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【1434】JESCOホールディングス株式会社代表取締役会長兼CEO 柗本俊洋氏「国内・海外EPC事業の発展と地方創生の掛け合わせでアジア地域で誇れる企業を目指す」

※本コラムは2022年12月16日に実施したIRインタビューをもとにしております。

無線工事会社でのエンジニア経験を経て独立し、長きにわたる施工実績とそのクオリティで会社を成長させてきました。

現在の事業形態に至るまでの沿革や、今後会社として目指すべき姿について教えていただきました。

目次

JESCOホールディングス株式会社を一言で言うと

創業以来52年間にわたり電気工事・電気通信工事で培った技術力を礎に、設計や施工、メンテナンスまでワンストップで対応することができる会社です。

創業の経緯

日本無線株式会社での6年半の技術職経験を経て1970年に当社を設立しました。しかし、自分で会社を立ち上げることを父に相談したところ、社会人としての未熟さからひどく反対されました。

その代わり、「丁稚奉公」のような形で、兄が経営する商店で3年間勤め上げることができれば、開業資金を援助してもらえることになり、その後父から受け取った100万円を含む250万円の資本金で会社をスタートさせました。

創業当初、どのように差別化を図り会社を成長させていくかと考えた結果、「社員のための会社をつくろう」という発想にいたりました。そのため、会社に私の身内を入社させることはしませんでしたし、逆に社員には当社の株式を保有してもらいました。

このように、経営者と同じ気持ちで仕事をしてもらうことで、社員中心の会社を作ることを心がけてきました。

事業内容については、自身の経歴から無線エンジニア領域でやろうと考えていたのですが、実際にはなかなか難しいものがありました。また、出資をしてくれた父からはこれからは電気工事の産業が非常に重要になるだろうとの見通しも聞いていたため、まずは電気工事会社として事業を開始し、翌年からは徐々に受注も入るようになりました。

転機はそれから3年目のことです。すでにお付き合いのあった電機メーカーを通じて重工業大手の原子力格納容器リークテスト事業へ参入することとなりました。2011年の東日本大震災によって稼働停止となるまで約40年もの間にわたり携わり、当社の成長を支えた事業となりました。

その後当社が現在までもこうして成長をし続けられているのは、業容拡大の経営戦略をとってきたためです。

創業して間もない頃から、一本足経営では企業の将来性が危ういという考えのもと、特定事業に依存した経営体質からの脱却を目指していました。

そこで、原子力関連事業に加え、創業時からの主力事業である電気工事、さらには無線通信の事業を強化することで、組織としての強みをさらに拡充させてきたのです。

事業内容について

国内およびベトナムを中心とするアセアン地域でのEPC事業が主力のビジネスとなっています。

  • EPC事業:設計(Engineering)・調達(Procurement)・建設(Construction)という3つのフェーズを一貫して引き受ける業務
JESCOホールディングス株式会社資料 より引用

国内においては、建設会社や通信機器メーカーから電気設備や通信工事を受注し、設計、調達、施工管理そして保守メンテナンスまでを取り扱っています。先ほどご説明した業容拡大の経営戦略を通じ、電気工事も強化してきたわけですが、現在はその中でも太陽光発電所の建設が主力事業の一つとなっています。

太陽光の場合、他の電力とは異なり発電所だけが先に作られるため、多くの場合送配電がネックになります。この点、当社は鉄塔工事だけでなく高圧の送配電を設置する業務も担うことが可能であり、競争力の源泉となっています。そしてこれは、長年原子力発電所に携わってきたからこそできることでもあります。

また、電気工事と共に強化してきた無線通信工事については、我々は2Gの段階から取り組み続けています。また、現行の5G、そして今後6Gと進化していく過程で電波の遅延がどんどんなくなっていきますので、従前から言われているように自動運転等への適用も加速し、一層需要が高まっていく分野であると考えています。

JESCOホールディングス株式会社 2022年8月期決算説明会資料 より引用

アセアンEPC事業は、オフショアでの設計・積算業務とともに、空港や工場、商業施設などで空調、電気・通信設備の工事を中心に扱っています。コロナ禍において企業が投資抑制の姿勢を見せるなど外部環境が厳しい中、テレワークやDX化を積極的に推進することで当社は増収をキープしています。

設計・積算業務では、日本企業からの案件を外部委託する形で対応しているのですが、ベトナムは日本に比べてコロナ対策が厳格で、ビル閉鎖などの影響からお客様に提示した納期に間に合わないという危機にも直面しました。

その際、たった二日間で180名の完璧なテレワーク体制を完備し、この統率力は当社の隠れた強みであると確信しました。創業以来、社員中心の会社を作ることを心掛けてきた結果であり、外部環境が困難な時にこそ、このような会社が強く力を発揮できるのだと考えています。

2001年の事業開始以来、設計・積算業務が20年以上も継続しているのは、案件のボリューム拡大と我々の技術力が共に向上しているからだと認識しています。

JESCOホールディングス株式会社 2022年8月期決算説明会資料 より引用

また、当社はサステナブル経営の一貫として環境保全活動にも注力しています。石油をはじめとする資源の多くを輸入する日本は、昨今の資源高により、その影響が家計にまで浸透してきています。

ですが、日本には水という非常に貴重な資源が豊富にあります。この水資源を守ること、およびCO2削減という双方の側面から、那智勝浦の保安林をはじめ故郷の奈良県吉野の山林を購入し維持管理を進めてきました。

この取り組みは、公益財団法人都市緑化機構から、都市に立地する企業の環境や地域への社会貢献活動として評価され、那智勝浦の保安林が、SEGES(社会環境貢献緑地評価システム)のExcellent Stage2の認定取得にもつながるなど、一定の評価を受けており、今後も日本企業として国内の資源を保有し適切に守っていく義務があると考えています。

JESCOホールディングス株式会社 2022年8月期決算説明会資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

国内EPC事業においては、主力となっています太陽光発電設備の施工に引き続き注力し、発電容量ベースで2025年には500 MW超にまで成長させていきます。

また、O&M(オペレーション&メンテナンス)と太陽光パネルのリサイクルまでをワンストップで対応していきます。

JESCOホールディングス株式会社 2022年8月期決算説明会資料 より引用

加えて、原子力発電所についても、カーボンニュートラルの実現に向けて技術を衰えさせてはいけないと考えています。また、可能な限りで安全かつ小型の施設を新たに作る必要があります。原子力発電所格納容器のリークテストに40年間携わってきた会社としての使命感を持ち、取り組んでまいりたいと思っています。

アセアンEPC事業では、当社の連結子会社でありますJESCO ASIA JOINT STOCK COMPANYが2022年12月にベトナム政府から、同国内で35,000V以下の電気設備設計の元請け受注が可能となるライセンスを取得いたしました。

今後の展開としては、EPC事業のうち、特にE(設計)とP(調達)に注力し設計・積算部門で一流のエンジニアリング会社を目指していきます。この二つ(EとP)は規模に関わらず技術力がなければ扱えない仕事です。

当社は既にハノイのノイバイ国際空港や、ホーチミン近郊にハブ空港として建設予定のロンタイン国際空港などでの電気設備関連の設計実績を数多く持っています。これが今回のライセンス取得につながったわけですが、日本の大手電力会社であっても容易なことではありません。当社の成長において非常に重要なポイントであるとご認識いただければと思います。

また、さらに長期的な目線ではこのアウトソーシングの形態を確立させることで日本国内の技術者不足を補っていきたいと考えています。今後、技術力はもちろんのことコストパフォーマンスがより一層求められるようになり質とコストを共に担保できている企業が生き残っていくでしょう。

現在ベトナムでは200人体制で事業を展開していますが、現地のエンジニアを日本に派遣するとなると、今よりも人件費が高くなってしまいます。そのため、当事業の成長の過程で一流のエンジニア部隊を完成させることで、発注コストと技術力をベトナムから安定的に提供できる体制を整えてまいります。

JESCOホールディングス株式会社 2022年8月期決算説明会資料 より引用

現在のベトナムは、コロナ禍の厳しい状況からの回復基調にあります。また、アセアンの中でも国の成長率が有望視されており、ビジネスのボリュームも増加傾向にあります。しかしながら、同時に国内展開とは異なるカントリーリスクを負っていることも理解しています。

そのため、非建設事業として従前から取り組んでおります不動産管理事業もさらに強化し、両利きの経営のもと、安定的な成長を実現させてまいります。

JESCOホールディングス株式会社 2022年8月期決算説明会資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

電気通信工事の会社は、実はコロナ禍で3番目に倒産数が多い業種でもあります。その中で弊社は、会社の規模は決して大きくないながらも設計・施工とメンテナンスまでを一貫して発注できる先としてお客様から選ばれ続けています。

今後は「両利きの経営」としてEPC事業および不動産事業の2軸でさらに安定的な成長を実現するとともに、サステナブル経営を意識し、原子力発電設備から事業をスタートさせた会社として、我々にできる範囲での社会貢献も続けてまいります。

建設業のみで大手企業になるのではなく、地方創生を含めてトータルで評価していただけますよう取り組んでいきますので、ぜひ応援のほどよろしくお願いします。

JESCOホールディングス株式会社

本社所在地:東京都新宿区新宿2-1-9 JESCO新宿御苑ビル8階

設立:1970年8月

資本金:10億6百万円(2022年8月期)

上場市場:東証スタンダード(2015年9月8日上場)

証券コード:1434

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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