※本コラムは2023年8月23日に実施したIRインタビューをもとにしております。
ニフティライフスタイル株式会社は、「思いやりとテクノロジーで、一人ひとりの『幸せな暮らしの意思決定』を支え続ける。」というパーパスを掲げ、日常生活における意思決定のサポートを行う行動支援サービス事業を手掛けています。
事業の強みや今後の成長戦略について、代表取締役社長の成田隆志氏へ伺いました。
ニフティライフスタイル株式会社を一言で表すと
思いやりとテクノロジーで一人ひとりの「幸せな暮らしの意思決定」を支え続ける会社です。
沿革・代表就任の経緯
当社は2018年2月に設立された比較的新しい会社なのですが、実は親会社であるニフティ株式会社(以下「ニフティ(株)」)のマーケットプレイス事業からスピンアウトして設立されたという経緯があります。
現在、当社が手掛けている各サービスはニフティ(株)が立ち上げたポータルサイト「@nifty」の会員向けサービスとして2000~2003年にかけて誕生したもので、サービス自体は20年以上の歴史を持っています。
私自身は、広告代理店で営業をしていたのですが、今後のキャリアを見据え、インターネット関連事業の経験を積みたいと考えていたときにご縁があって、ニフティ(株)に中途入社しました。
以降、ニフティ不動産やニフティ温泉といった企業と生活者を結ぶサービスに一貫して取り組んできており、将来性も感じていました。
「機会があればスピンアウトしたい」との意欲を周囲に話していたほどです。
その後、ニフティ(株)のノジマグループへの参画がきっかけで、WEBサービス事業の更なる成長に向けて新会社の社長に抜擢されまして、2018年から代表を務めています。
マネジメントスタイル
やるべきことをやる、ということを重要視しています。
当社のパーパスである、「思いやりとテクノロジーで一人ひとりの『幸せな暮らしの意思決定』を支え続ける」ことを実現させるためには、ユーザーの一歩先をいく発想を生み出すことが大事であると考えています。
ユーザー視点で物事を考え、自分がユーザーになったときに使いたいと思うサービスを生み出すことが最終的には重要になります。
パーパス実現、そして事業成長のために、やるべきことをやり続けていきたいと考えています。
事業概要
テクノロジーを活用することで、日常生活におけるユーザーの意思決定のサポートを行う「行動支援サービス事業」を手掛けており、3つの領域にて事業活動を行っています。
不動産テック領域
まずは、不動産テック領域です。
主力サービスである「ニフティ不動産」は、お部屋探しのための不動産物件情報検索プラットフォームです。
国内の有名不動産ポータルサイトに掲載されている物件情報延べ1,300万件以上を束ね、幅広い種類の豊富な物件情報の中からまとめて簡単に検索できることが特長で、現在WEBサイトとスマホアプリにてサービスを提供しています。
特にアプリは、こだわりのお部屋探しがいつでも簡単にできる利便性の高さから、幅広い層より継続してご支持をいただいており、2023年6月、累計ダウンロード数1,000万を突破しました。
また、オンライン内見という、不動産事業者向けの送客支援サービスも提供しています。
ウェルネステック領域
次にウェルネステック領域です。スーパー銭湯や温泉、スパといった日帰り温浴施設の情報を束ねる検索プラットフォーム「ニフティ温泉」を運営しています。
お得なクーポンの配信や、各種ランキング等の記事コンテンツといったユーザー向けのサービスのほか、温浴施設を「場」としてマーケティングを実施するメーカー向けのサービスも行っています。
クロステック領域
そして3つ目はクロステック領域です。
インターネット広告出稿時に、商品データを最適な広告配信フォーマットへ自動変換する広告入稿支援ツール”DFO”をSaaS型ビジネスとして提供しています。
また、2023年9月15日に公表させていただきましたが、当社は「株式会社GiRAFFE & Co.」(以下、「ジラフ社」)の全株式を取得いたしました。
ジラフ社は、テクニカルSEOに強みを持つデジタルマーケティングコンサルティングサービスを手掛けており、今後はこの分野に関してもサービス展開を強化していく考えです。
データ活用の取り組み
私たちは、過去20年以上にわたり着実に続けてきたビジネスモデルに加え、ユーザー満足度・顧客満足度の向上に努めてきました。
これにより、不動産テック領域、ウェルネステック領域それぞれで、成約率の高いリードを獲得することができています。
また、進行期の重要な戦略の一つとして、データ活用によるLTV(Life Time Value)の最大化に取り組んでいます。
例えば、不動産はライフスタイルの変化と密接に関連しており、これに対応することで、当社不動産周辺サービスのポテンシャルを拡大していくことが可能になります。
ユーザーの行動データを活用することで、住宅ローンやリフォーム、引越し、家具の購入など、お部屋探し情報の提供にとどまらない、ライフスタイル全般を考えた提案を実現していきたいと考えています。
ウェルネステック領域も同様です。
温浴施設のユーザーには、美容や健康、リラクゼーションなど、温浴以外にも多様なニーズがあると考えています。
そこで私たちが保有するデータを活用すれば、ユーザーごとの興味・関心に特化した提案が可能になります。
当社は国内最大級の情報(物件情報・温浴施設情報等)やそれに紐づくユーザー行動データを保有していることが強みのひとつでもあります。
この大量のデータを駆使して、さらに価値ある情報としてお客様に提供するサービスの展開を目指してまいります。
中長期の成長イメージとそのための施策
当社は今年5月に、初めての中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期の3か年)を発表しました。その中で掲げている領域ごとの成長戦略は次のとおりです。
不動産テック領域については、「お部屋探しから住まい全般へ」と支援を強化していきたいと考えています。
まずは既存サービスである「賃貸/購入」領域を着実に成長させていきます。
昨年はブランディングのための先行投資を行いましたが、当領域は高収益体質のビジネスモデルですので、今後はその収益性をさらに伸ばしていきつつ、安定したトップラインの成長を実現していきます。
また、売却やリフォームといった、不動産関連の周辺事業へとサービスの提供範囲を拡大していく方針です。
この過程では、自社でのサービス開発に加え、M&Aなどの手段も積極的に活用していきます。
そして不動産事業者向けの支援についても強化していく方針です。
子会社の株式会社Tryellが事業構築している送客支援モデルを深化させ、拡充する方向で検討を進めていく考えです。
ウェルネステック領域では、既存のクーポン送客ビジネスを軸に、PRや営業を強化することで集客しつつ、温浴施設とのネットワークを活用したメーカー向けマーケティング支援を拡大することで、着実な成長につなげていきます。
また、美容や健康増進をはじめとするウェルネス領域に本格的に進出し、心身の健康に関する意思決定の支援を行い、事業規模の拡大を目指していきたいと考えております。
一方で、異なる分野への挑戦には新たに専門知識を持つ人材が必要です。
上場の目的の一つが採用の円滑化でもありましたので、今後は人材確保のための採用にも一層注力していきます。
クロステック領域については、グループ第2・第3の事業の柱を創出することを目指しています。
今後、既存サービスのDFOに加え、子会社化した株式会社GiRAFFE & Co.が手掛けるテクニカルSEO支援をはじめとするデジタルマーケティングコンサルティングサービスの提供が可能となります。
お互いの顧客基盤やそれぞれのサービスが持つ強み等を有効活用することで、今まで以上の提供価値を実現できると考えていますし、両社のアセットを活用した新たなサービスの提供も見据えております。
この分野にはぜひ今後ご期待いただければ幸いです。
注目していただきたいポイント
当社サービスへの認知や利用については、まだまだこれからが頑張りどころと認識はしておりますが、「使ってみたら実はとても便利だった!」と必ず実感していただけるものと自負しております。
特に主力のニフティ不動産アプリシリーズについては、まだアプリ黎明期であった2013年頃から開発に注力してきており、徹底的にUI/UXにこだわっています。
APPストアでも非常に多くのユーザーから、「ファン」としての評価をいただいておりますので、ぜひ一度手に取ってみていただきたいと思いますし、今後当社のファンを増やしていくような取り組みにも尽力していきたいと考えています。
投資家の皆様へメッセージ
今後の事業成長に向けては、不動産テック・ウェルネステック・クロステックでの既存サービスの成長に注力するのはもちろんですが、新たなM&Aも手掛けていきたいと考えています。
引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
本社所在地:東京都新宿区北新宿二丁目21番1号 新宿フロントタワー20階
設立:2018年2月23日
資本金:1,260,252,900円(2023年6月末現在)
上場市場:東証グロース(2021年12月24日上場)
証券コード:4262