厚生年金は、会社員や公務員の多くが加入している国の運営する公的年金制度だ。毎月保険料を支払い、将来まとまった年金を受け取れるようになっている。もしもこの保険料を払い過ぎた場合は、還付を受ける必要がある。
ただ厚生年金の還付手続きに関して、知らない方も多いのではないだろうか。そこで本記事では厚生年金を払いすぎた場合の還付方法についてわかりやすく紹介している。
「そもそも払いすぎが発生するのか」「年末調整などで還付されるのか」などについても解説しているので、厚生年金に加入している方はぜひ最後までご覧いただきたい。
もし国民年金での還付手続き方法を知りたい方はこちらの記事で紹介している。
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厚生年金を払い過ぎているか?
厚生年金を払いすぎているのではないだろうかと疑問に思っている人は少なくない。そこでまずは、厚生年金の保険料の計算方法について紹介していく。2022年(令和4年度)の厚生年金の保険料は、簡単に言えば18.3%を収入にかけた金額となる。
実は保険料は以前より徐々に上昇している。2004年(平成16年度)から2017年(平成29年度)にかけて少しずつ引き上げられ、現在の水準に達した。
ただ厚生年金の保険料に関しては、加入者と企業側で保険料を半分ずつ負担するようになっている。そのため実際に加入者が負担する保険料は、9.15%を月収にかけた金額となるのだ。
国民年金との違いは以下の表にまとめた。
国民 | 厚生 | |
---|---|---|
負担割合 | 100%自己負担 | 50%のみ |
保険料 | 一律(1万6,000円程度) | 収入に応じて変動(8,000円〜5万円程度) |
計算方法
計算時には加入者(被保険者)のボーナスを除いた月収から算出できる「標準報酬月額」と、ボーナスを1月当たりの金額にした「標準賞与額」が必要になる。つまり以下の計算式となる。
厚生年金の保険料額
- 標準報酬月額(基本給や通勤手当、住宅手当を合計した金額が該当する等級の金額) × 9.15%
- 標準賞与額(ボーナスを12で割った金額)× 9.15%
これら2種類を足した金額が保険料と算出できる。
この標準報酬月額というのは、日本年金機構が毎年発表している「厚生年金保険料額表」で毎月受け取る月収が属する等級区分の標準金額のことを指す。等級1に属する月収は9万3,000円未満、等級2は9万3,000円以上10万1,000円未満、等級3は10万1,000円以上10万7,000円未満など区分で分けられている。
そして等級1なら8万8,000円、等級2なら9万8,000円、等級3なら10万4,000円など共通の標準報酬月額が定められているので、これらを使うことになるのだ。もし月収36万円の方は、22等級の35万円以上37万円未満に分類されるので、標準賞与額は36万円のままとなる。これを18.3%をかけ2分の1にすれば3万2,940円となる。
具体例
例えば毎月の月収が21万円で賞与が80万円(40万円×2回)の場合は以下の手順で求めていく。
求め方
- 保険料額表から21万円は等級15に該当し、標準報酬として22万円を使う
- 22万円 × 18.3% × 2分の1 = 2万130円が月収分の保険料とわかる
- ボーナスは80万円÷12ヶ月で1ヶ月あたりの賞与額がわかる
- 80万円÷12ヶ月 × 18.3% × 2分の1 = 6,100円がボーナス分の保険料となる
- それぞれ合計して、2万130円 + 6,100円 = 2万6,230円が支払う金額と計算できる
ちなみに小数点以下は50未満を切り捨て、50以上を切り上げとして1円として以下のように処理する。
端数の処理方法
- 2,100.57円 → 2,101円
- 2,100.39円 → 2,100円
ここまで計算してきたが、これらの処理はほとんど会社側が行うことになる。そのため支払いすぎは発生しにくくなっているものの、ゼロとは言い切れないので計算方法を知っておこう。
厚生年金は年末調整で還付されない
支払いすぎた保険料は年末調整で還付されないので注意が必要だ。そもそも年末調整というのは支払いすぎた所得税などの還付手続きのことを指すので、厚生年金などが含まれる社会保険料の還付はできなくなっている。
年末調整・確定申告の仕組み
年末調整は会社側が従業員の所得を一括で税務署に申告してくれる作業のことを指す。この年末調整が行われることで、支払いすぎていた所得税が還付されるようになっている。
もし年末調整を受けずに退職したり別に副業して所得を得ていたりすると、税務署へ申告されていない、もしくは会社の申請金額と実際の所得金額が異なってしまう。
これらを解消するために、自分自身で所得税を確定する申告である「確定申告」を行わなければならない。具体的には確定申告は1月1日から12月31日までに得た所得を、翌年の2月16日から3月15日までの期間に管轄の税務署で申告する作業となる。
書類を直接持参や郵送したり、もしくはインターネット上で申請したりするなどの方法が用意されている。特に副業などで事業収入を年間20万円以上得た場合、確定申告対象になるので覚えておくと良い。
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厚生年金の還付を受けるには?
厚生年金の還付は、確定申告や年末調整で還付されないことを紹介した。そこで実際にもしも厚生年金を払いすぎていて、還付を受けたい場合は主に2種類の方法が挙げられる。
- 給与精算で還付
- 現金精算で還付
還付を受けるには、支払いすぎていることがわかった月の翌月に給与で精算してもらうか、その時点で現金精算してもらうことになる。払いすぎに気づいた時点で会社側へ伝え、還付手続きを進めてもらうようにしよう。
現在の厚生年金保険料を計算してみよう
今回は、厚生年金の払い過ぎた時の還付方法について紹介してきた。まずは還付されるかどうか、自身の保険料を計算してみるのが良い。
厚生年金は将来の積立金で老後の大切な収入源の1つとなるが、現在の生活環境を鑑みてもう少し保険料を抑えたいと考える人もいらっしゃるのではないだろうか。その場合は4月から6月の保険料査定時期に残業を減らすなど、保険料を抑える手段として自分の収入を減らす行動が有効だ。この3ヶ月間が標準報酬月額を決定するタイミングとなるので、ここで分類される等級が下がれば負担する保険料も下がる。
このように厚生年金保険料の仕組みを知っておくことで、適切に保険料を支払えているか、保険料額を抑える方法なども理解しやすくなるのだ。厚生年金保険料に使う保険料額表は公開されている。日本年金機構のホームページで確認できるので、参考にしつつ計算してみてはいかがだろうか。
一方で、お金の悩みは多く、手続きも不安なケースは多いと思う。
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