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【7371】全研本社株式会社代表取締役社長  林順之亮氏「プライム市場への上場と、グローバル企業としてのさらなる成長を目指す」

※本コラムは2023年1月10日に実施したIRインタビューをもとにしております。

ニッチマーケットでの専門メディア制作・運用という唯一無二のポジションに加え、2018年より開始した海外IT人材事業により日本の生産年齢人口減に対する様々なソリューションを提供している全研本社株式会社。

代表取締役社長の林順之亮氏にこれまでの事業展開の経緯や成長戦略を教えていただきました。

目次

全研本社株式会社を一言で言うと

マーケティングDXとグローバル人材の会社です。

創業の経緯

当社は、創業者である吉澤信男により、1975年に教育事業として創業されました。1980年代終わりに全国教育研究所という社名から、現在の全研本社という社名に変更しています。

現在主軸になっているIT事業については、私が全研本社グループにジョインした2000年より参入しました。私は、元々は教育系の販売会社を経営していたのですが、当時から少子高齢化による教育市場の脆弱性を意識しており、事業体の変革を模索しておりました。

そのような中、インターネットバブルとIT長者の誕生を目の当たりにした私は、そのマーケットの大きさと成長率の高さを感じ、教育×ITをコンセプトに新規事業を構想いたしました。ただ、自分の資本力のみでは難しい部分がありましたので、当社の創業者に出資の直談判に出向いたというのが、私と当社の最初の出会いとなります。

約25年前、今でいうzoomのような形式のオンライン教育ツールをつくり、インターネットパソコン教室のフランチャイズ事業を開始いたしました。一般的に教育現場の立ち上げにあたってはECCジュニアや公文式のような小さな規模であっても100万円程度はかかりますから、パソコン一台でFC展開が可能な当社のビジネスモデルには高い関心とご評価をいただいていました。

今でこそコロナ禍で急激に広まったオンライン会議ツールですが、当時は回線環境も整っておらず結果としてはインフラ面で時期尚早なビジネスとなってしまいました。

しかし事業展開にあたり、このビジネスモデルをより多くの方に認知していただけるよう、集客のノウハウを徹底的に研究いたしました。これが現在の専門メディアの制作・運用へとつながってまいります。

全国津々浦々のエリアマーケットに対して専門メディアをつくり、24時間365日体制でメディアが集客の役割を担えるようにしました。業界やサービス規模が小さい領域には費用対効果を鑑みても参入してくるインターネット企業は多くありません。

ですが、マーケットは小さくとも必ず需要と供給は存在しています。10年という長期間にわたって集客のいろはを試行錯誤したことで、当領域での唯一無二の存在を確立し、これにより教育からITへの業態転換に成功したと言えると思います。

また、2018年から開始した海外IT人材事業もターニングポイントとなっています。国内の労働人口が減少する中、日本のGDPを維持するにはテクノロジーか外国人労働者のどちらかに頼らざるを得ません。

当社の語学セグメントにおいては、日本語学校の運営や海外大学の開拓ノウハウがあります。このような強みを活かし、人材紹介領域に裾野を広げることで、グローバル企業としても成長するべく今日まで邁進してまいりました。

全研本社株式会社 2023年6月期第1四半期 決算説明資料 より引用

事業内容について

当社の事業は「IT」「語学」「不動産」の3セグメントで構成されています。売上の構成比は、およそ8:1:1となっております。主力はIT事業でして、その中でも先ほどもご紹介した専門領域に特化したメディアの制作・運用を行うコンテンツマーケティングがIT全体売上高の6割以上を占めるメインビジネスとなっています。

徹底的な業界研究のもと、あらゆる大・中・小企業のニッチな分野に専門メディアを張り巡らせています。

現在、年間で数百件のメディアを制作し、運用するメディア数は1,000件を超えています。この圧倒的なメディア数を実現しているのは160人体制の社内編集者と1,000人を超える多様な業界に精通する外部ライターです。

特に外部ライターについては、当社は「ライターステーション」というライター登録サイトを自社運営しており、大量のライターを確保することが可能です。

また、ライターの質向上のため、クライアントの集客を支援するための「コンバージョンライティング」の研修もおこなうなど、当社のメディア制作体制は大きな差別化要因となります。社内人材を抱えるコストがかからないというのも強みです。

全研本社株式会社 2023年6月期第1四半期 決算説明資料 より引用

加えて、外部環境の変化にしっかりと対応してきたことも現在の当社のポジショニングを確立できた要因の一つです。約7年前にキュレーションサイトが問題になったことがありましたが、Googleのアルゴリズムにおいても頻繁に見直しが実施され、「いかにユーザーにとって有益な情報を載せているか」という基準が検索エンジンでの表示順において重要視されるようになっています。

我々もこの方針を遵守し、専門性の高い情報の提供や関連法規に準拠した表現のためリーガルチェックの体制確立などに真摯に取り組み続けてきました。現在もアルゴリズムの進化は続いていますが、今後一層当社のポジションが揺らぐ可能性は低くなっていくであろうと考えています。

同じくITセグメントの海外IT人材事業では、インドIT都市ベンガルールの上位大学と提携をし、人材の供給サイドと需要サイドのマッチングのプラットフォームビジネスを行っています。

国内の転職支援事業は給与の30%を報酬とする体系が一般的ですが、当社は10,000人を超える人材のデータベースを確立させることに成功し、採用人数に限らないサブスクリプションモデルでの提供を可能にいたしました。そしてこの価格破壊こそが優位性であると認識しています。

全研本社株式会社 2023年6月期第1四半期 決算説明資料 より引用

語学セグメントでは日本語教育や法人向け語学研修等を通して、日本の生産人口減少を解決するという目的の一端を担っています。

また、不動産セグメントでは自社保有のオフィスビルにて賃貸事業を行い、安定的な収益の確保に貢献をしています。

全研本社株式会社 2023年6月期第1四半期 決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

我々が目指すのはプライム市場への上場と、その先のグローバル企業としてのさらなる成長です。創業者から経営を引き継いだ時から、成長性のある業界と業種での事業展開という攻めの領域、およびガバナンス等の守りの領域の双方で魅力ある会社とすることで継続的な成長を実現することを目指してきました。

グローバルな事業を展開する当社がプライム市場に上場することで世界中の投資家から注目していただき、さらに会社を成長させていきたいと考えています。

具体的には、コンテンツマーケティング事業のさらなる拡大と成長事業である海外人材事業を中心に企業価値を向上させていく方針です。

コンテンツマーケティング事業においては、特にBtoB市場の開拓に注力いたします。この業界は、集客においてもまだまだアナログな現場が多い状況です。具体的には電機・機械・土木・建設業界など、コロナ前までは大型展示会への出展を集客の機会としていました。

コロナ禍でリアルイベントの開催が難しくなったわけですが、ここに対し当社の専門メディアをご活用いただいています。クライアント商材の単価が高い傾向がありますので、総数が少なくともニッチな領域で顧客獲得に繋がることが、高い満足度となり、解約率も低水準を維持しています。

全研本社株式会社 2023年6月期第1四半期 決算説明資料 より引用

集客が不要な業界はありませんし、コロナを経て当社としてもオンラインで全国に営業をかけることができるようになりました。当事業は、このように大企業1社からの数十億円ではなく何百社からの数百万円単位で料金をいただく収益構造のため、仮に特定の業界がダメージを受けたとしてもその影響は軽微であり、継続的な成長を実現することができます。

これまでの成長率と比較しましてもBtoB領域での成果は非常に堅調で、今後さらに拡大させていくことで、専門メディア全体の継続率も伸長し、安定的な成長へとつながっていくと考えております。

また、海外IT人材事業についてですが、拠点となりますインドは今後世界一の人口大国となっていきます。特に10代から30代の若年層だけでも3〜4億人に上ると推定され、地場企業とインドに進出する外資企業のみでは、雇用のキャパシティを超えてしまいます。

そのため、国として労働環境を整えることが急務であり、越境人材紹介のニーズは非常に高いのです。その中で当社は「日本で働きたい」と考える方々を集め、データベース化を進めてきました。

今後は、集めたデータをもとにリリースいたしましたプラットフォームの「Yaaay」を活用し、人材紹介・語学教育・定着支援を通じて拡大を図ってまいります。

全研本社株式会社 2023年6月期第1四半期 決算説明資料 より引用

とは言え、日本国内の企業が外国人労働者を受け入れることに対してまだ積極的ではないとも言われています。

大抵の場合、言葉が通じないなどの語学関連が障壁となっているのですが、優秀なITスキルを持つ人材を国内で採用するコストや労力と、語学を習得するまでの1~2年の少しの不自由さを比べた時に、外国人を採用することの心理的ハードルは低下していくものと見ています。そうでなくても労働人口は減少していきますので、多くの企業が危機感を高めている状況です。

投資家の皆様へメッセージ

プライム市場への上場を目指していきます。すでに当社の株式を保有していただいている株主の方も含め、あの時買ってよかったと思っていただけるよう、プライム市場上場を通じさらにグローバル企業へと成長できるように努めてまいります。

ぜひ応援していただけますと幸いです。

全研本社株式会社

本社所在地:東京都新宿区西新宿6-18-1 住友不動産新宿セントラルパークタワー18・19階

設立:1978年7月14日

資本金:432,276千円(2022年6月30日現在)

上場市場:東証グロース(2021年6月16日上場)

証券コード:7371

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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