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中小企業の退職金の平均額はいくら?

この記事で解決できるお悩み
  • 中小企業の退職金の平均額はいくらか知りたい
  • 退職金の計算方法と受取の条件を理解したい
  • 勤続年数別の退職金の目安が知りたい

日本では、実に7割の従業員が中小企業に勤務している。

しかし、退職金の平均額は大企業と中小企業で大きな差がある。

本記事では、中小企業に勤務する多くの人々が抱える、退職金に関する疑問や不安を解消するために、中小企業における退職金の平均額、計算方法、受け取りの際の注意点を詳細に解説する。

これを読めば、退職金の基本から、勤続年数や年齢別での退職金の変動についての理解が深まり、退職後の資金計画をスムーズに進めるための知識を得ることができるだろう。

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目次

中小企業の退職金の平均額とは?

中小企業の退職金の平均額とは? 資産運用ナビ

中小企業に勤務する人が受給できる退職金はいったいどのくらいの金額なのだろうか。

そして大企業とはどの程度の金額差があるのだろうか。支給される退職金額について正しく把握し、退職後の資金計画につなげていくことが大切だ。

ここでは、中小企業における退職金の平均額や業種ごとの退職金額の違い、平均額の推移について解説していく。

中小企業における退職金の平均額と大企業との比較

中小企業における退職金については、東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」で公表されている。

本調査で発表されている「学校を卒業して入社した者が標準通り昇進して勤務した場合の退職金水準」を示す「モデル退職金」のデータを見ていこう。

中小企業に定年まで勤めた場合の学歴別の退職金支給額は以下の表の通りだ。

学歴モデル退職金(単位:千円)
高校卒9,940
高専・短大卒9,832
大学卒10,918
出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

上記の通り、中小企業に定年まで勤めた場合は1,000万円程度の退職金が支給される。

一方、大企業の退職金については厚生労働省中央労働委員会の「令和3年賃金事情等総合調査」で公表されている。

本調査は「資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上」の企業226社を対象とした調査だ。

調査対象となった企業において満勤勤続で退職した場合の学歴別退職金平均額(男性)は、以下の表の通りだ。

学歴男性の平均退職金額(単位:千円)
大学卒22,304
高校卒20,176
出典:中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」

大企業になると平均的な退職金額は2,000万円を超える。

中小企業と大企業ではおよそ1,000万円ほど支給される退職金額に差が生じていることが分かる。

業種による退職金額の違い

先ほど紹介した東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」では、業種別のモデル退職金についても公表されている。

各業種で定年まで勤めた場合の学歴別のモデル退職金(単位:千円)は以下の表の通りだ。

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業種高校卒高専・短大卒大学卒
建設業11,33411,42712,203
製造業9,99610,30910,685
情報通信業9,4189,16111,929
運輸業、郵便業11,42810,65113,323
卸売業、小売業10,36110,10311,329
金融業、保険業10,7369,06414,422
不動産業、物品賃貸業5,1367,39410,128
学術研究、専門・技術サービス業10,26111,2469,648
生活関連サービス業、娯楽業7,1696,9268,469
教育、学習支援業(学校教育を除く)12,449
医療・福祉3,3233,1213,424
サービス業(他に分類されないもの)9,9588,1539,044
出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

同じ中小企業に分類される企業規模であっても、業種によって支給される退職金額には大きな差が生じている。

自身が所属する業界・業種でどの程度の退職金が支給されるのかを確認しておこう。

退職金平均額の推移

厚生労働省の「就労条件総合調査」では、約5年おきに退職金の平均給付額の調査を行っている。

大学卒で定年退職をした場合の平均退職金額は以下のように推移している。

平成15年調査2,499万円
平成20年調査2,323万円
平成25年調査1,941万円
平成30年調査1,788万円
令和5年調査1,896万円
出典:厚生労働省「就労条件総合調査」

令和5年調査では前回調査よりも金額が増えているが、基本的には右肩下がりに減少している。

平成15年から令和5年までの約20年間で600万円ほど退職金が減少していることが分かるだろう。

退職金が減少傾向にある原因のひとつとして「計算方法が変化している」という点が挙げられる。

従来までの勤続年数で計算する方法ではなく、どれだけ成果を上げたかという点で計算する企業が増えてきたのだ。

勤続年数は絶対的な数字であるため変えようがないものの、成果は企業側である程度自由に設定できる。

退職金の計算基準が絶対的なものから少し曖昧なものに変化したことで、支給される金額が引き下げやすくなったことが原因のひとつとして考えられる。

中小企業の退職金の計算方法

中小企業の退職金の計算方法 資産運用ナビ

退職金が減少傾向にある原因の一部が計算方法の変化にあると紹介したが、そもそも退職金はどのように計算されるのだろうか。

ここでは、退職金制度の一般的な計算方法と勤続年数が退職金に与える影響について解説していく。

退職金制度の計算方法

退職金は企業ごとに異なる計算方法を採用しているが、一般的には以下の4つの方法で算出されることが多い。

定額制勤続年数ごとに退職金額が決められている仕組み
基本給連動型勤続年数と退職時の基本給をもとに計算される仕組み
ポイント制基本給や役職、勤続年数、退職理由などをポイントに換算し、ポイント数に応じて金額を決定する仕組み
別テーブル制勤続年数ごとの基準額を設定し、役職や退職理由をかけ合わせたテーブル(表)を作成して計算する仕組み

先ほど解説した通り、従来は定額制を採用する企業が多く、長く勤めていれば金額が増える仕組みとなっていた。

しかし近年はポイント制などを採用する企業が増え始め、勤続年数以外の部分も評価基準として採用されていることが多い。

勤続年数が退職金に与える影響

勤続年数以外の評価基準が増えていると解説したが、当然勤続年数も金額を決める上では重要な要素となる。

以下の表は、東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」で発表された大学卒のモデル退職金について、自己都合・会社都合に分けて勤続年数別にまとめたものだ。

勤続年数自己都合退職支給金額(単位:千円)会社都合退職支給金額(単位:千円)
10年1,0741,424
15年1,9932,473
20年3,1843,859
25年4,4435,251
30年5,9416,870
定年9,974
出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

自己都合・会社都合のいずれの場合も、勤続年数に比例して退職金支給額は増えている。

退職後の資金計画を立てる上で少しでも多くの退職金を受け取りたい場合は、なるべく長く勤めることがひとつのポイントと言えるだろう。

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【中小企業の方向け】退職金受け取り時の注意点

【中小企業の方向け】退職金受け取り時の注意点 資産運用ナビ

退職金を受け取ることになった場合、以下の2点に注意が必要だ。

  • 税金の影響
  • 退職金受け取り時の手続き

各ポイントを正しく押さえ、退職金を受け取る際のトラブルを回避しよう。

税金の影響

退職金を受け取る際、所得税・住民税・復興特別所得税が課されることを忘れてはいけない。

額面金額がそのまま支給されるわけではないため注意が必要だ。

また、退職金は大きく分けて「退職一時金」「退職年金」という2つの受け取り方法がある。

受け取り方法によって課税の仕組みが異なり、税負担にも違いが生じるため頭に入れておこう。

一時金として受け取る場合、退職金は「退職所得」として扱われる。

退職所得の場合、ほかの給与や賞与などの所得とは切り離して税金が計算され、多額の退職所得控除の適用も受けられる。過剰に税負担が大きくならないような配慮がされていることが特徴だ。

一方、年金として受け取る場合は「雑所得」として扱われる。

雑所得はほかの所得と合算して計算される上に、退職所得控除のようなまとまった控除が受けられない。

退職後に公的年金等の収入がある場合、税金や社会保険料の負担が大きくなる可能性に注意が必要だ。

退職後の人生設計だけでなく、税金による影響も考慮した上で退職金の受け取り方を検討しよう。

退職金受け取り時の手続き

退職金を受け取る際の手続きは、企業が設けている退職金制度の内容によって異なる。

支払われるまでの期間もそれぞれ異なるため、勤め先の退職金制度について事前に理解しておくことが重要だ。

中小企業の場合、国が設けている退職金制度「中小企業退職金共済制度(中退共)」に加入している場合がある。

中退共の退職金請求手続きは以下の表の通りだ。

  1. 事業主から「退職金共済手帳」を受け取る
  2. 「退職金(解約手当金)請求書」に必要事項を記入
  3. マイナンバーや本人確認ができる書類を添付して「退職金(解約手当金)請求書」を中退共本部給付業務部に送付する
  4. 中退共本部で請求書の審査が行われる
  5. 退職金が口座に振り込まれる

退職金が振り込まれるまでの期間は約1ヶ月から2ヶ月半程度かかる。

退職後すぐに振り込まれるわけではない点を頭に入れ、スムーズに請求手続きを進めておこう。

中小企業の方必見!退職金管理の重要性と相談先

中小企業の方必見!退職金管理の重要性と相談先 資産運用ナビ

退職金は退職後の生活を安定させるための原資となるため、適切に管理を行っていく必要がある。

また、退職金の管理・運用に自信がない場合は専門家に相談することも視野に入れるべきだろう。

ここでは、退職金を管理する重要性と専門家への相談について解説していく。

退職金手取り額の計算方法

前述の通り、退職金は額面通りの金額が支給されるとは限らない。

手取り額がどのように計算されるのかを把握した上で、具体的な資金計画を立てていこう。

退職金の手取り額を求める際、まずは「(退職金-退職所得控除)×1/2」の計算で課税所得を算出する。

課税所得に所得税・住民税の税率を掛けて税額を求め、額面の退職金額から税額を差し引くことで手取り額が導き出される。

退職所得控除額は勤続年数に応じて決まる仕組みとなっており、以下の計算式で求めることが可能だ。

  • 勤続年数20年以下
    • 40万円×勤続年数
  • 勤続年数20年超
    • 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

仮に勤続年数が35年だった場合、退職所得控除額は「800万円+70万円×(35年-20年)=1,850万円」となる。

先ほど紹介した通り、中小企業は平均1,000万円前後の退職金が支給されるため、勤続年数35年で平均的な退職金額であればすべて控除できる。

課税所得がゼロとなり、一切税金がかからない仕組みだ。

こうした手取り額の算出方法を把握して受け取れる退職金を計算した上で、具体的な資金計画を立てておこう。

退職後に想定されるリスク

長く勤めた企業から対価として受け取る退職金について、さまざまな資金計画を思い描いている方が多いだろう。

それぞれ自分なりのプランを立てることは問題ないが、想定されるリスクをしっかりカバーできているかを確認する必要はある。

退職後に資金面で想定されるリスクとして以下のようなものが挙げられる。

  • 公的年金だけで生活費が足りない
  • 物価が上昇する
  • 長生きをして資金が尽きる

以前、日本では「老後2,000万円問題」が話題となった。

夫婦二人暮らしの高齢者が老後生活において公的年金以外に2,000万円必要であるという試算結果である。

公的年金による収入だけでは生活費が不足するという現実が大きな波紋を呼んだ。

また、今後の物価上昇による生活費負担の増大もリスクとして想定しなければならない。

近年の物価上昇で実感している方も多いだろうが、物価が上がれば当然支出も増える。

退職後の生活において支出が増えてしまい、資金が足りなくなる危険性がある。

さらに、現在の日本は「人生100年時代」と言われており、継続的に長寿化が進んでいる。

公的年金の不足や物価上昇といったリスクを抱えているにもかかわらず、退職後の生活はより長くなっているのだ。

長く生きればその分支出は増えるため、退職金等の資金が尽きてしまうリスクがある。

こうした現状を踏まえると、退職金は適切に管理しながら運用していくことが非常に重要となる。

退職金の管理・運用における専門家の重要性

退職金の管理・運用を始める際、資産運用の専門家に相談することをおすすめする。

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中小企業の退職金平均は1,000万円も少ない!退職金管理を徹底しよう

中小企業の退職金平均は1,000万円も少ない!退職金管理を徹底しよう 資産運用ナビ

中小企業における退職金の平均額は大企業に比べると低く、適切な管理・運用の重要性が高い。

本記事では基本的な計算方法や受け取り時の注意点を紹介したので、退職後の生活設計にぜひ役立ててほしい。

また、受け取った退職金の管理・運用は専門家に相談することをおすすめする。

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中小企業の退職金平均に関するQ&A

中小企業の退職金は大企業とどのくらい違いますか?

定年まで勤めた場合の中小企業の退職金平均額は約1,000万円、大企業は約2,000万円となっている。

支給額に1,000万円ほどの違いがあるため、中小企業に勤める方はより適切に退職金を管理・運用していく必要がある。

退職金が無い場合、どのように対処するべきですか?

会社に退職金制度が設けられていない場合、退職後の生活資金が不足するリスクがある。

iDeCoや個人年金保険など、自分で準備する私的年金を活用して計画的に資金を準備しておこう。

退職金の受け取り方で最も税額を抑えられる方法を教えてください。

すべてを一括で受け取る「退職一時金」による受け取り方が最も税額を抑えられる。

給与や賞与などのほかの所得と切り離して税額が計算される上に、退職所得控除でまとまった金額を控除できるためだ。

退職後の人生設計と税負担のバランスを考え、一時金・年金のどちらで受け取るべきか考えよう。

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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