※本コラムは2023年1月27日に実施したIRインタビューをもとにしております。
クラウドのインテグレーションを主軸に据え、基幹システム構築や運用をメインビジネスとしている株式会社BeeX。
代表取締役社長の広木太氏に、競争のさらなる激化が見込まれる市場での成長戦略について教えていただきました。
株式会社BeeXを一言で言うと
クラウドのテクノロジーのスペシャリストとして、ITをワクワクする形に変え、お客様の変革を支援している会社です。
創業の経緯
私はもともとNTTデータ系列の会社に勤めており、SAPシステムやクラウドのコンサルティングやインテグレーションを業務としていました。2010年代初頭はクラウド、特にAWSが広まってきた時代であり、その流れのなかで、今の親会社であるテラスカイの佐藤と出会い、一緒にビジネスを始めないかと誘われたことが創業の契機であります。
そこで始まったのが現在のBeeXです。私自身前職ではITコンサルティングに従事していたこともあり、経営に関するノウハウはありませんでした。
そのため、創業当初は社長を外部から招聘し、私はCTOとして、テクニカルな部分をリードしようと考え、クラウドに特化した企業とすることに決めました。一年間は副社長CTOを務め、その後自分が社長に就任いたしました。
創業後の転換点となったのが、2019年にテラスカイのAWS事業部を吸収分割により、BeeXに統合したことであります。企業規模としては統合前で35人でしたが、この統合により2倍となり、このタイミングでかなり大きくすることができました。
また、業務ポートフォリオとしてはSAP中心であったところから、SAP以外の特に開発スキルを持った人材をBeeXに統合することで業容拡大にも成功しました。当時の市場状況としてSAPの領域は人手不足だったことも追い風となりました。加えて、同じく拡大傾向にあったクラウド市場に対しても、この統合により、スキルとリソースを揃えて対応が可能になりました。
上場に関しては、創業当時から意識しておりました。エンタープライズ顧客を中心としていたため、お客様からの信用と信頼は非常に重要でしたし、上場はこれをもたらす最適なファクターになり得ると考えていました。
事業内容について
クラウドに特化した専門業者として三つの事業を展開しています。一つ目はSAPシステムを中心としてクラウド基盤設計・構築およびクラウド上のアプリケーション開発などを行うクラウドインテグレーションです。お客様も複数のクラウドサービスを取り入れたいというニーズが増加していますので、クラウドに関してはAWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformの三つを取り扱うマルチクラウド型で対応しています。
二つ目はクラウドライセンスリセールでして、AWS等のクラウドライセンスを提供し、請求代行や問い合わせ対応などのサポート業務を行っています。お客様が契約すると利用量に応じて料金が課金されるストック型のビジネスであり、現在契約しているお客様から売上を安定的に確保することができます。
弊社の特徴としてはクラウドライセンスリセールと合わせて課金状況を可視化できるツールを提供しており、どの部門でどれくらいお金を使われているかを明確に示せるようにしています。特に足元は円安などの影響でお客様の費用体効果の意識が高まっています。
クラウドは電気代のような感覚で、放っておくとどこにお金がかかっているのかがわからなくなってしまいがちです。我々が単なるライセンスの販売屋ではなく、システムのことを熟知しているということがバリューになります。
三つ目は、マネージドサービスプロバイダーとなります。クラウド導入後の運用や24時間の監視サービス・障害対応も行っています。安心してクラウドを利用していただく環境を提供することで、多くのお客様と長期的なお取引をいただいております。
売上全体としてはクラウドライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーによるストック型ビジネスが7割を占めています。ストック型の安定基盤を持ちつつ、クラウドインテグレーションでSAPのような大型で難易度の高い案件を扱いフロー収益を得るという、ストックとフローを組み合わせた収益モデルとなっています。
このように、パブリッククラウド導入をクラウドインテグレーション・クラウドライセンスリセール・マネージドサービスプロバイダーの三つのサービスを通じて一気通貫でサポートしています。
三つのサービスをうまく連携し、質の高いサービスを提供する、もしくは継続した取引へと繋げることへの当社の強みは、クラウドスペシャリトであるとともに、お客様の中核のシステムに目が行き届いているという点にあります。
また、運用のコストを下げたいというお客様の要望に応じて、シェアードサービスにしている点も特徴です。個々のお客様に対して個別マネージャーを配置し、クライアントの状況をきちんと理解している者に担当させつつ、実際に作業を行う人はそれ専門の部隊がシェアード形態で実施する流動的な形式を取ることで品質とコスト最適化を両立しています。
中長期の成長イメージとそのための施策
まずは当社の事業の柱である基幹システムのクラウド化・モダナイズ化支援を進めてまいります。クラウド化・モダナイス化の取り組みに未着手のお客様への支援から導入後の継続的なアップグレードの支援までサポート範囲が幅広く、当社の業績に長きにわたって影響のある非常に重要な戦略であると考えています。
ERP市場の動向としては2020年頃からクラウドの稼働が一般的となり、競争環境も激しいですがその需要以上に供給側の人員が不足している状況です。この市場環境に対して、当社はテクノロジー部門にこだわることによって競争を勝ち抜くことをプランとしています。
業務アプリケーションの領域が花形とされていますが、我々はその下にあるテクノロジーに注力しています。ここに専門的に従事している会社は少なく、国内上場企業のなかでは当社のみであります。つまり、他社にはないノウハウが当社にはあり、それによって他社よりも高単価で仕事をいただくことができます。
また、技術者の派遣はやらず、あくまでもシステム作成の請負に関して評価をいただいています。
また、二つ目の成長戦略としてはデジタルトランスフォーメーション(DX)を掲げてます。DX支援におけるアプリケーション開発については、これまでの基幹システムに比べ、機敏性と柔軟性を重要視した早いサイクルでの開発が求められています。
この点に関して、当社がもつクラウドの使いこなしに対しての高い理解度と、アプリケーション開発のやり方に対してアジャイル開発手法をとることによって変革を支援していきます。アジャイル開発とは、「計画→設計→実装→テスト」といった開発工程を小さいサイクルで繰り返す手法となり、「プロジェクトに変化はつきもの」という前提で進められるので仕様変更に強く、DXを実現するためのプロダクトの価値を最大化することに重点を置いた開発手法です。
加えて、クラウドライセンスリセールやマネージドサービスプロバイダーに関してもストックビジネスのさらなる強化を目指しサービスを拡充させていきます。中でも近年力を入れているのはセキュリティサービス、特にCSPM(Cloud Security Posture Management)という領域となります。
セキュリティインシデントの大半の原因は人間のミスであると言われています。そのため、どうしても起きてしまうような人間のミスを検知し、修正することが必要となってきます。このような管理を人の手で管理することは難しく、これを自動化するのがCSPMというサービスとなります。
セキュリティサービスは保険的立ち位置のものでありますが、企業のクラウド化が進むにつれて、そのニーズが高まってきています。
会社の内面的なことに関しては、我々はエンジニア集団ですので、何よりもエンジニア自身が楽しい仕事をすることがお客様の変革のバリューになると思っております。そのため、エンジニアがいかにいきいきと新しい仕事をできるかに注力しています。
優秀な人にいかにBeeXの魅力を感じ取っていただいて共に働き、そしていかにすばらしいエンジニアに育てるかが重要となってきます。エンジニアの方には、「BeeXにいてバリューをあげられたな」と思っていただけるような環境整備に努めており、エンジニアが最大パフォーマンスを発揮するための働き方に注力しています。
具体的な施策ですが、リモートワークをはじめ働く場所を自由とし、またフルフレックスにして働く時間の制約も設けないようにしています。地方に居住して業務を行う完全リモートワークなどの制度も整えており、実際に北海道や沖縄に居住して業務を行っている社員も複数おります。
投資家の皆様へメッセージ
我々はクラウドのテクノロジーのスペシャリストとして活動しています。今まで企業がデジタルトランスフォーメーションをしていくためにベンダー任せにしていたところを、スペシャリストである我々と組むことで、”共創”していくことが必要となっています。
これに際して、投資家の皆様のお力をお借りすることができれば、さらなるデジタルトランスフォーメーションが可能になり、日本らしいエコシステムを作ることができます。
そのためにも、色々な力でご支援いただきたいと思っております。
本社所在地:東京都中央区銀座7-14-13 日土地銀座ビル10F
設立:2016年3月1日
資本金:32,100万円(2022年5月末現在)
上場市場:東証グロース(2022年2月24日上場)
証券コード:4270