- 4,000万円の退職金を効率的に運用する方法を知りたい
- 退職金にかかる税金の仕組みと手取り額を把握したい
- 退職金の運用で考慮すべきリスクとその対策法を理解したい
長年の労働の対価として受け取る退職金は、あなたの大切な資産である。
そのため、退職金の効率的な運用方法を知りたいと考える方は多いだろう。
そこで本記事では、退職金を4,000万円受け取ったと仮定し、退職金運用の基礎知識から効率的な運用戦略、リスク管理の方法までを詳しく解説する。
また、退職金運用におすすめの相談先についても紹介するので、あなたの運用戦略の参考として役立ててほしい。
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4,000万円の退職金運用を始める前の基礎知識
まずは、退職金運用を検討する時に、押さえるべき基本事項を確認しよう。
退職金運用が必要な理由や、運用の基本原則、税金の取り扱いについて解説する。
退職金運用の必要性
現代では、老後の生活を退職金と公的年金だけで補うのは難しくなっている。
それは、次のような老後を取り巻く問題があるためだ。
平均寿命の延び
日本人の平均寿命は、年々延び続けている。
厚生労働省の報告によると、日本の平均寿命は、昭和50年では男性71.73歳、女性76.89歳だったのに対し、令和3年は男性81.47歳、女性87.57歳となった。
寿命が延び、退職後に必要な生活費が増えているのだ。
退職金の減少
退職後の生活資金となっていた退職金自体が、減っているという現状もある。
大学・大学院卒での定年退職者に支給した平均額は、平成30年は1,983万円だったが、令和5年は1,896万円だった。5年間で87万円減少している。
物価の高騰
円相場の影響や世界的な情勢不安で、今後も物価高となるインフレが続く可能性がある。
インフレが続くと、現金の力は衰えていく。退職金を預金のままにしておくと、価値が目減りし、これまでと同じ水準の生活ができなくなることも考えられる。
大きな額の退職金を手にし、資産が十分にあると感じていても、複数の要因が絡み、生活の途中で資金が足りなくなる可能性がある。
そのため、退職金は運用をしながら取り崩すことによって、老後の「資産寿命」を延ばすことを考えなければならない。
退職金運用の基本原則
退職金の運用は「大きく増やす」ではなく「不足分を補う」という考え方が適切だ。
あくまで生活費の確保を前提とし、ハイリスクの投資や短期勝負で成果を出す運用は避けたい。
その上で、かねてからの夢や、やりたかったことを実現するための資産作りを目指す。楽しみを増やしながら、前向きな運用を行いたい。
退職後は、新たに投資を学びながら知識を得つつ、長い資産運用のスタートを切るというのが望ましい。
ネットや本には、目標とする金額や運用成果が示されていることもあるが、あくまで参考の数値だ。
焦りや不安があるからといって、ただ漠然とお金を増やす必要はない。
自分にふさわしい金額と目標を定め、適切な戦略を立ててほしい。
退職金にかかる税金の仕組みと手取り額
退職金は一定の額を超えると、所得税と住民税の対象となる。
しかし退職金は、功労に対する支給という性質があることから、税の負担が軽くなるよう退職所得控除が設けられている。
退職所得控除額は、勤続年数に応じて異なり、以下の通りとなっている。
- 勤続20年以下:40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
- 勤続20年以上:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
では、勤続38年で退職金4,000万円の場合、実際の手取り額はどうなるのだろうか。
課税退職所得は、次のように計算する。
退職所得控除額は2,060万円、970万円が課税退職所得となる。
所得税の税率と控除額、特別復興税を計算すると約170万円、住民税を計算すると、97万円だ。
合計の納税額は約267万円、手取り金額は約3,733万円となる。
退職金運用はいくらで始めるべき?について、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
退職金4,000万円の効率的な運用戦略を紹介
ここからは、退職金4,000万円の運用のポイントを解説する。
- 運用の始め方
- 最適なポートフォリオ
- リスクとリターンのバランス
それぞれ確認していこう。
退職金運用の始め方
退職金の運用を始める際は、次の3つの項目を適切に設定することが重要だ。
運用の目的
退職金の運用目的は「老後資産の寿命を伸ばし、ゆとりある生活をすること」である。
自分にとって「ゆとりある生活」とは何かを具体的に考え、資産を増やす目的を考える。
期間の設定
以下は4,000万円で資産運用をした場合、どのように資産が増えるのかを利回りごとにまとめたものだ。
なお、税金は考慮していない。
利回り | 1年後 | 3年後 | 5年後 | 10年後 | 20年後 |
---|---|---|---|---|---|
1% | 4,040万円 | 4,121万円 | 4,204万円 | 4,419万円 | 4,881万円 |
3% | 4,120万円 | 4,371万円 | 4,637万円 | 5,376万円 | 7,224万円 |
5% | 4,200万円 | 4,631万円 | 5,105万円 | 6,516万円 | 10,613万円 |
自分の資産運用の目標金額に合わせて、どの利回りでどの期間運用を続ければ良いのかを検討していこう。
また、売却のタイミングは、マイナスのときもプラスに転じているときも、躊躇してしまうものだ。どういう時に売却や解約をするのか、自分の運用ルールについても定めておきたい。
リスク許容度の把握
退職金の運用は、大きな損失が出ても生活に影響を及ぼさない程度のリスク許容度を検討するべきだ。
退職以降は大きな収入が見込めないため、リスク許容度は低めに設定するのが望ましい。
4,000万円の退職金運用ポートフォリオ例
商品の選定前には、資産種類の配分を考える「アセットアロケーション」が大切だ。
アセットアロケーションは、資産全体の収益を決定づける重要な要素であるため慎重に行いたい。
退職金4,000万円を運用するときの資産配分例を紹介する。
安全性重視
定期預金 | 20% |
---|---|
国内債券 | 30% |
バランス型投資信託 | 30% |
貯蓄型保険 | 20% |
元本割れをしない預金で、安定性を確保した。
値動きが大きくない債権、投資信託と返戻率が確定している貯蓄型保険を組み込んだ。
バランス重視
国内債券 | 25% |
---|---|
外国債券 | 25% |
国内株式 | 25% |
バランス型投資信託 | 25% |
値動きの異なる資産種類を組み合わせ、バランスを取った。
それぞれの配分も同じにした。
高収益重視
外国株式 | 30% |
---|---|
国内株式 | 30% |
アクティブ型投資信託 | 20% |
外国債券 | 20% |
値動きが大きい外国株式の割合を、大きく引き上げ収益を重視した。
投資信託についても、特定の指数を上回る運用成績を目指すものを組み入れた。
リスクとリターンのバランスの重要性
運用商品には、リスクとリターンが必ず存在する。
リスクと聞くと、損することというイメージが先行するが、本来は「不確実性」のことを指す。
価格の振れ幅が大きく定まらない、将来的な利益が不安定である状態がこれに当たる。
また、リターンは運用によって得られる利益のことで、リスクとリターンは相関関係にある。
運用にあたっては、設定したリスク許容度と目標値に対して、リスクとリターンがバランス良く取れているかを重視したい。
特に退職金は、老後の資産と大きく関係することから、低リスクで確実性の高いものを選べているか確認することが大切だ。
1つの商品で、バランスを取る必要はない。
異なる値動きや仕組みを持つ資産を組み合わせることで、リスクとリターンは調整することができる。
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4,000万円の退職金運用の注意点
この章では、退職金運用時に想定されるリスクについて解説する。
その上で取り組むべき対策方法についても説明しよう。
退職金運用に伴うリスク
退職金運用特有のリスクとして、次のようなものが考えられる。
- 損失補てんが難しい
- 大きな収入源がないため、損失を出しても収入を増やすなどカバーができないおそれがある。
- 知識不足の投資
- 投資経験の乏しい人が、知識が少ないまま独断で投資してしまい、想定外の損失を被る可能性がある。
その他、運用全体におけるリスクは次のようなものがある。
- 価格変動リスク:売却時の価格が確定していない。
- 為替変動リスク:外国の投資商品の場合、通貨の価値変動がある。
- 金利変動リスク:金利変動によって資産価値が変わる。
- 信用リスク:資産自体の価値がなくなり、元本や利息が支払われるか確実ではない。
- カントリーリスク:投資国の経済や政治によって市場が変動する。
これらを認識した上で、適切な運用の判断を行ってほしい。
リスクを抑える運用戦略
リスクを抑え、運用を続けるためのポイントをまとめた。
長期投資
リスクを低くするには、長期投資を視野に入れておきたい。
退職金を受け取った早い時期から投資に臨めば、時間かけた運用が叶う。不確実性は減少し、価格の振れ幅を小さくできる。
また、複利の効果を最大限に活用でき、自らの運用知識も着実に培うことができる。
分散投資
1つの運用商品に集中させてしまうと、その商品の損失時に、資産全体へ大きな影響を及ぼしてしまう。
さまざまな投資種類に分けて投資をすれば、値下がりの影響が限定され、損失を相殺させられる。
定期的な見直し
理想のポートフォリオを作り上げたとしても、それで完成ではない。
商品の価値や価格、運用パフォーマンスは日々変化していく。投資をする自分自身の運用ニーズも時間とともに変わっていく。
投資運用は長期で行いながら定期的に見直し、組み合わせを工夫する必要がある。
資産管理の専門家への相談という選択
退職金という大きな資金を手にすると、どう運用していいか分からないと戸惑う人も多い。
長年投資をしてきた人でも、退職金の運用は初めてで、経験やノウハウの蓄積が難しい。
退職金の正しい活用方法を知りたいが、イチから学ぶのは時間を要する。リスク許容度についても判断基準が難しい。そう感じる人もいるだろう。
退職後の資産形成は、専門家からアドバイスを受けるという方法もある。
運用のプロは、最新の市場や経済事情に精通している。
相談をすれば、新しい知見や運用戦略を得ることができるだろう。
第三者のアドバイスがあれば、自分の資産状況を客観視し、最適かつ合理的な運用方法を考えられる。
退職金の運用は始めの準備が大切だ。運用前に専門家を頼ることで、その後の運用に大きな差が生まれるはずだ。
退職金運用を4,000万円で始めるなら誰に相談するべき?
退職金運用の相談先には、IFAという選択肢がある。
ここでは、IFAの特徴や活用するメリットについて解説する。
資産形成のプロ、IFAとは?
IFAとは、独立系ファイナンシャル・アドバイザーのことだ。
銀行や証券会社から独立した人が多く、専門的な金融知識を身につけたエキスパートである。
老後の資産形成など、顧客のお金全体についてコンサルティングを行う。
幅広い投資種類を組み合わせた運用戦略を得意とし、商品の垣根を超えたバランスの良い提案を受けられる。
金融商品の仲介もできるため、アドバイスだけに留まらず、株式や投資信託などの売買手続きも担当する。
もちろん、IFAは退職金の運用方法についても相談を行っている。
退職を事前に控え、今後の運用プランを事前に相談する人や、退職をきっかけにIFAとともに資産を管理する人も多い。
漠然としたお金の悩みや将来的な不安に関しても的確なアドバイスが可能だ。
退職などの大きなライフイベント時こそ、頼りにしたい存在である。
退職金運用におけるIFAの役割とメリット
IFAは、複数の証券会社と販売提携を結んでいる。
特定の金融機関に属していないため、販売方針やノルマの縛りがなく、顧客にふさわしい金融商品や運用方法の提案が可能だ。
また、異動に伴う担当者変更がない。1人の担当者が長期にわたって資産形成をサポートするため、安心して相談できる。
退職金など長期運用を目的とするなら、現状報告や運用方針の確認についてきめ細かいサポートが続くIFAを利用する効果は大きい。
長期的な付き合いをしていく中で、相談内容によっては弁護士や税理士など外部の専門家との連携もでき、素早く対応することも可能だ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用方法
退職金相談でIFAを選ぶ場合は、幅広い業務に通じているかがポイントだ。
今後ライフステージに応じて複数の相談事が生じ、専門的な手続きが必要になる場合がある。
資産運用だけではなく保険や不動産、相続などのアドバイスができ、過去の相談事例が多いIFAが良いだろう。
「資産運用ナビ」はIFAを探すことができるプラットフォームだ。
地域や相談内容に応じて、最適なIFAを検索でき、依頼ができる。
IFAごとの得意な領域や保有資格、連携証券会社、経歴などを閲覧できるようになっている。
担当顧客層についても性別や年齢、保有金融資産、職業を確認でき、自分と同じような資産背景を持つ顧客を担当しているか判断ができる。
信頼できるIFAと共に、自分のライフプランに合った適切な退職金活用を検討してみてはいかがだろうか。
4,000万円の退職金運用に専門家の力を
ここまで、退職金4,000万円を効率的に運用する方法について解説した。
現代では、退職金の減少、平均寿命の伸び、年金受給額の減少など老後資金の問題が多く、運用することで資産寿命を伸ばす戦略が必要とされている。
退職金の運用を始める際は、目的やリスク許容度をもとに、自分に合った方法を明確にしなければならない。
そのうえで、長期・分散投資と定期的な見直しに取り組み、効率的な運用を実現してほしい。
まずは基本知識を身につけることが大切だ。そして、さまざまな手法を組み合わせ、リスクを抑えつつ続けることが成功への近道であるといえる。
運用成果をより高める手段として、専門家に味方になってもらうのも戦略の1つだ。
資産形成のプロであるIFAに相談することで、投資や運用の専門的な知識を活用し効果的な退職金運用が可能になる。
退職金運用に関する個別の悩みや疑問が解決し、安心できる老後の資産形成が叶うだろう。
生活スタイルが大きく変わる定年時こそ、まずは資産全体を見渡し、冷静に判断する力を備えたい。
「資産運用ナビ」を利用し適切なアドバイザーを見つけ、共に戦略を練ってみてはいかがだろうか。