- 退職金の適切な運用方法とリスク管理法が知りたい
- 退職金にかかる税金と最適な受け取り方を理解したい
- 退職後の安定した資金計画の立て方を知りたい
「退職金をどのように運用するべきか」これは退職者にとって大きな関心事である。
本記事では、まず退職金にかかる税金や受け取り方などの基本を整理する。
その上で、退職金の効果的な運用方法やリスク管理について解説する。
退職後の資金計画の立て方についても触れるので、退職金を有効に活用するための具体的なガイドラインとしてぜひ役立ててほしい。
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退職者が受け取る退職金にかかる税金と最適な受け取り方
退職金は大きく分けると「一時金形式」または「年金形式」の2種類の受け取り方がある。
それぞれの受け取り方には、税金の仕組みや受給額の面で違いがある。
そこで気になるのが「どういった受け取り方をすると税金の面で有利なのか」という点だ。
ここでは、退職金にかかる税金の種類と税金を考慮した受け取り方について解説していく。
退職金にかかる税金の種類
退職金には、所得税・復興特別所得税・住民税が課される。
それぞれの特徴を簡単に確認していこう。
所得税
所得税とは1年間の所得に対して課される税金のことだ。
所得が多くなるほど高い税率が設定される「累進課税制度」が採用されているため、支給される退職金が多いほど税負担が大きくなる。
復興特別所得税
復興特別所得税とは東日本大震災の復興支援費用を集めるために、所得税に上乗せして徴収される税金のことだ。
所得税額の2.1%が課せられ、2037年まで徴収される予定となっている。
住民税
住民税とは公共サービス費用等を地域住民で分担するために、居住している都道府県や市区町村に対して納める税金のことだ。
一律10%の税率が設けられており、所得が増えても税率が高くなることはない。
一時金と年金のメリット・デメリット
前述した通り、退職金の受け取り方は「一時金」と「年金」の2種類が挙げられる。
どちらも上記の3つの税金は課されるが、税金の仕組みや受給総額に違いがあるため、それぞれの受け取り方のメリット・デメリットを把握しておこう。
一時金・年金のメリット・デメリットは以下の表の通りだ。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一時金 | 退職所得控除の適用が受けられる | 受給総額が年金に比べて少なくなる |
年金 | 受給総額が一時金に比べて多くなる 計画的に使いやすい | 退職所得控除のような大きな所得控除が適用されない |
一時金で受け取る場合は退職所得控除の適用が受けられるため、税負担を大きく軽減できる点がメリットだ。
しかし、受給総額は年金形式に比べて少なくなってしまう。
一方、年金で受け取る場合はまだ支給されていない残りの年金部分が金融機関で運用されるため、一時金で受け取るときよりも金額が大きくなる。
分割で支給されることで使い切ってしまう心配もないが、退職所得控除のような大きな所得控除は設けられていない。
こうした特徴を踏まえた上で、どちらの受け取り方を選択すべきか検討しよう。
税金を考慮した受け取り方
上記の表からも分かる通り、税金の面だけを考慮するならば一時金での受給がおすすめだ。
退職所得控除の適用が受けられ、過剰な税負担を避けられる。
そもそも退職金は長年の労働の対価として支給されるため、金額が数百万円〜数千万円と大きくなりやすい。
所得税は1年間の所得に対して課される税金のため、一度にまとまった金額が支給されると累進課税によって高い税率が適用されてしまう。
こうした事態を防ぐために導入されているのが「退職所得控除」である。
退職後の生活を支える退職金に過剰な税金がかからないよう、多額の控除を認めることで配慮しているのだ。
年金形式の場合も「公的年金等控除」が適用されるものの、一時金形式に比べると控除額が少ない。
さらに公的年金などの所得と合算して税金が計算されるため、税負担が比較的大きくなりやすい。
税金面でのメリットだけを考慮するのであれば、一時金形式での受け取りがおすすめだ。
ただし前述の通り、年金形式の方が受給総額は大きくなる。金額が増えることで、途中で使い切ってしまう心配も減ると言える。
税金面だけで判断するのではなく、複数の要素を踏まえて自身に最適な受け取り方を選択しよう。
職業別の退職金運用について、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
【退職者必見】おすすめの退職金運用の方法
税金や受け取り方に関する基本的なポイントを押さえたところで、次は退職金を運用する基本戦略について解説していく。
「一般的にどういった運用方法があるのか」「リスクはどのように管理すべきか」という点を正しく理解し、適切な運用戦略を考えていこう。
退職金運用の一般的な方法と選択基準
退職金の運用で一般的に用いられる方法として、以下のようなものが挙げられる。
- 株式
- 債券
- 不動産
- 投資信託
株式や債券などの有価証券を購入して取引を行ったり、実際に土地や建物を購入して運用を行ったりといくつもの戦略がある。
基本的には以下の基準で投資先を選定していくこととなる。
- リスク・リターンのバランス
- 収益の種類
資産の運用においてリスクとリターンは比例関係にあり、大きなリスクを取ればその分高いリターンを得られる。
このバランスを考え、自分に合った投資先を選定する必要がある。
例えば、ある程度資産に余裕があり、積極的にリターンを狙いたい場合はリスクが比較的大きい株式がおすすめだ。
一方、極力資産を減らさずに運用したい場合は低リスクな債券が向いている。
自分自身がどの程度のリスクを許容できるのかを把握し、投資先を選んでいこう。
また、退職後にどういった収益を狙いたいかという点も投資先を選ぶ基準として重要だ。
「元手となる資産を増やしていきたい」「安定的な収入源が欲しい」など、希望に応じて投資先を選ぶ必要がある。
資産を増やしたい場合、成長性が高い企業の株式や市場のトレンドと合致した投資信託などを購入し、投資先の価格上昇を狙う戦略となる。
一方で安定した収入を希望する場合、安定した配当を出す大型企業の株式、定期的な家賃収入を得られる不動産が視野に入ってくる。
このように自分自身のリスク許容度や運用目的に合わせ、適切な投資先を選ぶことが大切だ。
投資におけるリスク管理の方法
投資においてリスクを抑える方法として以下の2点が挙げられる。
- 長期投資
- 分散投資
長期投資は、時間をかけてじっくりとリターンを狙いに行く運用戦略のことだ。
運用期間を長く設定することで、短期的な価格変動による影響を受けにくくする。リスクを抑え、リターンを安定化させる有効な戦略のひとつだ。
分散投資は、資産を複数の投資先に分けて投資を行う運用戦略である。
手持ちの資産を複数の投資先に分けることで、投資先のひとつが下落しても資産全体における影響を小さく抑えられる。
さらに他の投資先でリターンが生じていれば、損失と相殺させることも可能だ。
退職後は収入源が少なく、運用に失敗して資産が大幅に減少したときに生活に影響が出る可能性もある。
大きな失敗を避けるためにも、長期投資・分散投資によるリスク管理を徹底しておこう。
おすすめの運用ポートフォリオ
それでは、退職金運用に適したポートフォリオ(資産の配分)にはどういったものがあるのだろうか。
ここでは、3つの運用ポートフォリオを紹介する。
安定志向の運用ポートフォリオ
極力資産を減らさず、安定した運用を実現したい場合は「債券80%・株式20%」といった資産配分がおすすめだ。
安全性が高い債券の割合を高めることで資産が急激に減る危険性を抑え、堅実に運用できる資産配分である。
また、債券とは反対の値動きをする傾向が大きい株式と組み合わせていることもポイントになる。
2種類の商品を利用することで、どちらか一方の下落をカバーできる状態にしているのだ。
資産を増やすことを重視した運用ポートフォリオ
支給された退職金額や貯蓄に余裕があり、当面は使う予定がない場合は「債券50%・株式50%」という比率がおすすめだ。
株式の比率を組み入れることで収益性を高めつつ、リスクヘッジとして債券も組み入れている。
バランスの良い資産配分により、効率的に資産の増加を目指せるはずだ。
さらに細かく「国内債券25%・外国債券25%・国内株式25%・外国株式25%」といったポートフォリオで、攻めの運用スタイルを取っても良い。
海外の資産を組み込むことで投資先を分散させつつ、よりリターンを狙いに行ける。
収入源を得たい人向けの運用ポートフォリオ
公的年金以外に収入源が欲しい場合は「不動産50%・債券25%・株式25%」という資産配分がおすすめだ。
定期的な家賃収入を得られる不動産をメインの投資先にしつつ、債券・株式で利子や配当を得るスタイルとなる。
支給された退職金だけで不動産を購入することが難しく、金融機関からの融資も避けたい場合は「REIT(不動産投資信託)」を選ぶと良い。
安定した分配金を受け取れるため、退職後の収入源として活用可能だ。
不動産運用のプロが代わりに運用してくれるだけでなく、少額からの投資にも対応している。
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退職者におすすめの退職金を活用した資金計画の立て方
退職金運用の基本戦略を解説してきたが、具体的な資金計画についてはどのように立てていけば良いのだろうか。
安定した退職後の生活を送っていくためにも、綿密に資金計画を立てることが重要となる。
ここでは、資金計画を立てる際に大切な3つのポイントを解説する。
退職後の生活費・緊急資金の把握
まず、退職後にどれくらいの費用がかかるのかを把握することが重要となる。
必要な額を把握しないまま運用プランを検討しても、具体的な方法を決めることが難しい。
生活費と緊急の出費がどの程度になるか把握しておこう。
総務省統計局が行った調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯及び単身無職世帯の家計の月平均支出は以下の結果となった。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | 65歳以上の単身無職世帯 | |
---|---|---|
消費支出(食料費・住居費など) | 23万6,696円 | 14万3,139円 |
非消費支出(税金・社会保険料など) | 31,812円 | 12,356円 |
合計 | 26万8,508円 | 15万5,495円 |
夫婦のみの世帯で約27万円、単身世帯で約15万円ほどが毎月の支出となる。
加えて子どもの結婚費用を援助したり、マイホームの改築やリフォームで数十万円〜数百万円の費用が発生する。
こうした支出を正しく把握し、具体的な資金計画を立てていこう。
退職者が行うべき退職金運用における目標設定
退職後の支出をある程度把握したら、運用でどのくらいの資産を準備すべきかという目標を設定しよう。
目標リターンが決まると具体的な投資先も決定するため、目標設定は資金計画を立てる際に重要となるポイントのひとつだ。
先ほどの総務省統計局の調査では、退職後の毎月の可処分所得についても公表されている。
夫婦のみの無職世帯で214,426円、単身無職世帯で122,559円という結果が出ている。
先ほどの生活費に対して、所得だけでは毎月3〜5万円程度不足していることが分かる。
仮に65歳で退職して100歳まで35年間生きると仮定した場合、毎月5万円の不足だと「5万円×12ヶ月×35年=2,100万円」が必要となる。
緊急の支出に備えるために500万円が必要だと仮定した場合、合計で2,600万円を目標金額に設定する必要がある。
目標リターンが決まれば、支給された退職金の額をもとに具体的な戦略の策定が可能となる。
目標リターンを実現させるための資産配分を考え、堅実に運用するのか、はたまた積極的にリターンを狙うのかを考えていこう。
長期的な資産形成の視点
リスク管理の方法のひとつに「長期投資」を挙げたが、資金計画を立てる際も長期的な視点を持つことが大切だ。
長期目線でのプランニングを行うべき理由は、リスクを回避できることの他に以下の2点が挙げられる。
- 退職後の生活は長い
- 柔軟に運用戦略を変更しやすい
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となっている。
仮に65歳で退職する場合、平均的に約15〜20年ほど生きることとなる。
退職後の生活が長いことを踏まえ、長期的な視点を持って資金計画を立てる必要があるのだ。
また、長期的な資金計画を立てておくことで、ライフプランや投資先の環境に変化があったときに軌道修正をしやすいメリットもある。
今後のプランが変わって目標リターンを変更したり、投資先で想定よりも収益が出なかった場合でも柔軟に対応しやすい。
短期的な運用戦略を立てていると、目標時期の直前に大きな変化が起きたときの対応が難しい。
臨機応変に対応できるよう、長期目線で運用計画を立てておくようにしよう。
退職金運用の相談は誰にするべきか
ここまで退職金運用の戦略や資金計画のポイントを解説してきたが、実際に自分一人で退職金を運用することは難しい。
特に退職を機に投資を始める場合、分からないことだらけで不安を感じている方も多いはずだ。
ここでは、退職金運用における専門家の重要性や信頼できるアドバイザーの見分け方、おすすめのサービス「退職金ナビ」の特徴について解説していく。
退職金運用における専門家の重要性
退職金の運用を始める際、サポートを行う専門家に相談することをおすすめする。
資産運用の専門家は、あなたにとって最も効果の高い運用戦略のアドバイスを行えるからだ。
前述の通り、退職金の運用はリスク許容度や運用目的によって戦略が異なり、それぞれ自分で最適な戦略を模索していかなければならない。
若いうちは途中で失敗しても「勉強代」として次に繋げられるが、退職後の失敗は生活に直結する大きな問題となる。
資産運用のサポートを行う専門家は、あなたの状況をヒアリングした上で最適化された運用戦略をアドバイスしてくれる。
大きな失敗を避けられる可能性が格段に上がり、安定した退職後の生活を実現可能だ。
退職を機に資産の運用を始めようと考えている方は、専門家から自身の状況にあったアドバイスを受けることを推奨する。
信頼できるアドバイザーの見分け方
相談先のアドバイザーを見極める際は、以下の2点に注目しておこう。
- メインで抱えている顧客の属性
- 過去の実績・経歴
まず、相談先のアドバイザーがどういった属性の顧客を抱えているのか確認しておこう。
できるだけ自分と似たような属性の顧客をターゲットとしているアドバイザーを探すことをおすすめする。
例えば、退職金と貯蓄を合わせて2,500万円を運用したいと考えている人が「資産数億円」の顧客をメインで抱えるアドバイザーに相談しても、的確なアドバイスを得ることは難しい。
相談先の抱える顧客層をチェックしておこう。
また、過去の実績や経歴なども注目すべきポイントだ。
信頼に値する実績を有しているかどうかを見極めよう。
例えば金融とはまったく関係ない業種から転職して2〜3年程度の場合、豊富な実績があるとは言い難い。
一方で銀行や証券会社で数十年勤務経験があったり、アドバイザーとして顧客から10年以上相談を受けていたりする場合、相談先としてのスキルが高いと言える。
上記の2点を見極め、信頼できるアドバイザーを探してみよう。
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ノルマに基づいた無理な勧誘がなく、顧客本位のアドバイスを中立な立場で行えることが特徴となっている。
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そしてアドバイザーの紹介はもちろん、マッチング後の相談費用も一切かからない。
不安なことを納得いくまで相談いただいても、費用が発生しないことが特徴となっている。
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本記事で解説した内容を参考に、退職金の受け取り方を検討しよう。
また、退職後の生活を安定させるためにも退職金の運用は欠かせない。
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