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【2325】株式会社NJS代表取締役社長 村上雅亮氏「水と環境の分野のリーディングカンパニー」

※本コラムは2023年5月10日に実施したIRインタビューをもとにしております。

日本で最初の上下水道コンサルティング会社としてスタートし、今ではソフトウェア事業をはじめ、事業を多角化している株式会社NJS。

代表取締役社長の村上雅亮氏に、事業展開のストーリーや今後の成長戦略についてお伺いしました。

目次

株式会社NJSを一言で言うと

水と環境のコンサルティングとソフトウェアサービスの会社です。

代表就任の経緯

当社は1951年に創業した、わが国最初の上下水道コンサルティング会社です。創業の目的は上下水道の普及発展と技術者の育成です。

戦後まもない時代に、新しい社会には上下水道の普及が不可欠という認識のもとに、先進的な上下水道の技術サービスを提供する企業として創業しました。

その後、1960年代から70年代の高度経済成長に伴う都市化の進行とこれに続く公害問題の発生などを受けて、上下水道の普及は急速に進み、当社の事業も拡大しました。

私は1975年に当社に入社し、下水道事業を全国に普及させるために多くの施設の設計に携わりました。

90年代に入るとコンピューターが急速に普及しました。私は施設の保守・管理を効率化するためIT技術を活用することが重要と認識し、コンピューターを用いて施設の設計や維持管理に関する情報を一元的に管理するソフトウェアの開発に着手しました。

2000年代は政府が構造改革を推進し公共事業費が縮小されたことで、国内事業の売上は減少し
ました。しかし、この時期には自社開発ソフトウェアの展開と海外業務に力を入れ、その後の成長の礎を築くことができたと考えています。

2011年には東日本大震災が発生し、復旧・復興業務や災害対策業務が拡大しました。

さらに、高度経済成長期に整備された施設が耐用年数を迎えることでインフラの老朽化が社会課題として認識され、改築業務が伸長しました。

このような流れの中、2014年に代表就任に至りました。以来、水と環境のコンサルティングとソフトウェアを事業の中核に据えて今日まで至っています。

事業内容について

水と環境のコンサルティングとソフトウェアのサービスをベースにして、国内外のコンサルティング、ソフトウェア、インスペクション、オペレーションの事業を展開しています。

株式会社NJS 2022年12月期決算説明会資料 より引用

コンサルティング事業では、自治体からの委託により上下水道インフラの調査、計画、設計、監理などの業務を実施しています。充実した技術者が全国に配置されており、経験やノウハウを豊富に蓄積していることが強みとなっています。

国内における実績は、浄水場で約300ヶ所、下水処理場で約600ヶ所です。海外においては、アジア、中近東、アフリカ、中南米など90ヶ国で実績があります。

ソフトウェア事業では、インフラの管理を中心に運転管理支援から雨水対策まで、経営面では料金徴収、財務会計、資産管理まで、上下水道のほぼ全分野をカバーしています。

このように一気通貫でインフラ管理を行っている会社は他にはなく、独自のポジションであります。

近年は、施設の老朽化や改築更新の増加に対応して、アセットマネジメントやAIを活用した機能診断等の機能強化を図っています。ソフトウェアのユーザー都市数は260都市で、業界No.1のシェアとなっています。

インスペクション事業は、インフラの点検調査サービスやツールの販売をするものになります。

とりわけインフラ点検用ドローンについては、下水管のような狭い空間で飛行し点検するドローンの開発に成功し、作業の効率化、安全確保、精度向上も実現しています。

直径40センチまでの小口径管路施設内を飛行できるドローンは世界で当社だけであり、オンリーワンの技術です。また、昨年より、水上走行ドローンと水中ドローンを開発し展開しています。これらのドローンは、使用中の水がある、水が流れている施設でも調査でき、上下水道だけでなく農業、道路、電力、船舶など多くのニーズがあります。

オペレーション事業では、幅広い運営支援サービスを提供しています。料金管理、会計処理、工務住民窓口のほか、施設の点検・データ管理、システムの構築・運用保守など、現場ニーズに対応したサービスを提供します。

現場の業務は増加し複雑化しているにも関わらず、事業体の人材は不足している現状にあります。当社はコンサルティングにも取り組んでいる会社であるため、事業計画の策定や経営改善分野とパッケージ化した高付加価値サービスを提供できます。

さらには、ソフトウェアサービスを強化してきたからこそ、蓄積されたノウハウを基にしたデータ運用のサポートをすることができます。この2点は当社が持つ独自性です。

そして、これら事業の基盤強化の施策として、人的資本の強化と生産性の向上に取り組んでいます。人的資本の強化は創業以来重視してきた課題ですが、今日の人手不足が進み一層重要性が増しています。

株式会社NJS提供

まずは人材確保の面において、ダイバーシティを推進した人材採用を行い、次世代の担い手の卵を獲得します。

次に、育成の段階ではセルフマネジメントを尊重し、技術とリーダーシップの二面で成長を促します。

さらに、社員のキャリア形成支援の一環として、リスキリングのサポートも積極的に進めています。

現在の連結従業員数は1200人を超えていますが、引き続き、採用、育成、処遇、組織の面から強化を図っていきます。

生産性の向上については、仕事レベル、職場レベル、社員レベルの3段階に分けています。仕事レベルでは付加価値の高い仕事の創出、職場レベルではデジタル技術を活用した仕事の効率化、社員レベルでは社員の成長とモチベーションの向上に取り組んでいます。

株式会社NJS提供

当社は設計会社からスタートした存在ですが、今ではこのように事業を多角化しており、幅広い分野に展開していることが強みとなっています。この基盤には、創業当初から常に社会のニーズに対応し、新しい価値を提供し続けたいという思いがあります。この理念を経営層のみならず会社全体で共有し、取り組み続けてきました。

中長期の戦略イメージとそのための施策

気候変動の進行、災害の激化、新型感染症の流行などを受けて、持続可能な社会を目指す動きが世界で進んでいます。これにより、水と環境の新たなインフラの重要性が再認識されると同時に、新たな価値の創造が求められています。

これに対して当社は、主力のコンサルティング分野、強みであるデジタルの分野、およびグローバルの分野でさらなる成長を目指しています。

株式会社NJS提供

まず、国内のコンサルティングについては、施設の老朽化、災害の激化、脱炭素化の要請など、事業課題が多様化・複雑化する一方で、人口減少に伴い自治体の職員は減少しており、コンサルティングニーズが増大しています。

これに対して当社では、インフラのライフサイクルを通したコンサルティングを軸に、的確で実効性の高い提案、事業遂行も含めたサポートの提供、サービス領域の拡大を実現します。

株式会社NJS 2022年12月期決算説明会資料 より引用

人口減少の中で老朽化が進行するインフラについては、管理面の高度化・効率化、防災減災対策の強化、省力化・自動化への対応が急務であり、デジタル技術の活用が不可欠な状況となっています。

一方、自治体では専門人材の不足などから、効果的なデジタル化の仕組みが確立されておらず、データの取得・解析・活用に関するシステムの整備と効率的な運用体制が必要になっています。

株式会社NJS提供

これに対して、ソフトウェアとドローン・センサーの一体的な活用により、デジタルとロボティクスの複合システムを構築します。さらに、インフラ管理の高度化を実現するデータ運用サービスの創出、さらに道路、農業、発電など多様なインフラへの適用を推進しています。

世界に目を向けると、水と環境の重要性は高まる一方、財政面や体制面に課題を抱えています。これに対して当社は、インドに焦点を当て、現地法人の育成に取り組んでいます。

インドは中国を抜いて人口が世界一になると推計され、最も経済成長が期待される国です。ですが、水道普及率は都市部で91%、農村部で61%、下水の衛生処理率は25%であり、水と環境の整備は発展途上にあります。

当社は2007年に現地法人を設立しコンサルティングサービスを展開しており、現地法人の社員数は500人に達しています。今後インドの経済成長とともに伸びていく見込みです。

当社が取り組んでいる上下水道事業は、人々の生活に必要不可欠であるため絶対になくならない事業であり、加えてサービスレベルを常に向上していかなければならない分野でもあります。

さらに、人口減少に伴う労働力不足の流れの中で、生産性の向上や自動化・省力化・DX推進のニーズは高まり続けるでしょう。

社会のニーズを捉えて取り組めば着実な成長を重ねることができると考えています。投資家の皆様には、水と環境の課題解決に向けた当社の取り組みと、これによる成長戦略をご理解いただけるよう積極的に情報を発信してまいります。

株式会社NJS 2022年12月期決算説明会資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社は「健全な水と環境を次世代に引き継ぐ」をパーパスにしています。

社会のサステナビリティ(持続可能性)やレジリエンス(強靭性)が問われる時代となり、水と環境の重要性、水と環境を支えるインフラの重要性がますます高まっています。

また、健全な水と環境を次世代まで引き継いでいく必要があり、そのための知恵と技術を結集していく必要があります。NJSはそのためのリーディングカンパニーになっていきたいと考えます。

配当については、順調な業績により2017年から6期連続で増配しています。当時40円の年間配当が、現在80円となっています。今後も積極的に株主還元をしてまいります。

投資家の皆様には引き続き応援していただきますようお願い申し上げます。

株式会社NJS

本社所在地:東京都港区芝浦一丁目1番1号 浜松町ビルディング14階

設立:1951年9月3日

資本金:5億2,000万円 (2023年5月アクセス時)

上場市場:東証プライム (2002年9月26日上場)

証券コード:2325

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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