- 新NISA成長投資枠で米国株に投資するメリットを理解したい
- 成長投資枠を活用した米国株の具体的な投資戦略が知りたい
- 米国株を新NISAのポートフォリオに組み込む際のポイントを知りたい
新NISA成長投資枠では、国内株だけでなく米国株に投資することも可能だ。
米ドル建ての資産を作りたい人や、配当金による収入を得たい人は米国株への投資を検討してみよう。
本記事では、新NISA成長投資枠で米国株に投資するメリットや注意点を解説していく。
新NISAの成長投資枠で米国株に投資するメリット
新NISA成長投資枠で米国株に投資するメリットとして、次の4点が挙げられる。
- 米国経済の成長による恩恵を受けられる
- 1株から購入できる
- 保有通貨を分散できる
- 配当金が非課税で受け取れる
それぞれくわしく解説していこう。
米国経済の成長による恩恵を受けられる
米国の株式市場は、世界経済を牽引する最大級の規模を誇る市場である。
下記チャートは、米国を代表する株式指数であるS&P500の20年間の推移を示したものだ。
リーマンショックやコロナショックなどで大きな下落を経験しているものの、そこから回復し右肩上がりに成長を続けていることが分かる。
一方、日本の株式市場は、バブル崩壊から30年以上経ってようやく崩壊前の株価水準まで戻ってきたところだ。
もちろん米国市場が今後も必ず成長を続けていく確約があるわけではないが、AppleやMicrosoft、Alphabetなど世界を代表する企業が数多く存在することから、今後もその成長性が期待されるといえる。
1株から購入できる
米国株は1株から購入できることも特徴だ。
日本株は「単元株制度」が導入されており、1単元(100株)単位で株式の売買が行われる。
そのため、1株あたりの株価が高い銘柄は、1単元を購入するのにまとまった資金が必要となることがある。
たとえば、キーエンス(6861)の2024年2月16日現在の株価は6万8,800円となっており、1単元購入するのに688万円の資金が必要となる。
これだけでNISAの非課税枠を超過してしまうため、「購入したい銘柄をNISAで購入できない」ということも少なくない。
その点、米国株では1株単位で売買が行えるため、少額からでも投資しやすい。
銘柄によっては1万円以内で購入できるものもあり、複数の銘柄に分散投資しやすいことも魅力である。
保有通貨を分散できる
米国株を保有することは、米ドル建ての資産を持つということにもなる。
ここ最近の急激な円安進行により、「資産が日本円だけに偏っているのは不安だ」と感じた人も多いのではないだろうか。
米国株は米ドル建ての資産であるため、為替が円安に動くとその分資産価値が上昇するメリットがある。
たとえば、1株=10ドルの米国株を1ドル=120円のときに購入したとしよう。
このとき必要となる資金は、120円×10ドル=1,200円だ。
その後、為替が1ドル=152円のときに、1株=10ドルで売却したとする。
円建ての評価額は152円×10ドル=1,520円だ。
このケースでは株価の水準は変わっていないものの、為替が円安に動いたことで為替差益を得た結果となった。
「保有通貨を分散したい」という人は、米国株で米ドル建ての資産を持つことを検討してみよう。
配当金が非課税で受け取れる
NISA口座は売却時の譲渡益だけでなく、配当金にかかる税金も非課税となる。
米国企業は日本企業に比べて株主還元の意識が高い傾向にあり、配当金の頻度も多いことから、配当金の受け取りを目的に米国株投資に取り組む人も多い。
通常、20.315%かかる税金が非課税となるのは投資家にとって大きなメリットだ。
ただし、米国株で配当金を受け取る際は、税制上で注意すべきポイントがある。
次の章でくわしく解説していこう。
新NISAの成長投資枠で米国株に投資する際の注意点
新NISA成長投資枠で米国株に投資する際は、次の4つの点に注意したい。
- 米国の税金は非課税にならない
- 値幅制限がない
- 課税口座と損益通算ができない
- 為替変動による影響を受ける
それぞれくわしく解説していこう。
米国の税金は非課税にならない
先ほど、NISA口座で受け取る米国株の配当金は非課税になることを解説したが、これは国内で課税される税金に限る。
米国株の配当金は、米国内で10%の税金が課税される仕組みとなっており、NISA口座であっても米国の税金は非課税とならないため注意が必要だ。
課税口座で米国株を購入した場合は、米国と日本国内で二重課税されてしまうため、「外国税額控除」を利用して外国で課税された税金を控除してもらうことができる。
しかし、NISAの場合は米国内で課税されるだけで二重課税とはならないため、外国税額控除の仕組みは利用できないため注意しておこう。
値幅制限がない
米国株に投資する際は、値幅制限がないことにも留意したい。
日本の株式市場には値幅制限があり、株価が大きく変動しすぎない仕組みが用いられている。
一定以上の値動きがあると「ストップ高」や「ストップ安」となり、その日の売買に制限がかけられる仕組みだ。
これは投資家を保護するための仕組みだが、米国株式市場にはこうした制度が設けられていない。
「サーキットブレーカー」という市場全体が加熱したときに取引を制限する仕組みはあるものの、特定の銘柄の売買を制限する制度はない。
そのため、変動要因が起きた際は、想定以上に株価が上下する可能性がある。
保有資産の急激な増減を防ぐためには、日々情報収集に励み、株価に影響を与えそうなニュースをこまめにチェックすることが重要だ。
課税口座と損益通算ができない
NISA口座は、課税口座と損益通算ができない点にも注意が必要だ。
損益通算とは、譲渡益が出た取引と譲渡損が出た取引を相殺する仕組みである。
たとえば、A社の株式で50万円の譲渡益、B社の株式で20万円の譲渡損が出たとき、2つを相殺して30万円の譲渡益とみなす仕組みだ。
この仕組みを活用すると、大きな譲渡益が出たときも、同時に損切りを行うことで税金の負担を抑えることができる。
しかし、NISA口座は課税口座と損益通算ができないため、もし譲渡損が出たときもそれを有効活用する方法がない。
つまり、NISA口座は「利益が出ないとメリットがない制度」といえる。
NISAではリスクが高い銘柄でリターンを狙うこともできるが、もし譲渡損が出たときはNISA制度のメリットを受けられないことを理解しておこう。
為替変動による影響を受ける
米国株は米ドル建ての資産を保有することとなるため、為替変動による影響を受けることに注意が必要だ。
先ほど、円安進行による為替差益を得るパターンを紹介したが、反対に為替が円高に振れると為替差損を負う可能性もある。
具体的な例で考えてみよう。1株=50ドルの株を1ドル=150円のときに購入したとする。
このときに必要な資金は、150円×50ドル=7,500円だ。
その後、1株=50ドルのときに1ドル=145円で売却したとする。
円建ての評価額は145円×50ドル=7,250円となる。
このケースでは、株価は変動していないものの、為替が円高に動いたことで250円の為替差損が発生している。
米国株に投資する際は、株価の動向だけでなく為替の動向にも注視するようにしよう。
なお、これらのデメリットに対応するためには、成長投資枠の投資対象の中から米国株以外の資産クラスを選ぶ、つみたて投資枠を活用する、などによる分散投資も重要となる。
成長投資枠でのおすすめの運用戦略については、下記の記事でまとめているのでぜひ参考にしてほしい。
新NISAの成長投資枠で運用する米国株の選び方
米国株には多くの種類があり、投資先の選定方法に苦労することも少なくない。
ここからは、米国株投資での銘柄選定の方法について紹介していこう。
成長性の高い業界に投資する
米国株に限らず、株式投資では成長性の高い業界の銘柄に投資することが重要だ。
どれだけ現在の業績や財務状況が優れた企業でも、今後成長していく期待が持てない業界の銘柄であれば、キャピタルゲインを得ることは難しいかもしれない。
長期的に株価が上昇してキャピタルゲインを得るためには、今後需要の増加が見込まれる業界に投資することが大切だ。
どのような業界の需要が増加していくかを正しく判断するためには、日頃から新聞やニュースで情報収集を行い、長期の見通しを自ら考える力を身につけるようにしよう。
配当利回りが高い銘柄に投資する
米国株投資は、配当金の受け取りを目的とする人も多くいる。
配当金銘柄に投資する際は、証券会社の公式サイトなどで配当金利回りを確認して銘柄選定をしよう。
一般的には配当利回り3%以上が高配当銘柄といわれているため、配当利回りから絞ってスクリーニングすることがおすすめだ。
また、米国株の中には、20年以上増配を続けている銘柄も少なくない。
安定して配当金を受け取るには、「S&P 500配当貴族指数」の採用銘柄を参照することもひとつの方法だ。
S&P 500配当貴族指数は、25年以上連続増配を続けている企業から構成されている指数である。
銘柄選定の際は、そうした指数に採用されている銘柄の中から選ぶのもよいだろう。
投資のプロへ相談して銘柄を選定する
「投資先を決められない」、「自分1人で判断する自信がない」という場合は、投資のプロへ相談することも検討したい。
米国株投資の主な相談先には、証券会社やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などが挙げられる。
最近では、マネー雑誌やSNSなどで情報収集をして投資に取り組む方法もあるが、大切な資産を運用するとなると「どの情報を信じたらいいか分からない」と不安になることもあるだろう。
投資のプロへ相談することは、そうした不安を解消できるだけでなく、効果的な投資手法や売買のタイミングについてもアドバイスをもらえるメリットがある。
「専門家の意見を聞きたい」という人は、ぜひ投資のプロへ相談することを検討してみよう。
新NISAの成長投資枠で米国株に投資するなら誰に相談するべき?
米国株投資で銘柄選びに悩んだら、金融のプロであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)へ相談することを検討したい。
ここからは、IFAへ相談するメリットや相談先の探し方について紹介していこう。
米国株投資の相談はIFAへ
IFAは、特定の金融機関に所属していないことが特徴の金融アドバイザーだ。
顧客目線に立ってアドバイスをしてくれるので、投資経験が浅い人でも安心して相談できるメリットがある。
米国株投資は証券会社に相談することも可能だが、「金融機関に相談するのは気が引ける」、「営業ノルマに付き合わされそうで不安」と感じる人もいるかもしれない。
その点、IFAは金融機関の職員ではないため、顧客の投資意向をしっかりとヒアリングしたうえで本当に必要な商品だけを紹介してくれる。
また、IFAは米国株投資だけでなく、ライフプラン形成のサポートや保険の見直しなどお金に関することを総合的に相談することができる。
お金に関する不安をワンストップで相談できるため、忙しい人にとっても便利な相談先だ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用がおすすめ
IFAにはそれぞれ得意分野やメインの顧客層があり、自分に合った相談先を探す必要がある。
効率よく相談先を探すためには、IFA検索サービス「資産運用ナビ」を利用することがおすすめだ。
「資産運用ナビ」では、投資意向や投資経験、資産の状況に合わせて相性の良いIFAを紹介してもらえる。
面談前にはあらかじめIFAの経歴や得意分野を確認できるので、安心して面談を行うことができる。
無料で利用できるので、ぜひ気軽に活用してみよう。
新NISAの成長投資枠で米国株投資を始めよう
新NISA成長投資枠は、米国株投資にも相性が良い制度だ。
保有通貨を分散したい人や、定期的に配当金を受け取りたい人は米国株への投資を検討してみよう。
銘柄選びに悩んだときは、金融のプロであるIFAへ相談することもおすすめだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用して、自分の投資意向に合う相談先を探してみよう。