- 日本株投資にどんなデメリットがあるのか知りたい
- リスクを適切に管理したい
- 日本株投資を成功させたい
資産形成といえば、「株式投資」をイメージする人が多いだろう。
株式投資は難しく考えられがちだが、好きな銘柄の株式を買い、キャピタルゲイン(差益)やインカムゲイン(配当金、優待)によって資産形成を行うという、シンプルなものだ。
しかし、当たり前だが株式投資にはメリットもデメリットも存在する。
本記事では、そんな株式投資の、とりわけ日本株投資におけるデメリットを解説する。
日本株投資のデメリットとは何か
株式投資は、大きく分けると「日本株投資」と「外国株投資」の2種類がある。
前者は国内企業が発行している株式に投資し、後者は海外企業が発行している株式に投資をする資産形成の方法だ。
ここでは、株式投資の基本的なリスクや、日本株特有のデメリットを紹介する。
株式投資の基本的なリスク
株式投資の基本的なリスクは4つある。
価格変動リスク | 株価が下がり、換金の際に購入金を下回るリスク |
信用リスク | 投資した企業が経営破綻し、倒産するリスク |
為替変動リスク | 外国株において、換金時の為替レートの変動により、為替差損が生じるリスク |
カントリーリスク | 発行企業が所在する国や地域の政治、経済環境などにより、株価が変動するリスク |
価格変動リスクと信用リスクは、全ての株式投資に共通するリスクだ。一方、為替変動リスクは外国株を所有している場合に注意しよう。
カントリーリスクは発展途上国で特に注意が必要だが、最近では日本やアメリカといった先進国のカントリーリスクも懸念されている。
日本株に特有のデメリットとリスク
まず、日本株全体として捉えると、大きな成長を遂げていないのがデメリットだ。
日経平均株価が過去最高値をつけた1989年(3万8,915円)の株価を指数100とすると、2023年5月の株価(3万1,328円)は約80である。
一方、ダウ平均株価の1989年の終値(2,758円)を指数100とすると、2022年の終値(3万3,147円)は約1,200となっている。
つまり、1989年から現在までにかけて、株価が約12倍に成長しているのだ。このように、成長性の高い外国株に比べて、日本株は成長性が低いのが特徴である。
弊社が投資家に実施したアンケートでも、日本株に投資しない理由として「海外と比較して成長率が悪い」ことを挙げた回答者が最も多かった。実際に株式投資を行っている投資家の中には、ハイリターンを狙って外国株を優先する人も一定数いるのである。
また、日本株特有のリスクとしては、「災害リスク」も挙げられる。大型地震が珍しくない日本において、震災時の株価下落はよくある光景だ。
とりわけメーカー企業はサプライチェーンに大きな打撃を受けるため、製品供給がストップし、必然的に株価が下落する。
災害リスクは予測不可能なリスクであるため、日本株に投資する場合は特に注意しなければいけない。
災害時には復旧工事や防災関連の銘柄に需要が集まるため、建設業や災害支援システムに関連する企業などが上昇しやすいと言われている。
災害リスクへの対処を考え、復旧関連銘柄に投資しておくと良いだろう。
金融政策と地政学リスクの影響
金融政策と地政学リスクの影響についても知っておこう。
一般的には、金利が下がると株価が上がり、金利が上がると株価が下がると言われている。
たとえば、金融緩和によって金利が下がれば、企業が銀行に対して支払う利子が少なくなり、利益が増える。
これによって事業・設備投資が増え、企業としての価値が上がる。
これが従業員の給与に反映されることで個人の消費行動も活発になるため、多くの人が投資に対しても積極的になる。
これら一連の背景により、株価が上がる可能性が高い。
逆に金融引き締めによって金利が上がれば、企業の銀行に対して支払う利息が多くなり、利益が減る。
事業・設備投資も縮小され、企業としての価値は上がりにくい。個人の消費行動も抑制され、投資に対して消極的になる人が増える。これにより、株価が下がる可能性が高い。
このように、金融政策やこれに伴う金利動向に伴い株価が変動するリスクがある。
一方地政学リスクとは、地理的な位置関係により、特定の国や地域で政治的・社会的・軍事的な緊張感が高まるリスクのことだ。
昨今ではロシアのウクライナ侵攻により、近隣諸国での緊張感が非常に高い状態だ。
中国の不穏な動きもあり、これらの国を近隣諸国に持つ日本は、地政学リスクが高まっていると言える。
地政学リスクが高まっているときには株式が売られる傾向にあり、原油価格が高騰したり、金などの安全資産に資金が集中したりするケースが多い。
無理に株式で利益を狙おうとするのではなく、原油や金などの資産への投資を検討すべきだろう。
日本株式のデメリットを理解し投資リスクを管理する方法
日本株特有のデメリットやリスクを解説したところで、投資リスクを管理する方法について解説する。
分散投資とリバランス
日本株投資におけるリスク管理の基本は、「分散投資」と「リバランス」の2つだ。
分散投資
分散投資とは、文字通り資金を分散し、投資することを指す。
単に複数の銘柄に投資するのではなく、外国株や投資信託、ETF(上場投資信託)、不動産などさまざまな投資先に分散するのがセオリーだ。
ちなみに、分散投資によって形成される、投資先の具体的な組み合わせのことを「ポートフォリオ」と呼ぶ。
ポートフォリオについては、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてほしい。
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオに対する資産の再分配を意味する。
市場は常に変動し、また投資家のライフステージも変化を続けるため、一度形成したポートフォリオが、自分の投資にとっての最適解とは限らない。
継続的・定期的なリバランスを行うことで、ポートフォリオの最適解を目指し、リスク低減に努めることが大切だ。
投資先の選択とリスク評価
日本株投資では、投資先の正しい選択と、リスク評価も欠かせない。
投資先の選び方は人によりさまざまであり、一概に「これ」というものはない。
ただし、投資初心者に共通して言えるのは、「身近な企業を投資先に選ぼう」ということだ。
自分が気に入っている商品のメーカー企業、普段利用しているサービスの提供元企業など、身近な存在だからこそ投資に対して意欲的になれるケースは多い。
さらに、株式投資に必要な分析なども積極的に行えることから、投資に成功する可能性が高まるだろう。
また、銘柄選びに時間をかけ過ぎてしまうことを防げる。投資を始める時期が早いほど、投資に慣れるまでも早く、知識・ノウハウが積み上がりやすい。
このように、投資初心者はシンプルに考え、投資先を選ぶと良い。
投資先を選ぶ時間も「貴重な資源」であるため、スピード感を持って投資先を選ぶのは大切なことだ。
リスク評価においては、「企業が倒産する可能性」ではなく、「リターン(収益の変動)」をリスクとして評価しよう。
日本株投資におけるリスクとは、一般的に「価格変動リスク」を指す。
株価が下落するかどうかという単純な話ではなく、「株価の上昇と下落のブレ幅」に着目してみてほしい。
たとえば、「上昇するときはグンと上がるが、下落するときはガクッと下がる」といった銘柄の場合、リターンが大きくなる可能性もあれば、損をする可能性も高い。
価格変動リスクは、企業が倒産する可能性よりも身近で、注意すべきリスクだ。
したがって、投資先を選ぶ際は過去の株価チャートや企業の業績、業界の見通しなどから、価格変動リスクを中心に評価しよう。
投資信託やETFを活用したリスク分散
ここまでの内容で「日本株投資は難しい」と感じた人は、投資信託やETFを活用したリスク分散を検討してみよう。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めた資金を、一つの大きな資金として専門家が運用する金融商品だ。
「ファンド」とも呼ぶ。主に日本株、国債、外国株、外国債などに対して、投資信託独自の基準と評価によって投資される。
少額から投資できる上に、投資信託に投資するだけで複数の株式や国債などに分散投資したことになる。
以下の記事は、資産形成のプロの目線で投資信託について解説しているため、ぜひ参考にしてほしい。
ETF
ETF(Exchange Traded Funds)とは、日経平均株価やダウ平均株価など、特定の株価指数の動きに連動する運用を目指した投資信託のことだ。
一般的な投資信託と異なる点は、「株式市場に上場していること」である。
そのため、株式と同じように証券取引所で買付や売却が行える。つまり、投資信託よりも流動性・換金性が高い。
また、ETFは外国株をポートフォリオに組み入れている商品が多い。「ポートフォリオが日本株などの国内資産に集中するのは不安だ」という人でも、簡単に外国株に投資できる。
ETFについては、以下の記事で詳しく解説している。
日本株投資のメリットとデメリットを比較検討
続いて、日本株投資のメリットとデメリットを比較していく。
リスク許容度のバランスなどについても解説するため、参考にしてみてほしい。
メリット・デメリットの比較と評価
まずは、日本株投資のメリット・デメリットを整理する。
メリット | デメリット |
企業情報を収集しやすい リスク評価を行いやすい 株主優待で得ができる 為替レートを気にしなくて良い 成長性に対して安い株が多い(バリュー株) | 1単元(100株)でしか購入できない 値幅制限が設けられている 災害リスクがある 外国株と比較すると成長性が低い 業績が悪いと配当金が削られる可能性が高い |
日本株に投資をするメリットを総じて言えば、「投資初心者に向いている」というのが大きな特徴になる。
投資家と企業の距離が物理的に近いため、情報収集やリスク評価を行いやすく、為替レートを気にする必要もない。
また、株主優待は日本株独自の制度であるため、「株主優待で日々お得に過ごしたい」と考える人にも日本株はおすすめだ。
そして、配当利回りが高い企業も多く、安定したインカムゲインを得ながら長期投資を行える点も魅力として挙げられる。
配当金や株主優待を定期的に得られれば、株価の値動きを気にする必要性が低くなる。
精神的なゆとりを持って投資を行えることが配当金・株主優待を得られる日本株のメリットとして挙げられる。
一方で、1単元(100株)でしか購入できないため、有名企業に投資をしたい場合は、まとまった資金が必要だ。
たとえば、UNIQLOやGUを運営する株式会社ファーストリテイリングに投資したい場合、355万6,000円の初期投資が必要になる(2023年7月終値参照)。
日本株でも1株単位で購入可能な「単元未満株(ミニ株)」と呼ばれる制度があるが、リアルタイムな取引が行えないため、株式投資というよりは投資信託に近いイメージだ。
また、日本株は外国株に比べて「キャピタルゲインを得にくい」とする見解が多い。
これは、日本株のリスク(上昇・下落の振れ幅)が少ないためだ。逆に言えば、安定指向で株式投資をしたい人に、日本株は向いていると言うこともできるだろう。
個別銘柄投資とインデックス投資の比較
続いて、日本株の個別銘柄投資とインデックス投資の比較を行う。
個別銘柄投資とは、個別企業の株式に投資をすることを指す。
一方、インデックス投資とは主に、投資信託において特定の株価指数に連動するように運用する投資方法のことだ。
2つの投資方法を比較する理由は、個別銘柄投資は投資を自分でコントロールでき、インデックス投資は自分ではコントロールできないという、真逆の特徴を持っているからだ。
では、そのほかの特徴を整理してみよう。
メリット | デメリット | |
個別銘柄投資 | 大きくリターンを得られるチャンスがある 投資先を自分で取捨選択できる リアルタイムに取引を行える 信託報酬などの運用コストがかからない 株主優待でお得に生活できる 株主総会に参加できる | 大きな損失が出るリスクがある 情報収集や企業分析の手間がある 全て自分で運用しなければいけない 数万円〜の初期投資が必要になる |
インデックス投資 | 100円から投資を始められる 自然と分散投資が行える 情報収集や企業分析の手間がない 投資の専門家が運用してくれる 投資信託の中でもコストが低い 投資を始める手間が少ない | インデックス(株価指数)以上のリターンは難しい 元本割れのリスクがある信託報酬などの運用コストがかかる 短期間ではリターンを得られない 株主優待が得られない株主総会に参加できない |
このように個別株投資とインデックス投資の特徴を並べてみると、「個別株投資は投資初心者には難しい」と感じる人も多いだろう。
確かに、投資信託に比べると難しいかもしれないが、中長期的に大きな資産形成をしたい場合、個別株投資もポートフォリオに組み入れたいところだ。
というのも、個別株投資はキャピタルゲイン(売却益)を得やすい上に、成長性の高い株に投資をすれば、大きな資産形成になる。
そこで、投資初心者はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などに相談し、専門家の意見を参考にしながら個別株投資を進めるという方法がおすすめだ。
投資の目的とリスク許容度のバランス
投資の目的とは、平たく言えば「資産を増やすこと」である。
自身の労働力を資本とした資産形成には限界があるが、極論を言えば投資による資産形成に限界はない。投資のやり方次第で、資産をいくらでも増やせるというわけだ。
しかし、投資には「資産が減るリスク」がある。そのため、投資ではリスク許容度を決めなければならない。
リスク許容度とは、「どの程度の損失まで許容できるか」を数値的に表したものだ。
投資を行っていると、予期せぬ株価変動によって収益がマイナスに触れることがある。
その際に、どの程度の損失まで許容できるかを決めておかなければ、ずるずると損失を増やしてしまうケースも少ない。
いわば、「どこで損切りするか?」を示すのがリスク許容度だ。
特に株式投資は他の投資手法に比べると価格の変動幅が大きい傾向にある。
日本株投資に取り組む際は、このリスク許容度のバランスをじっくり考えよう。
投資初心者でリスク許容度をどのように考えたらわからないという人は、専門家に相談することをおすすめする。
日本株投資のデメリットに対策したいならは誰に相談するべきか
日本株投資には大きな魅力がある反面、リスクもある。
そのため、メリット・デメリットを細部まで把握し、そのバランスを考慮した上で、日本株投資が自分の投資目的に合っているかどうかを見極めなければいけない。
この見極めが、投資初心者にとって一番難しい部分だと言えるだろう。
そんな課題を解決する相談先としておすすめしたいのが、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)である。
ここでは、IFAが投資においてどのように貢献してくれるのかと、IFAを選ぶポイントを解説する。
IFAとは
IFAとは、銀行や証券会社などの金融機関から独立した立場で顧客の資産運用をサポートする専門家のことだ。
顧客からの相談を受けてライフプランに基づく投資計画を策定したり、具体的な投資商品の提案・仲介を行ったりすることが特徴となっている。
従来、資産運用の相談先といえば銀行や証券会社がほとんどだった。
しかし自社で商品を持つ金融機関に運用相談を行うと、手数料が高い商品やリスク水準が合わない商品を無理に勧誘されてしまうケースが少なからず存在した。
IFAはこうした課題を解決するために誕生した専門家だ。既存の金融機関から独立した立場を取ることで、顧客本位の投資助言を行えるようになっている。
IFAが果たす役割
日本株投資においてIFAはどういった役割を果たすのだろうか。
IFAが提供するメリットとして以下の2点が挙げられる。
- 中立な立場から投資助言を提供する
- 長期にわたってサポートを継続する
前述の通り、IFAは既存の金融機関から独立した中立な立場を保っているため、顧客本位の投資助言を行う。
あなたの資産状況や運用目的を踏まえ、デメリット・リスクなども考慮した上で最適な商品を提案してもらえることが大きなメリットだ。
また、IFAには原則として転勤や異動といった制度がなく、同じ担当者が長期にわたってサポートを継続する。
投資計画の策定や投資商品の提案だけでなく、運用開始後のアフターフォローまで対応し、あなたの資産運用を総合的に支援することがIFAの役割だ。
中立な立場から長期にわたってベストな投資助言を得られる点がIFAの最大のメリットと言える。
日本株投資を検討中の方は、ぜひこの機会にIFAに相談してみてはいかがだろうか。
IFAを選ぶポイント
IFAを選ぶ際は、以下3つのポイントを意識しよう。
FD宣言(顧客本位の業務運営方針)を公表している
FD宣言とは、金融庁が発表した「顧客本位の業務運営に関する原則」に準拠しているか否かを表す。
IFAによって内容は異なるが、FD宣言を公表していることは、IFAの信頼を表す一つの基準となる。
投資や資産形成についてわかりやすく説明してくれる
IFAは投資や資産形成の専門家であるため、金融知識が豊富なのは当然である。
肝心なのは、それらの知識をわかりやすく顧客に説明できるかどうかだ。「顧客の立場になって物事を説明できるIFA」は、比較的信頼できると言える。
担当している顧客層が自分とマッチしている
IFAが担当している顧客層もチェックしておこう。自身と似た顧客層が多いIFAとは、相性が良い可能性が高い。
以上がIFA選びで大切なポイントだが、投資専門家に初めて相談をする人は、やはり不安も多いだろう。
そこで利用してほしいのが、「資産運用ナビ」だ。
「資産運用ナビ」は多くの投資専門家が登録しているIFAマッチングサービスであり、自分にとって最適なIFAが見つかる場である。
投資目的や地域などの条件で絞り込み、IFAのプロフィールを見ながら、自分に合ったIFAを探すことができる。
また、運営会社アドバイザーナビでは、利用者のIFA探しのサポートも行っているため、IFAに初めて相談する人でも安心して利用してもらいたい。
日本株投資のデメリットは分散投資でリスク回避
日本株は情報収集のしやすさや株主優待・配当金の魅力などのメリットがある一方、価格変動リスクや災害リスク、地政学リスクなどが伴う。
分散投資や定期的なリバランスなどでリスクをコントロールし、効果的な運用を実践しよう。
また、日本株投資において自分に最適な投資戦略を選択するためには、専門家の力が欠かせない。
なかでもIFAは中立な立場からベストな投資助言を長期にわたって提供してくれるため、安心して相談できるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」では、あなたにぴったりのIFAを無料で探し出せるサービスを提供している。
ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用し、信頼できる相談先を探してみてはいかがだろうか。