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【9563】Atlas Technologies株式会社代表取締役社長 山本浩司氏「産業の垣根を越えるFintech領域でアジアNo.1のコンサルティング会社となる」

※本コラムは2023年1月11日に実施したIRインタビューをもとにしております。

創業時から高い成長率と企業価値の向上を継続し、わずか4年8ヶ月という短期間での上場を果たしたAtlas Technologies株式会社。

代表取締役社長の山本浩司氏に設立前の意外な経歴から現在の事業領域に至るまでの経緯や、今後のビジネス展開の構想について教えていただきました。

目次

Atlas Technologies株式会社を一言で言うと

独立系Fintechコンサルティング会社として創業から5年弱でグロース市場へ上場した高い成長率を維持する会社です。

創業の経緯

大学卒業後、スタートアップ、有人宇宙システム株式会社および宇宙航空研究開発機構(JAXA)、そしてSBペイメントサービスでの約14年を経て2018年に当社を設立いたしました。

ただし、起業自体は18歳の頃から目指しておりました。私の経歴の中でもとりわけ宇宙分野が異質だと思うのですが、実はもともと当分野での起業を志していたことが理由です。

まず大学ではビジネスを学ぼうと考え文系の道に進みます。

当時はちょうどインターンが流行り始めたころでして、私も大学の先輩が経営する会社に大学4年生の時にお世話になっており、卒業後にそのまま入社しました。

3年間、代表の元で働いた経験はスタートアップの大変さと面白さを身近に感じることのできた貴重な機会となりました。

「企業×宇宙」の起業のピースを埋めたところで、今度は宇宙のピースを埋めるため、有人宇宙開発を担う日本で唯一の民間企業に転職をします。

JAXAへの出向を含め、宇宙飛行士候補者の選抜やスペースシャトル・国際宇宙ステーションの管制官、産学連携施策等に従事しました。

7年ほど経ち30歳を迎えたところで改めてこれからのキャリアについて考え始めました。

というのも、まさにイーロン・マスクやジェフ・ベソスといったグローバルプレーヤーが巨額な資金や私財を投じて宇宙ビジネスを立ち上げていたのですが、同時に100億円、200億円規模の資産がなければ、特に国内において宇宙領域でのビジネス展開は難しいのではと感じたのです。

ある種挫折に近いものを味わい、宇宙×起業という元々の目標をピボットすることにしました。

元々、価値の移動・交換については関心があり、グローバルに10年、20年と耐えられるテーマで起業したいという思いから、まだFintechという言葉自体生まれていなかったですが、まずはこのFintech領域を選択しました。

その中で現在のペイメントに特化したのは、ちょうどこの前後2012年のタイミングでソフトバンクのグループ会社がカード会社としてペイメント事業に参入することを知ったことがきっかけです。

会社としてのダイナミズムにも魅力を感じており、まさに価値の移動・交換が起こるペイメント領域の震源地は大手通信キャリアにあると考えていたこともあり、2014年にSBペイメントサービスへ転身しました。

起業のタイミングは時間軸で決めていましたので、その1年前には退職し、2018年の創業へと繋がります。

当時事業内容について詳細には決めていなかったものの、SBペイメントサービスでの原体験からある程度の仮説は持っていました。

ペイメント事業には、規制産業であること、テクノロジーが相まって複雑・高度化かつ長期化する傾向にあるという特徴がありました。そしてこのビジネスの立ち上げから運営までを一気通貫でサポートする担い手がいないということも痛感していたのです。

一方、Fintech領域はグローバルなトレンドで必ずビジネスチャンスがあるとも確信しており、現在の事業内容につながっています。

創業から5年経ちますが、我々が現在築いてきたポジションを鑑みても、やはり当時の仮説には確からしさがあったと実感しています。

【9563】Atlas Technologies株式会社代表取締役社長 山本浩司氏「産業の垣根を越えるFintech領域でアジアNo.1のコンサルティング会社となる」 資産運用ナビコラム
Atlas Technologies株式会社 事業計画及び成長可能性に関する事項 2022年10月 より引用

事業内容について

独立系Fintechコンサルティング会社として、日本とシンガポールに拠点を持ち、国内外のクライアントに対してグローバルに事業活動を展開しています。

自身が事業会社にいた際の原体験をもとに、上流工程の企画・戦略立案のコンサルティングはもちろんのこと、実行・支援フェーズまでサポートすることにこだわっています。

サービスイン後も関わらせていただくことで継続・追加発注の獲得に繋がり、足元の継続クライアントの売上高比率は98.4%に上ります。

常に価値を提供することが、結果としてビジネス成長の蓋然性を高めているのです。

【9563】Atlas Technologies株式会社代表取締役社長 山本浩司氏「産業の垣根を越えるFintech領域でアジアNo.1のコンサルティング会社となる」 資産運用ナビコラム
Atlas Technologies株式会社 事業計画及び成長可能性に関する事項 2022年10月 より引用

クライアントは主に各業界の大手企業で、案件の規模としても中大型サイズを長期間にわたってご支援しています。

これまでは直接営業を中心に、クライアントや協業相手の日系大手SIerからのリファーラル等によって顧客基盤を確立してきましたが、特に創業1年後の2019年に大手通信事業会社とのプライム契約を獲得できたことは一つ大きな転機となりました。

やはりクライアントの魅力的なプロジェクトがあって始めてコンサルティングが始まりますので、今の当社の立ち位置にも非常に影響力のある出来事でした。

一方、足元ではクライアントのポートフォリオの多様化を進めています。

創業以来、売上・利益ともに継続的な成長を続けてきた会社としての強みは、個人と組織力のシナジーにあると考えています。

まず個人に関しては、マスターカードやVisaなどでグローバル事業の責任者を務めた経歴を持つ者など、グローバル基準で大変優秀なコンサルタントが揃ってきていると自負しており、間違いなくこれまでの成長ドライバーであったと感じます。

【9563】Atlas Technologies株式会社代表取締役社長 山本浩司氏「産業の垣根を越えるFintech領域でアジアNo.1のコンサルティング会社となる」 資産運用ナビコラム
Atlas Technologies株式会社 事業計画及び成長可能性に関する事項 2022年10月 より引用

一方、このような属人的な力が重要であればあるほど、組織としての強みの確保も非常に重要であると考えています。

実は創業から1年間は私一人で会社をやっていたのですが、社員を迎え入れた2年目から、組織化についてはかなり意識をしてきました。

採用から教育・研修といった育成制度も整え、優秀な方が当社に入社し、その方が十二分に活躍できる組織として、その魅力を高めてきました。今後も、個人と組織力の掛け合わせで継続的な成長を実現させていきます。

中長期の成長イメージとそのための施策

サービスの高付加価値化などを推進することで、Fintech領域における実績を積み上げてまいります。

人材の採用・育成の両面をさらに強化し、特にコンサルティングの契約単価を向上させていきます。

ただ、現状では売上全体の割合ではプロジェクト実行支援が大半を占めていますので、コンサルティング契約単価の向上が売上高に反映されるまでには少し時間がかかるとご認識いただければと思います。

また、その他の売上構成要素としては稼働率および人数となっています。

稼働率については創業以来90%以上の高水準を保っていますので今後も維持していくとともに、人数についても採用および企業買収、協業パートナーとの連携で一層強化してまいります。

【9563】Atlas Technologies株式会社代表取締役社長 山本浩司氏「産業の垣根を越えるFintech領域でアジアNo.1のコンサルティング会社となる」 資産運用ナビコラム
Atlas Technologies株式会社 事業計画及び成長可能性に関する事項 2022年10月 より引用

Fintech領域でペイメント事業に特化しているというと、当社のビジネスはニッチに聞こえるかもしれないのですが、実はとても広がりのある業界だと認識しています。

各種カードを始め、QRコード・スマホ決済・電子マネーなど多岐にわたる決済手段があり、関連分野でも送金・デジタル給与・与信のスコアリング・レンディングなどがあります。これら全てを合わせてペイメント領域と呼べるのです。

また、toB・toCおよび政府公共系のtoGに国内外問わず事業を展開することができます。

決済・送金といった、現在の注力分野に加え、今後は、引き合いがありつつもお応えできていなかったFintech領域のあらゆる分野にサービスを拡大させてまいります。

【9563】Atlas Technologies株式会社代表取締役社長 山本浩司氏「産業の垣根を越えるFintech領域でアジアNo.1のコンサルティング会社となる」 資産運用ナビコラム
Atlas Technologies株式会社 事業計画及び成長可能性に関する事項 2022年10月 より引用

決済は極めて身近な存在ですが、その裏側にはグローバルのセキュリティ基準・仕様・ルールがまるでミルフィーユのように重なっており、これほど近くて遠い存在のものはないと思っています。

そして、この裏側の構造を技術的・ビジネス的・業務運用的そして顧客接点的に全て理解し、戦略やシステムとして落とし込める企業はほとんどありません。

この希少性こそが我々の優位性であり、これを武器としてFintechを活用する全業種・業態を潜在的クライアントとして、売上構成のポートフォリオを多様化してきたいと考えております。

【9563】Atlas Technologies株式会社代表取締役社長 山本浩司氏「産業の垣根を越えるFintech領域でアジアNo.1のコンサルティング会社となる」 資産運用ナビコラム
Atlas Technologies株式会社 事業計画及び成長可能性に関する事項 2022年10月 より引用

長期的な目線では、2020年代の終わりまでにアジアNo. 1のコンサルティング会社となることを目指し、その過程ではコンサルティングの意味・意義・位置付けについても問いたいと思っています。

コンサルティング企業でありながら、多様な課題解決手段を有することで、一つのエコシステムを構築できる存在に成長していきたいという思いもあります。

今後、既存事業でのオーガニックな成長を通じて知見のナレッジ化・アセット化を進めていきますが、この先「コンサルティング=属人的なビジネス」という概念を再構築し、当社のさらなる可能性を解放していきたいと考えています。

この過程において、課題解決手段がプロダクトかプラットフォームか、自社開発か提携なのかといった方法論については現段階では未定ですが、非連続的な成長をどのように追い求めるのかも重要なミッションであると捉え、引き続き継続的な企業価値の向上に努めてまいります。

投資家の皆様へメッセージ

コンサルティング事業の潜在的な成長性をまだ投資家の皆様には十分にお伝えできていないのではという思いもあります。

まずはFintech領域でDXという文脈を絡めたコンサルティングを行うという事業の市場のトレンドとダイナミズムを含め、成長が見込める企業であると見ていただけますと幸いです。

また、そのために財務情報および事業活動やKPIを含めた非財務情報を適時適切に開示し、皆様とのコミュニケーションを活性化していきたいと強く思っております。

Atlas Technologies株式会社

本社所在地:東京都千代田区平河町2丁目7-3 PMO平河町5F

設立:2018年1月

資本金:674,650,000円(2023年1月アクセス時)

上場市場:東証グロース(2022年10月26日上場)

証券コード:9563

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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