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【7093】アディッシュ株式会社代表取締役 江戸浩樹氏「独自のビジネスモデルと育成体制の拡充で市場成長を捉える」

※本コラムは2023年4月18日に実施したIRインタビューをもとにしております。

アディッシュ株式会社はスタートアップ特化のカスタマーサクセス支援で独自のビジネスモデルを確立しています。

代表取締役の江戸浩樹氏にこれまでの事業の沿革や中長期で同社が目指す姿を伺いました。

目次

アディッシュ株式会社を一言で言うと

スタートアップ領域に特化したカスタマーサクセスのソリューション・プロバイダーです。

創業の経緯

当社は、私が前職で立ち上げた事業をカーブアウトする形で2014年に設立されました。

元々私も自ら経営することを志しておりましたし、当時在籍していた会社もスピンアウトやカーブアウトを推奨するような組織でした。

そのような中、取り組んできた事業が一定規模に成長し、数年でIPOまでが見込める段階となったタイミングで法人化いたしました。

創業以来、事業は順調に推移してきましたが、カスタマーサクセス支援を事業テーマに据えたことは一つのターニングポイントにあたると思います。

2020年の上場前後で会社の方向性や事業を取り巻くマーケットについて議論を重ねる中、我々のお客様の大半がスタートアップ企業であり、かつ当領域が今後市場としても大きくなるだろうと見通しがありました。

また、カスタマーサクセスの領域も、同様に拡大余地が見込めたことから、スタートアップ市場を捉えていこうと決断したのです。

上場については設立当初から意識していましたが、具体的な準備は2016年の後半頃から開始しました。

まだ当時はこのような呼び方をしていなかったものの、”スタートアップ領域のカスタマーサクセス支援“という一つの事業モデルの型ができ、会社として継続的な成長が期待できる状態になったことが上場へとつながっていきました。

アディッシュ株式会社 2023年3月 事業計画及び成長可能性に関する事項  より引用

日々のマネジメントにおいては、会社のミッションやビジョンを大事にしています。

また、カスタマーサクセスに携わる企業として、顧客や、その先の顧客の顧客にまで本質的な価値提供ができているかという視点を重視し、経営を行なっています。

事業内容について

主な事業はスタートアップのカスタマーサクセス支援です。

当社におけるスタートアップの定義とは、資金調達を行っている未上場企業やグロース市場上場企業、また大企業発の企業内スタートアップなどが当てはまります。

そしてこのような幅広い業態のスタートアップは、その成長過程において顧客に関連する共通課題を抱えています。

具体的には、B to Cサービスの企業であればカスタマーサポートやユーザーの継続利用促進などのリテンション課題が挙げられます。一方B to Bの場合ですと、当社のお客様は大半がSaaS企業でして、彼らが提供するサービスのオンボーディングや解約率の低下などが重要な課題となります。

当社は、この課題解決のため、コンサルティングから分析・設計までを担うだけでなく、オペレーションなど実運用に至るフェーズにおいてもリソースを提供しています。

また、ネット上の誹謗中傷対策や炎上対策などのアダプション課題にも取り組んでいます。

具体的には、SNS上の投稿を介した企業とユーザー・消費者との関わりを、風評被害対策も含めて対応するプロダクトを展開しております。

アディッシュ株式会社 2023年3月 事業計画及び成長可能性に関する事項  より引用

我々のポジションはアジャイルなサービス領域と表現でき、競合他社が参入しにくい要素がいくつか存在します。

まず、顧客がスタートアップ企業であるため、変化の激しい事業モデルに迅速に対応する体制が当社にはあります。

また、カスタマーサクセスの設計から運用までを一貫して行っており、競合するコンサルティング企業やコールセンターとは異なるポジションを確立しています。

そして、スタートアップ領域に焦点を当てている点がさらなる独自性となっています。

これらの要因から、顧客となるスタートアップ企業にとっても、実績を積み上げており、豊富な人材を抱える当社を選ぶ傾向が強まるという好循環が生まれています。

また、このビジネスモデルは、我々が元々スタートアップ企業を中心にサービスを提供してきたという過去の経緯から確立されたものでもあります。

今後、同様のモデルを構築することが完全に不可能とは言えませんが、それには一定の時間を要するものと認識しておりますので、この点においても先行者利益が大きな優位性となっています。

アディッシュ株式会社 2023年3月 事業計画及び成長可能性に関する事項  より引用

さらに、我々のビジネスモデルは一定規模の人材を抱える必要があり、この人材こそが高付加価値サービスの提供において重要な要素と言えます。しかし、カスタマーサクセス領域の経験者は決して多くありません。

そこで当社では、採用・育成の両面で未経験者を事業成長に繋げるための体制を整えています。

採用においては、過去の経験則も踏まえ、未経験ながらもカスタマーサクセス領域で能力を発揮できる人材像を定めることで採用基準を明確にしています。

教育については“カスタマーサクセスプライムラーニング(CSPL)”という独自の教育コンテンツを作成し、体系的かつ実例を活かした実践的な学習を実現しています。

これにより、未経験者でも高い価値を提供できるようになるのです。

アディッシュ株式会社 2023年3月 事業計画及び成長可能性に関する事項  より引用

これらすべての要素が当社の競争力となり、高い参入障壁となっています。

事業環境全体の見通しとしては、短期的にはアメリカの景気減速などの影響でスタートアップ投資に対する慎重な姿勢が見られるかもしれません。

しかし、中長期的にはスタートアップ市場およびBPO産業の成長が予想されており、当社はその両方を捉えるポジションに位置しているといえます。

中長期の成長イメージとそのための施策

当社の中長期戦略は、“顧客層の拡大”および“1顧客からの月次収益の増加”の2つの成長ドライバーに焦点を当てています。

アディッシュ株式会社 2023年3月 事業計画及び成長可能性に関する事項  より引用

顧客層の拡大について、今後のターゲットとしているのは建設や医療、またはweb3などの分野になります。

これまでの経緯を辿ると、当初はソーシャルメディアや学校・自治体から始まり、次にFintechやMaaS領域に進出してきました。創業来、当初は戦略的に分野を選定してきた部分がありますが、特に上場後については、先ほども申しあげたように広く“スタートアップ市場”を捉えていく方針を定めています。

そのため、我々が今後注力していく分野はすなわちスタートアップ企業が多く誕生している業界であって、まさに建設や医療分野がこれに該当します。

他にも、足元で注目を集める生成AIなど、その時々のトレンドに沿った業界の企業が当社の顧客としても増えていくと考えています。

アディッシュ株式会社 2023年3月 事業計画及び成長可能性に関する事項  より引用

月次収益の増加に関しては、アップセルとクロスセルの両面で成長を図ってまいります。

アップセルについては継続したお取引の中で顧客企業が成長することで拡大が見込める部分ですので、最初の価値提供が非常に重要であります。そして、ここについては当社もまだ改善の余地があると認識しています。

相手(スタートアップ企業)の動きに合わせ、我々の提供したものが本質的な価値になっているか等、適切なヒアリングを行いながら共に成長することが重要だと考えています。

また、クロスセルについてはより当社の能動的な働きかけが求められる領域になります。

当社はカスタマーサクセスの中でも、オンボーディングやオペレーション部分、そしてチャーン対策など幅広い支援サービスを揃えていますが、これをいかに適切なタイミングで提供できるかがポイントになります。

この点、過去の支援実績からスタートアップのフェーズごとに課題になりやすいポイントを把握できており、データを活用することで実行可能であると考えています。

アディッシュ株式会社 2023年3月 事業計画及び成長可能性に関する事項  より引用

業績的な観点で申し上げますと、先ほどご説明差し上げた”カスタマーサクセスプライムラーニング”が下期以降の投資回収フェーズに入ることで売上トップラインが向上しやすくなることが期待されます。

昨年まででコンテンツの中身は完成しており、進行期の上期において、教育を受ける側、および教育する側の双方がこのシステムを活用するための仕組みの構築に注力しております。

この仕組みが完成し、いよいよサイクルが回り始めますと未経験者でもスピーディーに業務に取り組めるようになっていきます。

当社は、類似のビジネスモデルを展開する企業に比べて販管費率が高い水準にあるのですが、その原因の一つが売上規模であると認識しています。

ただ、原価と違って販管費は売上規模が拡大しても一定水準が保たれるものです。

そのため、この施策により売上成長スピードが加速していくことで売上に占める販管費率が低下していき、結果として売上と利益を同時に高めていける体制が1年〜2年を目処に構築できると考えています。

アディッシュ株式会社 2023年3月 事業計画及び成長可能性に関する事項  より引用

繰り返しになりますが、当社事業はカスタマーサクセスとスタートアップという二つの成長市場に位置しております。

また、コールセンターやコンサルティング企業など、部分的な競合は存在するものの、同様のモデルでの参入障壁は高く、独自性を確立しています。

さらに、教育コンテンツやベストプラクティスの蓄積を通じ、中長期的にも総合力で選ばれやすい状態を築くことで、継続的な成長を実現してまいります。

投資家の皆様へメッセージ

当社はカスタマーサクセスの分野で強固なポジションを築き、成長市場に位置しながら参入しにくい領域で事業を展開しています。

今後は売上を伸ばしつつ、利益も自然に拡大させることができるフェーズに移ってまいりますので、投資家の皆様にはぜひこの点にご注目いただきたいと思います。

アディッシュ株式会社

本社所在地:東京都品川区西五反田1-21-8 ヒューリック五反田山手通ビル6階

設立:2014年10月1日

資本金:54,047,000円(2022年12月31日現在)

上場市場:東証グロース(2020年3月26日上場)

証券コード:7093

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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