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【3680】株式会社ホットリンク 代表取締役グループCEO 内山幸樹氏「ビックデータ解析のノウハウを軸にグローバル市場に挑む」

※本コラムは2022年11月21日に実施したIRインタビューをもとにしております。

ソーシャルビッグデータの収集・分析・活用をワンストップで提供するホットリンクグループ。マーケットが大きな転換期を迎える中、web3分野での新規事業も含めた今後の成長戦略について、株式会社ホットリンク 代表取締役グループCEOの内山幸樹氏に教えていただきました。

目次

株式会社ホットリンクを一言で言うと

データをマネタイズするということを、常に時代の最先端のサービスを作りながら行っている会社です。

創業の経緯

まだGoogleもYahoo! JAPANもない時代に、日本最初期の検索エンジンである「NIPPON SEARCH ENGINE」の開発の立ち上げに携わりました。某大手通信会社の代表から1億円で買いたい、というオファーも頂きましたが断ってしまいました。当時は、検索エンジンビジネスには大量の資金がいるということがわかっていませんでした。サーバーもインターネット回線も非常に高額ですし、開発のための技術者も必要となると完全に資金力勝負の世界でした。結果、当ビジネスでは大手企業に太刀打ちすることができませんでした。

一方で、研究開発を担っていた身としては、今までの技術の検索エンジンでは限界が来るということも見えていました。あるホームページにどんなキーワードが何回出てくるかをどれだけ分析したところで、「それが初心者にわかりやすいものか、人を感動させるか」ということまではわかりません。つまり、コンテンツを評価できるのは人間しかいないということです。

このように、人間と人工知能を融合させた社会をつくる必要性に気がついたことが当社の創業の着想となります。人間の行動からデータを収集し、「ビックデータ」としてAIに学習させ、それを人間にフィードバックする。この知識循環型社会のインフラを担い、世界中の人々が“HOTTO(ほっと)”できる世界の実現に貢献する、という存在意義のもと、2000年に誕生したのが当社です。

Googleはwebサイト上のリンクを解析するビジネスで1998年に創業していますが、「特定のwebページへリンクを貼る」という行為は、そのページを推薦することであり、リンクを通して人間の思考を学習させるというビジネスモデルです。まだビックデータという言葉もない時代でしたが、時を同じくしてGoogleもこのような事業を始めているように、人間の知能をいかに学習させるかという点を考え、思いつく人が出始めた時期でもありました。

創業以降、当社はデータ分析およびその活用に関する事業を行なってきましたが、転換点は三つあります。

一つ目は、2010年にソーシャルリスニングツール「Buzzspreader Powered by クチコミ@係長」の事業にフォーカスしたことです。従前の「電通バズリサーチ」という受託開発を2008年に全てストップさせ、SaaS事業で損益分岐点を超えることができるか、というチャレンジに成功したタイミングです。このタイミングで創業当初からの構想でもあった上場へ向けた準備も始め、2013年に東証マザーズ市場への上場を果たしています。

二つ目の転換点は、アメリカのEffyis社の買収に踏み切った2015年です。世界中のソーシャルメデイアのビックデータを取り扱う同社を買収したことにより、グローバル展開に大きく舵をきる形となりました。

また、三つ目の転換点はSNSマーケティング支援サービスの提供を開始した2018年です。それまでデータの流通、分析と事業を進めてきたところから、「データの活用」という領域に拡大させました。以降、TwitterやInstagram、TikTok、Pinterestなど支援可能な媒体を増やしながら現在に至ります。

事業内容について

ソーシャルメディアに根差した事業とweb3分野での新規事業開発の二つに大別されます。

前者はビックデータをどのようにマネタイズするかという目線で、データの収集・分析・活用という三つの領域でサービスを展開しております。


株式会社ホットリンク 2022年12月期 第3四半期連結決算説明資料
 より引用

まず、収集においては、Effyis社を介し世界中のビックデータを集め、それを分析したいSaaS・AI・ビッグデータ分野の大手企業に提供しています。次に分析においては、SaaSモデルでのツール提供を行っております。さらに活用においては、どのようにプロモーションをしていくかというSNSのマーケティング支援を行っております。

このように、ソーシャルメディアのビックデータの収集・分析・活用をワンストップで提供できることが当社の特徴ですが、特に「消費者の声を軸にしたマーケティング」に強みを持っています。他の代理店様の場合、SNS上に広告を出すような提案が主流なのですが、これではその場しのぎの手法になりかねません。イメージとしては病気の方に注射を打ってひとまず対処するような感じです。

それに対し、当社は「口コミをいかに起こし、いかに増幅させるか」という観点でコンサルティングを行っています。10数年以上、ソーシャルメディアのビックデータ解析ツールを提供してきたことで、口コミがどのように起こり、どう伝播していくのか、というノウハウが蓄積されています。そのノウハウが、現在のSNSマーケティング支援サービスの基になっています。

株式会社ホットリンク 2022年12月期 第3四半期連結決算説明資料 より引用

昨今は円安や物価高の影響により企業が販管費抑制の姿勢を見せておりますが、だからこそ本質的な改善のニーズも高まっており、このような環境下でも当社は強みを発揮できると考えております。

後者のweb3分野ですが、この市場はインターネットでいうところの1995年〜2000年くらいのフェーズにあります。すなわち、当社がすぐに事業に取り掛かるには、アイディアは色々とあるものの時期尚早であると考えております。それよりも、良い参入のタイミングを図ること、当該分野の最先端の情報を掴んでおくこと、業界のキーマンとのコネクションを持っておくことが重要となります。

このようなマーケティングの成熟度や、当社の強み、そして上場企業としての資金力を総合的に考えると、現段階のWeb3分野では投資事業を行うことがベストであるというわけです。


株式会社ホットリンク 2022年12月期 第3四半期連結決算説明資料
 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

SNSマーケティングの支援においては、「TikTok UGC創出パッケージ」の提供を開始しております。これまで培ってきたデータ解析のノウハウおよび口コミ伝播のメソッドをベースに、TikTok上の企画立案からクリエイティブ制作、広告配信を行っていきます。


株式会社ホットリンク 2022年12月期 第3四半期連結決算説明資料
 より引用

また、マーケットとしても20年に一度のパラダイムシフトの時期にあります。認知を高める役割を担うTVCM等のマスメディアの発達から、より効率的に広告を出す検索エンジン広告の発展と進んできましたが、この発展もひと段落しています。ニーズを持つ人は検索エンジンでほぼ確実に捕まえられる状態になり、これ以上売り上げを上げるには検索する人を増やす必要性が出てきました。つまり、改めて認知や興味喚起が重要になってきたというわけです。

ご認識の通り現代ではユーザーがソーシャルメディアにかける時間が圧倒的に多いので、企業側が以前よりもSNSマーケティングに大きく予算を投下するケースが増えており、今後もこの傾向が継続すると見られます。

ただ、特に飲食や小売、食品関係の企業様は、経済が曇ってくるとその影響をうけてしまうので、当社としても景気の波に左右されないクライアントを増やすことも同時に行なっていきます。


株式会社ホットリンク 2022年12月期 第3四半期連結決算説明資料
 より引用

また、web3の分野はマーケティングが非常に重要です。新しいNFTやトークンを多くの投資家に買ってもらうという観点で、この分野と当社の得意領域であるSNSマーケティングは親和性が高いといえます。ただ、今後については既存事業とのシナジーがあれば理想ではありますが、そこはフラットに捉えています。

SNSマーケティング支援やweb3分野での事業を、国内のマーケットで展開する企業様は多く存在するかと思いますが、グローバルでビジネスを展開しているところはなく、これが当社の最大の強みです。特にweb3については、日本に「web3」という言葉が浸透する前から投資を行うなど、最先端の動きをとっているとういう自負があります。

地殻変動のように大きなマーケットの立ち上がりを、うまくビジネスチャンスに変えていきたいというのが一番の思いであり、当社がもつポテンシャルは非常に大きいと考えております。


株式会社ホットリンク 2022年12月期 第3四半期連結決算説明資料
 より引用

投資家の皆様へメッセージ

日本から世界の舞台で戦っているベンチャー企業をぜひ応援してください。

株式会社ホットリンク

本社所在地:東京都千代田区富士見一丁目3番11号 富士見デュープレックスビズ 5階

設立:2000年6月26日

資本金:2,427百万円(2021年6月末時点)

上場市場:東証グロース(2013年12月9日上場)

証券コード:3680

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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