※本コラムは2024年1月25日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルは「真のお客様重視を実現する金融サービス」を目指し、IFA1(独立系フィナンシャルアドバイザー)を中心とした金融仲介取引業者です。
代表取締役の田中譲治氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルを一言で言うと
IFAビジネスに関わる全ての人々の幸せを目指し、日本のリテール金融改革を通じて社会に貢献する会社です。
アイ・パートナーズフィナンシャルの沿革
創業経緯
私は2002年から日興コーディアル証券でIFAに従事していました。
IFAには特にノルマがないため、お客様の利益を第一に考え、アドバイスやサービスを提供することが可能だと私は実感しました。
この経験から、日本でIFAをより広める必要があると感じ、IFAのプラットフォーマーになるべく、2009年に当社を立ち上げました。
アイ・パートナーズフィナンシャルの事業の概要と特徴
概要
当社グループは、投資家に対しては金融商品仲介業を基軸に、IFAによる金融サービスを展開しています。
またIFAに対しては、IFAが安心して業務に専念できる環境を提供する、すなわちIFAのコンプライアンス管理・指導、業務支援、成功支援を行うプラットフォーマーです。
ビジネスモデルとして、まず証券会社からはIFAの媒介により顧客が証券会社に支払った取引手数料等に対し、個社毎に契約で定めた料率が証券会社から当社へ支払われます。
そして当社はその取引手数料等に対し、IFAとの契約で定めた料率を委任契約のIFAへ委任報酬として支払います。
また、当社がIFAに提供するビジネスプラットフォームの対価として、当社に対してシステム使用料をIFAから月額約3万円〜10万円頂戴しています。
その他、子会社では保険代理店事業や、顧客と提携会社とのマッチングサービス事業を行っています。
事業における優位性
米国におけるIFAの位置付けと、我が国のIFAの現状と見通し
我が国のリテール証券ビジネスは米国のそれを現在約10年遅れくらいで追いかけていると思っています。
ただ、我が国と米国ではリテール金融の仕組みが異なるため、日本のIFAは米国にはいません。
米国の対面ファイナンシャル・アドバイザーのうち業務委託契約(独立系)の対面ファイナンシャル・アドバイザーを「米国のIFA」と呼ぶとしましょう。
そのような対面ファイナンシャル・アドバイザーのうち、IFAが占める割合は、人数ベースや預かり資産ベースでも約40%です。
また、我が国においては、IFAは金融機関に属さない独立性や中立性を売りにしています。
一方で、米国においては「顧客本位の業務運営」や「顧客の最善の利益」の求められるレベルや投資家の金融リテラシーが高いことが特徴です。
そのため、雇用契約の対面ファイナンシャル・アドバイザーであろうと業務委託契約(独立系)の対面ファイナンシャル・アドバイザーであろうと、ゴールベースアプローチといった投資家の人生に伴走し、投資家の安定的な資産形成に資するサービスを提供するのが一般的です。
従って、雇用契約の対面ファイナンシャル・アドバイザーと業務委託契約(独立系)の対面ファイナンシャル・アドバイザーの違いはいわゆる「働き方」の違いです。
例えば病院の勤務医と開業医の違い、税理士法人に勤務する税理士と開業した税理士の違い、といった違いがイメージしやすいと思います。
我が国においては全証券外務員のうちIFAが占める割合は人数ベースでまだ10%もないと考えています。
そのため、我が国のリテール証券ビジネスが米国のそれを後追いしているとすればIFAの増加余地は相当に大きい、と考えられます。
また、政府の「資産所得倍増プラン」施策下、証券市場で資産形成する投資家や、また「人生に伴走し安定的な資産形成」に資するファイナンシャル・アドバイザーを求める投資家が増える中、真に顧客本位を追求するIFAへの需要は非常に高まっていく、と思います。
IFAから見た当社グループの事業ーIFAへの手厚いサポート体制
先述のように、当社はIFAに対しては、IFAが安心して業務に専念できる環境を提供する、すなわちIFAのコンプライアンス管理・指導、業務支援、成功支援等を行うプラットフォーマーです。
当社と契約しているIFAからの満足度は非常に高く、アンケートによると全体の9割から総合的に満足しているという回答をいただいております。
アイ・パートナーズフィナンシャルの中長期の成長イメージとそのための施策
今後の我が国のリテール証券ビジネスを取り巻く環境変化について
今後の我が国のリテール証券ビジネスを取り巻く環境変化について、当社が想定していることを列挙したいと思います。
- ゴールベースアプローチといった「投資家の人生に寄り添って、安定的な資産形成をサポートするアドバイザー」の需要が高まる。
- すべての金融商品の手数料が明示されることになる。
- 手数料の貰い方がフィー型に徐々にシフトしていく。
- 手数料がアドバイザーのアドバイス・サービスに対する対価だと強く認識されるようになり、投資家のアドバイザーのアドバイス・サービスに対する評価が厳しくなる。
- 「顧客本位の業務運営」、特に「顧客の最善の利益」がルールベース化されるなど、金融事業者のコンプライアンス管理体制の強化が求められる。
- これらの環境変化の中、独立したアドバイザー(IFA)の「働き方」を求め、優秀なIFAを目指すファイナンシャル・アドバイザーが今後も相当数現れてくると思われ、また優秀なIFAに対する投資家の需要は高まると思われる。
業務支援・成功支援を行うサポート体制
そうした優秀なIFAを目指すファイナンシャル・アドバイザーに選ばれるよう、当社は現在のIFAビジネスプラットフォームを拡充・拡大させていきたいと考えています。
具体的には、以下の通りです。
- 今後のリテール証券ビジネスに対応できる、CRM、営業ツール、等の積極的な整備。
- 今後のリテール証券ビジネスに対応するための、研修・コーチングの充実。
- 今後のリテール証券ビジネスに対応するために、契約条件の柔軟な見直し。
- 今後のリテール証券ビジネスに対応するために、証券以外のビジネスコンテンツの充実。
コンプライアンス体制の強化や啓蒙活動
従前より、当社はコンプライアンスを経営の最重要課題として位置付けています。
「顧客本位の業務運営」、その中でも「顧客の最善の利益」がルールベース化されるなど、今後金融事業者のコンプライアンス管理体制のさらなる強化が求められると思われます。
そこで当社は今後もIFAが安心してIFA活動に従事できるコンプライアンス体制の強化に努めて参ります。
なお現在、当社は内部管理責任者11人体制を敷いており、業界でもその充実ぶりは突出していると思います。
今後も金融商品仲介業者として「顧客の最善の利益」の実効性をさらに高める努力をして参ります。
また、当社は「IFA業界の健全な発展」に資するため、当社のモニタリング検証・管理体制を他の金融仲介業者へ紹介するWEBセミナー等をこれまで数回開催いたしました。
今後は委託元の証券会社数社及び金融商品仲介業者有志と共に「委託元の証券会社が金融商品仲介業者に具体的に求める『顧客の最善の利益』に資する販売・管理等を行う態勢内容」について具体的に議論し、統一化を目指していく予定です。
その他の成長戦略
「投資家の人生に寄り添って、安定的な資産形成をサポートするアドバイザー」は証券以外の商品・サービスに関するアドバイスを求められることもあります。
そこで当社のIFAがそれに対応できるように環境整備をする必要があります。
現在でも、保険代理店事業や、異業種とのマッチングサービスを行っています。
今後は同業・異業種に関わらずシナジーが期待できるM&Aや事業提携に積極的に取り組んでいきたいと考えています。
注目していただきたいポイント
金融商品仲介業者は内閣総理大臣に登録した金融事業者であるため、それなりの体制整備が求められる法人であるべきです。
当社は上場企業であるためコーポレートガバナンスや内部統制において求められる体制整備を行っております。
またIFAのコンプライアンス管理体制においても、金融商品仲介業界で最も整備が進んでいると自負しております。
当社の成長性を考察される際は是非これらの点にも注目していただきたいと思います。
投資家の皆様へメッセージ
「投資家の人生に寄り添って、安定的な資産形成をサポートするIFA」は社会にとって非常に重要なインフラです。
今後は我が国においても欧米並みに増えていくと当社では考えております。
そういった見通しの中、「投資家の人生に寄り添って、安定的な資産形成をサポートするIFA」のコンプライアンス管理・指導、業務支援、成功支援を行う非常に優位なプラットフォーマーである当社の企業価値はますます高まっていくと思います。
今後とも暖かいご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
本社所在地:〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸2-20-5 KDX横浜リバーサイド3F
設立:2006年2月8日
資本金:331,742,100円(2023年7月31日現在)
上場市場:東証グロース市場 (2021年6月23日上場)
証券コード:7345
- IFAとはIndependent Financial Advisorの略で証券会社や銀行など特定の金融機関ではなく、金融商品仲介業者に所属する独立系金融アドバイザーのことである。
出典:株式会社アイ・パートナーフィナンシャル 2024年3月期第2四半期決算説明資料 ↩︎