※本コラムは2024年1月15日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社パルマはセルフストレージ1業界の拡大のため、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)2事業やデベロッパーとして施設開発投資事業を行っています。
代表取締役社長の木村純一氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
株式会社パルマを一言で言うと
セルフストレージ業界の課題を解決し、市場規模の拡大をサポートする会社です。
パルマの沿革
創業経緯
2006年1月に金融関連業・セルフストレージビジネス向けの収納代行や滞納管理を行う会社として創業しました。
2009年5月には不動産事業を行う(株)ディア・ライフのグループ子会社となり、現在のセルフストレージビジネスに専念しました。
その後、2014年にはセルフストレージの施設開発投資を始め、API配信による集客・検索予約ポータルサイトの「ニコニコトランク」の提供を開始しました。
そして、2015年8月に東証マザーズ市場(現東証グロース市場)に上場しました。
さらに2018年5月には、双方の経営資源のシナジーを見据えて日本郵政キャピタルが資本参加しております。
パルマの事業の概要と特徴
概要
主にビジネスソリューションサービス(以下BS事業)とターンキーソリューションサービス(以下TKS事業)を展開しています。
まず、BS事業ではセルフストレージ事業の運営の効率化、コスト削減、リスクヘッジのためのBPOサービスを提供しています。
セルフストレージ事業とは、レンタル収納スペースや収納用のコンテナをレンタルする事業であり、倉庫業とは異なります。
当社は現在、全国の350社を超えるセルフストレージ業者から約125,000室のBPOを受託しています。
併せてWEB予約決済在庫管理システムの「クラリス」や、収納スペース専門検索サイトのニコニコトランクを提供しており、ストックビジネスとして安定した売上を支えています。
また、TKS事業では当社が開発した物件に利用者を募り、稼働が安定した頃に売却するフロービジネスを展開しています。
主な対象顧客はセルフストレージ業者や海外投資ファンドです。
近年では、土地価格の上昇に伴い、土地を取得して施設を開発するだけでなく借地にストレージ用のコンテナを運営、売却等のプロジェクトも手掛けております。
事業における優位性
成長するセルフストレージ市場
セルフストレージ市場は、2028年には1,000億円以上の市場拡大が期待されている、非常に成長性の高いマーケットです。
昨今のEC取引の拡大とともに宅配業者が取り扱う配達物も増大したことから、エンドユーザーにより近い場所に配送拠点を設けるといったニーズも発生しています。
それだけではなく、オフィスのコンパクト化や在宅ワークの浸透によって書類などの保管場所としてもセルフストレージが選ばれています。
ただし、当社はセルフストレージ業界において運営事業者ではなく、当該事業者に対して設備やサービスを展開していく立場です。
市場の拡大=当社の拡大と見ていますので、セルフストレージ業界の成長が当社のメリットに繋がると考えています。
全国展開・導入シェアの高さ
収納スペース専門検索サイトの「ニコニコトランク」には、既に7,000施設・31万室が登録され、全国350社以上に導入されています。
我々のように、セルフストレージ業界専門で事業を展開している企業は非常に少ないと思います。
ここには、施設や部屋の管理負担費用が不動産賃貸業に比べて高く、受け取る手数料も少額なため、参入障壁が高いという背景があります。
一方で、当社は早期にセルフストレージ業界に参入し、効率化等BPOのニーズを捉えてノウハウを蓄積してきました。
この強みを活かして全国各地に展開し、サービス導入率も高いことから、非常に安定したストック収入を得ています。
ワンストップサービスによる強い事業基盤
当社はセルフストレージの施設開発から運営プロセス全般において、効率化とリスク軽減を実現するBPOサービスを提供しています。
既存の事業者はもちろん、新規参入事業者に対しても、当社の多様なサービスを提供することでセルフストレージ事業への参入をサポートしています。
中堅・中小業者では契約手続きやメンテナンスのシステム化が難しく、コストも高いことから事業として成り立たない場合もあります。
また、新規参入事業者にとっては契約手続きやメンテナンスの煩雑さから諦めてしまうことも少なくないと思います。
この課題に対して、当社は施設の受付の申し込みから収納代行、施設の管理に至るまでワンストップでサービスを提供し、業務全般を請け負っています。
これにより、事業者は管理などの手間をかけることなくセルフストレージを活用したビジネスを行うことができます。
そして、当社のようにワンストップで提供している企業は他にはないため、「セルフストレージ運営について相談するなら、まずパルマ」というプレゼンスが確立できています。
パルマの中長期の成長イメージとそのための施策
BS事業の受託シェアの伸長
現在、当社がBPOを受託している室数は約60万室存在する国内市場全体の1/5で、大きな拡大余地が広がっていると考えています。
今後は早期に5割のシェア、室数に換算すると約20万室まで伸ばす方針です。
そのためにも、まずはWEB予約在庫管理システムや、収納代行・滞納保証などのサービス拡充を進めるとともに、巡回清掃や撤去の分野にもBPOを広げていきます。
また、これまでアプローチしてこなかった層に対しても幅広いソリューションを提供することで、新規開拓を進めていきます。
さらに当社が蓄積してきたトランクルーム経営の成功ノウハウを発信する「トランクルーム経営マスター講座」を活用し、潜在ニーズ顧客の開拓を行っていきます。
そして、収納代行や滞納保証などの当社の強みを活かせる分野で、医療機関や保育園等の異業種向けBPOサービスを拡販していきます。
TKS事業へ戦略的な投資
業者ニーズに応じた対応をするため、一棟専用施設やコンテナタイプのセルフストレージ施設への投資を拡大していきます。
そして、業務提携先のストレージ王・ストアハブグループとの連携を最大限に活用していきます。
現在、資本提携先の日本郵政キャピタル株式会社が属する日本郵政グループとの業務連携を深めていくため、九州で日本郵便が運営する郵便局施設の再活用事業に取り掛かっています。
当社が主導して施設開発を行っていくことで、市場拡大に寄与するとともに、今後の業界を牽引するデベロッパーとしての地位を確立できると考えています。
注目していただきたいポイント
ストックビジネスとフロービジネスの両輪による事業の安定性に注目していただきたいです。
創業時は住宅系の滞納保証等を行っていましたが、競合が多く非常に厳しい状況でした。
セルフストレージ業界は、競合他社が少ないという観点では事業を展開しやすい業界だと思います。
しかし、セルフストレージ市場そのものが成長しなければ我々の成長も期待できません。
これまでのノウハウを活かして、確実にビジネスとして成り立つかどうかを判断し、積極的な施設投資を行っていくことで、市場の成長を後押ししていきます。
そして、このようなTKS事業での積極的な投資が実現できるのも、BS事業のストックビジネスとしての安定性があってこそなのです。
投資家の皆様へメッセージ
当社は、安定したビジネスモデルかつ、成長市場に属した事業を展開しています。今後もセルフストレージ業者のサプライヤーとして成長を続けていきます。また、セルフストレージ業界は世の中の情勢に左右されにくい業界でもあります。
今後は新たなBPOサービスや他者との連携も含めて拡大していきたいと考えていますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
本社所在地:〒102-0083 東京都千代田区麹町4-5-20 KSビル5階
設立:2006年1月1日
資本金:599,918,531円(2023年9月30日時点)
上場市場:東証グロース市場 (2015年8月11日上場)
証券コード:3461
- 荷物を収納・保管しておくことができるスペース(サービス)家具や衣類、趣味のものやスポーツ・レジャー用品などを、利用者自身が収納・出し入れできるスペースをレンタル利用。24時間いつでも利用できるため、従来からなる倉庫会社へ運送会社を通して預けるサービスより、営業時間を気にすることなく自由に荷物の出し入れが可能。
出典:株式会社パルマ 2023年9月期 決算説明資料 (事業計画及び成長可能性に関する事項) ↩︎ - 企業活動における業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを一括して専門業者に外部委託すること。
出典:BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング) | 用語解説 | 野村総合研究所(NRI) ↩︎