※本コラムは2023年10月2日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社ココペリは、中小企業DX支援プラットフォームを開発・提供している会社です。
創業や事業の内容、および中長期戦略について、代表取締役CEOの近藤繁氏にお伺いしました。
株式会社ココペリを一言で言うと
日本一中小企業を応援している会社です。
創業の経緯
当社は、中小企業がより活躍できる世界をテクノロジーの観点から応援していく会社として、2007年に設立されました。
この領域に絞って事業展開をしている背景には、私のアメリカ留学の経験に遡ります。
当時から、日本では「どこの会社に所属しているか」という点に重きを置かれる傾向にありました。
一方アメリカは、どの会社に所属しているのかではなく、「そこで何をやっているのか」が重要視される文化だったのです。
生き生きと働く人々の姿も含め、私は良い意味でのカルチャーショックを受けました。
帰国後は銀行に入行しました。そこで中小企業の方々と接していくうちにアメリカ留学で得たカルチャーショックと似たような感覚を覚えました。
実現したいサービス・事業やそれらを通じた社会貢献に対するパワーや熱い想いに触れ、中小企業の方々と一緒に仕事をしていきたい、と考えたのが創業の原点としてあります。
また、労働生産性の課題を解決しなければいけないという思いもありました。
労働生産性が上がらない限り、働いている社員の給料は上がらず、消費も上がりません。
加えて、日本の99.7%が中小企業であるのに対し、一人当たりの生産性はおよそ550万円で大企業の約2分の1しかありません。
そのため、テクノロジーを活用してこの問題を解決することで、中小企業の生産性向上と、地方を含む日本の未来の活性化を目指し、当社の創業に至りました。
ターニングポイント
設立当初は、経理・給与生産のアウトソーシングや財務コンサルティングなどの労働集約型のビジネスを行っていました。
しかし、属人的に行っている以上、サービスを届けることのできる会社が限られてしまいます。
より多くの企業にサービスを届けるためにはプラットフォームの開発が必要だと考えました。
そこで、2015年にSHARES(シェアーズ)という、士業と中小企業の方々をマッチングさせるプラットフォームを開発しました。
SHARESは初めての自社プロダクトであり、テクノロジーを活用して幅広く支援を届けていくことを始めたと言う意味で、大きなターニングポイントと言えます。
事業の概要と特徴
Big Advance(ビッグアドバンス)というサービスプラットフォームが主力の事業です。
Big Advanceは中小企業DX支援プラットフォームで、月額費を払えば様々なサービスを活用することが出来ます。
例えば、全国の企業の中から、新しい販売先や仕入れ先を探すことができるビジネスマッチング機能などが利用できます。
このBig Advanceは、当社が直接届けるのではなく、金融機関とパートナーシップを組み中小企業の方々へ届ける体制をとっています。
中小企業の方々にWebサービスを使ってもらうためには、金融機関と伴走して支援をしていく座組を作っていく必要があると考えました。
このように中小企業が売上や利益を伸ばしていくためのサービスを、当社では「攻めのDX」と呼んでいます。
他にも、インボイス制度や電子保存義務化に対応した「ちゃんと請求書」や、勤怠管理、経費精算、交通費精算がでる「ちゃんと勤怠」など、業務効率化を実現するサービスも提供しています。
これらは「守りのDX」と呼んでおり、追加費用を払うことでBig Advanceのオプションサービスとしても利用可能です。
差別化ポイント
現在、Big Advanceは85の金融機関に導入していただいております。
これにより、日本最大級の地域金融機関ネットワークが構築され、その先で企業同士のビジネスマッチングが実現されています。
現在、1ヶ月に約3,000から4,000件程度の商談がBig Advanceから生まれていて、これだけ多くのマッチングを生み出しているネットワーク効果は、他社との差別化になっていると考えています。
また守りのDXである「ちゃんと請求書」や「ちゃんと勤怠」に関しては、シンプルなUI(ユーザーインターフェース)と安価な価格で差別化を図っています。
他社の色々なプロダクトを見ても、高機能ではありますがその分高価格で、また企業側が全ての機能を使いこなせているというわけでもありません。
長年中小企業の支援をしてきたノウハウを生かし、「いかにスモールビジネスの企業に使ってもらえるか」ということに焦点を当て、シンプルに必要なものを提供している点が優位性だと認識しています。
マネジメントスタイルと人材戦略
我々は自社でプロダクトを開発しているので、エンジニアや営業、カスタマーサクセスなど組織として多くの部署が存在しています。
部署は分かれてはいますが、みんなで1つのプロダクトを作っている以上、お互いの専門性を尊重することが非常に大切なことだと考えています。
また、そもそも我々がサービスを提供している中小企業の方々は、まさに多様性の塊と言えます。
そのため、ここに対するリスペクトの心がなければ、お客様にとって良いプロダクトも作れないと考えています。
当社は、「企業価値の中に 未来を見つける。」をミッションに掲げ、また「中小企業にテクノロジーを届けよう。」というビジョンの実現を目指しています。
これに基づき、各社員には役割分担がありますが、全ての社員にミッション・ビジョンに共感してほしいと考えています。
そのため、どのポジション、部署であろうとミッション・ビジョンの実現には欠かせない存在であるということを日々伝えております。
実は当社には地方出身や親族が中小企業経営をしている社員が多いという特徴があります。
これは、地域の企業を支援するという点に共感してくれる社員が集まっている証拠だと思います。
中長期の成長イメージとそのための施策
当社は2023年6月に中期経営計画を変更しました。
従前は、既にソリューションを持っている会社と組むことで、Big Advanceを通じてより多くの中小企業のあらゆる課題の解決を目指していました。
しかし、戦略を進めていく中で、中小企業の方々にWebサービスを使っていただくためには、ただツールを並べるのではなく伴走をしなくてはならないと改めて認識しました。
今後は今一度DX領域に絞って伴走支援を徹底していくことで、中小企業の方々に当社のサービスを活用していただきたいと考えています。
ユーザー基盤の拡大
現在Big Advanceに加入していただいているのは約7万社ですが、2027年3月期を目処に15万社の企業へ当社サービスを提供することを目標にしています。
導入済金融機関の先にいる中小企業の総数(約100万社)に対する、Big Advanceの登録率を高めることが今後の鍵となります。
機能拡充とデータ利活用を通じて活用度を上げ、多くの企業にBig Advanceの成功体験を積んでいただくことを目指していきます。
今までは、金融機関の数が伸び、それと並行して会員数も増えていました。
今後は、「1つの金融機関当たりの会員数をいかに増やしていくか」というところに重点を置き、しっかりとプロダクトを育てていきたいと考えています。
ARPA拡大
また、新機能の提供と他社サービス連携の二軸でARPA(Average Revenue per Account)の拡大を図ってまいります。
特に前者においては、オプション機能を使用していただくことが重要になってくると考えています。
現在、Big Advanceの値段が3,300円で、追加で1,100円払っていただくとインボイス対応の請求書を発行することができます。
さらにもう1,100円払っていただくと電帳法対応で、電子の請求書の保存ができます。
これらを積み上げていくことがARPA戦略のベースとなります。
DX Solutions戦略
金融機関のデジタル化支援として、取引先法人ポータルサイトおよびID認証連携機能を提供していきます。
金融機関によってニーズは異なりますが、一つ一つの要望に応えているとどうしてもコストが高くなってしまいます。
そのため、それぞれの最大公約数を取っていきながら、金融機関の要望を満たしていくような機能を提供していくことがポイントであると考えています。
ですが、この標準化とカスタマイズのバランスを取っていくことは、これまで85の金融機関に導入する中で実現してきたことでもあります。
今までの技術力をベースに金融機関との関係性を強化し、サービスに還元していきたいと考えています。
また、無料のポータルサイトをより多くの企業に提供できれば、窓口が開き、そこから有料のBig Advance会員に誘導することもできると考えています。
投資家の皆様へメッセージ
我々の事業に派手さはありません。
ただ、日本が抱えている課題に対してしっかり貢献できますし、日本全国の中小企業の価値を再発見し、さらに付加価値を作っていくことのできるビジネスを行っています。
また、当社には課題に対して真摯に向き合い解決しようとする人が集まっています。
さらに、テクノロジーを使ったソリューション提供という点においては、培ってきた独自のノウハウがあります。
これらは当社の強みであり、良さであると考えていますので、投資家の皆様にもぜひご支援をいただけますと幸いです。
本社所在地:東京都千代田区紀尾井町3番12 紀尾井町ビル11階
設立:2007年6月11日
資本金:810,820,275円(2023年3月31日現在)
上場市場:東証グロース(2020年12月18日上場)
証券コード:4167