・NISAの実際のリスクについて知りたい。
・NISAの運用中の気をつけるポイントが知りたい。
・NISAをはじめる前に把握しておくべき注意点は何なのか?
NISAは税制上の優遇措置が注目される中、そのデメリットはしっかりと理解しているだろうか?
今回はNISAを活用した投資で、初心者から上級者までが陥りがちな落とし穴や、NISAをはじめる前に把握しておくべき注意点のヒントをお伝えしていく。
なかなか、NISAを活用した資産運用をスタートできない方は、ぜひ最後まで読んでみて欲しい。
資産運用ナビ おすすめ!
アドバイザーナビ社が運営する自分に合った資産運用の相談相手を無料で探せるマッチングサービス。日経新聞、東洋経済など有名メディアに度々取り上げられている。
NISAにはデメリットしかないって本当?
NISAのデメリット
- 損益通算ができない
- 元本は保証されていない
- 繰り越し控除ができない
- 税金がかからない期間が終了した時の評価額が元本として扱われる
損益通算とは、投資で出た利益と損失を合算することを指す。
A社株で60万円の利益、 B投資信託で10万円の利益が出ていた場合、損益通算すると60万円-10万円=50万円となり、50万円に対して税金がかかる。つまり、1つの金融資産で損失が出た場合はほかの利益を減らして納税額を少なくできるのだ。しかし、NISAでは損益通算はできない。A社で90万円の利益、つみたてNISAのB投資信託で50万円の損失が出ていたとしてもA社株の利益90万円に対して税金がかかる。
繰り越し控除も損益通算のように、損失が出た場合に納税額を減らせる可能性がある仕組みだ。年間の投資結果で損失が出たとすると、最大3年にわたって翌年以降に出た利益から損失分を控除できる。
たとえば、2020年の投資で50万円の損失が出た人が2021年に90万円の利益を出した場合、損失が繰り越しされて90万円-50万円=40万円となり、40万円に対して税金がかかるわけだ。
しかし、NISAでは2021年に損失が出たからといって2022年の投資利益から繰り越し控除することはできない。
税金がかからない期間が終了した時の評価額が元本として扱われることにより、将来の納税額が増える可能性がある。30万円で購入した投資信託を非課税期間が終了した時点の評価額20万円で課税口座へ移管。その後、50万円で売却すると50万円-30万円=20万円に対して税金がかかると考える人が多いだろう。
しかし、NISAでは税金がかからない期間が終了した時の評価額が元本として扱われるので、50万円-20万円=30万円に対して税金がかかる。
このようにデメリットがあることは否定できない。とはいえ、デメリットのない投資法など存在しない。メリットしかない投資話が自分のもとに来たら、詐欺の可能性を疑う必要がある。リターンを求めると、多少のデメリットが伴うのは仕方がないことだ。また、デメリットしかないことはない。メリットについても記載しておく。
NISAのメリット
- 運用して出た利益に税金がかからない
- 少額から投資ができる
- つみたてNISAには金融庁から認められた商品しかない
NISAの最大のメリットは運用益が非課税になることだ。株式や投資信託で利益を得ると約20%の税金を納める必要があるのだが、NISAではその必要がない。
もともと税金がかからない仕組みなので、損益通算や繰り越し控除ができないのは仕方がないだろう。紹介したようにNISAには、デメリットを上回るメリットがある。
NISAをはじめる方法
メリットとデメリットを比較して紹介してきたので、続いてははじめる方法を紹介しよう。
投資したい商品を選ぶ
最初に投資したい商品を選ぼう。
「商品選びは口座を作ってからでいいのではないか」と思った人もいるだろう。後から選んでも良いのだが、金融機関によって取り扱っている商品に違いがあるため、口座開設後に希望する商品がないことに気がつく可能性がある。
再び金融機関の変更のための手続きが必要になってしまう。すでに取引をしてしまっていると変更は翌年になることにも注意しておこう。
2022年2月から楽天証券でつみたてNISA口座を開設して積立購入をしていた人が、2022年7月にSBI証券への変更手続きをおこなった場合は、すでに取引が行われているので金融機関の変更は2023年の1月になる。
一方、2022年2月につみたてNISA口座を開設していても取引をしていない場合は、2023年6月に変更手続きが完了次第、楽天証券からSBI証券へ変更できる。
後で手間と時間を取られないためにも、先に投資したい商品を選んでおこう。
証券会社を選んでNISA口座を開設する
投資したい商品が決まったら希望の商品の取り扱いがある金融機関でNISA口座を開設しよう。
NISA口座を開設する際は必ずマイナンバーが必要だ。マイナンバーカードがない場合は、通知カードやマイナンバー記載の住民票でも代用できる。
とはいえ、今はマイナポイント事業が実施されており、マイナンバーカードを作ると最大20,000ポイントを受け取れる。今のうちに作成してキャンペーンの恩恵を受けておいても良いだろう。
また、NISA口座の開設には2〜3週間ほどかかるので、早めに動き始める必要がある。
商品を購入する
口座開設が完了したら商品を購入しよう。
つみたてNISAでは、商品だけではなく毎月の積立金額を設定する必要がある。無理のない範囲で積立金額を設定しよう。積立金額は定期的に変更可能だ。
資産運用ナビ おすすめ!
アドバイザーナビ社が運営する自分に合った資産運用の相談相手を無料で探せるマッチングサービス。日経新聞、東洋経済など有名メディアに度々取り上げられている。
NISAで投資をする際の注意点
NISAのデメリットやメリット、はじめる方法について紹介してきた。
ここでは、NISAで投資をする際の注意点について紹介していこう。
1人1口座しか開設できない
1つ目は「1人1口座しか開設できない」だ。
NISA口座は1人1口座しか開設できない。開設時に提出するマイナンバーによって管理されている。そのため、どの証券会社を利用するか、一般NISAとつみたてNISAのどちらにするか選ばなければならない。一般NISAからつみたてNISAへの変更、つみたてNISAから一般NISAへの変更ともに手続きが必要だ。ここでは楽天証券での手順を紹介しておく。
証券会社を変更する際の手続き
- 楽天証券内の「NISA・つみたてNISA申込状況」をタップ
- 「NISA口座区分を変更する」をタップ
手順自体はこれだけで完了する。ただし、すでに今年分の買い付けをおこなっていた場合、口座区分の変更は来年の1月までできない。また、取引をしていなくても10月1日以降に申し込んだ場合も、1月の区分変更になる。
すでに保有している金融商品の移管はできない
2つ目は「すでに保有している金融商品の移管はできない」だ。
課税口座で運用している金融商品をNISA口座に移して税制優遇を受けたいと考える人もいるだろう。
しかし、課税口座からNISA口座への移管は認められていない。そのため、税制優遇を受けられるのはNISA口座を開設して新たに購入した金融商品だけだ。先に購入していたA社の株などの金融商品は税金を納める必要があることを覚えておこう。
非課税枠をもう一度利用したり繰り越したりできない
3つ目は「非課税枠をもう一度利用したり繰り越したりできない」だ。
つみたてNISAは年間40万円、一般NISAは年間120万円までの投資元本から出た利益に対して税金がかからない。
「売却すれば年間の非課税枠が復活して再利用できるのではないか」「今年は30万円しかつみたてNISAの枠を活用していないから来年50万円使えるのではないか」と考えている人もいるだろう。
しかし、非課税枠の再利用や繰り越しは認められていない。
たとえば、30万円分の投資信託を積立購入している人の年間投資上限額は10万円だ。そこから、10万円分を売却したとしても、年間の投資上限額が10万円分復活して残り20万円にはならない。
つまり、途中で売却すると非課税の恩恵を受けられなくなるというわけだ。
無理をして全額投資する必要はない
4つ目は「無理をして全額投資する必要はない」だ。
年間の枠が設定されていると、限度額まで活用しないともったいなく感じる人もいるかもしれない。
しかし、無理をして満額投資して生活が苦しくなってしまっては元も子もないだろう。
そもそも生活資金を投資に回すのはNGだ。余剰資金を運用して余裕のある範囲内で投資をしよう。
NISAに関して困ったことがあればIFAに相談
NISAはその税制優遇の魅力から多くの投資家に利用されているが、デメリットも十分に理解することが重要である。
投資先選びや期間、金融機関選びのポイントを知ることで、リスクを低減させることが可能である。しかし、実際に運用を開始しようとしてもNISAに関してわからないことや疑問に思うことが出てくるだろう。
その場合は、決してそのままにしてはいけない。理解できていないことがある状態ではじめてしまうと、大きな手間がかかったり、取り返しのつかないことになってしまったりするかもしれない。
さらに、より深い知識やアドバイスが必要な場面では、資産運用アドバイザー(IFA)との相談も視野に入れてみてはいかがだろうか。
IFAは一人ひとりの投資目的やリスク許容度に合わせた最適なアドバイスを提供してくれるプロのアドバイザーである。また、信頼できるIFAを見つけるためのサービスとして「資産運用ナビ」などのIFA検索プラットフォームがある。
NISAのみに限らず資産運用について不安や疑問のある方は資産運用アドバイザーに相談をしてはいかがだろうか。プロの視点から資産運用の疑問を解決し、納得した上で資産運用を行おう。