今後も非常に堅調に推移すると考えております。

10年後・20年後も見据えて、今後の市場動向を先読みし、新製品や新事業にも積極的に投資をしていきますのでご支援のほどよろしくお願いいたします。

株式会社ベルテクスコーポレーション

本社所在地:〒102-0083 東京都千代田区麹町五丁目7番地2

設立:2018年10月1日

資本金:3,000,000,000円(2023年12月アクセス時点)

上場市場:東証スタンダード市場(2018年10月1日上場)

証券コード:5290

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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