- 2,000万円の退職金を効率的に運用する方法を知りたい
- 退職金にかかる税金の仕組みと手取り額を把握したい
- 退職金の運用で考慮すべきリスクとその対策法を理解したい
長年の労働の対価として受け取る退職金は、あなたの大切な資産である。
そのため、退職金の効率的な運用方法を知りたいと考える方は多いだろう。
そこで本記事では、退職金を2,000万円受け取ったと仮定し、退職金運用の基礎知識から効率的な運用戦略、リスク管理の方法までを詳しく解説する。
また、退職金運用におすすめの相談先についても紹介するので、あなたの運用戦略の参考として役立ててほしい。
2,000万円の退職金運用を始める前の基礎知識
退職金の運用を行う際、基本的な部分を分からずに運用を始めてしまうと運用に失敗する恐れがある。
大切な退職金を守りながら効率的に運用するためには、基礎知識から理解しておくことが大切だ。
ここでは、退職金を運用すべき理由や運用の基本原則、退職金にかかる税金の仕組みについて解説していく。
退職金運用の必要性
退職金を運用すべき理由には以下の2点が背景にある。
- 平均寿命が伸びている
- インフレで物価が上昇する可能性がある
日本では平均寿命が伸びており、近年は「人生100年時代」というフレーズが用いられるようになっている。
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、令和4年の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳だった。
平成2年時点では男性が75.92歳、女性が81.09歳だったため、約30年間で男女ともに平均寿命が5歳以上長くなっているのだ。
平均寿命が伸びると退職後の生活期間が長引くため、その分かかる費用も増えてしまう。
長生きによって貯蓄が底をつくリスクが高く、退職金を運用していく必要があるだろう。
また、インフレが原因で物価が上昇するリスクも考慮しなければならない。
近年の物価高騰で家計の負担が大きくなっていることを実感している方も多いだろう。
今後も継続的なインフレによって物価上昇が続けば、退職後の生活費の負担が年々重くなっていく可能性がある。
物価上昇のリスクに備え、退職金を運用して増やすことを目指そう。
退職金運用の基本原則
退職金運用の基本原則として、投資に回す資金と生活費として残す資金を分けることが挙げられる。
生活費を残さずに退職金のすべてを投資に回してしまうと、投資で損失を抱えたときに生活に支障が生じる可能性があるためだ。
退職時の年齢や年金を受給し始めるタイミングにもよるが、退職後しばらくは収入を得られない可能性がある。
定期的な収入を得られないときに運用に失敗してしまうと、生活が成り立たなくなるリスクがある。
ある程度の生活費を残していれば、投資で多少の損失が出てもリターンが出るまで待つことができたり、戦略を切り替えてリターンを狙いに行ったりと冷静に対処できるだろう。
「1年分の生活費」を目安に資金を残した上で、余剰資金を資産運用に回していこう。
退職金にかかる税金の仕組み
退職金は「退職所得」として、所得税・住民税の課税対象となる。
2,000万円が支給されたからといって、そのまま2,000万円を受け取れるわけではないため注意が必要だ。
退職金の所得税は「(退職金額-退職所得控除)×1/2」で退職所得を算出し、一定の税率をかけると税額が計算できる。
退職所得控除額は勤続年数が長くなるほど大きくなる仕組みで、以下の計算式で求められる。
- 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続年数20年以上:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば、勤続年数が30年で2,000万円の退職金が支給された場合、退職所得控除額は「800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円」になり、「(2,000万円-1500万円)×1/2=250万円」が退職所得となる。
退職所得が250万円の場合、所得税率10%・控除額97,500円となるため「250万円×10%-97,500円=152,500円」が所得税額となる。
また、住民税は税率10%となるため「250万円×10%=250,000円」が住民税額だ。
退職金にかかる税金の仕組みを理解し、受け取れる金額を把握しておこう。
退職金2,000万円の効率的な運用戦略を紹介
ここまで退職金運用の基本的な内容を解説してきたが、実際に2,000万円の退職金を運用する場合はどういったポイントを押さえておけば良いのだろうか。
退職金運用の始め方やリスク・リターンのバランスの重要性、おすすめのポートフォリオについて解説していく。
退職金運用の始め方
退職金運用を始めるときには、まず以下の2つのポイントを押さえておくことが大切だ。
- リスク許容度の把握
- 運用目的の明確化
リスク許容度とは、投資においてどの程度の損失まで受け入れられるかという度合いのことを指す。
リスク許容度によって投資先の選択肢も変わってくるため、実際の運用をイメージしてリスク許容度を確認しておこう。
また、退職金を運用する目的を明確にすることも大切だ。
運用を行うことで「いつまでにどのくらいの資金を準備したいのか」という点を明確にし、具体的な運用プランを設計していこう。
資金が必要な時期や金額などがはっきりすると、運用期間や目標リターンを設定できて具体的な投資先の選定にもつながる。
運用戦略の策定や投資先の選定を行う前に「何を目的に運用するのか」という点を明確にしておこう。
リスク・リターンのバランスの重要性
資産運用を始める際、リスクとリターンのバランスを見極めることも重要なポイントとなる。
リターンは投資で得られる利益、リスクはリターンの振れ幅の大きさのことを指す。
リスク(=リターンの振れ幅)が大きい投資法の場合、リターンはプラスにもマイナスにも大きく振れるため、大きな利益を得られる可能性もあれば、大きな損失を抱える危険性もある。
先ほど解説したリスク許容度を踏まえ、リスク・リターンのバランスを見極めていこう。
例えばリスク許容度が高く、ある程度の損失を許容できる人の場合は多少リスクが大きい投資法を選んでも問題ない。
損失を抱える危険性を踏まえた上で、リターンを狙いに行くと良いだろう。
ただし、退職後は損失を取り返すことが難しいケースもあるため、極端にハイリスクな投資法はおすすめしない。
一方、リスク許容度が低く、資産をほとんど減らしたくないという人はリスクを限りなく抑えた堅実な投資法を選ぶと良いだろう。
大きなリターンは狙わず、堅実に小さなリターンを積み重ねていくスタイルだ。
退職金の運用を行う際は、自身のリスク許容度と合わせてリスク・リターンのバランスについても確認しておこう。
2,000万円の資金を運用するポートフォリオ例
退職金の運用を行う際、ポートフォリオの構築も重要なポイントとなる。
ポートフォリオとは、投資する資産の組み合わせや比率のことを指す。
2,000万円の退職金を運用する際、ポートフォリオは「国内株式25%・外国株式25%・国内債券25%・外国債券25%」の比率を基本として考えることをおすすめする。
この比率は日本の年金を管理・運用しているGPIFが採用しているものと同一のポートフォリオだ。
一般的に株式は比較的リスクが大きく、債券は比較的リスクが小さいと言われている。
株式と債券をバランス良く保有することで、ある程度リスクを抑えながらリターンを狙えることが特徴となっている。
ただし、上記のポートフォリオが自身のリスク許容度に合わない場合は、比率を変えてリスク・リターンのバランスを調整しよう。
よりリターンを追求したい場合は株式の比率を増やし、堅実に運用したい人は債券の比率を増やすと、リスク許容度に合ったポートフォリオに調整できる。
4つの資産をバランス良く保有するポートフォリオを基本としつつ、自身のリスク許容度に合わせてリスク・リターンのバランスを調整しよう。
2,000万円の退職金運用の注意点
繰り返しになるが、資産運用においてはリスク・リターンのバランスを見極めることが大切だ。
特に退職金を運用する際は、より慎重にリスク対策を行う必要がある。
ここでは、退職金運用におけるリスクの内容やリスク管理のポイントについて解説していく。
退職金運用におけるリスク
退職金はまとまった金額が支給されるケースが多いため、多少の値動きでも大きな金額が増減することとなる。
退職金を運用する際には慎重なリスク対策が求められるのだ。
例えば2,000万円を運用する場合、1%の下落でも20万円の損失となる。
仮にハイリスクな投資法を選んで10%下落するようなことがあれば、約200万円が損失になってしまう。
退職後の主な収入は公的年金になる人が多い中、200万円の損失を取り返すことは容易ではないだろう。
大きな損失を抱えるリスクを避けるためにも、徹底したリスク管理戦略で大切な退職金を守っていくことが重要だ。
リスク管理戦略
退職金運用においてリスクを抑えるためのポイントとして以下の3点が挙げられる。
- 長期投資
- 分散投資
- ポートフォリオの見直し
長期投資とは、数年〜数十年という長い期間をかけて資産を運用する方法のことだ。
資産運用は長期的に運用を続けるとリターンが安定化しやすく、さらに利益がさらなる利益を生む「複利効果」の恩恵も受けやすくなる。
安定したリターンかつ効率的な運用を目指すためにも、長期投資を前提とした運用スタイルを心掛けよう。
分散投資は、複数の投資先に分けて運用する方法のことだ。
分散投資を行うことで、投資先の1つが万が一暴落しても受けるダメージは小さく済む。
また、ほかの投資先でリターンが出ていれば、損失と相殺することもできる。
投資先を分散させ、万が一のダメージを小さく抑えながらほかの投資先でカバーできるポートフォリオを作成しよう。
そして、定期的なポートフォリオの見直しもリスク管理では重要である。
市場の変化などで崩れた資産の比率を見直し、リスク・リターンのバランスを調整しよう。
例えば、運用当初に「株式50%・債券50%」という比率でポートフォリオを構築していた場合。
株式相場の上昇によって「株式60%・債券40%」というようにバランスが崩れると、資産全体のリスクが大きくなってしまう。
上記のケースでは、株式の一部を売却して債券を追加購入すれば、リスク・リターンのバランスは元に戻せる。
定期的にポートフォリオの状況を見直し、適切なリスク・リターンのバランスに調整していこう。
資産運用の専門家に相談する重要性
ここまで解説してきた退職金運用の始め方やリスク管理について、難しく感じる方も多いだろう。
実際、自身のリスク許容度を把握したり、適切な投資先を見極めたりすることは容易ではない。
退職金運用で不安なことがある方は資産運用の専門家に相談することをおすすめする。
豊富な知識・経験を有する専門家は、あなたのリスク許容度やライフプランを丁寧にヒアリングした上で最適な運用戦略を提案してくれるだろう。
また、市場の変化に合わせたポートフォリオの見直しに対応してもらうこともできる。
継続的なリスク管理をサポートしてもらえるため、安心して退職金を運用できるだろう。
「退職金の運用を始めたい」「初めての投資で分からないことが多い」とお悩みの方は、資産運用の専門家への相談を検討しよう。
退職金運用を2,000万円で始めるなら誰に相談するべき?
退職金運用について専門家に相談する重要性について解説してきたが、運用の専門家にもさまざまな種類が存在する。
相談先としておすすめなのは「IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)」だ。
ここでは、IFAの基本的な特徴やメリット、信頼できるアドバイザーの探し方について解説していく。
IFAとは
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は資産運用アドバイザーの一種であり、金融機関から独立した立場で運用をサポートする専門家のことだ。
顧客のライフプランやリスク許容度をヒアリングし、最適な運用戦略をアドバイスしたり、具体的な金融商品の提案・仲介を行ったりすることが主な役割となっている。
IFAは自社で金融商品を取り扱っているわけではなく、証券会社等の金融機関と業務委託契約を結んでいる。
自社の商品ではないことで会社から販売方針を指示されることもなく、顧客に最適な商品の提案・仲介を行える点がIFAの強みだ。
退職金の運用相談先としてIFAを検討してみてはいかがだろうか。
IFAに相談するメリット
IFAに相談するメリットとして以下の2点が挙げられる。
- 多様な運用手法を検討できる
- 長期間にわたるサポートを受けられる
IFAの中には株式や債券、投資信託などの一般的な投資先だけでなく、不動産投資やヘッジファンド、暗号資産、プライベートエクイティなどを得意としているアドバイザーがいる。
自身の退職金運用についてさまざまな運用手法の中から検討できる点はIFAに相談する大きなメリットだ。
また、IFAは転勤制度がなく、長期的な信頼関係を築きやすいことも特徴として挙げられる。
数年で転勤してしまう銀行や証券会社の場合、担当者が変わるたびに運用方針が変わったり、性格の相性が合わない担当者に当たってしまったりする可能性がある。
しかしIFAは長期的なパートナーとして一貫した運用方針でサポートしてくれることが魅力だ。
「多様な選択肢から運用方法を検討したい」「信頼できるパートナーに相談したい」という方は、IFAに退職金運用の相談をしよう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用しよう
自分に合うIFAをお探しの方は「資産運用ナビ」の利用をおすすめする。
「資産運用ナビ」とは、投資家とIFAをマッチングさせるサービスのことだ。
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アドバイザーのプロフィールが公開されているため、自動診断後に経歴や得意分野などの確認も可能だ。
信頼できるアドバイザーかどうかを確認して納得の上で面談に進める。
また、初回相談は何人でも無料となっており、信頼できるアドバイザーに出会うまで繰り返しの利用もできる。
ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用し、信頼できるアドバイザーを探してみてはいかがだろうか。
2,000万円の退職金運用に専門家の力を
退職金運用を始める際は、運用目的やリスク許容度をもとに適切な運用法を判断する必要がある。
運用におけるリスクを理解し、長期・分散投資と定期的な見直しによって効率的な運用を実現しよう。
また、退職金運用を行う際は専門家に相談することをおすすめする。
IFAによるサポートを通じ、リスク管理と賢い運用戦略による資産の拡大を目指そう。
「資産運用ナビ」では、投資家とIFAをマッチングさせるサービスを提供している。
ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用し、信頼できるアドバイザーを探してみてはいかがだろうか。