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【7094】株式会社NexTone 代表取締役CEO 阿南雅浩氏「著作権管理とアーティストサポートや利用促進サービス提供による堅実な成長を実現する」

※本コラムは2022年11月25日に実施したIRインタビューをもとにしております。

音楽著作権管理業界における唯一の民間事業者である株式会社NexToneは、よりアーティストに寄り添うエージェントとして着実にそのシェアを伸ばしております。代表取締役CEO阿南雅浩氏に、今後の成長のポイントについてお伺いしました。

目次

株式会社NexToneを一言で言うと

アーティストや音楽業界の皆さんに喜ばれる著作権エージェントです。著作権周りでアーティストが困っていることを、権利は本人に残したまま代理人として全てサポートしています。

また、長らく一社独占状態が続いてきた当業界の歪みを解消する役割も担うべく、「当社をどうぞ使い倒してください」という思いで事業を行っております。

代表就任の経緯

当社の設立は2016年です。戦前から80年以上に渡りJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)による独占状態となっていた音楽著作権管理の市場で、その現状を打破するべく誕生しております。

2000年の著作権等管理事業法の公布に伴い当市場への民間参入が認められ、一社独占の弊害をなくそうという機運が高まりました。しかし、10年もしないうちにこのうちの大半が破綻や休業、撤退に追い込まれていきます。結果的に最大28社あった事業者のうち、株式会社イーライセンス、および株式会社ジャパン・ライツ・クリアランスの2社のみが存続しているという状況でした。

イーライセンスはゲームやアニメ、ボカロの分野に強く、また配信やキャステインング業務も行っておりました。一方のジャパン・ライツ・クリアランスは、シンガーソングライターやロック系アーティストなど、自らの意向をより著作権管理に反映させることを望む方々の共同出資により設立されたという背景を持っていました。異なる特徴を持つ2社を合わせることによって、足し算ではなく掛け算をもって、改めて民間参入の意義を正し、JASRACに挑戦しようとこの2社が合併統合し2016年2月に設立されたのが当社になります。

株式会社NexTone 2023年3月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

その当時、私はエイベックス・ミュージック・パブリッシング株式会社に在籍しておりました。親会社のエイベックスが、取引先でもあったイーライセンスに出資し、筆頭株主となったことを経緯に2015年に取締役に就任、その後同年に代表取締役社長に就任いたしました。

2018年には在籍しておりましたエイベックス・ミュージック・パブリッシングから離れ、本格的に上場を目指していきました。私は、このビジネスは周りから応援していただくことが一番成長に必要な要素であると考えております。そのため、多くのレコード会社、プロダクション、ゲーム会社様に、「皆さんでオーナーシップを持って著作権管理事業を行なっていきましょう」とお声がけをし、結果的に約20社に出資をしていただきました。考えに賛同し集まってくださった皆様へのお返しの意味も含め、2020年の3月に上場を果たしました。

会社の成り立ち上、外部からはどうしてもエイベックスの子会社、という印象を少なからず持たれておりましたので、結果として資本比率を下げることに繋がったことも一つポイントであったかと思います。

また、創業当初から海外展開の構想を持っておりましたが、実は海外では営利団体が著作権管理を行なっている例がほとんどありません。アメリカやフランスをはじめとする巨大な海外マーケットに進出し、さらなる当社の成長を実現するためには、上場による信用力の向上や財務諸表等の適切な情報開示が重要となります。

上場から一年後の昨年、フランスの著作権管理団体と提携し、海外管理を開始したことは当社としても一つ大きな転換点であったと認識しております。

株式会社NexTone 2023年3月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

事業内容について

売上の9割を占めるのが主力ビジネスの「著作権等管理事業」です。このうち、作家や音楽出版社等の著作権者から作品を預かり、レコードメーカーやプラットフォーマーにライセンスして料金を徴収するモデルが「著作権管理業務」です。これは、JASRACと当社が丸々競合する、昔からのビジネススタイルです。これに対し、アーティストが歌唱して収録したオリジナル音源や映像コンテンツなど、「原盤」と言われるものを、YouTubeやAmazon Music、Spotify等に提供するのが「DD業務」で、これはJASRACにはない事業領域となっております。

株式会社NexTone 2023年3月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

二つ目の事業は「キャスティング事業」です。コンサート開催時に協賛企業を見つけてきたり、イベント出演のブッキングを行うなど、とにかくアーティストの喜ぶことになんでも取り組み、将来的には当社の主力ビジネスで付き合ってほしいアーティストとの接点を増やしていくポジションにあります。

直近ですと、コンサートのライブビューイングや家庭向け配信の分野に特に注力しております。突破口でありながら同時に収益をあげることが出来るという強みもあります。

また、エンタメ業界に特化したシステム開発会社として、当社はグループに株式会社NexToneシステムズという会社を持っております。同社では、作詩作曲家やアーティストへの著作権使用料や印税の分配管理を行うバックヤードを完備していないお取引先様へ、自社開発の管理システムを提供しております。さらに、音楽出版社の機能がないお取引先様へは、同じくグループ会社の株式会社エムシージェイピーが著作権者として楽曲を預かり、音楽出版社を代行するようなサービスも展開しております。

このようにキャスティング事業と合わせまして、JASRACではできないサービスメニューを拡充させ、差別化を図っております。

株式会社NexTone 2023年3月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

長期的な定量目標である著作権徴収額シェア50%へむけ、三つの施策を実行しシェアの積み上げを行って行きます。

株式会社NexTone 2023年3月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

一つ目は演奏権および海外展開を活用した、権利者の新規獲得です。現在当社がDD業務で取り扱う原盤数が97万曲であるのに対し、歌詞やメロディーを扱う著作権管理業務の楽曲数は約40万曲に過ぎません。この点、今年の4月以降、当業界では「演奏権」と区分されるコンサートや店内BGM等の管理委託が当社でも可能となったことは、今後のシェア獲得にも大きく貢献していくと見ています。具体的には、アイドル系や韓国系といった、現在のヒットチャートのトップを席巻しているような層を開拓していく方針です。

株式会社NexTone 2023年3月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

また、海外展開についても冒頭で申し上げた通り、ひとまず参入に向けた土壌の整備はできたという状態です。今後、コロナ禍からの回復と共に、日本のアーティストの海外での楽曲使用頻度が増加していく過程で、さらに需要が高まると考えられます。

イメージとしては、今まではコースメニューのうちデザートだけはJASRACで食べてきて、とお願いしなければならなかったものが、ひとまずはフルコースを当社でも提供できるようになったという感じです。私も現職に就く前は音楽出版社の代表を経験し、いかに複数の著作権管理業者とやり取りをすることが現場にとり大変であるかということは重々承知しております。ですので、このメリットは中長期的なシェア獲得に繋がっていくと確信しております。

二つ目は放送局の子会社である音楽出版社に、当社を著作権管理の委託先として選んでいただくことです。たとえばあるアーティストが番組のタイアップを行うとなった際、プロダクションもアーティスト本人も、その楽曲の全てを放送局系音楽出版社に預けなければならない傾向があります。つまり、この出版社がJASRACか当社かを選択することになるのですが、この牙城を崩せていないのが現状です。

三つ目は、当初の方針でもあります、「皆さんでオーナーシップを持って著作権管理事業を行なっていきましょう」という考えのもと、当社の大株主様のプロダクションやレコード会社との関係性をより深め、主力事業をさらに成長させていくという施策です。

このように、当社のやることは非常に明確になっておりまして、これらを確実にこなしていくことで、中期業績計画にも掲げる数字に関しても達成可能であると考えております。

投資家の皆様へメッセージ

当社は、オンリーワンの存在、かつストックビジネスであるという理由から、長期的に安定して、そして堅実に成長を実現できる会社です。

作家の死後70年という長期間にわたり著作権の管理を行う当事業においては信頼関係が非常に重要です。そのため、当社の前身となる会社の設立以降、20年以上後発の企業が出てきていないという事実があります。

また、数多くのアーティストが所属していることで、楽曲と原盤の増加に伴い確実に売上を伸ばしていくことが出来るのです。さらには、有体物を扱っていないため、昨今の円安や物価高等の影響も受けにくいという、リスク耐性も兼ね備えております。

上記で示した戦略をもとに、3年後のプライム市場上場を目指して参りますので、ぜひ応援のほどよろしくお願いします。

株式会社NexTone

本社所在地:東京都渋谷区広尾 1-1-39 恵比寿プライムスクエアタワー20F

設立:2000年9月

資本金:1,198,062,000円(2022年9月30日現在)

上場市場:東証グロース(2020年3月30日上場)

証券コード:7094

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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