- 株式投資を成功させられるようにポートフォリオを組みたい
- 株式投資におけるポートフォリオの重要性を理解したい
- おすすめのポートフォリオを教えて欲しい
投資家が成功するためには、十分に分散されたポートフォリオが不可欠だ。
個人投資家としては、個人の投資目標とリスク許容度にもっとも適合する資産配分の決定方法を知っておく必要がある。
本記事では、まずポートフォリオ構築の重要性を再確認し、投資家が体系的なアプローチでポートフォリオを構築する方法を示す。
さらに、投資家のスタイルに基づくポートフォリオの具体例を紹介する。
なお、個別の株式投資のおすすめ銘柄についてはこちらの記事を参考にしてほしい。
なぜ株式投資にポートフォリオが重要なのか
まずは、ポートフォリオとは何かを整理したうえで、ポートフォリオとリバランスの重要性について説明する。
ポートフォリオとは「長期的な資産形成の土台」
投資あるいは財務におけるポートフォリオとは、金融資産の集合体である。
- ポートフォリオの構築と調整には、投資家のリスク許容度、投資目的、時間軸が重要な要素となる
- 目標は、リスクを最小限に抑えつつ、期待されるリターンを最大化することである
- 分散はポートフォリオ管理において非常に重視される概念である
ポートフォリオを構成する資産
ほとんどのポートフォリオでは、株式、債券、現金および現金同等物の三つが、主要な資産クラスである。
代替投資、生命保険、不動産、その他の資産を含むこともある。
ポートフォリオは、その目的に応じて、一つの資産クラス(株式、債券などの資産の種類)で構成されることもあれば、多くの資産クラスで構成されることもある。
ただし、ポートフォリオというからには、無作為にではなく、目的を達成するために意図的に選択されている必要がある。
よって、仮にある目的のもとですべての財産を現金と銀行預金で保有しているなら、現金等が100%のポートフォリオを持っていると言うことができる。
ひとりが複数のポートフォリオを持つこともある
個人投資家の場合、一つのポートフォリオを使って資産管理を行うのが、もっともシンプルな方法だ。
しかし、たとえば株式投資を積極的に行う投資家なら、株式のみでポートフォリオを構築した方が管理が容易になるかもしれない。
ポートフォリオの種類
投資家の目的や戦略に応じて、さまざまなタイプのポートフォリオが存在する。
投資家のタイプ | ポートフォリオの内容 |
---|---|
安定志向 | ポートフォリオの価値の保全を重視し、債券や現金等の比率が高い(リスク資産は20%程度) |
資産の大幅拡大を目指す | アグレッシブな投資家の場合、成長段階の初期にある企業や独自の価値提案を持つ企業への投資比率が高(株式だけで80%を超えることもある) |
キャッシュフロー重視 | 配当支払いの高い株や他の分配型金融資産の比率が高い |
株式投資でポートフォリオを作るべき理由
「投資で重要なのはポートフォリオ」と言われても、ピンとこない人もいるかもしれない。
投資を始める前や、始めたばかりで、1種類の投資信託しか持っていない人は、「あとでいいや」と考えるかもしれないし、すでに複数資産に上手に投資している人などは「面倒くさい」と思うこともあるだろう。
しかし、ポートフォリオの構築と管理は、その手間をかける価値があるものなのだ。
ポートフォリオ構築には、以下のような利点がある。
- 投資の全体的な構造と目的が明確になる
- 目的や時間軸、リスク許容度に合わせて戦略的に投資ができる
- 自分が抱える総合的なリスクを把握し、管理できる
- ポートフォリオ全体のパフォーマンスを評価し、投資戦略の適切性を判断できる
- 金融資産について実践的な学びが得られる
加えて、ポートフォリオを持つことで、リバランス(資産配分の調整)を行うことも可能になる。
株式投資のポートフォリオをリバランスするべき理由
ポートフォリオのリバランスとは、投資計画に基づいて定められた資産割合を維持するためのプロセスである。
たとえば、株式相場の好調により株式比率が高まると、想定以上のリスクを負うことになるかもしれない。
逆に、株式相場の低迷により株式比率が下がると、期待されるリターンを得られないおそれがある。
リバランスは、評価が高くなった資産を売り、低く評価されている資産を買うという、計画に基づく機械的な売買である。
これにより感情に左右されず、規律を持って投資を続けることが可能となるのだ。
ただしリバランスには、売買コストがかかるというデメリットもある。
それでも長期的に見れば、この調整が投資目標に達するための有効な一歩と言える。
通常は年に一度か、市場の変動が大きいときにのみ行い、過度な売買による不必要な手数料支払いは避けることが肝要だ。
株式投資のポートフォリオの組み方
ここからは、投資家がそれぞれの目的や時間軸、リスク許容度に合わせたポートフォリオの構築方法を紹介する。
適切な資産配分の決定
まず、資産配分(アセット・アロケーション)を決定しよう。
- 投資目的を明確にする
- 長期的な資産形成なのか、短期的な利益追求なのかを明確にする
- 投資の時間軸を決める
- 「いつまでにどれだけの資金が必要なのか」を考える
- 自分のリスク許容度を理解する
- 「どれだけのリスクに耐えられるのか」を自己評価する
- 資産クラスの配分を決める
紙とペンを取り出して、投資目的と投資の時間軸、目標資産額を書き出して欲しい。
そして一般社団法人 全国銀行協会の「あなたのリスク許容度診断テスト」で、自分のリスク許容度を把握しておこう。
次に、オンラインでポートフォリオのシミュレーションを試してみよう。
検索サイトで「ポートフォリオ シミュレーション」と入力すると、さまざまなサービスが並ぶ。
上から順番に全部試してみてもよい。
ここでは、ウエルスアドバイザーのサービスを使って目標金額に必要な利回りでポートフォリオを組む方法を試してみた。
【条件】初期投資額: 300万円、積立: なし、運用期間: 30年
安定運用 【目標利回り3%未満】 | スタンダード 【目標利回り3%~5%】 | 積極運用 【目標利回り5%以上】 | |
---|---|---|---|
国内株式 | 5% | 10% | 10% |
先進国株式 | 15% | 30% | 40% |
新興国株式 | 10% | 10% | 20% |
先進国債券 | 50% | 30% | 20% |
新興国債券 | 20% | 20% | 10% |
さまざまな条件をもとに試してみて、自分の投資目標を時間をかけて明確にしていこう。
個別資産の選択
次に、決定した資産配分に基づいて、個別の資産を選択する。
個別に銘柄選定を行う場合は、以下のような要素を考慮して慎重に選ぶことが大切である。
- 株式
- セクターの多様性、企業の規模(大型株、中小型株)、地理的分散を考慮しリスク許容度に合った銘柄を選ぶ
- 債券
- クーポン、満期、債券の種類、信用格付けなどを考慮する
しかし、資金面や手数料負担を考えると、個人投資家が個別株や債券を購入し、ポートフォリオを組むというのは現実的ではないかもしれない。
この場合、投資信託の活用するのも一つの選択肢となる。
- 投資信託
- プロのファンドマネージャーが多様な資産に分散投資することでポートフォリオを管理する
- ETF(上場投資信託)
- 株式のように証券取引所で売買される投資信託
- 特定の指数に連動するパフォーマンスを目指すインデックスやそれ以上のパフォーマンスを目指すアクティブファンドがある
- 不動産投資信託(REIT)
- 不動産を主な投資対象とし、その収益を投資家に分配する
特定の資産や銘柄に集中せず、分散投資を心がけることが重要だ。
選択した投資商品は、国や業種、企業規模などの観点で分散が十分であるかを確認して欲しい。
ポートフォリオの監視と調整
ポートフォリオを構築したら、定期的にその状態をチェックし、必要に応じて調整しよう。
- 資産配分が当初の目標から逸脱していないかを確認する
- 財務状況やリスク許容度に変化がないかを再評価する
- 保有資産のパフォーマンスや見通しを確認する
これによりリスクとリターンのバランスを維持し、長期的な投資目標に合致させ続けることが可能になる。
株式投資のおすすめのポートフォリオ例
ここでは、株式投資に焦点を当て、ポートフォリオの考え方を紹介する。
「自分に合ったポートフォリオの組み方」の「適切な資産配分の決定」で紹介したポートフォリオの株式部分だけを抜き出すイメージだ。
個別株式をどのように組み合わせるかについて、考え方の参考にして欲しい。
個別株をポートフォリオに組み込む場合は、分散が不十分なためにリスクが高くなってしまう。
そのため、投資信託の組み入れを前提としたシミュレーション結果なら、株式比率を10%程度引き下げるよう調整して欲しい。
成長率重視の株式ポートフォリオ
若い世代や、リスク許容度が高い投資家に適したポートフォリオである。
成長が見込まれるテクノロジーやヘルスケア、グリーンエネルギー分野を軸にポートフォリオを構成する。
これらのセクターはリスクが高いため、全体の株式比率を抑えるか、または経済変動の影響が比較的限定されるディフェンシブ銘柄を組み合わせるなどして、リスク軽減を図るとよい。
たとえば先進国株式では、NVIDIA(米国、テクノロジー)やアップル、テスラなど、革新的なビジネスモデルや市場の拡大が期待される企業への投資を検討する。
そして国内株式で、トヨタ自動車や味の素、信越化学工業などの安定的な株を組み入れてバランスを取る方法が考えられる。
高い配当利回りを目指す株式ポートフォリオ
定期的な収入を求める保守的な投資家や、リタイアメント資金の運用を考えている人に適している。
ポートフォリオは、高い配当利回りが期待できる企業を中心に構成する。
一般的に、公益事業、金融、エネルギー、素材などのセクターに高配当銘柄が多く見られる。
ただし、高配当株は株価の上昇余地が限定的な場合もあるため、成長性のある銘柄とのバランスを取ることも考慮すべきだ。
国内株式では、川崎汽船、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本たばこ産業など、高い配当利回りで知られる銘柄が候補になる。
一方、先進国株式では、AT&T(米国、通信)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(英国、たばこ)、エンブリッジ(カナダ、エネルギー)などが挙げられる。
バランス型ポートフォリオ
成長性と安定性のバランスを取ることで、リスクを抑えつつ一定のリターンを目指すポートフォリオである。
成長性の高い銘柄と、安定的な収益を生み出す銘柄を適切に組み合わせることがポイントとなる。
成長株の比率を高めすぎるとリスクが高まり、安定株の比率を高めすぎるとリターンが限定的になるため、自身のリスク許容度に応じて適切なバランスを取ることが重要である。
成長株は、将来的な市場の拡大や技術革新が期待される企業から選ぶ。
たとえば国内なら、高い成長性が期待できるソニー、キーエンス、国外なら革新的なビジネスモデルを持つアマゾン、Salesforce(米国、ソフトウェア)、ASML(オランダ、半導体製造装置) などが候補となる。
安定銘柄としては、強固なキャッシュフロー基盤と安定的な収益を維持する日本電信電話(NTT)、武田薬品工業や三菱商事などがある。
世界に目を移すと、ノバルティス(スイス、医薬)やプロクター&ギャンブル(米国、消費財)などがある。
株式投資のポートフォリオを作る際の注意点
株式投資で成功するには、適度に分散されたポートフォリオを持つことが不可欠だ。
しかし、投資家が陥りがちな落とし穴にハマらないよう、注意も必要だ。
株式投資のポートフォリオ構築で避けるべき失敗
よくあるミスは、特定の銘柄や業種に集中投資してしまうことだ。
しかし、過度な分散や負の相関関係を持つ組み合わせに依存しすぎることも、利益を減らす原因となる。
- 過度な分散は、銘柄の値動きを互いに打ち消し合い、ポートフォリオ管理の複雑化を招く
- 負の相関を持つ銘柄を組み込むことは、リスク低減につながる可能性がある一方、全体の利益が打ち消される可能性もある。他の銘柄が利益を出している間に、他の銘柄は逆に動いて損失を出すことがあるからだ
オンラインシミュレーションなどの便利なサービスの登場は、ポートフォリオ構築や銘柄選定を格段に楽にしてくれた。
しかし、資産形成の確固たる基盤を築くためには、伝統的な企業分析と組み合わせることが重要になる。
投資では、残念ながらこうした面倒な作業からは逃れるのが難しい。
しかし、すべてを自分で行う必要はない。面倒な部分は、金融・投資の専門家に任せてしまえば良い。
投資アドバイスにIFAが最適である理由
専門家なら、ポートフォリオの構築から、具体的な金融商品の選定まで、豊富な知識と経験でサポートしてくれる。
このときに力を発揮してくれるのが、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)である。
IFAは特定の金融機関にしておらず、中立的な立場から商品を選定してくれる。
販売ノルマなどに縛られないので、投資家に最適な商品をアドバイスとともに提供してくれる。
長期的な付き合いができるから、モニタリングやリバランスを任せても良い。
IFAを探すなら「資産運用ナビ」がおすすめ
信頼できるIFAを見つけるには、「資産運用ナビ」の利用がおすすめだ。
「資産運用ナビ」は、投資家の希望条件に合ったアドバイザーを無料で紹介してくれるマッチングサービスである。
IFAの経歴や専門分野、口コミ評価なども確認できるため、安心して相談相手を選べる点も安心だ。
株式投資のポートフォリオはIFAに相談しよう
本記事では、株式投資におけるポートフォリオについて、その重要性や構築の方法、そして投資スタイル別のポートフォリオについて紹介した。
投資においてポートフォリオ構築は非常に重要だ。
これを精緻に行うためには、税金、不動産、保険など、さらに広範な知識が必要になる。
IFAなら、これらの専門知識や経験があるため、有用なアドバイスが可能だ。
ぜひ一度、ご自身の資産形成全般について相談してみていただきたい。
「どこから始めたらよいかわからない」という所からでも、まったく問題ない。
「資産運用ナビ」なら、初回の相談は無料である。
まずは気軽に、今ある疑問や悩みを相談してみてはいかがだろうか。