※本コラムは2022年9月14日に実施したIRインタビューをもとにしております。
今後のスマートシティやスマートビルの実現に向けて、AIやテクノロジーを組み合わせて新しいセキュリティシステムを構築し、事業を展開している株式会社セキュア。事業内容や今後のビジネス展望など、代表取締役社長の谷口辰成氏に話を伺いました。
株式会社セキュアを一言で言うと
空間をデータ化して知性を与える会社です。
我々のストーリーとしては高付加価値に使われる監視カメラシステムというものは、今後セキュリティだけではなく、スマートシティやスマートビル、スマート店舗などたくさんの場所で使用されていくと考えており、応用範囲が広いと感じています。
創業の経緯
実は、2002年〜2010年はホームセキュリティ、今で言うスマートロックやIoTなどの事業を行なっていました。ただリーマンショックにより、当時は資金先行型のビジネスですと立ち上げることが難しく、一度ホームセキュリティ事業をやめました。
そして、今のBtoB向けのセキュリティソリューション事業にビジネスを転換しました。この事業を立ちあげる際に2つの側面がありました。
まず一つ目はマーケットの需要です。2010年以前は中小企業にセキュリティを売りにいっても「うちは盗られるものがないから何もいらないよ」という感じで、セキュリティの定義自体も生命と財産を守るというものでした。ところがTwitterやSNSが普及し始めた2008年頃から、個人情報の漏洩やバイトテロなどの不祥事がSNS上で拡散されることによるレピテーションリスクによって、大企業だけでなく中小企業もダメージを受けるようになってきました。そういう意味においては、セキュリティ対策というのが外からやってくる脅威だけではなく内から生み出される脅威に対しても守らなければならないというのが、あらゆる業態の企業において需要として広まっていきました。
二つ目はテクノロジーです。監視カメラ業界自体は40〜50年前からありますが、ただ撮って録画するだけというものでした。しかしデジタル技術が浸透し始めた以降、監視カメラシステムもIP化の流れが加速しました。ちょうどその頃にイスラエルで画像認識というテクノロジーに出会い、今まで解決できなかったことが画像認識技術(AI)と監視カメラシステムなどを組み合わせることにより解決可能となり、進化したセキュリティの形が、社会に必要とされる新しい価値として生み出していけると思い、事業を転換しました。
事業内容
事業内容は主に入退室管理システム、監視カメラシステム、画像解析サービスの3つになります。オフィスや工場、商業施設などに画像認識技術(AI)とセキュリティシステムを組み合わせたソリューションを提供しています。基本的にはソフトウェアは自社で開発し、ハードウェアとAIを掛け合わせてシステムを企業様に提供するビジネスです。
現在、7500社に導入させていただいており、メルカリ様やスマートニュース様などITソリューション企業をはじめ、地銀、飲食店、ドラックストア、コンビニ、ショッピングセンター、食品工場などにご活用いただいております。
入退室管理システムは年間で1000システムほど導入しており、セキュアのソリューションはオフィスをはじめ、様々なシーンで利用されています。
また、コロナ禍における非接触ニーズによる顔認証での入退室管理システムの需要も拡大しております。我々はオンプレミスとクラウドサービスの両方持っていることが強みで、ユーザーの様々なニーズに合わせてハイブリットなサービスを提供することができます。
特に力を入れているクラウドサービスは、例えば顔認証を行うと同時にマスク有無や体温を検知し、扉を開けない、もしくは管理者への通知を送るなども可能なシステムになります。また、オフィス内の密度や混雑具合の可視化なども自動で行うことができます。そして、スマートフォンなどで撮影した顔写真を管理者へ送ることでワンタイムパスなども作成することができ、コロナ禍で総務の人員が減ってテレワークしているときでも新入社員やゲストの対応が可能になります。
オフィス以外でも、24時間営業のフィットネスジムなどの半無人化で営業している施設でも導入が増えてきております。顔認証の導入によってカードの貸し借りや紛失を防ぎ、フィットネスジムの利用者も手ぶらで利用することができます。さらに監視カメラシステムとAIを組み合わせることにより、マシーンの稼働率を分析し、ジムの混雑度などを可視化することもできます。
監視カメラシステムに関しては、手軽さというより本格的にシステムを活用したいというユーザーが多いです。従来の監視カメラシステムは抑止効果か事故や事件が起こった際の利用になっていました。しかし、昨今のA I技術の進化によって画像認識技術が上がり、セルフレジの管理や万引きなどの抑制や検知などをはじめ、店内利用者の導線の分析、店の混雑具合などマーケティング的な利用も増えています。このような、セキュリティの高度な運用や多目的での利用望むユーザーに対して高度なシステム提供を行なっております。
中長期の成長イメージとそのための施策
既存のセキュリティビジネスはまだまだ需要が増えており、AIや新しいテクノロジーを活用しシステムを高度化していくことにより、これからも成長余地があると思っています。
そのようなシステムを応用してくことで、AI STORE LABの事業化を目指しております。
また、今ある技術を応用し拡大してくことで、スマートシティやスマートビルを実現することも可能だと考えております。
さらに、日本だけではなく海外進出も考えています。そもそもセキュリティ需要というのは、東南アジアや中東・南米など治安が不安定な国の方が高く、今後は都市のインフラ整備と共に安心安全のインフラとしてのセキュリティシステムの導入も広まっていくと言われております。そういった中でまずは、東南アジアから狙っていきたいと考えています。
AI STORE LABに関して
無人店舗も入退室管理システムと監視カメラシステムの応用で構築されています。ですので、自分達で作ることが可能ではないかと考えて開発を行いました。
簡単にいうと顔認証型の「Amazon Go」のようなもので2年前に立ち上げました。
初回のみ顔の登録は必要なのですが、その後はスマホも財布も持たず手ぶらで買い物することができます。店内に顔認証で入り、AIが「誰が入室したか」「どういう行動をしているか」を解析するので、好きな商品を手にとっていただくと、AIが検知してそのまま決済が進んでいくシステムです。
裏側では、例えば30代の女性が「この商品を手に取って」「何秒間見ていて」「どういう表情をして」「その商品を棚に戻したのか」あるいは「購入したのか」、「その後はどんな商品を手に取ったのか」という行動分析ができるので、単純に無人化自動化ということのみならず、購買履歴はもちろんのこと、購買前の行動なども定量化することができます。
今後はユーザーの目線や表情なども分析し、ユーザーの興味関心に応じて周辺情報を変えていくことができるよう、店舗のDX化に向けて動いております。
投資家の皆様へメッセージ
短期的には、セールスマーケティングの拡大が少しずつ業績に連動していくので注目していただきたいです。
中長期的にはAI STORE LABを新しい事業として進めておりますので、立ち上がりなど見ていただくと我々の将来性も見えてくるのではないかと思います。
我々がAIやテクノロジーを使って安心安全な世の中を作っていくことで、こういったテクノロジーは今後あらゆるところで使われ、快適な社会が広がっていくと思います。
サステナブルに貢献できる会社だと思いますので、中長期的にご支援していただけますと幸いです。
所在地:東京都新宿区西新宿二丁目6-1 新宿住友ビル20F
設立:2002年10月
資本金:534,044,100円(2022年1月31日現在)
上場市場:東証グロース(2021年12月上場)
証券コード:4264