- 60代から始めるつみたて投資枠の適切な活用法が知りたい
- 年齢を考慮した投資戦略を立てたい
- 限られた時間で効率的な資産形成を実現したい
近年、60代から投資を始める人も少なくない。60代から資産形成を行う上では、新NISAのつみたて投資枠の活用がおすすめだ。
運用益を非課税で受け取れるという税制上のメリットを活かしながら、毎月コツコツ積み立てていくことで、将来に向けて安定的に資産を形成できる。
ただし、60代から資産運用を始める場合は、リスク管理の観点から注意したいこともいくつかある。
本記事では、60代から新NISAでの投資を始める上でのポイントや注意点、おすすめの投資商品について解説する。
なぜ60代に新NISAつみたて投資枠がおすすめなのか
60代からはつみたて投資枠を活用して資産形成を行うのがおすすめだ。
以下で、その理由と具体的な方法について解説していく。
60代における新NISAつみたて投資枠のメリット
平均寿命が伸びて老後の人生が長くなった今、60代から投資を始める人も少なくない。
寿命を90歳と考えれば60歳からでも30年間は資産形成を行えることとなる。
現在は希望すれば65歳以上でも働けることや、企業によっては70歳まで雇用機会を提供しているケースもあることから、収入を得ながら資産運用を始めることも難しくないだろう。
新NISAのつみたて投資枠を活用すると、運用益を非課税で受け取りながら、将来に向けてコツコツと資産形成が可能だ。
以下は、毎月の積立投資を10年間継続した場合の運用シミュレーションだ。
毎月の積立金額 | ||||
---|---|---|---|---|
1万円 | 3万円 | 5万円 | ||
運用利回り | 1% | 126万円 | 378万円 | 631万円 |
3% | 140万円 | 419万円 | 699万円 | |
5% | 155万円 | 466万円 | 776万円 | |
7% | 173万円 | 519万円 | 865万円 |
何も運用を行わずに10年間毎月お金を貯めた場合、1万円だと120万円、3万円だと360万円、5万円だと600万円にしかならない。
しかし、毎月1万円の積立であっても、1%で運用すれば126万円、3%で運用すれば140万円、5%で運用すれば155万円、7%で運用すれば173万円といったように運用成果に応じて資産を増やせる。
60代のライフスタイルに合わせた新NISAつみたて投資枠の投資計画の立て方
60代で投資を始める場合、ライフスタイルに合わせた投資計画の策定が重要だ。
今後のライフプランをイメージして、どのくらいのお金が必要かや、どのくらいのリスクを許容できるかについて考えてみよう。
定年退職前は毎月の収入も見込めるが、定年退職後は収入が減ってしまうのが一般的だ。
毎月使っているお金と年金収入や退職金収入を比較して、退職後にどれだけお金が不足しそうかもイメージしておくのが重要だ。
余裕を持ってお金を準備した上で、運用しながら取り崩していくことで、お金の寿命を延ばせるだろう。
加えて、60代はケガや病気によって突然まとまったお金が必要となるケースも多い。
ある程度手元にキャッシュを残しておかないと、突然の支出に対応できない場合もあるため注意しよう。
60代が知るべき新NISAつみたて投資枠の基本戦略
60代で資産運用を始める場合、基本的にハイリスク・ハイリターンな投資商品は避けるのをおすすめする。
60代は、30代や40代と違って運用期間を長く確保しにくいため、大きく元本を毀損する可能性のある投資商品や投資スタイルはなるべく避けた方が良い。
60代からの運用では、インデックスファンドやバランスファンドを軸とした分散投資を心がけよう。
インデックスファンドは、S&P500や日経平均など指数に連動することを目的とした投資信託で、手軽に複数の銘柄に投資できる。
バランスファンドは、株式や債券、リートなど複数の資産に幅広く投資を行うファンドだ。
ファンドによって投資する対象や配分比率が異なるため、内容をよくチェックするようにしよう。
いずれのファンドも、一つのファンドに投資を行うだけで複数の資産や銘柄に手軽に分散投資が可能になるため、リスク分散効果を得やすいというメリットがある。
60代が新NISAのつみたて投資枠で実践するべき戦略
60代が資産形成を行うにあたって、どのように新NISAを活用すべきかを解説していく。
なお、いつ新NISAを始めるかによって適切な運用法は変化する可能性が高い。
年代別の新NISAつみたて投資枠での運用戦略についてまとめた記事もあるので、比較してみるとより60代で重視するべきポイントが明確になるはずだ。
定年後の生活設計と投資計画の整合性
60代から資産形成を始めるのは重要だが、何も考えずにお金をどんどん投資に回してしまうと、趣味などに使うお金が減ってしまい老後の生活を楽しめない。
それどころか、病気や冠婚葬祭など突然の出費があると、生活が圧迫されてしまう可能性もある。
そのため、60代から新NISAを活用する場合は、定年後の生活をイメージしてどれだけお金を残しておけば良いかや、毎月どれだけ投資に回せるかを考えてみよう。
まずは、現在の生活費を算出して、1年分の生活費は預貯金として確保しておく。
次に、車の買い替えやリフォーム費用など大きな出費を数年以内に控えている場合は、あらかじめ多めに準備しておくのが大事だ。
これらのお金を除いて、当面使う予定のないお金については、新NISAでの投資に回してみよう。
リスク管理のための分散投資や積立投資の実践
新NISAでの運用は、株式や投資信託など金融商品での運用となるため、元本割れのリスクを伴う。
しかし、投資方法によっては元本割れのリスクを抑えて、安定的に資産形成を進めていける。
投資のリスクを抑えるためには「分散投資」や「積立投資」が有効だ。
分散投資は、複数の資産に投資先を分散させる投資方法のことだ。投資対象を分散させることで、リターンの平準化が期待できるというメリットがある。
値動きの異なる複数の資産に投資することで、一つの資産が値下がりしたとしても、他の資産の値動きで損失をカバーできる可能性がある。
積立投資は、一度にまとまったお金を投資するのではなく、一定金額を継続的に投資して、購入時期を分散させる投資方法のことだ。
一定額での投資を続けることで「安い時には多く、高い時には少なく」購入することができるため、一時的な価格変動のリスクを分散させる効果が期待できる。
つみたて投資枠でバランスファンドやインデックスファンドに投資すれば、この「分散投資」と「積立投資」を簡単に実践できるためおすすめだ。
退職金や他の貯蓄をふくめた総合的な管理
新NISAのつみたて投資枠を活用する際は、資産全体を総合的に管理することを意識しよう。
退職金や他の貯蓄がある場合は、それらとのバランスも見ながら資産配分を決めるのがおすすめだ。
例えば、貯蓄型保険として米ドル建ての保険をすでに有している場合、新NISAのつみたて投資枠もすべて米国株に投資してしまうと、資産の中の米国資産の比率が高くなる。
リスクを分散させるという観点では、なるべく複数の国や地域に資産を分散させた方が効果的であるため、リスクが米国に集中してしまう点には注意が必要だ。
投資計画を作成する際は、新NISAのつみたて投資枠だけに注目するのではなく、資産全体のバランスを見ながら配分比率を決めていこう。
60代におすすめしたい新NISAつみたて投資枠の活用例
60代におすすめの投資商品を選ぶポイントを解説していく。
具体的な投資商品についてもチェックしていこう。
60代がつみたて投資枠の商品を選ぶ時のポイント
つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たす一定の投資信託およびETFが投資対象となる。
ある程度限られた中から投資商品を選択することとなるため、60代から投資を始める場合も選びやすいだろう。
とはいえ、つみたて投資枠の対象商品は2024年1月末時点で281本もある。内訳は下記の通りだ。
国内 | 内外 | 海外 | ||
---|---|---|---|---|
公募投信 | 株式型 | 51本 | 27本 | 75本 |
資産複合型 | 5本 | 113本 | 2本 | |
ETF | 3本 | ― | 5本 |
例えば、国内の株式型インデックスファンドに投資を行いたい場合は、51本の中から投資商品を選ぶ必要がある。
60代に適した投資商品を選ぶ上では、以下のポイントに注意してみよう。
- 投資対象
- 運用実績・過去のパフォーマンス
- 信託報酬
- 純資産総額
投資対象は、「どんな資産や指数に投資しているファンドか」ということだ。
自分で内容がよくわからないものや、仕組みが複雑なものは避けた方が良いだろう。
また、過去の実績やパフォーマンスをチェックすると、毎年平均してどのくらいの利回りが得られそうかをイメージできる。
もちろん、運用利回りは約束されたものではなく、あくまでも過去の運用成績ではあるが、投資計画を立てる上での目安にはなるだろう。
信託報酬は、投資信託の運用にかかるコストだ。
つみたて投資枠の対象商品の信託報酬については、国内インデックス投信は0.5%、海外および内外インデックス投信は0.75%と法令上の上限が定められているため、そこまで気にしなくても良いが、事前にチェックしておこう。
純資産総額はファンドの規模を表すもので、純資産総額が大きいファンドは幅広い投資家に購入されているファンドだと捉えられる。
純資産総額があまりにも小さいと、繰上償還のリスクがあるため注意しよう。
60代のつみたて投資枠におすすめの投資商品
つみたてNISAで投資するのにおすすめの商品をいくつか紹介する。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、MSCIの全世界株インデックスに連動するインデックスファンドだ。
信託報酬が低く、手軽に全世界の株式に分散投資ができる。
日本だけでなく世界中の株式に投資をしたいと思う方におすすめの投資信託だ。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、日本および先進国、新興国の株式や債券、リートに均等に投資を行うインデックス型のバランスファンドだ。
バランスファンドの中では信託報酬が低いため、なるべくコストを抑えて幅広い資産に投資したいと考える方におすすめできる。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、米国の株価指数S&P500に連動した投資成果を目指すインデックスファンドだ。
堅調な米国株式を中心に投資を行いたい方におすすめだ。
60代におすすめの新NISAつみたて投資枠の運用例
60代でつみたて投資枠での投資を始める場合は、上記の投資信託を軸にポートフォリオを組むのをおすすめする。
つみたて投資枠では、多くとも1〜2本に絞って投資を行うのが良いだろう。
なるべく複数の資産に投資を行いたい方は国内外を投資対象とするバランスファンド、今後の成長が見込める企業に投資したい方は米国株インデックスファンド、といったように、ニーズに合わせて軸となるファンドを選ぼう。
軸となるファンドを決めたら、それ以外の投資先についても検討する。
例えば、つみたて投資枠では老後資金の確保のためにeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に投資を行い、成長投資枠では配当や株主優待目的に国内の個別株に投資を行う、といった投資手法もおすすめだ。
自分の今後のライフプランや性格、リスク許容度などを考慮した上で、投資商品の選定や資産配分の決定をしよう。
60代から新NISAつみたて投資枠で運用を始めるなら誰に相談するべき?
60代から新NISAでの運用を始める場合、具体的な投資商品やポートフォリオの相談はぜひ資産運用の専門家に行おう。
専門家に相談するメリット
60代から始める資産運用について、適切な運用方法は人によって異なる。
そのため、自分の運用ニーズやリスク許容度、今後のライフプランに応じた投資計画を立てることが重要だ。
金融についての知識がそれほどないという方は、正しい知識に基づいた投資計画の作成や投資商品の選定が難しいと感じることもあるだろう。
資産運用の専門家に相談すれば、投資初心者であっても安心して投資を始められるというメリットがある。
IFAを活用するメリット
特定の金融機関に属していないIFAは、中立的な立場から顧客に対して資産運用のアドバイスを行えるという特徴がある。
販売ノルマや会社の営業方針に関係なく業務を行うため、顧客のニーズをしっかりと捉えた上で提案してくれるという点がメリットだ。
会社都合の転勤や異動が原則として発生しないため、長期的に資産運用を任せられるのも魅力といえるだろう。
「資産運用ナビ」サービスの利用案内
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IFAとの面談は相談料無料となっているため、複数のアドバイザーと面談して自分にぴったりのアドバイザーを探すのも良いだろう。
興味のある方は、ぜひ「資産運用ナビ」を利用してみてほしい。
60代から新NISAつみたて投資枠で運用を始めよう
60代の方が新NISAのつみたて投資枠での投資を始める場合は、ライフプランや現在の家計の状況を考慮して、適切な投資計画を立てるのが重要だ。
安定して資産を成長させていくためには、特に「分散投資」や「積立投資」を意識してリスクヘッジを行おう。
新NISAのつみたて投資枠では、インデックスファンドやバランスファンドを活用して、コツコツと積み立てを行うのがおすすめだ。
ただし、人によって適した投資商品やポートフォリオは異なるため、新NISAのつみたて投資枠の活用について疑問や不安がある方は、専門家からアドバイスを受けるのをおすすめする。
IFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれるため、投資を始めるタイミングだけではなくポートフォリオの見直しやリバランスも手助けしてくれる。
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