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【3800】株式会社ユニリタ 代表取締役 社長執行役員 北野裕行氏「データマネジメントとサービスマネジメントで差別化を追求」

※本コラムは2023年6月28日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社ユニリタは自社開発製品の多様性やデータ・サービスマネジメントの強みを活かし、中長期的な戦略に取り組んでいます。

代表取締役社長執行役員の北野裕行氏に、同社の沿革や事業の特徴、今後の成長戦略を教えていただきました。

目次

株式会社ユニリタを一言で言うと

共感をカタチにし、ユニークを創造するITサービスカンパニーを目指す会社です。

会社の沿革

当社の前身であるスリービー(株)は、1982年に人材開発及び組織開発のためのプログラムを提供する(株)ビジネスコンサルタントの子会社として設立されました。

同社はビジネスコンサルタントを起源とする(株)ソフトウエア・エージー・オブ・ファーイースト(1996年8月、(株)ビーコン インフォメーション テクノロジーに商号変更)が国内で販売していた「A-AUTO※」の米国市場での販売を目的としていました。

  • 「A-AUTO」は、異なるシステムで稼働するジョブを統合管理し、自動実行制御を実現するバッチ処理のジョブ統合管理ツール

1987年には(株)ビーエスピーへ商号を変更し、1993年に(株)ソフトウエア・エージー・オブ・ファーイーストのシステム運用関連の事業を継承する形でシステム運用管理パッケージソフトウェアの専門会社として本格的な活動を開始しました。

その後はITシステム投資の拡大を追い風として順調に事業基盤の強化を図りながら、金融機関や大手企業を含め、基幹業務システム(メインフレーム)を中心に実績を積み上げてきました。

また、2001年には(株)ビーエスピーソリューションズを設立し、コンサルティングとソリューション事業を本格的に開始しました。

2014年1月、(株)ビーコンITを連結化することで、データ活用などの成長分野を取り込むとともに事業構造の変革に着手しました。

そして2015年4月に連結子会社であるビーコンITを吸収合併し、社名を(株)ユニリタに変更しています。

新社名には、価値創造のために「ユニークな発想」で「利他の精神」を持って顧客と社会の発展に貢献する企業を目指すという想いが込められています。

社長就任の経緯

私は新卒で当社に入社し、30年近く携わってきました。キャリアは営業から始まり、コンサルタントを経て、2013年にはグループ会社の(株)ビーエスピーソリューションズの社長に就任しました。

この間、同社の社長として2年間務めながら当社の営業本部長も兼任していました。

2015年のビーコンITとの合併後は、大阪で西日本事業部を統括し、同部門を機能子会社として分社化するための責任者として活動していた中、2017年4月に現職に就任しました。

事業概要と特徴

基本的なビジネスモデルは、プロダクトの開発とその提供および保守になります。主に金融や製造などの業種向けにITシステムの運用管理やデータ活用分野の製品やサービスを提供しています。

多くのお客様が利用する製品・サービスを開発するという先行投資型のビジネスモデルを採用しており、開発に成功しなければ成果を得られないため、参入障壁が高いと言えます。

我々は常に新しいものを開発し続ける必要があり、そのために当社ではユニークさを重視しております。

また、自社開発の製品を多数保有している点も特徴の一つです。

以前は売れ筋の製品が1つしかなく、常に新規開拓に専念しなければなりませんでした。全ての製品が売れるわけではありませんが、だからこそ、チャレンジ精神や挑戦、そして何よりお客様の視点を大切にしています。

また、足元ではサービス提供会社への転換を図っています。

近年、プロダクトの提供だけではお客様に選んでいただくことが難しくなってきています。当社もさらなる企業価値の向上を目指しその変革を進めています。

また、これに応じ開示セグメントを「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」に変更しています。

株式会社ユニリタ 中期経営計画 2021-2023 (2021年5月公開時) より引用

プロダクトサービスについて

強みとしては大手企業を中心した強固な顧客基盤が挙げられます。主力の「A-AUTO」は、メインフレームと言われる大型コンピュータで使われる製品であり、日本の上場企業の約3割が利用しています。

この基盤を活かしたクロスセル・アップセルを軸に市場での成長を捉えてきました。

また、開発という面においても、マーケティングやデータ分析だけではなく顧客の生の声を新たなプロダクトやサービスに採用することができる点が、他社にはない強みです。

一方、メインフレームの事業を取り巻く環境は決してポジティブではありません。

クラウド化の進展で新しいインフラの台頭やプラットフォームビジネスが普及しており、企業のシステムもクラウド移行が進んでいます。

しかし、我々の主要なお取引先である金融業界や製造業界では今なお、高いトランザクション処理能力と堅牢性が求められるため、まだまだメインフレームの需要があります。

市場は縮小傾向ですが、2040年まではこのマーケットは残ると考えています。

実際、メインフレームを使い続けるお客様からサポートの要望をいただいています。IBMはメインフレームの提供を継続する姿勢を示しており、そのユーザーからは利用継続の要望が多いようです。

一方、富士通ではメインフレーム事業の終了が決定しており、ここにはリプレイスの可能性もあります。この点については、当社の「A-AUTO」が製品力や移行先のシステムにも対応できる体制が強みとなり、引き合いも増えています。

株式会社ユニリタ 2022年度(2023年3月期)通期決算説明資料 より引用

クラウドサービスについて

プロダクトサービスが安定的な収益基盤である一方、さらなる企業価値向上に向けてクラウドサービスを次の柱と位置づけ、10年以上前からさまざまなサービスを展開してきました。

元々はITの課題解決に特化していましたが、現在では事業領域が広がっています。

情報システム部門はもとより、近年では営業部門や製造業部門でのDX投資が増えています。そのため、それぞれの部門に対してクラウドサービスを提案できる体制強化を図っています。

さらに、社会課題の解決にも力を入れており、地方創生や地域産業活性化の分野でもサービスを展開しています。

これまでのノウハウを活かし、クラウドサービスを拡大していく計画です。

株式会社ユニリタ 2022年度(2023年3月期)通期決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

当社はこれまで、データ活用とシステム運用の領域に強みを持つプロダクトを開発してきました。

この過程で培ってきたノウハウはコンサルティングや関連サービスに反映し、提供しています。中長期的にこれらの需要がさらに増すと考えています。

現状、市場では”データマネジメント”と”サービスマネジメント”が注目されています。

データの適切な管理はもちろんのこと、品質や顧客満足度を向上させるためには、サービスもしっかりとマネジメントする必要があります。

そして当社こそ、この分野に強い企業であることをまずはご認識いただきたいと思います。

「データマネージメント」事例 コニカミノルタ株式会社様

 https://jp.drinet.co.jp/case/konicaminolta

「サービスマネージメント」事例 富士フイルムメディカル株式会社様 

https://www.bspsol.com/case/fms/

そして戦略上もこの領域に事業を集約し、明確なポジションを確立していきます。

繰り返しになりますが、デジタルトランスフォーメーションが進む中、製品提供後もお客様に継続的に利用していただくためには、サービスマネジメントへの投資が必要です。

さらに、ユーザー企業としてはサービスを利用して得られたデータを自社の経営に活かすことが必要であり、ここにはデータマネジメントが求められます。

このデータとサービスのライフサイクルを設計し、実装までできる企業はなかなかありません。我々はここに注力し、市場成長を捉えていきたいと考えています。

株式会社ユニリタ 2022年度(2023年3月期)通期決算説明資料 より引用

また、直近ではChatGPTなどのAI技術の登場により、システム開発会社が担ってきたプログラミング業務の縮小が予測されています。

同様に、クラウドサービスの普及により、スクラッチ型でシステム構築に関わる仕事も減っていくでしょう。

そのため、より上流工程のコンサルティングや、お客様に近いサービスマネジメントなど、設計能力やマネジメント能力が求められる領域にシフトする必要があると認識しています。

事実、大手システム開発企業からは、これらのスキルをもつコンサルタントの育成要望もいただいています。

無論当社は、自社でこれらのサービスを提供するだけでなく、関連するエンジニアの育成にも力を入れています。

プロダクトと人材の両輪で成長

お客様のニーズをITサービスとして形にするには、ツールの開発だけでは不十分です。

当社では、開発や設計だけでなく、これをいかにビジネスに活かすかをデザインできる人材を重視しています。

特にサービスマネジメントやデータマネジメントの領域において、このようなアプローチ方法を実現できる企業はほとんどないと思います。

何故なら、これらのノウハウを持つ人材育成には相応の時間を要するからです。

当社にはサービスマネジメントのフレームワークもあり、それを活用しています。そして、理論だけでなく実践も重視しています。

当社が提供するITIL®に準拠したクラウドサービスに関わっていたSEをコンサルティング部隊に転向させるなど、フレームワークと現場の双方に精通した人材の育成に力を入れています。

このように、お客様に対しコンサルティングから実装までを一貫性して対応できることが当社の強みです。

このサイクルを継続的に回し、人材育成に力を入れ、さらなる事業全体の強みへ高めていきたいと考えています。

株式会社ユニリタ 2022年度(2023年3月期)通期決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社として社会課題の解決はIT企業の役割の一つと捉えています。実際に、自社のノウハウを活用し、地方創生や農業などを通じて新たな価値を見出す取り組みを行っています。

当社の創業者の言葉に「ものを作ることは一日で終わるが、運用は一生続く」があります。DXやサブスクリプションビジネスの時代において価値の在り方は変わりつつあるものの、この言葉の真意に大きな変化はありません。

だからこそ我々が持つ経験とノウハウを基に、成長できる機会が来たと感じています。

補足ですが、自社以外のITエンジニアもこの価値観とノウハウを身につけてもらいたいという思いから立ち上げた「システム管理者の会」というネットワーク活動があります。

この会の目指す場所やその活動内容が、当社の社会貢献活動の一環である点にも注目していただけましたら幸いです。

株式会社ユニリタ

本社所在地:東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟

設立:1982年5月24日

資本金:13億3,000万円(2023年7月アクセス時)

上場市場:東証スタンダード(2006年3月15日上場)

証券コード:3800

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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