- eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)ファンドの特徴が知りたい
- 新NISAの特性を活かしたオルカン投資の戦略を知りたい
- オルカンのリスクや利回りについて理解したい
2024年から始まった新NISAは、早くも投資家から大きな注目を集めている。中でも、投資初心者から経験者にまで幅広く選ばれる投資先としてeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がある。
eMAXIS Slim全世界株式は、世界中の株式に低コストで投資ができるというメリットを持つインデックスファンドだ。
今回の記事では、オルカンファンドの特徴や新NISAの特性を活かしたオルカン投資の戦略などについて解説する。
eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)ファンドとは?
オルカン投資でよく取り上げられるファンドとして、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がある。
まずは、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とはどんな商品かについて確認していこう。
オルカンの商品概要
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の商品概要は下記の通りだ。
銘柄名 | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) |
---|---|
対象インデックス | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
基準価額 | 23,208円 |
購入時手数料 | 無料 |
信託報酬 | 年率0.05775%(税込) |
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2018年10月31日 |
決算日 | 毎年4月25日(市場休業日の場合は翌営業日) |
三菱UFJアセットマネジメントが提供する「eMAXIS Slimシリーズ」は、シンプルでコストを抑えて投資しやすいことが特徴のインデックスファンドシリーズだ。
中でも、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、全世界の株式に手軽に分散投資が行えることから、幅広い投資家に人気のファンドだ。
対象とするインデックスは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)で、世界の株式市場を牽引する銘柄への投資を行える。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の資産構成は下記の通りとなっている。
国内株式 | 5.6% |
---|---|
先進国株式 | 84.6% |
新興国株式 | 9.8% |
コールローン他 | 0.2% |
全世界型の株式ファンドといっても、単純にバラバラに世界中の株式を購入しているわけではない。
先進国株式の割合が最も高く、次いで新興国株式、国内株式という資産構成だ。
新NISA制度でオルカン投資を行うメリット
新NISAでは、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用が可能になった。
世界経済の成長を取り入れてコツコツと資産を伸ばすためには、つみたて投資枠でのオルカン投資が有効だ。
特に、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は購入時手数料が無料で、信託報酬も安く抑えられるため、継続的な積立投資でもコストがかかりにくいというメリットがある。
毎月コツコツ投資を行うことで、NISAの非課税メリットを享受しながら、老後に向けて長期的に資産を形成しやすいだろう。
オルカン投資はどのような人に向いているのか
オルカンへの積立投資は、特に投資の初心者や仕事や家事で忙しい方に向いている。
運用開始時に、投資銘柄と投資金額、積立頻度を選んでおけば、あとは自動で運用を行ってくれるため、自分で購入タイミングを見計らって手続きする手間が省ける。
もちろん、投資信託への投資である以上、金融市場の動向や世界経済の状況によっては、価格が下落する場面もあるだろう。
しかし、そのような場面でも淡々と投資を続けることによって、長期的に見ると購入単価を平準化して安定したリターンを得やすくなる。
新NISAで始めるオルカン投資の注意点
メリットの大きいオルカン投資だが、いくつか注意したいポイントもある。
オルカン投資のリスクとこれまでの実績を確認しながら、オルカン投資を行う際の注意点について考えていこう。
オルカン投資の潜在的リスク
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、オルカン投資でありながら、その構成比率の多くが米国株式となっている。
2024年1月31日時点での、組入上位銘柄は下記の通りだ。
順位 | 銘柄 | 業種 | 比率 |
---|---|---|---|
1位 | アップル | 情報技術 | 4.2% |
2位 | マイクロソフト | 情報技術 | 4.2% |
3位 | エヌビディア | 情報技術 | 2.2% |
4位 | アマゾン | 一般消費財・サービス | 2.1% |
5位 | アルファベット(クラスA) | コミュニケーション・サービス | 1.6% |
6位 | メタ | コミュニケーション・サービス | 1.3% |
7位 | アルファベット(クラスC) | コミュニケーション・サービス | 0.8% |
8位 | テスラ | 一般消費財・サービス | 0.8% |
9位 | ブロードコム | 情報技術 | 0.8% |
10位 | イーライリリー | ヘルスケア | 0.7% |
そのため、オルカン投資だけを行っていると、米国市場の動向にファンドの価格が影響されやすいというリスクがある。
また、すでに成熟した先進国の株式市場に対して、新興国の株式市場は今後さらに大きく発展する余地も残している。
しかし、オルカンでは新興国株式の比率が約10%と低く、新興国市場の発展による恩恵を十分享受できない場合がある。
オルカン投資の過去の利回り分析と将来の見通し
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の過去の運用実績についても確認していこう。
当ファンドは、2018年10月31日に設定されたファンドだ。設定来および直近の運用状況は下記の通りだ。
過去1ヵ月 | 過去3ヵ月 | 過去6ヵ月 | 過去1年 | 過去3年 | 設定来 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ファンド | 5.6% | 15.1% | 10.3% | 32.1% | 68.0% | 120.6% |
ベンチマーク | 5.4% | 15.0% | 10.2% | 31.8% | 67.3% | 120.0% |
設定以来順調に運用成績を延ばしており、設定来の運用パフォーマンスは100%を超える。
つまり、運用開始からこのファンドに投資をしていた人は、資産を2倍以上に増やしているということだ。
米国株中心のオルカンは、これまでの米国の株式市場の成長をしっかりと取り入れて、パフォーマンスを伸ばしてきたと言える。
現在のオルカンの組み入れ銘柄も、アップルやグーグル、マイクロソフトなど我々の日常生活に不可欠な企業ばかりだ。
今後も、大きな金融危機などが発生しない限りは、米国の市場の成長に伴い、オルカンも成長し続けていくだろう。
オルカン投資におけるリスク管理の重要性と具体的な方法
リスクを管理して運用するためには、投資するファンドが「どの国や地域の」「どんな商品に」投資しているかをしっかりと把握しておく必要がある。
例えば、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が投資を行っている国や地域別の構成比は下記の通りだ。
1位 | アメリカ | 62.7% |
---|---|---|
2位 | 日本 | 5.6% |
3位 | イギリス | 3.5% |
4位 | フランス | 2.8% |
5位 | カナダ | 2.8% |
6位 | スイス | 2.3% |
7位 | ドイツ | 2.0% |
8位 | オーストラリア | 1.7% |
9位 | インド | 1.7% |
10位 | 台湾 | 1.5% |
先述の通り、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、アメリカの株式の組入比率が高い。
半分以上が米国株であるため、米国株式の動向に不安を感じる人や、米国よりも日本やその他の国の方が今後伸びると予測する人にとっては、必ずしもeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)に投資をしているだけではリスク管理は完璧といえない。
日本株やその他の国の株にも投資をすることで、結果的に自分の資産の中での米国株比率を薄めることができる。
オルカン投資を始める際は、ファンドの中身を詳しくチェックして、自分の相場観やリスク許容度に照らした上で、問題ないかを判断するのが重要だ。
なお、新NISAの投資対象についてはこちらの記事でまとめたので、オルカン以外の投資信託、または異なる資産クラスを活用した分散投資を実践したいとお考えの方にはぜひ参考にしてほしい。
また、オルカン投資を始めるにあたっては、投資信託特有のリスクにも目を向けておく必要があるだろう。
投資信託のリスクには、下記のようなものがある。
価格変動リスク | ファンドに組み入れている株式の価格が、企業の業績や市場・経済の動向によって変動することで、ファンドの基準価額が変動するリスク |
---|---|
為替変動リスク | ファンドに組み入れている外貨建て資産の価格が為替変動によって変動するリスク |
信用リスク | ファンドに組み入れている有価証券等の発行者や取引先等の経営・財務状況が悪化した場合などに、当該有価証券の価格が下落したり利払い・償還金の支払いが滞ったりするリスク |
流動性リスク | 有価証券等を売却・取得しようとする際に、十分な取引高がないことなどの理由で希望の価格で売買を行えないリスク |
カントリー・リスク | 新興国への投資は、先進国への投資に比べて政治体制の変更や政府のデフォルトなどによって価格変動・為替変動といった各リスクが大きくなりやすいというリスク |
当然ながら投資信託は金融商品であるため、元本保証ではない点に注意しよう。
新NISAで始めるオルカン投資の効果的な戦略
新NISAでのオルカン投資を始める場合、おすすめしたい戦略を紹介する。
新NISAの特性を活かしたオルカン投資戦略
新NISAでのオルカン投資を始めるなら、「つみたて投資枠」でオルカンに継続的に投資をしながら、「成長投資枠」で自分のリスク許容度や運用ニーズに合わせて他の資産にも投資をしよう。
NISAでの運用益は非課税で受け取れるというメリットを活かすためには、なるべく高いリターンが期待できる株式に投資するのがおすすめだ。
「オルカンだけでは米国株の比率が高いと感じる」「新興国株式の投資比率をもっと上げたい」などと感じる場合は、成長投資枠を利用するのがおすすめだ。
新NISAとオルカンの組み合わせによる長期投資の利点
新NISAのつみたて投資枠でオルカンに投資をする場合、10年や20年といった長期目線での投資を心がけよう。
オルカンは、運用開始以降大きく価格を伸ばしてきたが、それまでにはコロナショックや景気鈍化によって価格が下がった場面もあった。
下落局面でもしっかりと積立投資を続けることで、その後の価格上昇の恩恵を受けて、しっかりとリターンを得られるのだ。
長期投資を実践することで、短期的な価格のブレに左右されず、長期目線で大きなリターンを期待できるだろう。
新NISAにおける投資計画と資産配分の重要性
新NISAの投資戦略を立てる上では、預貯金を含めたトータルの資産配分も重要だ。
現在の資産かどのくらいあるかによって、オルカンにいくら投資するべきか変わってくる。
新NISAは投資可能金額が拡大したため、なるべく限度額に近い金額を投資するのがいいと感じるかもしれないが、実際は生活防衛資金や将来的に使うお金などを加味しながら投資計画を策定する必要がある。
また、配分比率によって期待されるリターンやリスクの大きさが変わる。
自分のリスク許容度や求めるリターンに応じて資産配分を設定し、それに合わせる形で投資先を選んでいこう。
例えば、NISAの投資枠をすべてオルカンにしてしまうと、株式比率が100%となってしまう。
株式と債券に分散したい人の場合は、半分を債券に連動する投資信託に投資したり、NISA以外で直接債券を保有したりするなどの戦略が考えられるだろう。
なお、新NISAで実践可能な代表的な投資手法についてまとめた記事もあるので、「どのような組み合わせが良いのか分からない」という方がいればぜひ参考にしてほしい。
新NISAでオルカン投資を始めるなら誰に相談するべきか
新NISAやオルカン投資に関しては、専門家に相談するのがおすすめだ。
以下で、その理由やおすすめの相談先を紹介する。
オルカン投資や新NISAの活用については専門家に相談しよう
オルカン投資を始めたい場合や、新NISAを活用して資産運用を行いたい場合は、資産運用の専門家に相談しよう。
資産運用を始める際は、自分の家計の状況や金融資産の大きさ、リスク許容度を総合的に判断した上で、理想とするポートフォリオを作成するのが重要だ。
これから資産運用に取り組む方や、今までなんとなく運用を行っていた方は、自分で適切なポートフォリオを組んで運用するのが難しいと感じるかもしれない。
資産運用について豊富な知識や経験を持つ専門家に相談することで、自分の運用ニーズを整理しつつ、資産運用における重要なポイントや注意点もしっかりと教えてくれるだろう。
IFAの役割とメリット
資産運用の専門家に相談したいと思っても、相談先に迷ってしまうという方もいるだろう。
そのような方には、中立的な立場から顧客に対するアドバイスをくれる専門家であるIFA(独立系資産運用アドバイザー)の活用がおすすめだ。
IFAは、証券会社や銀行といった特定の金融機関に所属しないため、会社の営業方針や販売ノルマに左右されず、本当に顧客が求める商品を提案してくれるという点がメリットだ。
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資産運用に関する疑問や不安がある場合は、ぜひIFAへの相談を検討してみよう。
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新NISAでオルカン投資を始めよう
新NISAでのオルカン投資は、投資家にとって多くのメリットがある。
しかし、オルカン投資には米国株の保有比率が高まりやすいなどの注意点もあるため、自分のリスク許容度に合わせた資産管理が重要だ。
オルカン投資を始める際は、個々の投資目標やリスク許容度を明らかにした上で、慎重に投資戦略を策定しよう。
新NISAでのオルカン投資を検討する際は、専門家からのアドバイスを受けるのをおすすめする。
特に、中立的な立場からアドバイスをくれる資産運用の専門家としておすすめなのが、IFA(独立系資産運用アドバイザー)だ。
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