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【7114】株式会社フーディソン代表取締役CEO 山本徹氏「既存事業の更なる拡大と新サービスの創出で生鮮流通に新しい循環をもたらす」

※本コラムは2023年3月3日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社フーディソンは自社開発した生鮮流通オペレーションにより業界の高い参入障壁を乗り越え唯一無二のプレーヤーとして事業を拡大してきました。

代表取締役CEOの山本徹氏に、その事業の優位性や中長期の成長ビジョンを伺いました。

目次

株式会社フーディソンを一言で言うと

生鮮流通に新しい循環をもたらすプラットフォーマーです。

創業の経緯

私のキャリアは不動産業界から始まり、介護・医療分野での起業を経て、当社創業へと至っております。業界はバラバラなのですが、特に起業という面では、各業界における課題に対する見立てとそれに対するソリューションを提供するという点で共通しています。

食品業界は情報のデジタル化による恩恵を受けておらず、介護・医療業界と同様にその非対称に課題があると感じたのです。それは、長年続く業界でありながら、いまだにやり取りはアナログで、複数の企業がエクセルに打ち込みを行いながら情報を共有していたのです。

このような現状に対し、生鮮流通のプラットフォームを作り上げることで、この課題を解消していける余地があるのではないかと考えました。

また、創業前に訪れた岩手県でサンマの漁師さんと出会い、彼らの苦しい経営状態を初めて知りました。当たり前に口にしていた食品がいつか食べられなくなるのではないか、という危機感は起業を決意するには十分なものでした。

今ここで自分が起業することで、その歴史を変えることができるかもしれないという期待感のようなものも感じていました。

元々起業するならば200年、300年先まで続く会社を作りたいという思いもあり、水産業界にチャレンジする人も少なかったことでさらに意義を感じ、2013年に当社を設立いたしました。

現在までを振り返りますと、物流にコミットしたことが当社にとっての大きな転換点でありました。

生産流通のプラットフォーマーを目指そうとした時、まず物流を最適化することが必要であり、さらに情報流・商流も握ることができると考えたためです。また、リーチできるマーケットが圧倒的に大きくなる一方、従事する業者は減少していくという特徴もありました。

創業2年目の2015年に大田市場の中に場所を確保し、業界自体の変革を進めていくための土台を整備していきました。

上場については創業時から意識しておりましたが、特に2015年に資金調達した段階からはより明確な使命となっていきました。

主力事業の成長とともに会社全体としても安定的な利益を出せるようになったこと、投資家の皆様に事業計画を説明できる状況となったこと、そして物流センターへの投資という資金需要面でのテーマが固まったことなどの要因が重なり、昨年に12月に上場を果たしました。

事業内容について

生鮮流通プラットフォーム事業を展開しております。

B to Bコマース、B to Cコマース、HRの3つのサービスで構成されており、各サービスで関係する業界関係者を捉えていくという発想です。関係者ごとのニーズを捉えてマネタイズしながら、プラットフォームに必要なネットワーク・アセット・ファンクションを取っていくことで最終的に全体を作り上げていくというこのアプローチ自体が、まず我々の大きな特徴といえます。

B to Bコマースでは、飲食店向けに食材調達ができる「魚ポチ」というサービスを提供し、中小の飲食店を中心に月間約3,600店(2023年3月期第3四半期時点)にご利用いただいております。

直接出向く手間を省いて市場と同品質の食材をまとめて購入できるという点や、距離的な問題から市場での調達が難しかった飲食店の方にも利便性や採算性をご評価いただいております。

株式会社フーディソン 2023年3⽉期第3四半期 決算説明資料 より引用

B to Cコマースでは、「sacana bacca」という鮮魚専門店を展開しています。この店舗では、全店共通のMDが求められる大型スーパーでは扱えないような品揃えを提供し、お客様のニーズに応えています。

JR東日本グループに株主になっていただき、出資していただいている関係もありまして、最近は品川や新橋など駅の中に出店させていただく機会が増えています。

株式会社フーディソン 2023年3⽉期第3四半期 決算説明資料 より引用

HRでは、技術者の人材紹介サービス「フード人材バンク」を提供しており、肉や魚の加工技術者など、流通上で必要なスペシャリストを企業に紹介しています。

株式会社フーディソン 2023年3⽉期第3四半期 決算説明資料 より引用

サービス開始以来、これら一つ一つをしっかりと作り込み、単体でもしっかりとお客様にバリューを提供できるような状態を目指してまいりました。

さらに足元では、サービス間のシナジー効果も現れ始めております。

例えば、魚ポチで仕入れた食材を適宜sacana baccaに卸売りすることで、我々の在庫廃棄率はほぼゼロを維持できています。特に産地から直接調達する場合、一般的には一定の在庫リスクが発生するもので、事業上メリットとして還元されていると言えます。

また、sacana baccaが魚を調達する際に使っているシステムは魚ポチでして、ここにもシナジーが生まれています。さらに、sacana baccaの店舗の社員のうち、加工技術者は基本的にフード人材バンクから紹介された人材です。

また、個々のサービスが成長する過程で顧客ネットワークを築いてきましたので、新たなサービスに展開していく際にもゼロからお客様を開拓していく必要がないという点も今後のシナジー効果としては期待のできる部分です。

ビジネスモデルに加え、自社で独自開発いたしましたソフトウェアも高い参入障壁となっています。

分業化されていた流通機能を、魚ポチやsacana baccaなどのサービスを通じて⼀気通貫で連携させており、生産性の向上を実現しております。

株式会社フーディソン 2023年3⽉期第3四半期 決算説明資料 より引用

また、ここにはデータが蓄積されており、このデータを流通内・外でそれぞれ二次利用させることができると考えています。

流通外においては、顧客のネットワークや発注量などのアクティビティが把握できれば、人材や物件の紹介など今何を提案すればお客様に刺さるのかという観点で情報の利活用ができ、それが新しいサービスにも繋がっていくと考えています。

流通内においても、顧客の立地やサイズ、客単価などを踏まえたレコメンドの最適化や、検索状況に応じた商品の拡充などへの活用を検討しています。

このようなデータ活用で、新しいサービスを提供し、当プラットフォームのスケールを拡大させていくことを目指しています。

中長期の成長イメージとそのための施策

生鮮流通のプラットフォーマーという長期的な目標のため、まずはITを活用した流通プレイヤーからスタートし拡大させてきました。ここから我々が中長期的に描くストーリーとしては、プラットフォーマーとして認識されるようなサービスを顕在化させていくことが重要だと考えております。

既存の事業のさらなる拡大とオペレーション強化を通じ、既存サービスのネットワークを活用して、新しいサービスをクイックに立ち上げてまいります。新規をゼロから創出する場合もあれば、M&Aを活用してスピーディーに繋げていくことも検討しております。

この過程では、120〜130%の成長率を実現してまいります。

既存事業の成長戦略についてですが、B to BコマースにおいてアクティブユーザーおよびARPUの拡大を図ってまいります。

株式会社フーディソン 2023年3⽉期第3四半期 決算説明資料 より引用

当社の注力エリアだけでも約12万店、全国では45万店のポテンシャルがあり、B to Bコマースだけでも拡大余地は大いにあります。潜在顧客に認知していただくため、新規顧客獲得においては引き続きマーケティング施策が中心となります。

一方、既存顧客のアクティブ数とARPUの向上には、商品の拡充や検索性の向上が重要です。

まずは、何よりもユーザが買いたいと求める商品があることが大事です。このためには物流センターの確保などの設備投資も進めていきます。

また、水産品以外の食材も拡充していきます。時間経過ともに鮮度が落ちてしまう水産品は、他の生鮮食品と比較して流通に絡む信頼関係の構築が最も扱いが難しいと認識しています。

すでに当領域で飲食店からの信頼を得ている当社がそれ以外の食材も取り揃えることができれば、必然と一店あたりの売上高も向上していくと考えております。

株式会社フーディソン 事業計画及び成長可能性に関する事項 2022年12月16日 より引用

一方、選択肢が増えることでユーザーが欲しいものを探す難易度は高くなっていきます。そのため、先に申し上げた適切なレコメンド機能などを活用し検索の質を同時に高めてまいります。

加えてB to Cコマースの拡充やHRサービスでの事業者支援市場の開拓により、成長スピードを加速させていけると考えております。 

また、今年の8月にはフルフィルメントセンターの拡張を計画し調査を進めております。

株式会社フーディソン 事業計画及び成長可能性に関する事項 2022年12月16日 より引用

詳細につきましては今後リリースしていきますが、現状の市場の特殊性を考慮し、当業界の物流ノウハウを形式化し、誰であってもできるような仕事に落とし込んでいくことが重要だと認識しております。

知識がなければ物流に従事できないとなると、マーケットをスケールさせることは難しくなってしまいます。オペレーションの標準化という側面からこの課題を解消し、生鮮流通のプラットフォーマーとなることを目指してまいります。

投資家の皆様へメッセージ

当社はレアな魚を売っている魚屋や、魚ポチというサービスだけを提供する飲食店向けの卸売会社でもありません。

これらは生鮮流通のプラットフォーマーを目指す過程で顕在化されたサービスの一つになります。日本全国にこのようなインフラを作り、さらには日本の魅力ある魚を世界に向けて出荷していくこともあるでしょう。

我々の取り組みを投資家の皆様にわかりやすく理解していただくため、継続的に説明を行い、信頼していただけるように努めてまいりますので、応援していただけます幸いです。

株式会社フーディソン

本社所在地:東京都中央区勝どき3-3-7 ケンメディアビル5階

設立:2013年4月1日

資本金:8億1944万円(2022年12月15日現在)

上場市場:東証グロース(2022年12月16日上場)

証券コード:7114

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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