厚生年金保険とは、会社に勤めるサラリーマンや公務員などに加入が義務付けられる年金保険である。
この記事では、そんな厚生年金保険の概要から加入条件、実際に受給できる年金について、わかりやすく解説する。
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厚生年金保険とは
厚生年金保険とは、日本の年金制度のひとつだ。国民全員が加入する国民年金保険と異なり、厚生年金保険は会社で働くサラリーマンや公務員が加入する年金制度である。
そのため、厚生年金保険の加入者は国民年金保険に加えて保険料を支払うことになる分、受給資格を得られた際には国民年金保険に上乗せされる形で、多くの年金が受け取れるのだ。日本の年金制度でいうところの2階部分にあたるといえば、わかりやすいだろう。
国民年金保険と厚生年金保険の具体的な違いは、以下の通りである。
厚生年金保険(2階部分) | 国民年金保険(1階部分) | |
---|---|---|
加入対象 | 適用事業所に勤める70歳未満の会社員や公務員全員 | 20歳から60歳未満の全ての 国民 |
納付する年金保険料 | 標準報酬月額および標準賞与額に保険料率をかけた金額のうち半分を負担 | 月額16,590円 |
納付する方法 | 毎月の給与および賞与から天引き | 口座振替または納付書を使った振込 |
厚生年金保険は、適用事業所に勤める70歳未満の会社員や公務員全員が加入対象となる。
したがって、自営業や学生などは年金保険の対象にならないことに注意が必要だ。また、厚生年金保険は、国民年金保険の2階部分に当たるため、納付する年金保険料は国民年金の保険料に加えて事業所と折半した保険料を支払うことになる。そのため、国民年金保険に比べて必然的に、支払う金額が大きくなるのが特徴だ。
一方、受給額に関しては納付する保険料が多い分、ひと月の平均受給額は国民年金保険料の2倍から3倍に相当する。したがって、国民年金保険のみの加入者と比較して、ゆとりのある老後を送れるだろう。厚生年金保険は適用事業所に勤める会社員や公務員が加入できる年金制度であり、より多くの受給額を得られるのである。
厚生年金保険の加入条件
厚生年金保険の加入条件は、適用事業所に勤める会社員や公務員が該当する。しかしながら、厚生年金保険の加入が義務付けられる適用事業所には、4つの種類がある。以下の適用事業所の条件に該当しない場合、厚生年金保険の被保険者にならないため、注意しよう。
- 強制適用事業所
- 任意適用事業所
- 特定適用事業所
- 任意特定適用事業所
制適用事業所とは、厚生年金保険に必ず加入しなければならない事業所である。適用業種に該当する常時5人以上の労働者を有する個人と、常時1人以上の従業員を有する全ての法人が含まれる。そのため、代表者1人の法人であったとしても適用業種に該当するのであれば、厚生年金保険に加入することが可能だ。
また任意適用保険とは、強制適用事業所に当てはまらない事業所のうち、半分以上の従業員が厚生年金保険への加入に同意した上で、厚生労働大臣の許可を受けた事業所を指す。
一方、特定適用事業所と任意特定適用事業所は昨今の社会保険の適用拡大の影響を受けている事業所である。このような事業所では、パートやアルバイトなどの短時間労働者についても、所定の労働時間や日数を満たすことで厚生年金保険の被保険者となることが可能だ。
目安としては、正社員やフルタイム従業員の4分の3以上の所定労働時間を満たすこととされるほか、次の条件を満たすことで、厚生年金保険の被保険者となり得る。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 賃金の月額が8.8万円以上であること
- 学生でないこと
- 出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(2023年1月参照)
したがって、パートやアルバイトなどの短時間労働者であったとしても、今後は厚生年金保険の適用条件に該当する可能性が高く、多くの労働者に加入義務が発生するでしょう。
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適用業種とは
強制適用事業所における適用業種には、次のようなものが含まれる。
- 製造業
- 物販販売業
- 情報通信業
- 金融業、保険業
- 不動産業
- 教育、学習支援業
- 運輸業、郵便業・医療、福祉
- 複合サービス事業など
- 出典:厚生労働省年金局「被用者保険の適用事業所の範囲の見直し」(2023年1月参照)
上記の通り、多くの業種が適用業種に該当する。しかしながら、農林水産業をはじめ宿泊、飲食サービス業、一部の専門サービス業(経営コンサルタン、デザイン業など)は適用業種に該当しないことに注意が必要だ。
厚生年金保険で受給できる年金
厚生年金保険で受給できる年金には、以下の三種類の年金がある。
- 老齢厚生年金
- 障害厚生年金
- 遺族厚生年金
老齢厚生年金とは、保険料の納付期間と免除期間を合わせて10年以上ある人で、65歳から受け取れる年金である。65歳になったときに、老齢基礎年金(国民年金保険の部分)に上乗せされる形で受給でき、生涯に渡って受け取れる仕組みだ。
国民年金保険の加入者に支給される老齢基礎年金が年間で約80万円程度なのに対して、老齢厚生年金の受給額は年間で200万円程度であることを考えると、老齢厚生年金の金額は大きいことが分かるだろう。老齢厚生年金は、厚生年金保険で受け取る最もイメージしやすい年金だ。
一方、障害厚生年金は厚生年金保険の被保険者が病気や怪我によって、生活や仕事に制限が生じた場合に、受け取れる年金である。老齢厚生年金と大きく違う点は、現役世代を含めることにあり、65歳に満たなくても条件を満たすことで受給可能だ。
受給資格となる条件としては、病気や怪我の初診日にて、障害等級1級または2級の状態であると認定を受けることだ。初診日を受けた月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ、障害基礎年金に加算されるかたちで1ヶ月あたり平均7万円〜15万円が受給金額となるだろう。
最後に、遺族厚生年金は厚生年金保険に加入している人が亡くなったときに、その家族がもらえる年金である。受給金額は老齢厚生年金の4分の3といわれており、遺族基礎年金の年金額である77万7,800円に加算される形で受け取れる。
短期要件としては、厚生年金に加入している人が死亡した場合のほか、初診を受けた病院が原因で初診から5年以内に死亡した場合や、障害厚生年金を受け取っている人が死亡した場合などが挙げられる。
ただし、長期要件を満たすためには過去25年以上に渡り厚生年金に加入している必要があるため、注意が必要である。
まとめ
厚生年金保険は、会社に勤めるサラリーマンや公務員に加えて、短時間労働者や法人の代表者1人についても加入義務が生じる場合があります。しかしながら、厚生年金保険は国民年金保険のみの場合に比べて、どの年金の種類に応じても受給金額は多くなるため、加入するメリットはあるといえるだろう。
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