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【3662】株式会社エイチーム 事業概要と成長戦略に関するインタビュー

※本コラムは2024年1月31日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社エイチームは複数の比較・情報サイトの運営、スマホゲームやECサイトの企画・運営・開発を行っています。

創造性や技術力を駆使しながら、より良いサービスをお客様に提供し続け、より便利で、楽しく、安心な世の中にしていくことを目指します。

代表取締役社長の林高生氏に事業戦略の変遷や今後の成長戦略を伺いました。

目次

株式会社エイチームを一言で言うと

「Creativity × Tech」で、世の中をもっと便利に、もっと楽しくする会社です。 

エイチームの沿革

株式会社エイチーム代表取締役社長 林高生氏

創業経緯

幼くして陶芸家の父を亡くしたことをきっかけに生活が貧しくなり、将来はお金持ちになるんだと決意しました。

小学5年生の時にプログラミングを独自で学び始めたことや高校受験に失敗したことをきっかけに、1997年に個人事業としてエイチームを創業しました。

受託開発から始まりましたが、下請けいじめに疲弊し自社サービスの展開を目指すようになりました。

2003年にはモバイルコンテンツの提供を開始して手応えを感じたのち、携帯電話向けのゲームやアプリケーション開発に着目し、国内初の携帯電話向けMMORPG(多人数参加型のゲーム)の「エターナルゾーン」が高い評価を受けました。

これがインターネットを主軸に事業を展開していくきっかけです。

サイト運営の拡大と上場

2006年に現在のライフスタイルサポート事業の「引越し侍」の前身となる「引越し価格ガイド」を開始しました。

そして2007年には、「ナビクル」の前身となる中古車買取価格の一括査定サイト「かんたん車査定ガイド」、2008年には「ハナユメ」の前身となる結婚式場情報サイト「すぐ婚!navi」を開始しました。

これらのサービスは業界に新しい風を吹き込み、多くのユーザに利用されるサービスへと成長していきました。

その後2012年4月に東証マザーズ市場(現東証グロース市場)に、7ヶ月後の11月に東京証券取引所市場第一部(現東証プライム市場)に上場しました。

新事業の展開

上場後、2013年には自転車専門通販サイト「cyma」、キャッシング・カードローン検索サイト「ナビナビキャッシング」を開始しました。

またエンターテインメント事業に関してもオリジナルタイトルを開発し、ユーザ参加型のイベントやコラボレーションを積極的に実施して着実に事業を伸ばしていきました。

そして現在は集客力やデータ分析など様々な観点から業界において競争優位性を確立しています。

株式会社エイチーム FY2024 Q1 決算説明資料 より引用

エイチームの事業の概要と特徴

概要

当社はライフスタイルサポート事業、エンターテインメント事業、EC事業の3つの軸で事業を展開しています。

株式会社エイチーム FY2024 Q1 決算説明資料 より引用

主力ビジネスのライフスタイルサポート事業では引越し比較・予約サイトの「引越し侍」や車査定・車買取サイトの「ナビクル」等を運営しています。

またエンターテインメント事業では、多様なジャンルのゲームや便利なツールアプリ等を国内・海外問わず提供しています。

そしてEC事業では化粧品ブランドの「lujo」やドッグフードブランドの「OBREMO」を定期購入型のビジネスとして展開しています。

株式会社エイチーム FY2024 Q1 決算説明資料 より引用

事業における優位性

エイチームの組織文化

当社は常に「良い人材を採用すること」を重視してきました。

これは単にスキルが高い人ではなく、優秀な能力を持ち、かつ人柄が良い人を意味します。

我々が定義する「良い人材」の中で、特に重要視している項目は「お互いを認め合うこと」です。

例えば、私は営業が苦手ですが営業の才能を持つ人を認めていますし、彼らも私の持っているエンジニアリングスキルを認めてくれます。

このような「お互いを認め合う文化」は社内での横断的な協力が必要な仕事に対して、チームでの成果の創出を促進しています。

その他にも「コミュニケーションを大切にする文化」、「みんなで経営について考える文化」、「挑戦と変化を楽しむ文化」が社員に浸透しており、競争力の源泉となっています。

強さの源泉 | 株式会社エイチーム(Ateam) より引用

高いデジタルマーケティング力

ライフスタイルサポート事業では集客力を高めるために様々な施策を行っており、主にブランド力の強化に注力しています。

なかでも、焦点はSEO(検索エンジン最適化)やPPC(クリック報酬型広告)などのデジタルマーケティングにあると考えています。

このため、テキストの文法、バナー広告、ランディングページなど、あらゆる広告要素を内製化し、迅速なPDCAサイクルを通じて最適化しています。

この一貫した取り組みにより、集客コストを効率的に削減していくことに注力しています。

また、私たちは2006年から、約18年間にわたり、ライフスタイルサポート事業を展開してきました。

この長年の経験と積み上げてきたデジタルマーケティング力や技術力などのノウハウは、私たちにとって大きな強みとなっています。

株式会社エイチーム プライム市場適合計画資料 より引用

多角的な事業展開

当社はインターネットに関する、特性の異なる多様な事業展開により経営の安定性と高い成長性を実現しています。

それぞれの事業モデルが異なっている反面、継続性の高いビジネスであるという点が特徴です。

まずライフスタイルサポート事業では、生活者のあらゆるタッチポイントに対して有益な情報を提供し、適切な事業者に繋ぐ送客ビジネスを行なっています。

またエンターテインメント事業では、過去より様々なゲームアプリを展開してきたノウハウを活かして課金による収入を得るビジネスモデルで展開しています。

ただしゲームアプリの開発に対しては、巨額の投資を行うのではなく事業規模に見合った適切な開発費用で制作しています。

そしてEC事業は、自社で企画した商品を定期購入していただけるようなビジネスモデルです。

また直近では、自転車専門通販サイト「cyma」を事業譲渡して当社の強みが活かせる事業に絞ってビジネスを展開しています。

このように適切にハンドリングしながら多角的な事業展開を行っていることが、当社の優位性だと考えています。

株式会社エイチーム FY2024 Q1 決算説明資料 より引用

エイチームの中長期の成長イメージとそのための施策

刷新した成長戦略の遂行

今後は再成長に向けてインオーガニック投資に注力していきます。

当社の強みはWeb広告運用やコンテンツ運用(SEO)といったデジタルマーケティング力です。

この集客力を武器に、ユーザとクライアントを結ぶメディアプラットフォームを運営しています。

株式会社エイチーム FY2024 Q1 決算説明資料 より引用

そして事業成長に向けてこの強みを活かして、新規分野への拡充を考えています。

具体的には送客単価が比較的高く、SEOを重視していないが、ユーザ基盤が充実している企業に焦点を当てています。

株式会社エイチーム FY2024 Q1 決算説明資料 より引用

以上のような観点から、事業への投資とそれを拡充するためのM&Aにも注力し、再成長に向けて成長戦略を遂行していきます。

投資事業の成長と収益性が悪化した事業の回復

ブライダル関連事業がコロナによって大きな影響を受け、収益性が悪化していましたが、現在は収束に伴い徐々に回復しています。

また、EC事業である「lujo」や「OBREMO」に加えて、投資フェーズにあるエンジニアに関する知識を記録・共有するためのサービス「Qiita」、保険に関する情報サイトの「ナビナビ保険」などの成長にも力を入れていきます。

今後は契約社数増加に向けた営業や、ユーザー集客に向けたサイト内広告を積極的に行い、集客力の向上に努めます。

株式会社エイチーム プライム市場適合計画資料 より引用

注目していただきたいポイント

当社のビジネスモデルとそれを実現する事業基盤に注目していただきたいです。

我々のビジネスモデルでは提携社数の積み上げで収益が伸びる構造をしています。

そのためには集客力、成約力、営業力と言ったケイパビリティとブランド力、データ力などのアセットが必要です。

当社のこれまで培ってきたインターネットでのノウハウと、戦略を実現することができる人材を豊富に持っていることは非常にアドバンテージになっています。

株式会社エイチーム プライム市場適合計画資料 より引用

今後は過去に実現してきたインオーガニック成長のノウハウを活かして、安定した「組織」と「データ基盤」の下で成長戦略を進めたいと考えています。

株式会社エイチーム プライム市場適合計画資料 より引用
株式会社エイチーム プライム市場適合計画資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

今後はこれまで取り組んでこなかったM&A戦略に注力していきます。

当社は初期の携帯電話向けゲームの成功(1.0)、その後のライフスタイル関連ビジネスの拡大し、ライフスタイルサポート事業の継続安定性とエンターテインメント事業の爆発性による成長(2.0)を経て、新たなM&A戦略を中心とした成長フェーズ(3.0)へと移行しています。

我々はこの新しい成長フェーズにおいても、投資家の皆様の期待に応える形で事業を推進していきたいと考えています。

また、2024年3月23日(土)に「ログミーファイナンス個人投資家向けオンラインIRセミナー」に参加します。

ご興味のある方は以下リンクから是非ご参加ください。

リンク:https://ateam-note.a-tm.co.jp/n/n4e14a31678cf

株式会社エイチーム

本社所在地:愛知県名古屋市中村区名駅三丁目28番12号大名古屋ビルヂング 32F

設立:2000年2月29日

資本金:838百万円(2024年2月アクセス時点)

上場市場:東証プライム市場 (2012年4月4日上場)

証券コード:3662

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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