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【9346】株式会社ココルポート代表取締役社長 佐原敦矢氏「福祉のあたりまえを徹底する高い支援力」

※本コラムは2023年5月31日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社ココルポートは”個別支援”にこだわる障害福祉サービスを展開しています。

代表取締役社長の佐原敦矢氏へ、代表ご就任の経緯や事業の優位性、今後の成長方針を教えていただきました。

目次

株式会社ココルポートを一言で言うと

ザ・福祉の姿勢を貫く株式会社です。

当然のことながら、会社が赤字であれば給料を支払うことができず、社会に貢献するという我々の本来の目的も果たせなくなってしまいます。

利益を追求することも必要だと認識していますが、それは絶対的な目的ではなく、障がいのある方々が一人でも多く生き生きと社会に参加し、自立することを支援するための手段と位置づけています。

代表就任の経緯

当社の代表となるまでの道のりは、まさに一筋縄ではいかない経緯がありました。

新卒で㈱リクルートに就職しましたが、元々そこで得た様々な経験から30歳位で起業することを考えていました。しかし人生は予想外の道を辿るもので、部長や支社長を経験する機会を得ながら同社に残り、結果的には50歳のタイミングで退職をしました。

その後、マーケティングリサーチ会社の㈱クロス・マーケティングに入社しました。2年半が経った頃、リクルート時代の後輩を経由し障がい福祉事業である当社の社長ポジションとしての転職の誘いを受け、深く興味を持ちました。

私が障がい福祉事業に興味を持つようになったのは、大学時代とリクルート時代に体験した深い悲しみがきっかけでした。仲の良かった複数の同級生や同期がうつ病に苦しみ、最終的に命を絶つという経験を通じ、自分に何かできることはなかったのかと考えることが幾度もありました。

そういった思いを胸に秘めつつキャリアを積んでいた中でこのお話が来たとき、まさにこれがその何かをするための機会なのだと感じ、当社に飛び込みました。

入社してみると、徐々に明らかになる赤字経営の実態を見て、私自身この経営の重責を果たすことに大きな迷いを抱きました。

しかし、支援員として現場で働き、現場スタッフやご利用者様と接するうち(入社後しばらくは社長候補ではなく“支援員”として入社したことになっていた)、自分だけが逃げるようなことはできないと思い、社長を引き受けることを決断しました。

中小企業ですから、その時点での借入金全額と本社を含む全事業所の不動産賃貸の個人連帯補償にも判を押しました。

そして会社の再建をどのように実現していくのかを考え、創業社長と副社長に対しIPOを提案したのです。最初の提案は残念ながら否決されましたが、2回目の提案で受け入れていただきました。

最初に実行したのは増資による資金集めでした(債務超過で銀行からは融資拒否されていた状態でした)。

知人友人を通じ、出資金を約1億5,000万円集めました。1年間の組織や仕組みの立て直しを経て、2019年から数多くの事業所出店を進めていきました。

当社の再建と成長に際しては、私たちのビジョンに共感していただいた出資者の方々の支え、そして何よりも障がい者支援を真摯に継続する従業員のみんなの頑張りがなければ実現することはできなかったと思います。

ですから、出資者と従業員みんなが主役の会社なんです。

今振り返れば、そういったみんなと一緒に仕事をする中で、私はこの会社の経営を引き受けた決断が正しかったと感じていますし、今年3月の上場が当社にとっての新たなスタートになったと考えています。

事業内容について

当社は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスとして、「就労移行支援」、「就労定着支援」、「計画相談支援」、「自立訓練(生活訓練)」を展開しています。

株式会社ココルポート 2023年3月31日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

「就労移行支援」は、障がいのある方々に対して就労に向けたトレーニングを提供するサービスです。

「就労定着支援」は、長く職場に定着できるよう支援をするもの。「計画相談支援」は、福祉サービス利用についての相談と、目標に合わせた計画を作成するサービスです。

「自立訓練(生活訓練)」は、自立した日常生活や社会生活が送れるよう、生活能力の維持・向上のための訓練や助言などのサポートを行うサービスとして2020年から開始した新たな事業です。

元々は“引きこもりの解消”を意図して始めた事業で、将来の就労に向けたステップアップ期間としての意味合いも持っています。これによって、就労移行支援の競合他社とは異なるポジションを築いています。

さて、一般的な就労移行支援では、「できれば週5日、少なくとも週3日は来てください」という事業所が多く、それが難しい方々は、「もう少し通所回数を増やすことができるようになってから就労移行を利用してください」と言われてしまうのが通常です。

しかし、私たちは違います。福祉の考え方は「個別を大切にし、支援し、手を差し伸べてほしい方に手を差し伸べる」というものであるはずです。

そのため、週2日しか来られないと言われたとしても、行政からの受給者証が交付されるのであれば、その人に手を差し伸べることが私たちの義務だと考えています。

我々の競争優位は、そうした福祉の原則を守りながら、非就労フェーズの方々を2年間という限られた期間で就職に導くノウハウにあります。

また、この過程で生まれた多様なプログラムや、現場でこれを支える人材もまた、私たちの大きな優位性です。


株式会社ココルポート 2023年3月31日 事業計画及び成長可能性に関する事項
 より引用

個別支援を大切にする現場が、権限移譲されることによって創意工夫する一例をお話ししましょう。

現在当社には、”555以上の”プログラムが存在します。

実は当初本社で作成したのは103のプログラムのみでした。支援を一律に行うのではなく、一人ひとりのご利用者様に寄り添い、それぞれに適した支援を提供することを当社の方針としていますので、当然事業所ごとに、またその時々の支援方法は違うものとなります。

結果として、当社では各事業所にプログラムをはじめとする運用権限を大幅に委譲しています。そうすると、各事業所が既存プログラムでは充分でない部分を、自主的に開発を進めます。

私は今でも毎月20以上の事業所を回るのですが、当時同じようなプログラムがいろいろな事業所で開発されていることに気づき、あまりにも非効率を感じ、2019年に各事業所で実施しているプログラムをすべて本部に提出してもらいました。

そうすると集まったプログラム総数はなんと1,520。集まったプログラムの精査と整理を行い、カテゴライズし、使いやすいようにまとめると555のプログラムに落ち着きました。

ただ、今も各事業所が独自にプログラムを開発し、運用することを許可していますので、”555以上の”プログラムと表現しています。

このように、各事業所が自然と創意工夫し、結果として質の高い個別支援を維持向上できていることもまた他社にない私たちの競争優位性だと思っています。


株式会社ココルポート 2023年3月31日 事業計画及び成長可能性に関する事項
 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

私たちの主力事業である就労移行支援事業と自立訓練(生活訓練)事業にしばらくは経営資源を集中させていきます。

就労移行支援事業所から就職者が出て、6ヵ月以上働き続けた方が3名以上になると、その事業所は定着事業を認められる構造になっていますので、就労移行支援事業所を展開していくと定着事業所は必然的に増加していきます。

また、就労移行支援事業及び自立訓練(生活訓練)事業の出店余地は首都圏を含めまだまだあると考えています。

当社は首都圏を中心としたドミナント展開をし、1都3県における事業所数は業界最多となりました。満を持して、ようやく2年前からは東海・関西エリアでも事業所をドミナント展開し始めています。

これからも各エリアで、質の高いサービス提供による事業成長を実現していきます。


株式会社ココルポート 2023年3月31日 事業計画及び成長可能性に関する事項
 より引用

当社事業が属する市場の環境は主に3つの要素により説明できます。

一つはご利用者様。

我々のサービスを利用する方々のうちおおよそ80%は精神障がいのある方で、政府統計によれば、その人口は約206万人。しかしながら、そのうち就労している人は5.3%しかいません。

つまり、まだまだ未来のご利用者様がいらっしゃると考えています。

次にそのような方々を雇用する企業側の視点です。

今年1月に政府発表された資料を見ると、法定雇用率を2026年7月までに現行の2.3%から2.7%へと引き上げるよう要望されています。

今後も雇用意欲は大いに刺激されていくだろうと推察しています。


株式会社ココルポート 2023年3月31日 事業計画及び成長可能性に関する事項
 より引用

そして最後が競合環境という視点です。

当分野は許認可事業であるため、誰でもむやみに出店はできません。また過度に収益性の高い事業ではないことから、大手が資本力を武器に大々的に参入することも考え難いのが実情です。

そのため、我々を含む既存の事業所を運営する企業を中心に競争が進むと見込んでいます。

こうした環境の中、今後も「支援力」つまり提供サービスの質(個別支援)を強みに成長していきます。

私たちは各種支援機関やクリニックの先生等からご利用者様の紹介を多数受けます。

これは、ココルポートの支援力を認めていただき、地域と良好な関係を築いているからこそ成り立つ結果だと自負しています。

3年前に新規事業として始めた自立訓練事業についてはまだ23拠点ですが、就労移行から定着支援という一連の流れに、さらにこのサービスが加わることで一気通貫の支援体制が強化され、今後大きなシナジー効果を生み出せると考えています。


株式会社ココルポート 2023年3月31日 事業計画及び成長可能性に関する事項
 より引用

投資家の皆様へメッセージ

我々は、実直に福祉を全うしようとしている会社です。当社の企業理念を目指して事業推進していきます。

行動指針である『ココルポート11』の締め括りにも”正しいことをする”と掲げています。一人でも多くの障がいのある方々が、世に出て自立されていく支援を実行してまいりますので、引き続きのご支援と応援をよろしくお願いいたします。

株式会社ココルポート

本社所在地:神奈川県川崎市川崎区砂子2-5-11 りそな川崎ビル4F

設立:2012年1月5日

資本金:5億4,555万円(2023年3月31日時点)

上場市場:東証グロース(2023年3月31日上場)

証券コード:9346

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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