- 新NISAでETFに投資ができるのか知りたい
- 成長投資枠で投資するETFの選び方やおすすめ銘柄が知りたい
- ETF投資における税金対策について理解したい
新NISAの成長投資枠で、ETFの購入を検討している方がいるのではないだろうか。
ETFは Traded Fundsの略で、日本語では上場投資信託と呼ばれている。
商品内容自体は一般的な投資信託とそれほど変わらないが、上場していることによって購入できるタイミングに大きな違いがある。
一般的な投資信託は1日1回算出される基準価額で1日1回しか取引できないのに対して、ETFは市場が開いているタイミングでは自由に売買できるのだ。
本記事ではそんなETFを新NISAで購入する方法や選定方法を紹介する。
また税金に対する知識も解説しているので、お得に資産を運用したい方はぜひ参考にしてほしい。
新NISAの成長投資枠でETFに投資する方法
結論から言うと、ETFは新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠のどちらでも購入可能だ。
ただ非課税枠によって購入できるETFの種類に違いがあるため、事前に確認しておく必要がある。
ここでは新NISAでETFに投資する方法を紹介しよう。
ETFを買うなら成長投資枠
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間の非課税 投資上限額 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有 限度総額 | 1,800万円 | 1,200万円 |
投資対象 | 金融庁の基準を満たした長期の積立・分散投資に適した投資信託 | 上場株式や投資信託 (①整理・管理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外) |
つみたて投資枠は旧制度のつみたてNISAと同様に、金融庁から認められた優良な投資信託(ETFを含む)のみが投資対象だ。
そのため購入できる商品が限られているのに対して、成長投資枠で購入できる商品は幅広い。
つまり、つみたて投資枠よりも成長投資枠の方が、より多くのETFから好みの商品を購入できるわけだ。
またつみたて投資枠では、毎月定額を買い付けるつみたて購入しか認められていない。
しかし成長投資枠では、好きなタイミングで買い付けるスポット購入が認められている。
成長投資枠の方が、自由度の高い非課税保有枠だと言えるだろう。
新NISAと旧NISAでのETF投資の違い
投資初心者が資産運用に取り組みやすい状況を整備するために、一般NISAやつみたてNISAの制度は考案された。
ただ併用ができなかったり、非課税期間終了後の対応がわかりにくかったりしたことが原因で、当初の予定ほど口座開設数が伸びなかった。
そこでより良い制度にするために設計されたのが新NISAで、旧NISAよりもメリットが増加している。
そんな新旧NISAの違いがわかりやすいように、それぞれの特徴をまとめてみよう。
旧NISA | 新NISA | |||
---|---|---|---|---|
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
対象者 | 日本在住の18歳以上の人 | |||
制度の併用 | 不可 | 可 | ||
年間投資上限額 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 最長20年 | 最長5年 | 無期限 | |
非課税保有 限度額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円 (成長投資枠は1,200万円まで) | |
投資対象 | 長期つみたてによる分散投資に適していると金融庁が認めた投資信託 | 投資信託・上場株式・ETF(上場投資信託)・RETIT(不動産投資信託)など | 長期つみたてによる分散投資に適していると金融庁が認めた投資信託 | 上場株式や投資信託 (①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外) |
旧NISAから新NISAになるにあたって、改訂されたポイントは以下の通りだ。
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用可能
- 年間投資上限額の増額
- 非課税期間の無期限化
- 非課税保有限度額の増額
- 制度の恒久化
- 非課税保有枠の再利用可能
- 購入可能な銘柄数の減少
基本的に表を見比べるだけで改訂したポイントはわかるが、「購入可能な銘柄数の減少」だけわかりにくいので触れておこう。
つみたてNISAとつみたて投資枠で購入できる商品は基本的に同じだが、変更されたのが一般NISAと成長投資枠だ。
一般NISAでは、投資信託や上場株式のような王道の資産に加えて新株予約権付社債やETN(上場投資証券)など、幅広い商品が購入可能だった。
ただ長期保有に適していない商品が含まれていると判断された結果、新NISAの成長投資枠では除外条件が設けられている。
新NISAの成長投資枠で除外された商品は以下の通りだ。
- 整理・監理銘柄
- 信託期間20年未満の投資信託等
- デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等
- 毎月分配型の投資信託等
投資初心者が取り組むべき長期投資に適していない商品が除外され、商品を選定しやすい環境が整備されている。
ETF投資の魅力
そもそも、ETF投資にはどのような魅力があるのだろうか。その魅力は以下の通りだ。
- 簡単に投資先を分散できる
- 運用コストが低い
- 流動性が高くて売買しやすい
- 銘柄によっては配当金がある
ETFは基本的な性質は投資信託と似ているため、一本購入するだけで数百銘柄を組み入れたポートフォリオを作成可能だ。
手間をかけずに投資先を分散させられるため、投資初心者との相性が非常に良い。
それだけの銘柄を組み入れてくれながらも、手数料が安い点も魅力的だ。
0.1%程度の取引手数料を支払うだけで、銘柄選択を行ってくれるのだ。
また市場が開いていればいつでも購入可能であり、一般的な投資信託よりも流動性が高い。
さらに配当金が支給される銘柄もあり、基準日に保有している投資家は配当金を受け取れる。
新NISAの成長投資枠でのETFの選び方
新NISAで購入可能なETFだが、つみたて投資枠では商品がかなり限定されている。
ここでは銘柄数の多い成長投資枠に絞り、ETFの選び方を紹介する。
おすすめ銘柄についても説明しているので、ぜひ参考にしてほしい。
成長投資枠に適したETFの購入方法
成長投資枠はスポット購入とつみたて購入の両方に対応しているが、分散に適したETFはつみたて購入がおすすめだ。
そのため、つみたて購入を継続しながら、リバランス時にスポット購入を選択するのが基本になるだろう。
リバランスとはポートフォリオのバランスを調整することで、株価の変動によって崩れた資産配分を整える役割がある。
ETFの配分が計画策定時より大きくなっている場合はリスクを背負いすぎている可能性が高いので、売却して調整する。
一方、預貯金の割合が増えている時は、追加で商品を購入することで対応可能だ。
ポートフォリオの見直しは、半年〜1年程度に1回行うことをおすすめしている。
成長投資枠におけるETF選定時のポイント
先述の通り成長投資枠では、長期・分散投資に向かない投資信託は投資対象から除外され、投資初心者でも選びやすい環境が整備されている。
ただ成長投資枠に適したETFを選ぶ際、チェックポイントを把握していないと失敗してしまう恐れがある。
ETFの選定時に注目すべきポイントは、手数料・売買高(出来高)・純資産総額だ。
ETFは構成銘柄がほとんど同じでも、商品によって手数料が異なるケースがある。
運用コストは投資成績に直結するため、なるべく抑えた方が良い。
構成銘柄が似通っているのであればなおさらだ。
また売買高は商品がどれだけ売買されたかを示す指標で、大きいほど流動性が高いことを意味する。
注文を出した際に購入希望者がいなければいつまでも売却できないため、頻繁に取引が行われていることを確認しておくことは大事だ。
純資産総額はファンドの規模を示す数値で、高いほどより多くの資金を集められていることを意味する。
つまり、純資産総額が大きいETFは人気が高く、大勢の投資家が購入しているわけだ。
成長投資枠からETFを選定する際は、手数料・売買高・純資産総額に注目して商品同士を比較してみてほしい。
成長投資枠におすすめのETF銘柄
成長投資枠で購入可能な銘柄の中でおすすめのETFは以下の通りだ。
- iFree ETF S&P500(為替ヘッジなし)
- NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信
- iシェアーズ S&P500 米国株ETF
それぞれの特徴(データは2024年2月16日時点)を解説しよう。
iFree ETF S&P500(為替ヘッジなし) | |
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銘柄コード | 2247 |
対象指数 | S&P500 |
基準価額 (10口あたり) | 14,325円 |
信託報酬率 (税込) | 0.077% |
純資産総額 | 34.92億円 |
売買単位 | 1口 |
分配金支払基準日 | 毎年3月10日および9月10日(年2回) |
iFree ETF S&P500は、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動するETFだ。
S&P500にはニューヨーク証券取引所もしくはNASDAQに上場している企業から代表的な500銘柄が組み入れられているため、アメリカ経済の発展に伴って基準価額は上昇していく。
信託報酬率が0.077%と非常に低く、1口から購入可能なため、成長投資枠で運用を始める投資初心者にもやさしいポイントが多い。
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 | |
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銘柄コード | 1321 |
略称 | NF・日経225 ETF |
対象指数 | 日経平均株価(日経225) |
基準価額(10口あたり) | 416,010円 |
信託報酬率(税込) | 0.11715% |
純資産総額 | 109,108.8億円 |
売買単位 | 1単位 |
分配金支払基準日 | 毎年7月8日(年1回) |
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信は、日本の代表的な株価指数である日経平均株価(日経225)に連動するETFだ。
日経平均株価(日経225)は、東京証券取引所プライム市場に上場している銘柄から選出された225銘柄を対象に算出されている。
純資産総額が109,108.8億円と非常に大きいことから、投資家の間でも人気を集めていることがわかるだろう。
また信託報酬率が0.11715%と低く、コスト面も申し分ない。
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF | |
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銘柄コード | 1655 |
略称 | iSSP500米国株 |
対象指数 | S&P500 |
基準価額 (10口あたり) | 5,479.5円 |
信託報酬率 (税込) | 0.066 % |
純資産総額 | 752億円 |
売買単位 | 10口 |
分配金支払基準日 | 毎年2月9日および8月9日 (年2回) |
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETFはiFree ETF S&P500と同様、S&P500に連動するETFだ。
売買単位は10口からと他のおすすめETFと比較すると大きいが、信託報酬率・売買高・純資産総額ともに優れている銘柄だ。
信託報酬率(税込)は最も低く、コストを抑えながらアメリカ経済を押さえた資産運用が可能である。
流動性が非常に高いうえに、純資産総額も大きく投資家からの人気を集めていることがわかるだろう。
新NISA成長投資枠でETF投資を始めるなら知っておきたい税金対策
ここではETF投資と税金対策を解説しよう。
ETF投資に伴う税金の概要
ETFは金融商品なので、利益に対して20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%・住民税5%)の税金が課せられる。
商品によっては売却益のほかに分配金・配当金も受け取れるが、それぞれに税金がかかるわけだ。
例えば20万円で購入したiFree ETF S&P500を、3年後に30万円で売却する場合、10万円の利益に対して20.315%の税金が課せられる。
納税額は20,315円になり、79,685円が証券口座に振り込まれる。
基本的には売却時に税金が引かれた金額を受け取れる設定になっている方が多く、後から納税するケースは少ないだろう。
ただ源泉徴収ありの特定口座で運用していない場合は、確定申告が必要になる。
また分配金や配当金を受け取るケースでも、税金の取り扱い方法は同じだ。
分配金や配当金の20.315%が先に税金として引かれた後の金額が、あなたの証券口座に振り込まれる仕組みになっている。
新NISAでの税金対策
ETFの税金対策として最も有効な方法が新NISAだ。
非課税枠の範囲内なら利益に対して税金がかからないため、資産を効率的に増やすことができる。
つみたて投資枠と成長投資枠を合わせると1人につき1,800万円までの利益に非課税枠が付与されており、投資家にやさしい制度だと言える。
節税メリットがわかりやすいように、運用益ごとに課せられる税金を表にまとめてみよう。
売却益 | 税金(20.315%) |
---|---|
1万円 | 2,032円 |
5万円 | 10,158円 |
10万円 | 20,315円 |
20万円 | 40,630円 |
50万円 | 101,575円 |
100万円 | 203,150円 |
250万円 | 507,875円 |
500万円 | 1,015,750円 |
1,000万円 | 2,031,500円 |
長期間にわたって運用を継続していると売却益が大きくなるが、新NISA口座を活用しているとそのままの金額を受け取れる。
ETF投資を始めるなら、まずは新NISA口座の非課税枠を活用しよう。
税金効率の良い投資方法
税金効率を最も良くするには、新NISA口座の非課税枠を優先的に使用することが大事だ。
1,800万円まで非課税で運用できるので、まずは空き枠を埋め切ることを考えよう。
つみたて投資枠で月10万円、成長投資枠で年間240万円を継続すると、最短5年で非課税枠を埋められる。
税金効率を求める場合は、売却すると非課税枠が復活する仕組みも効果的に利用したい。
新NISAでは商品を売却すると翌年には非課税枠が復活し、再利用できるのだ。
そのため、1,800万円の非課税枠を埋めた状態で200万円分(購入時金額)のETFを売却すると、翌年を迎えた時点で200万円分の金融商品を購入できるようになる。
非課税枠の復活を有効利用できれば、課税口座で運用する必要がなくなり、税金を支払わなくて済む。
もっとも税金効率が良い投資法だと言えるだろう。
新NISA成長投資枠でETF投資を始めるなら誰に相談するべき?
税制メリットの多い新NISAだが、知識のない状態で始めるのは非常に危険だ。
投資にはリスクが伴っており、運用方法を間違えると生活が苦しくなってしまう恐れがあるからだ。
ここでは、NISA制度の相談先としておすすめの存在を紹介しよう。
新NISAの活用における投資アドバイスの重要性
新NISAを活用して資産形成に取り組むには、投資の基本方針となる戦略が非常に大切だ。
ただこれまで資産運用に触れたことのない初心者の方にとって、ライフプランや資産状況とマッチした戦略を立てるのは難しいだろう。
投資戦略が適切でないと間違った方向に進んで資産運用に失敗してしまう恐れがあるため、知識や経験がない方には投資のプロフェッショナルへの相談を推奨している。
戦略が安定していると暴落時にも安心して投資を継続できるため、商品を選定する前に専門家と基本方針を決定するようにしよう。
疑問点や不明点がある方は必ず解消してから投資を行うようにしてほしい。
IFAの役割とメリット
新NISAで資産運用をスタートするなら、お金に関する知識に詳しいIFAへの相談がおすすめだ。
IFAとは独立系ファイナンシャルアドバイザーの略で、新NISAの概要やETFを活用したポートフォリオ例、つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け方まで幅広くアドバイスしてくれる資産運用のプロフェッショナルだ。
銀行や証券会社のような金融機関から独立しているため、中立的な立場から証券口座や投資信託を提案してくれる。
つまり、金融機関の窓口で紹介される手数料が高い銘柄ではなく、ハイパフォーマンスの銘柄を購入可能だ。
また家計状況や投資目的、運用目標をヒアリングし、あなたに合ったアドバイスを提供してくれる点も魅力的だ。
パーソナライズされた投資プランやポートフォリオを提示してくれるため、運用を始めたばかりでも適切な資産配分が可能になる。
さらに充実したアフターフォローに定評があり、忘れがちなポートフォリオの見直しまでサポートしてくれる。
転勤によって担当が変わるケースも少なく、NISAに関して困ったことがあればいつでも気軽に相談可能だ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法とその効果
IFAの探し方で戸惑う方が多いが、そのような場合は、IFAと投資家を結びつけるサービスの「資産運用ナビ」を利用してみてはどうだろうか。
事前に入力した生活状況やライフプラン、相談目的などに応じて適切なIFAが絞り込まれ、その中から好きなIFAを選択できるようになっている。
現在「資産運用ナビ」では無料相談を実施している。
専門家からのアドバイスを受けてから資産運用を開始したい方は、ぜひ無料相談に申し込んでみてはどうだろうか。
新NISA成長投資枠でETF投資を始めよう
新NISAの成長投資枠では、ETF(上場投資信託)を購入できる。
低コスト・高い流動性・配当金などのメリットが多いETFを選ぶ際、以下のポイントをチェックしてほしい。
- 手数料が安いかどうか
- 売買高(出来高)が大きいかどうか
- 純資産総額が大きいかどうか
またETFの運用による売却益や配当金には本来20.315%の税金が課せられるが、新NISAを活用すれば非課税で運用可能だ。
そんな新NISAの成長投資枠でおすすめのETFは以下の通りである。
2024年2月16日時点 | 信託報酬率(税込) | 純資産総額 |
---|---|---|
iFree ETF S&P500(為替ヘッジなし) | 0.077% | 34.92億円 |
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 | 0.11715% | 109,108.8億円 |
iシェアーズ S&P500 米国株ETF | 0.066%程度 | 752億円 |
出典:NEXT FUNDS 「NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信」
出典:BlackRock「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF」
迷った場合はこの3銘柄から選択してみてはどうだろうか。
なおおすすめ銘柄を紹介しているが、運用法や投資商品の最適解は個人により異なる。
新NISAを活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることがおすすめだ。
特にIFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれる貴重な存在だ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAを見つけてみてはどうだろうか。