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【7042】株式会社アクセスグループ・ホールディングス代表取締役社長 木村勇也氏「業務・事務局代行の機能の強化を軸に企業価値を高める」

※本コラムは2023年6月8日に実施したIRインタビューをもとにしております。

コロナ禍を経て市場のニーズに合わせた既存事業の進化と事業間連携の強化に取り組む株式会社アクセスグループ・ホールディングス。

代表取締役社長の木村勇也氏に、その取り組みについて詳しく教えていただきました。

目次

株式会社アクセスグループ・ホールディングスを一言で言うと

アウトソーシングと人材・運営支援を通じて社会の課題解決と活性化に寄与する企業です。

代表就任の経緯

当社の創業者は私の父であり、私自身は二代目として事業を引き継ぐことになりました。

学生時代から人を集めるイベントなどには非常に興味を持っており、大学院でも海外からの旅行者をいかに日本に招くかという研究をしていたほどです。

そしてこのリアルなタッチポイントという視点は、まさに当社事業においても中核に存在するものです。この思想に共感し、2004年に当社へ入社しました。

初めの3年間は人材派遣紹介を中心に営業活動に従事しましたが、リーマンショック頃のタイミングで社内人事や採用の担当部署に移りました。

その後、2014年に取締役に就任し、翌年から現職を務めております。

代表就任と同時にIPOの構想を具体化させました。

当社は、進学・就職の新サービスの構想に加え、日本語学習生を日本国内の教育機関へ推薦するという事業に早くから取り組んでおり、需要も高まっていました。

その結果、認知度の向上や資金調達の必要性も生じていたのです。

そうしたビジネスモデルの特性を考えた時、また事業をもう一段ステージアップさせるためにも、再び上場を目指したというわけです。

当社はコロナ禍において大きなターニングポイントを迎えました。

これまで我々が絶対的な価値観として大切にしてきたリアルな交流の場の価値が一変したのです。合同就職説明会や合同進学イベント、さらには販売・展示会といった様々なニーズが消滅しました。

この状況下で我々は事業の変革を進め、現在もその改善に向けた取り組みを続けています。

事業内容について

従来は広告代理店のモデルを基本としていました。クライアントから資金を得て、メディアの掲載やイベント主催を中心に活動していたわけですが、事業の色合いは足元で変化しています。

冒頭でも申し上げたように当社を一言で表すならば、それは”アウトソーシングと人材・運営支援を通じて社会の課題解決と活性化に寄与する企業”です。

これを軸に、プロモーション支援事業・採用支援事業・教育機関支援事業の三つの柱をそれぞれ変化させています。

株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用

一つ目のプロモーション支援事業は、従来の代理店モデルからより内製化を図り、アウトソーシング領域として事務局代行の強化を重視しています。

これにより提案から最終実行までを一気通貫で提供する形を目指しています。

近年はSNSの多様化とともに販促キャンペーンやこれに紐づく手続きも複雑化しています。Twitterやインスタグラム、レシート投稿を通じたキャンペーンなど、様々な方法での集計・管理を可能にする仕組みを確立し、複雑化したニーズを簡素化することが当社の役割であると考えています。

また、事務局という側面では、物流会社がサービスの一環として自社倉庫で商品の保管から発送までを担うケースもあります。

一方、当社の扱う商材は小型化された商品やデジタルクーポンなど無形商材にも発展しており、これらとは一線を画し、現在の業務代行ニーズに対応した事務局といえる立場にあると認識しています。

株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用

二つ目の採用支援事業において、我々は大学のキャリアセンターと、長年に渡り密接に連携することで独自の立ち位置をとっています。

大学から個別に就職支援業務のご相談をいただいたり、まだ就職が決まっていない学生を当社のイベントに案内いただく、大学内で合同企業説明会を当社運営により開催するなど、様々な取り組みが行われています。

他の多くの就職支援メディアはウェブ集客に重きを置いていますが、当社は「最後まで学生を支援する」というスタンスを貫き、人材紹介やイベント開催などを通じたマッチング機会を毎年度の後半まで提供しています。

さらに、近年はダイレクトリクルーティング、つまり企業や人事が直接学生にアプローチする動きが増加していますが、少子化や景気動向などの影響で今後もこの傾向は続くと思われます。

そこで、新たな取り組みとしてはRPO(採用業務代行)にも力を入れています。

オファー型サービスの活用や、採用活動において特に重要な応募受付時の学生への連絡など、人事担当者に大きな負担が掛かる煩雑な作業を当社が代行いたします。

また、大手企業中心に人事担当者は定期的に異動してしまいますので、ノウハウ提供という面でも当社をご活用いただき、採用活動のパフォーマンスを向上させるサポートを行なっています。

株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用

三つ目の教育機関支援事業ですが、従前からの入学案内や学校のウェブページ作成などのサービスを提供する一方で、少子化による学校の厳しい状況を踏まえ、寄付金の募集や大学のブランディング、外国人学生の獲得支援といった新たな領域へも軸足を移しています。

これら三つの事業に共通する当社の強みは、進学と就職という教育や採用支援業界の「入口と出口」を同時に掌握している点にあります。

この体制は、早期から大学や教育機関との関係を深めてきたリレーションに起因するものです。

例えば、留学生の大学入学からその後の就職活動までサポートが可能なように、各事業には連動性があります。

さらに、最近では大学とのパートナーシップを利用してプロモーション事業も展開しています。大学のネーミングライツという手法で、具体的には企業名を冠した建物や施設を設けることで、企業のブランドを学生に広め、関心を高めるという戦略です。

例えば、工作機械を製造している企業が理系学生の募集を求めているとしましょう。しかし、学生はその企業や業界について詳しく知らないのが現状です。

そこで、大学の施設にその企業の名前を掲示することで企業の知名度が上がり、学生が関心を持ちやすくなります。一方、大学はネーミングライツから収入を得ることができ、Win-Winの関係を築くことができます。

このように、当社は教育機関との強いつながりを活かし、それぞれ異なる事業が実は共通のクライアント基盤や連携基盤を持つことでシナジーを生み出す可能性をもっているのです。

事業連動性、そして大学との強いパートナーシップこそが、当社のビジネスモデルの核心といえるでしょう。

株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

全体の戦略として、”業務代行・事務局代行の機能を強化する”という方針を掲げています。

これにはアウトソーシングと人材支援という二軸があり、日本企業の活性化が目指すところです。

前者のアウトソーシング領域は事業環境の複雑化が進むほど、当社のビジネスチャンスが増えると考えています。

また、近年では多様なデジタルトランスフォーメーション(DX)ツールが存在していますが、これらの機能を正確に理解し、適切に事業に活用することもまた難しいポイントであります。

そうした課題を当社が肩代わりし、そしてクライアントにはシンプルな解決策を提案することが当社の価値につながると考えています。

さらに、時代の変化や市場の動向を見つつ、常にトレンドやニーズをキャッチし、それを具体的な形に落とし込む役割を担うことも重要です。

これら全ての戦略がクライアントとの持続的な関係性を実現する核となると考えています。

株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用
株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用
株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用

また人材支援についてですが、我々は日本の経済活性化には外国人労働力の導入が欠かせないと考えています。

当分野は日本経済が抱える課題に対して、DX化と同一の文脈で検討されることが多いですが、両者には根本的に異なる部分があります。

DXは業務効率化に寄与するものの、経済を回す人間の役割を代替するものではありません。つまり、食事をする人、化粧品を使う人、衣類を着る人がいてこそ経済が回るという視点が欠けると、いくら効率化が進んでも日本経済は活性化しないのであり、やはり人間の役割は重要だと思います。

労働力の供給源、また新たな知見をもたらす存在など、その役割は多様ですが、日本経済活性化には彼らの力が必須であり、そのためには学習・労働環境も整備を進めるべきでしょう。

当社はそれを支援する第一線の存在となるべく、採用・教育機関の両面において外国人留学生分野の再拡大、就労支援を強化していく方針です。

株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用

BPO領域は事業体が地味に見える部分があります。

マーケットも微増という環境ですが、その背後では導入されたDXツールをうまく運用できないという課題に直面しています。

我々の強みは、この課題を解決するための知見と専門性がある点です。つまり当分野はDX化に伴う多様なサービスの拡大に応じて伸ばせる分野であるということにぜひご理解いただきたいと思います。

また、当社が提供する外国人採用支援サービスを通じた人材は、主に日本国内の大学を卒業し、就労ビザを取得する、高度な外国人材を取り扱う非常にクリーンなモデルとなっています。

また、当社では株主還元策としての優待制度も導入しています。配当利回りのみでは測れない優位性の部分にもご注目いいただきたいと思います。

株式会社アクセスグループ・ホールディングス 2023年3月期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社はコロナ禍の厳しい期間を経て、今後のニーズを捉えた事業モデルへと変革を進めています。

まだ変革の時期にあって投資家の皆様に分かりやすくKPIをお示しできない現状もありますが、今後は成長の軸として適宜開示していく方針です。

この変革の期間に対するご理解をいただきながら、新たなビジネスモデルへのご期待をいただけますと嬉しく思います。

株式会社アクセスグループ・ホールディングス

本社所在地:東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル東館15F

設立:1990年年4月

資本金:80,000千円(2023年6月アクセス時)

上場市場:東証スタンダード(2018年11月6日上場)

証券コード:7042

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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