- 退職金運用の注意点や代表的な運用法について理解したい
- リスクを最小限に抑えたおすすめの運用手法を具体的に知りたい
- 退職金運用に関するおすすめの相談先を探している
長年の労働の対価として受け取る退職金は大切な資産であり、その運用には適切なリスク管理が不可欠である。
しかし、リスクを抑えた運用をどのように実践するべきか、具体的な手法はわからないという方も多いだろう。
そこで本記事では、退職金運用の基本原則からリスクを最小化する戦略、そしておすすめの運用法までを詳しく解説する。
記事の最後にはおすすめの相談先についても紹介するので、あなたのセカンドライフを支える資産運用のためにぜひ役立ててほしい。
退職金運用の基本原則
退職金は豊かな老後を過ごすための重要な資産だ。そのため退職金運用は慎重に行う必要がある。
ここでは退職金運用の基本原則である以下の3つを解説する。
- 退職金運用の必要性
- 代表的な運用手法と選び方
- 退職金運用の注意点
退職金運用の必要性
現在は以下3つの理由から退職金運用の必要性が増している。
- 平均寿命が伸びている
- 退職金が減少している
- 物価が上昇している
平均寿命が伸びている
平均寿命が伸び続けているため、退職金を運用しないと老後の生活費が足りなくなる可能性がある。
厚生労働省のデータによると、平均寿命は以下のように推移している。
男性 | 女性 | |
1955年(昭和30年) | 63.60歳 | 67.75歳 |
1990年(平成2年) | 75.92歳 | 81.09歳 |
2022年(令和4年) | 81.05歳 | 87.09歳 |
1995年と2022年の平均寿命を比較すると、男性は17.45歳、女性は19.34歳も寿命が延びている。
年間にかかる老後の生活費が夫婦で300万円(月25万円)の場合、27年前の1995年と比べて5,000万円以上ものお金が必要となる。
また、後述するように退職金は減少傾向にあり、年金も減らされている。
そのため退職金と年金だけで老後の生活費を賄うのは非常に難しいと言えるだろう。
お金が足りなければ夫婦で旅行にも行けないし、お孫さんにお小遣いをあげることもできない。
理想の老後生活を送るためにはお金が欠かせない。
老後の生活費を賄うための退職金運用は、多くの方にとって必要だと言えるだろう。
退職金が減少している
退職金が減少していることも、退職金運用が必要な理由だ。
厚生労働省によると、大学・大学院卒の退職金は以下のように推移している。
2023年(令和5年) | 1,983万円 |
---|---|
2018年(平成30年) | 1,983万円 |
金額差 | -87万円 |
※抽出条件は「勤続20年以上かつ45歳以上の退職者」かつ「定年退職」した場合
大学・大学院卒の退職金は、5年前と比べて「87万円」も減少している。平均寿命が伸びておりかつ退職金が減少しているため、老後にお金が足りなくなり理想の生活を送れなくなる可能性が高い。
また、今後のさらなる退職金の減少、退職金控除の解約、増税などによって受け取れる退職金がさらに減少する恐れもある。
物価が上昇している
ここ数年日本はデフレから脱却し、インフレが進んでいる。
日本銀行のデータによると、2023年の消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー)は「+3.5%から+3.9%」になる見通しだ。
また2024年・2025年の見通しも2%程度のインフレになる見込みで、商品やサービスの価格は年々増加していくと思われる。
現在の銀行預金の利率は0.001%が主流となっており、預金しているだけではお金の価値が下がっていき、購入できるものがどんどん少なくなってしまう。
物価上昇に対抗するためには、退職金を運用し、インフレ率以上にお金を増やしていかなければならないのだ。
代表的な運用手法と選び方
代表的な退職金の運用手法を以下の表で解決する。
運用手法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
定期預金 | 専門知識がいらない 元本割れしない 簡単に始められる | インフレ率に劣るリターン 満期までお金を引き出しにくい |
債券投資 | 満期また保有すれば元本が返ってくる 株式や不動産と比べると値動きが小さい 利息を受け取れる | 発行体の破綻の可能性がある 債券によっては株式以上に値動きが激しい |
投資信託 | プロに運用を任せられる 少額から分散投資できる 専門知識があまりいらない NISAを活用できる | 株式投資ほどのリターンを見込みにくい 日々商品の価格が変動する 元本割れのリスクがある |
株式投資 | 高いリターンを得られる可能性がある 配当金や株主優待が受け取れる 好きなタイミングで売却できる NISAを活用できる | 元本割れの可能性がある 値動きが激しい 投資した会社が倒産するリスクがある 専門知識が必要 |
不動産投資 | 家賃収入が得られる 物件が値上がりする可能性がある | 多額の投資資金が必要 購入する物件の目利きが難しい 不動産や税金の知識が必要 好きなタイミングで売却できない |
最適な退職金運用手法は、その方のリスク許容度や将来設計によって異なる。
たとえば、これまでに投資経験があり、定年後も仕事を続ける方であれば、株式投資・投資信託をメインに大きなリターンを狙っても良いだろう。
一方でこれまでに投資経験がなく、すぐに退職金を使用する予定がある場合は、定期預金や債券投資をメインにし、あまり大きなリスクを取ることはおすすめしない。
退職金運用の注意点
豊かな老後を送るために退職金運用は欠かせない。
ただ以下2つの注意点もある。
- 退職金全額を運用しない
- 商品内容を理解しないまま投資しない
これらの注意点を理解しておかないと「こんなはずではなかった」と、後悔することになりかねない。退職金運用を検討されている方には、必ず目を通してほしい。
退職金全額を運用しない
どのような方であっても退職金全額の運用はおすすめできない。
資産運用には元本割れのリスクがあるためだ。
運用手法によっては退職金の大半を失ってしまうリスクもあり、仮にそうなった場合、老後の生活を1から見直さなければならなくなる。
特に、これまで資産運用の経験がない方が運用を行う場合は、多くても運用する退職金は全体の5割までとするなど、多額の資金を一度に運用をしないようにしよう。
商品内容を理解しないまま退職金運用しない
商品内容を理解しないままの退職金運用も非常に危険だ。
資産運用には元本割れのリスクがある。運用手法によってどのようなケースで元本割れするのかは異なる。
商品内容を理解していないと、元本割れしてしまったときに動揺してしまい眠れなくなったり、常に証券口座の画面を見たりと、日常生活に支障が出てしまう恐れがある。
このような事態を避けるためにも、信頼できる専門家から紹介された運用手法であっても、必ずどのような内容なのか理解してから資産運用を始めるべきなのだ。
退職金運用におけるリスク管理
ここまで退職金運用の必要性を中心に解説してきたが、運用である以上はリスクが伴うことを忘れてはならない。
そこでこの章では以下3つのポイントから退職金運用におけるリスク管理について解説する。
- 退職金運用のリスク
- リスク許容度とは
- 長期投資と分散投資の重要性
退職金運用のリスク
退職金運用には以下4つのリスクがある。種類と概要を下記の表にまとめた。
退職金運用のリスク | 概要 |
---|---|
価格変動リスク | 購入した金融商品の価格が変動するリスク 相場状況によっては元本割れするケースもある |
信用リスク | 投資した商品の価値がなくなるリスク 株式投資を例にすると、投資した会社が倒産すると投資資金の全額回収が難しくなる |
流動性リスク | 売買が成立しないリスク。金融商品を現金化するためには、売買が成立しなければならない 不動産をはじめとした購入金額が大きい商品は、簡単に売却相手が見つからないため簡単に現金化できないリスクがある |
為替変動リスク | 為替変動によって外貨建て資産を円換算した際に損益が生じるリスク 商品を売却するために円安になっていれば為替差益が得られ、円高になっていると為替差損を被ってしまう |
退職金運用は上記のようなリスクがあるため、元本割れしてしまうリスクがある。
資産運用を始める前に運用手法ごとのリスクを把握しておくと、いざ含み損を抱えた際にも冷静に対処できるだろう。
リスク許容度とは
リスク許容度とは、その方が耐えられる損失額の大きさと言い換えても良い。
リスク許容度は主に以下の要素で決まる。
- 投資経験
- 資産額
- 年収
- 扶養家族の有無
- 将来設計
一般的に、投資経験があり資産額や年収が多く、加えて独身の方であればリスク許容度が高いと判断する。
一方で投資経験がなく、扶養する家族がいる方はリスク許容度が低いと判断する。
リスク許容度の高い方は、仮に100万円の含み損を抱えても資産運用を続けられる。
一方でリスク許容度が低いと、1円でも元本割れしてしまうと不安になり、売却してしまうこともあるだろう。
資産運用を行っていると、必ずと言っていいほど含み損を抱えるタイミングがある。
そのような際にも、リスク許容度を超えない資産運用を行っていれば、安心して投資を続けられるはずだ。
長期投資と分散投資の重要性
「元本割れする可能性がある」と聞き、退職金運用が怖くなった方もいるだろう。
ただ資産運用は長期投資と分散投資をすることで、元本割れのリスクを小さくできる。
金融庁の資料によると「国内外の株式と債券に20年間積立投資を行った場合」には、あくまで過去のデータだが元本割れすることはなかった。
このデータは、あくまでも過去のデータであって未来を保証するものではない。
ただ、長期投資を行えば元本割れの可能性が低くなるとは言えるだろう。
また、値動きが異なる資産を組み合わせる分散投資も、元本割れのリスクを小さくできる。
代表的な例は、株式と債券に分散する方法だ。
一般的に株式と債券の値動きには逆相関性がある。
つまり株式が値上がりしているときは債券は値下がりし、反対に債券が値上がりしているときは株式が値上がりしているケースが多いということだ。
値動きの異なる資産に分散投資すると、保有資産全体での値動きをマイルドにすることができる。
要するに、ある資産の損失を別の資産が値上がりすることによってカバーしてくれるため、資産全体で含み損を抱えるリスクを軽減できるということだ。
特に退職金は老後の生活に必要なお金のため、安全性の安全性の高い資産運用を行う必要がある。
安全性の高い運用として、長期投資と分散投資を行うのがおすすめだ。
退職金運用におすすめ!安全な運用法とは
この章では、リスクを最小限に抑えたおすすめの運用手法を具体的に2つ解説する。
- 損したくない方向け
- 債券100%
- リスクが取れる方向け
- 株式20%+債券80
ここで表示しているパーセントは、投資資金の中での投資割合であることに注意が必要だ。
仮に退職金1,000万円のうち500万円を、「株式20%+債券80%」のポートフォリオで運用するとしよう。
その際の資金の内訳は「株式100万円+債券400万円」となる。
先述したように退職金全額を資産運用に回してはいけない。最悪の場合、元本割れによって退職金のほとんどを失ってしまうリスクがあるためだ。
損したくない方向け:債券100%
絶対に損したくないという方は、債券100%で運用するのがおすすめだ。
債券は発行体が破綻しない限り、満期まで保有していれば元本が100%戻ってくる。
発行体が国や財務状況の良い大企業であれば破綻する可能性は低いため、債券は損をせずに堅実な資産運用をしたい方に特におすすめできる運用方法だ。
また、債券は保有期間中に利息を受け取れるものもある。
受け取る利息は商品ごとにさまざまだ。仮に利回りが3%の債券に100万円投資したとすると、年間で税引前3万円の利息が受け取れる。
比較的安定性が高いと言われる「10年物の米国債」利回りは、およそ3.9%(2023年12月25日現在)だ。
そのため債券で3%程度の利回りを得ることは、現実的ではないと言える。
リスクが取れる方向け:株式20%+債券80%
リスクが取れる方には「株式20%+債券80%」の運用手法がおすすめだ。
前述した「債券100%」の運用手法は安全性の高さが魅力だが、それほど高いリターンは望めない。
そのため、リスク許容度が高く、高いリターンを求めたい方は、投資資金の一部を株式で運用するのがおすすめだ。
株式は一般的に値動きが激しく、経済状況・相場状況によっては元本割れするケースもある。
ただ長期投資した場合には、最近よりも高いリターンを得られる可能性が高いことが魅力だ。
退職金運用を行う場合は安全性を一番に考える必要があるため、あくまでも運用のメインは債券にし、リターンを高めるためのスパイスとして株式を加えるという考え方をおすすめする。
退職金運用の相談先はどこが良い?
退職金運用で成功するためには、リスク許容度や自分に合った運用手法など様々なことを考慮するべきである。
しかし、投資経験のない方がこれら全てを一から考えるのは非常に難しいだろう。
そのため、退職金運用を行うならば資産運用の専門家に相談するのがおすすめだ。
そこでここでは以下の3つについて解説する。
- 資産運用の相談を専門家にする必要性
- IFAの役割と相談するメリット
- IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用方法
資産運用の相談を専門家にする必要性
退職金運用で失敗するリスクを避けたい方は、資産運用の専門家に相談するのがおすすめだ。
資産運用での失敗を避けるためには、運用手法の知識だけでなく、自身のリスク許容度の把握も必要だ。
ただ、資産運用に詳しくない方が、一から運用手法について勉強するのは時間がかかる。
その上、リスク許容度は自分だけでは簡単に把握できるものではないだろう。
この点、豊富な知識と経験をもつ専門家の力を借りると、一から運用手法について勉強する必要がなくなる。
また、数々の相談実績からあなたのリスク許容度を的確に教えてくれる。
つまり専門家への相談は、退職金運用のスタートダッシュを切りやすくなるというメリットがあるのだ。
IFAの役割と相談するメリット
専門家の中でも特におすすめなのは「IFA」と呼ばれる、独立系ファイナンシャルアドバイザーだ。
IFAは特定の金融機関には所属せず、代わりに業務委託契約をむすぶことで投資家へ金融商品の提案・取引仲介を行っている。
金融機関に所属していないため、組織のしがらみがなく、顧客本位の運用提案を行えるのが最大の魅力だ。
金融機関に属している場合、その金融機関が売りたい商品を優先的に提案されるケースが多く、必ずしも顧客目線での提案化が行われるとは限らない。
IFAには商品ごとのノルマや目標がないため、顧客に合わない運用方法や商品が提案される可能性は低い。
IFAへ相談すると、退職金運用の失敗確率を大幅に軽減できるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用方法
ただ「自分と相性の良いIFAとの出会い方がわからない」と悩む方もいるだろう。
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また面談についても無料で、提案された運用や商品を購入するまで費用はかからないのも嬉しいポイントだ。
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まとめ
退職金運用には、リスクを最小限に抑え、資産を増やす戦略が重要だ。
退職金運用のメインとなるのは有価証券だが、目的やリスク許容度に応じて、不動産投資などの実物資産の活用を検討しても良いだろう。
また、退職金運用を成功させるために、この記事を参考にリスク許容度の把握や運用目的の設定、自分に合った運用手法を見つけてほしい。
そして、それらを考える際は、IFAをはじめとした専門家へ相談するのがおすすめだ。
自分に合ったアドバイザーを効率的に探すには、IFA 検索サービス「資産運用ナビ」がおすすめだ。
相談は下記のリンクから無料で行えるので、ぜひ活用してみてほしい。