※本コラムは2022年9月8日に実施したIRインタビューをもとにしております。
学生時代に会社を創業し、これまで培ってきた技術やノウハウを活かして、ITインフラストラクチャに特化した事業を展開している株式会社ボードルア。
創業の経緯や今後のビジネス展望など、代表取締役社長の冨永重寛さんに話を伺いました。
株式会社ボードルアのビジネスの概要
株式会社ボードルアを一言で言うと
創業よりITインフラストラクチャに特化した事業を展開しております。専門人材を育成し、その技術を活かしたサービスを提供している会社です。
継続的に高い成長率を上げられている理由
一番はITインフラストラクチャに特化している点です。
以前のITシステムはもう少し単純で広く浅くの時代でしたので、システム開発会社の多くはITシステム全体、広い領域をターゲットとしていますが、最近ではITシステムが複雑化し、社会的ニーズが多様化してきたことにより、今では広い領域でより深くなってきています。そのため、当社に限らず、特徴あるシステム会社が注目を浴びるようになってきました。
例えばAI、自動化、DX、クラウドなどに特化している会社などが挙げられます。その様な時代背景の中、当社はITインフラストラクチャの一分野に特化している会社となります。
また、当社は、インフラの中で、ファシリティ工事会社がメインに行っている工事部分は行っておりません。いわゆるインフラのIT部分のみを担当しております。
これまでITインフラストラクチャは、システム開発会社やファシリティ工事会社が自分たちのメインとなる分野に付随しておこなっていましたが、高度化している時代背景があるので、ここに特化した当社のユニークなポジションは存在感がでてきたと感じております。
また、当社は特定のメーカーの機器やシステムの販売は行っておらず、役務提供のみのサービスとなります。その為、例えばクラウドの導入であれば、顧客の要件に合わせてマルチクラウドでの提案ができるので、販売元の制約や影響を受けないサービス提供ができます。ここまでこの分野の役務提供に特化している類似企業はあまりいないと思っています。
創業の経緯
私の学生当時ベンチャーブームで、その流れに乗っかって起業しました。そしてたまたま最初に始めたのが、このボードルアという会社の事業でした。
なぜITインフラストラクチャにしたかというと、キラキラしたイメージのWeb周りよりも、その裏側で動くITインフラストラクチャの方がこれからもっと重要になっていくと考えたのと、ITインフラストラクチャに特化した会社はなかったので目をつけました。
もっというと、当時既にアプリケーションを作る会社はたくさんあったのですが、正直技術があったわけではないので技術領域を絞らざるを得なかったというのもあります。
創業メンバーは私の友人で構成されており、現在も取締役に就いているなど、ほとんど残っています。創業時はすごく若く、技術的な知識があるものがいるわけではなかったのですが、一部の分野に絞って注力していくことで、5年くらいすると少しずつ仕事が舞い込んでくるようになってきました。
そして数字に表れ始めたのが4~5年前くらいです。5G、クラウド、DXなどの背景で、新しい分野の技術の需要が上がり、営業利益率も以前は5%くらいだったものが、現在は17%くらいまで上がってきています。
事業内容
今後の成長
一番は高度専門人材の育成が重要です。
人員構成を3つに分けていまして、一番下の層が入社1・2年未満のエントリークラス、その上が社内の一定の人事考課で分けた専門人材、高度専門人材です。
ただ、実際に売上に大きく影響がある人材は上2つの専門人材、高度専門人材です。上場の数年前から新卒の大量採用を始めたので、現在は社員の半数近くがエントリークラスですが、今後この層が専門人材・高度専門人材に移り変わっていくということで、ある程度当社の今後の成長イメージや売上イメージがついてきます。
技術者の採用に関しましては、経験者採用を行っておらず、新卒・第2新卒のみ採用を行っています。
未経験を採用している理由
文化や社風形成などの意味合いもありますが、ITインフラストラクチャの領域の経験者を採用しようと思っても、経験者が転職市場ではかなり少ないです。アプリケーション分野だと経験者は多く、中にはITインフラストラクチャの分野を少し経験した人もいますが、経験値が少なく、年次も上になります。
当社の場合は、ITインフラストラクチャに特化した教育、業務経験を積んでいく土壌があるので、比較的早い成長スピードで育てることができます。
つまり当社の場合は、採用が難しく、数も安定しない経験者採用を行うよりも、未経験の新卒を採用して育てた方が早いということです。
市場価値を上げるために必要なこと
ITインフラストラクチャの中でも、SDNと言われるネットワークの仮想化、クラウド、セキュリティ、ワイヤレス、ロードバランサーなど技術的に難しく専門性が高い分野を、当社では「先端技術分野」としております。
当社は現在、この先端技術分野の売上が、約50%あります。
高度専門人材を育成し、先端技術分野の売上比率を伸ばしていくことが当社にとっては、市場価値を上げることにつながっていくと考えております。
中長期の成長イメージとそのための施策
足元の成長と具体的な戦略
先ほどの高度専門人材を育て、先端技術分野の売上比率を伸ばしていくことに加え、エンタープライズ顧客、いわゆる大企業の売上を伸ばしていくことも重要となります。
当社は、今まで口コミで案件を請けることが多かったので、あまり積極的な営業は行っていませんでした。しかし、先端技術分野やエンタープライズ顧客の開拓を行っていく為には攻めの営業が必要になってくると思い、専門の営業部隊を作りました。
それによって、エンタープライズ取引社数は増えていき、前期は15社から22社に増えて、今期第一四半期で24社に増えていきました。割合としても、全体売上に占める割合が66%まで上がってきています。
社数も大事ですが、これからは当社内のエンタープライズ顧客の売上割合を増やしていくことが重要だと考えています。
M&Aの対象先として考えていること
当社は今期の5月から連結決算になりました。子会社は元々、売上2億円ぐらいの会社でしたが、当社の業務を一部移管していくので、今期では4億円程度になる予想です。
今回が初めてのM&Aになりますが、業務改革や技術共有、技術ナレッジを共有していくことによって、売上も利益も上がるような会社を増やしていきたいと思っていますので、当面は当社の事業領域に近い会社をM&Aしていきたいと思っています。もう少し中・長期目線では、当社もM&Aに慣れてきたら、AI・IoT・DXなどの当社のビジネスと親和性の高い領域とのM&Aなどを考えています。
投資家の皆様へメッセージ
まだ上場して間もなく、まだまだレコードが少ないですが、これから本決算などを迎え、言葉と実績が結びつくようになって来れば信憑性も高まると思いますので、ぜひ当社をウォッチしていただきたいです。
そして信頼していただき、将来投資をしたい銘柄の一つになってもらえれば、嬉しいと思っています。
本社所在地:東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー37階
設立:2007年4月
資本金:592,800千円(2022年2月末)
上場市場:東証グロース(2021年11月30日上場)
証券コード:4413