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【3931】株式会社バリューゴルフ代表取締役社長執行役員 水口通夫氏「100万人以上のゴルファー会員基盤の”したい”を具現化する」

※本コラムは2023年8月29日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社バリューゴルフは1人からゴルフ場の予約ができる「1人予約ランド」を主力サービスに成長を続け、直近の会員数は100万人を超えています。

代表取締役社長執行役員の水口通夫氏へ、競争力の源泉や成長戦略の注目ポイントを伺いました。

目次

株式会社バリューゴルフを一言で言うと

世の中の「したい」を具現化する会社です。

創業の経緯

当社の創業は、私自身が社会人になった当初から独立志向が強かったことに端を発します。

その将来のために一番役立つ会社としてリクルートを選び、常に独立のアイデアを抱えていました。

ただ、昇進や異動などの節目が訪れるたびに独立は難しくなり、なかなか実現しませんでした。

しかしながら、45歳を迎えた頃これが最後のチャンスだろうと考え、ついに独立を決意しました。

具体的な事業内容は決めていませんでしたが、先輩が経営していた会社に約1年在籍し、資金繰りやマネジメントなど中小企業の運営について学びました。

そして設立したのが株式会社スリーベースです。リクルートからいただく仕事や、以前のお客様からの仕事を受けながらスタートしました。

当初は「何でもやる」というスタンスだったのですが、徐々に特定の領域や業界に特化し、「〇〇ならこの会社」という地位を確立する必要性を感じるようになりました。

私が前職で住宅情報誌事業に携わっていたことから不動産業界も検討したのですが、リクルート出身者としての縁があったため、他の市場に目を向けることにしました。

媒体を通じて進出する業界の選択肢について社内で検討を重ね、最終的にゴルフ、釣り、ダンスの3つの候補が残りました。

その中で、ゴルフ業界はゴルフ場という目に見えた場所があり、またその市場の大きさからも事業が展開しやすいと判断し、2004年にバリューゴルフを創業しました。

ターニングポイント

最大のターニングポイントは、現在の主力事業である「1人予約ランド」サービスを開始したことです。


株式会社バリューゴルフ 2023年4月24日 事業計画及び成長可能性に関する事項
 より引用

設立当初、当社はまず紙の情報誌を出しました。ゴルフ場への直営業部隊を抱えていたこと、そしてゴルファーには中高年層が多いことから、紙媒体は有効な情報提供手段として好評を博しました。

同時に、この時期世の中では紙からWebへの大きな変化が起きていました。

そこで我々もこの変化に適応し、紙媒体を出してから約1年後にWeb予約サービスへと事業を展開しました。

しかし、既に大手企業が先行しており、同じアプローチで彼らに追いつき・追い抜くことは資金・労力の両面から難しいと判断しました。

ただ、Web事業を進化させる必要性はありましたので、未開拓の分野を探すため、再び社員との議論を重ねました。

そこで生まれたのが、1人からゴルフ場の予約ができるというサービスアイディアだったのです。

その後、3ヶ月後にはサービスのテストを開始し、「1人予約ランド」として当社のメイン事業にまで成長してまいりました。

当サービスはゴルフ業界の予約に革命を起こすものであったと感じています。

事業概要と特徴

主力となりますのは「1人予約ランド」をはじめとするゴルフ場の予約サービスとなります。

一方、2016年の上場以降、旅行会社およびゴルフ用品の物販会社をM&Aし、事業を多角化してきました。

足元で「1人予約ランド」の会員数が100万人を突破したように、当社には強固な会員基盤があります。

その方々の、ゴルフに限定しない様々なニーズにお応えしたいという思いが背景にはあります。

当社の経営理念である、”お客様の「したい」を具現化する”という原点に改めて立ち返り、これを追求、さらに新たなビジネスチャンスの模索をしています。

株式会社バリューゴルフ 2024年1月期 第1四半期 決算説明資料 より引用

競争力の源泉:展開力について

当社の競争力の源泉は展開力です。

これまでも、新たな市場で取引先の獲得とユーザーの囲い込みを進め、マーケットの拡大にまで繋げてきました。

これを実現するための行動指針として、「3倍スピード」という指標を掲げています。

これには、他社の3倍速く行動し、他者の3倍成長する、という意味を込めており、社員には積極的に権限を委譲しています。

結果として、新規事業が機動的に立ち上がるという強みになっているのです。

例えばゴルフ事業においては、全ゴルフ場に営業チームが常駐していますので、新しいサービスを導入する際にも競合他社に比べて非常に素早く対応することができます。

また、システムの開発においても自前で行っており、変更やカスタマイズが容易です。外部に依存せずにシステムを運用できることも、スピード感を維持する理由の一つです。

このように当社は、全国に営業部隊を構える足腰の強さと、権限委譲によるリーダーシップの力強さが根付いている企業です。

これらの要素が事業展開における迅速な行動を可能にし、競争力の源泉となっています。

株式会社バリューゴルフ 2023年4月24日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

ゴルフダイジェスト・オンライン社との提携について

2023年7月に株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(以下GDO社)との業務提携をいたしました。

この提携には長い経緯があります。約10年前に案が浮上し、当時は独立的に事業を展開しようという方針でした。

しかし、時が経ちゴルフ予約の環境が大きく変わりました。以前は4人組での予約が主流でしたが、現在は1人予約も一般的になりました。

こうした変化の中、GDO社でも1人予約の領域を強化するという目的で、再び提携の話が持ち上がりました。

当社が「1人予約ランド」で契約しているコースは日本全体のコースの半数以上を占めており、1人予約のプロフェッショナルとしてのノウハウがあります。

株式会社バリューゴルフ 2024年1月期 第1四半期 決算説明資料 より引用

この提携により、1人予約でプレーができるコースとプレー枠は大きく向上する見込みです。

ゴルファーにとっては1人予約枠の選択肢が増えること、予約成立率向上などの利点を提供することができます。

一方ゴルフ場は、2社のサイトから集客することが可能になるため、収益性向上に期待ができます。

また、利用する管理画面は当社のものに統一されるため、運営オペレーションが効率化されることもメリットとなります。

お互いの強みを活かし、今後のゴルフ事業の成長を加速させることを期待しています。

中長期の成長イメージとそのための施策

GDO社との提携に加え、「JYPER’S」でのゴルフ用品販売の強化にも取り組んでまいります。

元々、海外でクラブを購入することには一定のニーズが存在していました。

店舗を運営する株式会社ジープは、輸入品を低価格で国内のゴルファーに販売する事業で成功した会社です。

当時は輸入品に適正な利益を乗せても、国内で販売されている商品よりも安く提供することができたのです。

しかし、昨今の物価上昇や円安により輸入品と日本製品の価格差が縮まってきており、従来のビジネスモデルを継続することが難しい状況にあります。

これに対処するため、当社は新たな施策を展開し、成長を図っています。

例えば、クラブを購入する際には試打を行い、そのデータを元に最適なクラブを提案しています。

また、現代のゴルファーは非常に多くの情報を持っており、そのために自身ではできない微調整やカスタマイズのニーズが生まれます。

ここに対し、当社はクラフト工房をセットした店舗を構えることで、クラブカスタマイズにも注力していきます。

また、ゴルフ事業としては100万人以上の会員を抱えており、この基盤を有効に活用する施策も進行中です。

「JYPER’S」の名前でゴルフ場のインショップを運営し、ボールや手袋など需要の高いゴルフ用品の販売力を高めていきます。

この施策はすでに高い需要を集めており、引き続き直営業部隊の強みも生かしながら拡大してまいります。

さらに、今後は海外展開も視野に入れています。輸入品と日本製品の価格差が縮小したことで、逆に日本で販売されているゴルフ用品が海外市場で競争力を発揮できると考えています。

株式会社バリューゴルフ 2024年1月期 第1四半期 決算説明資料 より引用

今後も我々は変化に対応できる柔軟性を持ち、新しいビジネスモデルを構築していきます。

この過程では、M&Aを通じた成長にも挑戦します。既存事業とシナジーがある分野だけでなく、新たな分野にも積極的に取り組む姿勢を持っています。

これにより、弊社の事業領域が多様化し、成長の機会を拡大させる計画です。

当社の成長戦略は、ゴルフ事業を中心に様々な施策を展開し、変化する市場環境に適応し続けることを基本理念としています。

常にお客様のニーズに応え、具現化するための施策を積極的に進め、成長を続ける使命を全うしていきます。

注目していただきたいポイント

当社は、世の中の「したい」を具現化する会社です。

現在はゴルフとトラベル業界に焦点を当てていますが、今後は業界を超えたM&Aを通じ、100万人以上のゴルファー会員様に対して個々の「したい」を具現化する情報を提供することで、さらなる横展開を図ります。

これは、ゴルファーの多様なライフスタイルやニーズに焦点を当てた新たな事業展開です。

例えば、10年前に「1人予約ランド」の会員になったゴルファーの方が、5年後など近い将来で介護のニーズを抱える可能性があります。

当社はこれまで、ゴルフ予約サービスの事業展開を通じてゴルファーの属性を詳細に分析し、彼らの「したい」を具現化することで信頼関係を築いてきました。

ゴルフを縦軸とするならば、今後は年代別のライフステージニーズを横軸に当社の会員様を再び分類します。

そして、会員様に向けた情報提供を行うことで、長期的なビジネス展開を目指していきます。


株式会社バリューゴルフ 2023年4月24日 事業計画及び成長可能性に関する事項
 より引用

投資家の皆様へメッセージ

コロナ禍の3年間、不確実性が高まる中で特に旅行事業は困難な状況に直面しました。

しかし、待機していた時期があったからこそ、組織体制としては人材も含め強固になったと認識しています。

これを踏まえ、今期からは新たな施策を積極的に進めていきます。

100万人という会員基盤をもとに展開される当社の新たな事業に、今後もご期待いただけますと幸いです。

株式会社バリューゴルフ

本社所在地:東京都港区芝四丁目3番5号 ファースト岡田ビル5F

設立:2004年2月

資本金:382百万円(2022年1月末現在)

上場市場:東証グロース(2016年3月2日上場)

証券コード:3931

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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