- 新NISAで米国株投資を始めたい
- 米国株投資に伴う税金の仕組みを理解したい
- 新NISAで始める米国株投資の効果的な戦略と注意点を知りたい
2024年からスタートした新NISAは、従来NISAに比べ大幅に制度が改定され、長期的な資産形成に最適な制度となった。
新NISAでは海外株式への投資も可能であり、中でも米国株投資は高いリターンが期待できる一方、為替リスクや個別株のリスクなど、注意すべき点も存在する。
本記事では、新NISAを活用した米国株投資の基本から税金の仕組み、投資戦略まで、初心者でも安心して投資を始められるよう徹底解説する。
是非最後まで読み進めて、新NISAを効果的に活用した米国株投資について理解を深めてほしい。
新NISAで始める米国株投資の基本
まず、米国株投資の基本知識とメリットやリスクについて順に説明しよう。
米国株投資の魅力とリスク
アメリカは世界最大の経済大国であり、安定性と成長性を兼ね備えた国だ。
近年、米国株投資は日本でも大きな注目を集めており、多くの人が投資を検討している。
しかし、投資には魅力だけでなくリスクも存在することは理解しておきたい。
- 安定性と成長性
- アメリカは国として安定しており、GDP成長率も高いため、今後も経済発展が期待できる
- また、労働人口の増加も見込まれており、経済活性化に繋がると考えられている
- 優良企業が多い
- 世界の時価総額トップ10社のうち、9社がアメリカの企業である
- 世界一の巨大な株式マーケットであるアメリカには、アップルやマイクロソフトなど、世界を代表する優良企業が多数存在している
- 革新的な技術
- アメリカは常に新しい技術を生み出す国である
- 世界的なブランド、ハイテク企業、エンタメ企業など、あらゆる分野においてアメリカ企業がグローバルリーダーとして活躍している
- 高いリターン
- 1950年から2023年までのS&P500の平均リターンは、年率で10.7%と非常に高く安定している
- 日本株はいまだに1989年の最高値38,915円を超えられずにいることと比べても、アメリカは右肩上がりで安定的に成長していることがわかる
- 投資しやすい
- 日本株は100株での単元株単位の売買が基本だが、米国株は1株単位から売買可能で、少額から投資を始めることができる
- 為替変動リスク
- アメリカ株はドル建てで取引されるため、為替レートの変動によって損失が発生する可能性がある
- 政治・経済情勢の影響
- アメリカは4年に一度大統領選挙が行われ、その結果によって株価が大きく変動することが多い
- 言語の壁
- アメリカ企業の情報は通常、英語で発信されるため、英語が苦手な人は情報収集に苦労するだろう
- これらのリスクを理解した上で、慎重かつ戦略的な投資判断を行うことが重要となる
- 投資家はリターンの高さと共に、リスク管理にも十分な注意を払う必要があるだろう
なぜ新NISAで米国株投資を始めるべきなのか
新NISAは、2024年から新たにスタートした制度であり、投資利益が非課税となるものだ。
新NISAの成長投資枠を使えば、米国の個別株への投資にも活用することができる。
以下で、なぜ新NISAで米国株投資始めるべきなのかを具体的に解説しよう。
利益は非課税
新NISAでは年間360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)までの投資で得た利益が非課税になる。
投資期間が無期限
新NISA口座は投資期間が無期限となる。
2023年までの旧NISA制度では、5年間または20年間の投資期間が設定されていたが、新NISAでは投資期間の制限はない。
積立投資と個別株投資の両方に利用可能
新NISAのつみたて投資枠を使えば投資信託への積立投資に活用できるし、成長投資枠を使えば米国の個別株投資に利用することができる。
これにより、分散投資を実現できるということだ。
新NISAは短期的な投資ではなく、長期視点での資産形成のための制度である。
米国株投資にも、新NISAの非課税制度を活用することで、税金負担を軽減しながらコツコツと投資していき、長期的な資産形成を目指すことが可能となるだろう。
なお、新NISAの投資対象についてはこちらの記事でまとめたので、分散投資を実践する際、また改めて制度の概要を押さえる際にもぜひ参考にしてほしい。
米国株を選ぶ際のポイント
米国株投資は、高いリターンが期待できる一方で、個別株のリスクや為替変動リスクなど、注意すべき点も多くある。
米国株投資で成功するためには、以下のポイントを参考に、自分に合った銘柄を選ぶことが重要となる。
投資する企業について、以下の観点で分析しよう。
- 業績
- 過去の実績だけでなく、今後の成長性も考慮する必要がある
- 過去3〜5年程度の業績推移を確認し、売上高、営業利益、純利益などの成長率を分析しよう
- 財務状況
- 負債や自己資本比率などを確認し、財務的に安定している企業を選ぼう
- 負債比率が低く、自己資本比率が高い企業は、財務的に安定していると考えられる
- 競争力
- 競合他社との比較で、企業の競争力が高いことを確認しておこう
- 業界シェアや、競合他社との差別化ポイントなどを分析しよう
配当金
株式会社は株主のもの、という大前提のもと、米国では株主還元を重要視している。
そのため、企業の利益の還元を株主への配当金で行う企業がほとんどだ。
日本のような株主優待はほとんどなく、代わりに配当金を高くしたり、年4回の配当を実施したりなど、日本企業と比較して、配当利回りが高い企業が多い。
米国株投資の対象企業を選ぶ際も、配当利回りや、過去5年間の配当金の推移などを確認しよう。
分散投資
すべての資金を1つの銘柄に投資するのではなく、複数の銘柄に分散投資することを心がけたい。
業種、地域、時価総額など、さまざまな軸で分散投資を行うことで、リスクを軽減できるはずだ。
新NISAにおける米国株投資の税金の仕組み
新NISAとは投資で出た利益が非課税になる制度だが、免除されるのはあくまでも日本の税金だけ。
米国株に対する配当金についてはアメリカの税金が約10%かかるが、それについては新NISAでの免除対象にはならないことは注意しよう。
米国株投資に伴う税金の種類と新NISA口座での対応
米国株に限らず株式投資で得られる利益には、売却益と配当金の2つがある。
それぞれの税金について順に説明する。
売却益に対する税金
通常の株式投資の場合、売却益に対する税金として、20.315%が発生することになる。
内訳は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%である。
ただこれは、新NISAの口座を使って取引していた場合は、かかる税金はゼロとなる。
米国株投資の場合も同じで、原則国内のみで課税されるものであり、国内株式と同様の扱いとなり、売却益に対する税金はかからない。
配当金に対する税金
米国では、配当金を高くして株主への利益還元を行う企業が多いが、受け取った配当金に対する税金はゼロにはならないので注意が必要だ。
通常、米国株投資で受け取った配当金は、まずアメリカで10%課税される。
その後、残った金額に対して、日本で20.315%の税金がかかることになる。
新NISAを使って取引した米国株で配当金を得た場合、日本での20.315%の税金はかからないが、アメリカでの10%課税分は支払わなくてはならない。
新NISAを活用することで税金を安くすることはできるが、日本株や投資信託と違い、米国株の配当金にかかる税金はゼロにできない点は押さえておこう。
新NISAを活用した米国株投資の税効果を最大化する方法
新NISAを使って米国の個別株投資を行う際は、売却益は非課税だが、配当金にアメリカの税金がかかってくることは避けられないのは説明したとおりだ。
極力、税の適用を受けないようにし、その分を再投資に回せると、投資効果は最大化する。
そのための有効な仕組みが、投資信託である。
投資信託であれば配当金はないか、分配金として発生する場合でも、受け取らず再投資に回すことが可能で、追加の税金が課されることはない。
米国株の投資信託として代表的なものが、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)というインデックスファンドである。
米国株式市場に上場している約500社で構成されるS&P500というインデックス(指数)に連動した投資信託で、直近10年間は年率10%を超えるパフォーマンスを続けている。
- 米国の株式に投資し、S&P500指数に連動する投資成果をめざして運用を行う投資信託
- 信託報酬は年0.09372%程度
- 現在の基準価額は27,473円
- トータルリターン(直近)
- 1年で42.61%、3年で25.08%、5年で21.42%
- 2024年3月1日時点
新NISAを活用した米国株投資の戦略
新NISAは、長期的な資産形成を実現するための強力な制度であり、対象が米国株投資であっても有効である。
しかし、そのメリットを最大限に活かすためには、適切な戦略を立てることが重要となる。
ここでは、新NISAで成功するために欠かせない戦略について、より詳しく解説しよう。
投資計画の策定
米国株投資での資産形成を進めるために、どのような観点で計画を立案すべきかを考えてみよう。
投資目的
まず、投資で何を達成したいのか、目的を明確にしよう。
老後資金、教育資金、住宅購入費用、などさまざまな目的があるだろう。
目的によって、投資対象や投資期間など、具体的な戦略が変わってくるはずだ。
リスク許容度
投資資産がマイナスになってしまった場合、どの程度までならマイナスを受け入れることができるかの尺度のことをリスク許容度という。
リスク許容度は、年齢、収入、生活状況、投資経験などによって異なってくる。
たとえば、高齢者よりも若い人の方が、リスク許容度が高い傾向がある。
収入面でいうと、高収入になるほどリスク許容度は高くなるし、家族を養っている人より独身者の方が、リスク許容度は高い傾向にあるだろう。
とはいえ、性格や資産状況なども含め総合的に考えなくてはならない。
自分のリスク許容度を理解したうえで、リスク評価に基づいた投資戦略が重要となる。
投資期間
投資期間は、投資目的によって変わってくるだろう。
老後資金目的なら65-70歳までが投資期間となるし、教育資金を作るのが目的なら、子どもが大学に入学する18歳頃までの期間となるはずだ。
これらを明確にすることで、自分に合った投資計画を立てることができる。
米国株投資におけるリスク管理
米国株投資には、以下のリスクが考えられる。
- 為替変動リスク
- ドル建てで取引されるため、為替レートの変動に注意が必要だ
- 個別株リスク
- 個別株投資であれば、その企業の業績悪化などによって、損失が発生する可能性がある
- 米国市場全体の動向
- 米国内の政変や金融政策などにも影響すると同時に、世界経済の動向などにも影響を受けることがある
これらのリスクに対して、長期投資と分散投資は必須の対策といえるだろう。
- 長期投資
- 短期的な値動きに惑わされず、長期的な視点で投資を行う
- 分散投資
- 個別株だけでなく、ETFや投資信託などにも投資して分散を図る
長期投資戦略と分散投資の重要性
新NISAでの投資は、長期的な視点を持つことが重要であり、それが資産運用における大切な戦略の一つといえる。
米国株投資では、短期的には市場の変動による上下の値動きが必ず発生する。
しかし、少なくとも10年以上の長期に渡ってその銘柄を保有し続けることで、多少の経済変動による値動きは吸収され、経済成長にあった利回りを得ることができるだろう。
また、長期視点に加えて、複数の銘柄や資産クラスに分散投資することも、リスクを回避・分散し、安定的な運用収益をあげるために大切な戦略となる。
ある銘柄や資産クラスが暴落したとしても、他のセクターの銘柄や別な資産クラスで補うことができる。
新NISAの成長投資枠による米国個別株投資だけでなく、つみたて投資枠を効果的に活用することも、分散投資の実現につながるだろう。
つみたて投資枠では、リスクを抑えた投資信託に長期で積み立てることができるため、リスクを抑えつつリターンを目指す。
この2つの投資枠を活用し、分散投資を行うことで、リスクを軽減しながら効率的に資産形成を進めることにつながるはずだ。
なお、新NISAで実践可能な代表的な投資手法についてまとめた記事もあるので、「どのような組み合わせが良いのか分からない」という方がいればぜひ参考にしてほしい。
新NISAで始める米国株投資の相談先はどこが良い?
新NISAの成長投資枠を使った米国個別株投資や、つみたて投資枠での米国株投資信託への積立など、さまざまな投資方法が考えられる。
ただ投資にはリスクが伴うため、専門知識が必要となるのも事実。
そこで、新NISAを活用した米国株投資における専門家の重要性と、自分に合った専門家を見つける方法について解説しよう。
新NISAで始める米国株投資における専門家の重要性
新NISAは、長期的な資産形成を目指す全ての投資家にとって有効な制度だが、米国株投資を進める際も、十分な情報収集と専門知識を身につける必要がある。
そんなときは、投資の専門家に相談してみるのもいいだろう。
専門家は、以下の点について重要な役割を果たしてくれるはずだ。
米国株投資に関する知識と経験
専門家は、投資全般に関する深い知識と経験を持っているため、最適な投資方法をアドバイスすることができるだろう。
リスク管理
専門家は、投資におけるリスク全般を理解し、リスクを軽減するための方法を助言してくれる。
時間と手間
専門家は、常に投資のための情報収集や企業調査、金融商品分析を行っており、必要に応じてあなたに提供してくれるはずだ。
これによって、わざわざ情報収集に時間と手間をかけることなく、米国株投資を進めることができるだろう。
IFAの役割と活用するメリット
IFAは、独立系ファイナンシャルアドバイザーのことだ。
特定の金融機関に属していないため、顧客の立場に立った客観的なアドバイスを提供することができる。
IFAに相談する具体的なメリットは、以下の通りとなる。
客観的なアドバイス
IFAは、金融機関の方針や利益に縛られることなく、顧客目線でかつ客観的なアドバイスを受けられる。
幅広い商品
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新NISAで米国株投資を始めよう
本記事では、新NISAを使った米国株投資の基本知識や税金の仕組みについて詳しく解説した。
また、効果的な米国株投資の戦略についても説明した。
ただ、米国株投資の実際の運用法や投資商品の最適解は個人により異なるのが現状だ。
そのため、新NISAを活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家から適切なアドバイスを受けることをおすすめする。
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