- 退職時の税金の取り扱いについて学びたい
- 退職金受け取りの際の注意点が知りたい
- 退職金の効果的な活用法を理解したい
長年の勤務に対する報酬として受け取る退職金は、その後の生活において重要な役割を果たす。
しかし、その計算方法や税金の取り扱いは複雑で、疑問を抱えている方も多いはずだ。
また、受け取る退職金の金額によってその最適な活用法も異なってくる。
そこで本記事では、退職金の平均額から、計算方法や税金の取り扱い、さらに受け取り時の注意点など退職金に関わる基本知識を徹底解説する。
金額別の最適な活用法と合わせて、安心のセカンドライフに向けた計画を立てるために役立ててほしい。
退職金の平均額
長年勤めた企業を退職した後は、支給された退職金を活用しながら豊かなセカンドライフを歩んでいきたいと考えている方が多いだろう。
しかし、支給される金額に応じて最適な活用法が変わってくる。
退職後の人生設計を考える際は、自分がどの程度の退職金を受け取れるのかを把握しておくことが大切だ。
ここでは、平均の退職金額の推移や勤続年数と退職金の関係性、業種別の平均退職金額について解説していく。
まずは自身の退職金がどれくらいになりそうか目安を把握し、最適な活用法を導き出そう。
平均退職金額の推移とその背景
厚生労働省の「就労条件総合調査」では5年ごとに退職金に関する調査が行われており、退職金平均額が公表されている。
過去の調査結果をもとにして退職金額の推移をチェックすることが可能だ。
大学・大学院卒の定年退職の平均額は以下のように推移している。
調査年 | 平均退職給付額 |
---|---|
平成15年 | 2,499万円 |
平成20年 | 2,323万円 |
平成25年 | 1,941万円 |
平成30年 | 1,788万円 |
令和5年 | 1,896万円 |
上記のデータからも分かる通り、平均の退職金額は減少傾向が見られる。
直近の令和5年調査では平成30年に比べて増えているものの、全体的には減少が続いている。
さらにデータを遡って「平成9年賃金労働時間制度等総合調査」の結果を見ると、平成9年時点の大学卒の退職金額は2,871万円となっていた。
つまり令和5年まで約30年間で平均の退職金額は1,000万円ほど減少したということになる。
退職金額が減少している背景には、退職金を計算する際に「成果」を基準とする企業が増えていることが考えられる。
従来までのように勤続年数の長さだけで金額が増えていく仕組みではなく、どれだけ成果を上げたかという点を金額計算の際に考慮する仕組みに変わりつつあるのだ。
成果は勤続年数と違い、企業側の基準である程度自由に評価できる。
企業側の裁量で退職金の支給額を減らせるような仕組みを採用している企業が増えていると考えられる。
こうした背景によって退職金の支給額が減少傾向にあることを理解した上で、セカンドライフに向けて退職金の活用方法を検討していこう。
勤続年数と退職金の関係性
退職金の計算基準が成果を重視するようになっていると解説したが、勤続年数も金額に大きく影響する要素のひとつだ。
長く勤めているほど支給される金額も多くなる仕組みとなっている企業が多い。
厚生労働省(中央労働委員会)の「令和3年賃金事情等総合調査」では、会社都合で退職した場合の勤続年数別の「モデル退職金額」を公表している。
勤続年数別のモデル退職金額(単位:千円)は以下の表の通りだ。
事務・技術(大学卒) | 事務・技術(高校卒) | 生産(高校卒) | |
---|---|---|---|
勤続3年 | 690 | 522 | 549 |
勤続5年 | 1,180 | 894 | 950 |
勤続10年 | 3,102 | 2,142 | 2,401 |
勤続15年 | 5,779 | 4,035 | 4,224 |
勤続20年 | 9,531 | 6,647 | 6,909 |
勤続25年 | 13,938 | 10,050 | 10,187 |
勤続30年 | 19,154 | 13,679 | 13,653 |
勤続35年 | 23,649 | 16,694 | 17,269 |
60歳 | 25,280 | 19,252 | 16,577 |
定年 | 25,639 | 19,712 | 18,397 |
いずれのパターンも定年まで勤めた場合の退職金支給額がもっとも多くなっている。
定年退職の場合、大学卒で約2,500万円、高校卒で約2,000万円の退職金が平均となっている。
受け取る退職金額を少しでも増やしたいのであれば、できるだけ長い年数企業に勤めることがポイントと言えるだろう。
退職後の人生設計と支給額を照らし合わせながら「いつまで企業に勤めるのか」という点を考えていくことが重要だ。
業種別の平均退職金額
自分が所属する業界・業種の退職金額が気になるという方も多いだろう。
同じ業界で勤める人がどの程度の退職金を受け取れるか把握し、退職後の人生設計に役立てよう。
厚生労働省(中央労働委員会)による「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」では、大企業の大学卒のモデル退職金額が公表されている。
総合職相当のコースで定年退職をした場合の業種別の退職金平均額は以下のような結果だった。
業種 | モデル退職金総額 (単位:千円) |
---|---|
製造業 | 23,421 |
建設 | 25,648 |
銀行・保険 | 45,294 |
私鉄・バス | 14,770 |
海運・倉庫 | 24,404 |
商事 | 28,522 |
新聞・放送 | 26,430 |
また、東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」では、中小企業のモデル退職金が業種別に公表されている。
大学卒で会社都合の定年退職をした場合の各業種のモデル退職金は以下の表の通りだ。
業種 | モデル退職金 (単位:千円) |
---|---|
建設業 | 12,203 |
製造業 | 10,685 |
情報通信業 | 11,929 |
運輸業、郵便業 | 13,323 |
卸売業、小売業 | 11,329 |
金融業、保険業 | 14,422 |
不動産業、物品賃貸業 | 10,128 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 9,648 |
生活関連サービス業、娯楽業 | 8,469 |
教育、学習支援業(学校教育を除く) | 12,449 |
医療、福祉 | 3,424 |
サービス業(他に分類されないもの) | 9,044 |
上記の結果から分かる通り、同じような条件を設定しても業種によって支給される金額に大きな差が生じる。
大企業の「銀行・保険」が約4,500万円の退職金となっている一方、同じ大企業でも「私鉄・バス」は約1,500万円となっており、業種間で3,000万円近い差があるのだ。
もちろん上記の表は平均額を示したデータであるため、その業種の人が必ずしも上記の金額になるというわけではない。
しかし自分が受け取れる退職金の目安は把握できるため、業種別の退職金額をもとに退職後のプランを設計していこう。
退職金の計算方法と受け取り方
退職金の平均額は把握できたものの、実際に支給される退職金額は個々の状況によって異なる。
企業が採用としている退職金の計算基準や退職時の給与、勤続年数などが重要なポイントとなるため、計算方法などを確認しておくことが重要だ。
ここでは、一般的な退職金の計算方法や給与・勤続年数が退職金に与える影響、退職金の受け取り方について解説していく。
計算方法をもとに具体的な金額を算出しつつ、退職後にどのような形で退職金を受け取っていくべきかイメージしよう。
退職金計算の基本原則
支給される退職金の金額は、各企業が定める退職金規程に基づいて計算される。
各企業がさまざまな計算方法を導入しているが、一般的には以下の4つの計算方法で算出するケースが多い。
定額制 | 勤続年数に応じて支給額が決定する方法。成果や退職時点の給与には影響を受けず、同じ勤続年数であれば同じ金額が支給される。 |
---|---|
基本給連動型 | 退職時の基本給をもとに勤続年数に応じた支給率をかけて算出される方法。自己都合で退職する場合は支給額が減少する場合がある。 |
別テーブル制 | 勤続年数に応じた基準額や役職ごとの係数、退職理由を定めたテーブルを作成して金額が計算される方法。退職時の給与は金額に影響せず、勤続年数・役職によって金額が決まる。 |
ポイント制 | 退職時の基本給や勤続年数、役職、退職理由、会社への貢献度などをポイント化して退職金を計算する方法。 |
先ほど解説した通り、近年は成果を退職金計算に用いる「ポイント制」の計算方法が増えてきている。
退職金の負担が重くなり過ぎないように、企業側が評価を下げるなどの対応で金額を減らすといったケースがあるのだ。
まずは自社の退職金規程をチェックし、自分の退職金がどのような計算方法で算出されるのか、仕組みを把握しておこう。
給与と勤続年数が退職金に与える影響
近年は「成果」を基準に退職金の計算を行うケースが多いと解説した。
しかし、上記の計算方法からも分かる通り、給与・勤続年数も退職金に大きな影響を与える。
特に、勤続年数については上記で解説したすべての計算方法において重要な要素となっており、長く勤めるほど金額が増える仕組みになっている。
退職金は一般的に、これまで勤めてきた労働の対価として支給されるものであるため、当然勤続年数が長くなるほど受け取れる金額は増える。
受け取る退職金額を増やしたいのであれば、できる限り長く勤めることを意識すると良いだろう。
なお、勤続年数が長くなると支給額が増えるだけではなく、後述する税金の面でも有利になる。
同じ金額が支給される場合であっても、勤続年数が長い方が手取り額が増える仕組みとなっているのだ。
勤続年数が「退職金の支給額」と「実際に受け取る手取り額」の両方に影響する重要な要素であることを頭に入れておこう。
退職金の2種類の受け取り方
退職金の受け取り方は大きく以下の2つの方法に分けられる。
- 退職一時金
- 退職年金
退職一時金は退職時にすべてを一括で受け取る方法、退職年金は退職金を分割して年金形式で受け取る方法のことだ。
両者の受け取り方には税金面などの違いがあるため、それぞれのメリット・デメリットを把握しておこう。
退職一時金で受け取る場合、受け取った退職金は「退職所得」として所得税・住民税の対象となる。
退職所得は控除の面で優遇されており、税金の負担が過剰に大きくならないような仕組みとなっている。
支給される金額や勤続年数によっては一切税金がかからないケースもあり、税負担を抑えやすい点がメリットだ。
一方、まとまった金額が支給されることでついつい使い過ぎてしまうリスクがある点がデメリットと言える。
一括で退職金を受け取る場合、計画的に使っていくことが重要となる。
退職年金の場合、受け取る年金は「雑所得」として所得税・住民税の対象となる。
退職所得のような控除はなく、公的年金等と合計して税金や社会保険料が計算されるため、負担が大きくなる可能性がある点はデメリットだ。
しかし分割して退職金を受け取る場合、まだ受け取っていない分が運用されて受け取り金額が多くなる。
支給される総額で比較すると、一括で受け取るケースよりも多い点がメリットだ。
また、使い過ぎを防いで計画的に退職金を受け取れる点も魅力と言える。
企業によって受け取る方法を選べる場合があり、中には一時金と年金の併用を選択できるケースもある。
受け取り方を選べる場合に自分に合った選択ができるように、それぞれの受け取り方の特徴を把握しておこう。
退職金に関する税金の取り扱い
退職金の受け取り方の解説時に紹介したが、退職金には所得税・住民税が課せられる。
税金の仕組みを正しく理解していないと、想定していた金額と実際に受け取る金額にギャップが生じてしまう恐れがあるため、理解を深めておくことが重要だ。
ここでは、退職金を一括で受け取る場合の税金の仕組みや金額別の手取り額について解説していく。
受け取った退職金の代表的な活用法についても紹介するので、自身の退職金手取り額を把握した上で最適な活用法を検討しよう。
退職金にかかる税金の仕組み
繰り返しになるが、退職時に支給される退職一時金は「退職所得」として、所得税・住民税の対象となる。
額面で支給される金額がそのまま受け取れるわけではない点に注意が必要だ。
退職一時金の所得税は「(退職金額-退職所得控除)×1/2」で退職所得を算出し、金額に応じた一定の税率をかけることで税額が算出される。
そして退職所得控除については勤続年数に応じて異なり、以下の計算式で求められる。
- 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続年数20年以上:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
退職所得を算出した後、所得税・住民税の税率をかけることで税額が算出される。
導き出した税額を支給された退職金から差し引くと、手取り額を求めることが可能だ。
そして上記の通り、勤続年数が長くなるほど控除額は大きくなり、退職一時金の手取り額は増える仕組みとなっている。
例えば、退職金が2,000万円支給されるケースについて考えてみよう。勤続年数が20年の場合、退職所得控除は「40万円×20年=800万円」となる。
「(2,000万円-800万円)×1/2=600万円」が退職所得となる。
一方で勤続年数が30年の場合、退職所得控除は「800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円」だ。
「(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円」が退職所得となる。
このように、同じ退職金2,000万円でも、勤続年数によって課税対象となる退職所得が変わる。
当然、それぞれ税率をかけた場合に算出される税額にも差が生じる。
退職一時金の税額・手取り額が勤続年数によって大きく変わることを頭に入れておこう。
退職金の金額別手取り額
次に、支給される退職金の金額別の手取り額について紹介する。
ここでは、1,000万円・3,000万円・5,000万円の3つのパターンに分け、勤続年数20年・30年・38年(大学卒業後に60歳まで勤めるケース)の手取り金額を表で紹介する。
まず、1,000万円の退職金が支給された場合の手取り額は以下の表の通りだ。
勤続年数 | 手取り額 |
---|---|
20年(退職所得控除800万円) | 9,850,000円 |
30年(退職所得控除1,500万円) | 1,000万円 |
38年(退職所得控除2,060万円) | 1,000万円 |
退職金が1,000万円の場合、勤続年数が23年以上になると税金がかからず、支給額がそのまま受け取れる。
3,000万円の退職金が支給された場合の手取り額は以下の表の通りだ。
勤続年数 | 手取り額 |
---|---|
20年(退職所得控除800万円) | 26,806,000円 |
30年(退職所得控除1,500万円) | 28,161,000円 |
38年(退職所得控除2,060万円) | 29,017,500円 |
退職金が3,000万円になると、大学卒業から60歳まで38年間勤めても控除しきれない。
税負担はそこまで大きくならないものの、3,000万円をそのまま受け取れるわけではないため注意が必要だ。
5,000万円の退職金が支給された場合の手取り額は以下の表の通りだ。
勤続年数 | 手取り額 |
---|---|
20年(退職所得控除800万円) | 42,296,000円 |
30年(退職所得控除1,500万円) | 44,011,000円 |
38年(退職所得控除2,060万円) | 45,215,000円 |
5,000万円を超えるような退職金になると、大学卒業から60歳まで勤めた場合でも約500万円の税金がかかる。
まとまった金額が支給される分、税金の負担も大きくなる点に注意が必要だ。
上記の退職金手取り額の表を参考に、受け取れる金額の目安を把握して活用法を検討しよう。
退職金の代表的な活用法
退職金はさまざまな活用方法があり、せっかく支給されたまとまった資金を無計画に使ってしまってはもったいない。
あらかじめ活用法を考え、計画的に資金を使っていくことが大切だ。
退職金の代表的な活用法として以下のようなものが挙げられる。
- 住宅ローンの返済
- 住居の修繕費用
- 海外旅行に行く資金
- 趣味に使うための資金
- 資産運用
住宅ローンを契約中の場合、残債を返すという選択肢がある。借金を残したくない、または減らしたいという場合はローンの返済に充てると良いだろう。
また、住居の外壁や屋根などの大掛かりな修繕に備えた費用として活用するのもひとつの手だ。
また、海外旅行や趣味に使うための資金として退職金を活用するのも良いだろう。
企業に勤めている間に出来なかった夢の旅行や趣味に対し、お金をかけて楽しむという選択肢も視野に入れておこう。
そして、退職後から始まる長い第二の人生に備え、資産運用を始めることも検討しなければならない。
前述の通り、退職金額が減少傾向にある上、平均寿命も伸びているため、退職金を運用して増やしていく必要があるのだ。
さまざまな活用方法を踏まえ、自分にとって最適な活用方法を検討していこう。
金額別!退職金の最適な活用法を紹介
退職金の活用方法としてさまざまな選択肢がある中、特に重要となるのが「資産運用」だ。
せっかく支給されたまとまった資金を無駄に使ってしまったり、銀行預金に寝かせておいたりするのはもったいない。
効果的な運用方法を模索し、自分に合った資産運用を実現することが大切だ。
ここでは、退職金を活用した資産運用の意義や金額別の最適な活用法について解説していく。
資産運用アドバイザーであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に資産運用の相談を行うメリットについても紹介していく。
ぜひこちらを参考にして、自身の最適な運用方法を検討しよう。
退職金を活用した資産運用の意義
資産運用をしたことがない人の中には「損失のリスクがあるくらいなら退職金を銀行に預けておきたい」と考える方もいるだろう。
しかし、主に以下の3つの理由から退職金を活用して資産運用を行うべきと言える。
- 退職金が減少している
- 物価上昇のリスクがある
- 平均寿命が伸びている
冒頭で解説した通り、日本では退職金の平均額が減少傾向にある。
従来に比べて支給される金額が減り、十分な金額を得られない可能性を考慮すると運用を行って積極的に増やすべきと言えるだろう。
また、物価が上昇するリスクについても想定しなければならない。
近年、日本でも円安やウクライナ情勢などの影響によってインフレが起き、物価が上昇している。
物価の上昇とともに現金の価値は相対的に目減りしていくため、運用で増やすことを目指す必要がある。
インフレによる資産価値の低下を防ぐという意味でも、退職金の運用が必要となるのだ。
そして、日本での平均寿命が伸びている点も重要な要素のひとつである。
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、令和4年時点の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となっている。
平成2年時点では男性が75.92歳、女性が81.90歳だったため、約30年間で男女ともに5歳ほど平均寿命が伸びていることが分かるだろう。
平均寿命が伸びているということは、それだけ生活費の負担が増えていくということになる。
支給される退職金が減少し、物価が上昇するリスクもある中で退職後の人生も長くなっていることを踏まえると、資産運用を行うべき必要性が高いと言える。
上記の3点を総合的に踏まえると、退職金は銀行預金に寝かせておくだけでなく、投資を活用しながら運用していく必要性が高い。
次に、金額別の効果的な運用方法を紹介するので、自分に合った投資先を検討しよう。
1,000万円の退職金の効果的な運用方法
支給される退職金が1,000万円前後の場合、ある程度投資先を絞りつつ、リスクを抑えた運用を行うことが重要となる。
債券や株式などの投資対象をメインにし、低リスクな資産である債券の比率を増やすことで資産全体のリスクを抑えていこう。
具体的な資産の比率としては「国内債券40%・外国債券30%・国内株式20%・外国株式10%」といった配分をおすすめする。
国内外の債券と株式に分散させ、債券が全体の7割を占めるという構成だ。
一般的に債券と株式は値動きの相関性が低いと言われており、どちらか一方が下落しているともう一方が上昇しやすいという傾向が見られる。
相互に損失をカバーしつつ、値動きが比較的小さい債券で堅実なリターンを狙うことができる。
退職金1,000万円を運用する場合は、上記の資産配分を参考にしてみよう。
3,000万円の退職金の効果的な運用方法
3,000万円前後の退職金が支給される場合は、支給される金額が増えた分だけ投資先を増やす選択肢がある。
国内外の債券・株式への投資をベースにしながら、金や不動産などの資産を組み入れてリスクを分散させると良いだろう。
具体的な資産の比率としては「国内債券30%・外国債券20%・国内株式10%・外国株式10%・REIT20%・金10%」といった配分が考えられる。
REITとは不動産投資信託のことで、不動産投資のプロに資金を預けて運用を代行してもらう仕組みの商品だ。
投資先が多様化する分、万が一のダメージを軽減しやすい構成となっている。
金や不動産はそのものに価値があるためインフレ対策にも有効な投資先だ。リスクを抑えつつ、効果的な運用が実現できるだろう。
退職金3,000万円前後であれば、上記の資産配分のように多様な投資先を検討しよう。
5,000万円の退職金の効果的な運用方法
退職金が5,000万円の場合、REITによって間接的な不動産投資を行うだけでなく、直接不動産を購入して運用を行う選択肢も視野に入る。
不動産を貸し出すことで得られる家賃収入は、退職後の大きな収入源となるだろう。
具体的には「現物不動産40%・国内債券20%・外国債券20%・国内株式10%・外国株式10%」という比率がひとつの例として挙げられる。
不動産による家賃収入をベースにしつつ、債券・株式で堅実にリターンを狙っていく運用スタイルだ。
ただし現物の不動産を所有して投資を行う場合、管理に手間やコストがかかるほか、空室による収益低下のリスクなどが想定される。
初心者がいきなり手を出すのはハードルが高い場合もあるだろう。
5,000万円というまとまった退職金を運用するのであれば、専門家に相談しながら最適な運用法を検討していくことが大切だ。
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