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【7036】株式会社イーエムネットジャパン代表取締役社長 山本臣一郎氏「蓄積された社内ノウハウを集約し、顧客層・サービス幅の拡大を図る」

※本コラムは2023年2月9日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社イーエムネットジャパンはインターネット広告事業をメインに展開し、クライアント企業の成長を自社の成長へと繋げてきました。

また、今後は「Beyond the Internet Advertising」をスローガンに従来のインターネット広告サービスを軸としたサービス提供の拡大を掲げています。今回は、代表取締役社長の山本臣一郎氏に事業内容や中長期の成長ビジョンについてお伺いしました。

目次

株式会社イーエムネットジャパンを一言で言うと

良い意味で地味で派手なことはしない会社だと認識しています。アグリカルチャー的に申し上げますと、毎年堅実に耕し業績にも貢献しつつ、同時に来年への種蒔きを続け、持続的な成長を実現してきました。

過去の配当実績を見ていただければ、この成果をご理解いいただけるかと思います。また、このために人材を育成する社内教育にも徹底しています。

代表就任の経緯

EMNET INC.は、2000年に韓国で設立しました。トランス・コスモス社より出資を受けることになったのですが、当時私はトランス・コスモス社にてインターネット広告部門の統括部長として在籍しており、出資に際しデューデリジェンス担当のメンバーと韓国に視察へ向かいました。

当時は検索連動型広告が業界内で主流となり伸び始めていた時期だったので、これに対する考え方や代理店としての課題感を共有することで、EMNET INC.の経営陣と親しくなったのです。国が違っても解決するべき問題点は同じなのだと親近感が湧いたことを覚えています。

その後、実際にトランス・コスモス社からの投資も実行され、2007年よりEMNET INC.の日本支社として事業が開始されました。1、2年ほどで事業は想定よりも成長し、規模が大きくなったことからマネジメントは日本人が務めるべきとの判断が下りました。

私が韓国視察の際に日本進出についての相談を受けていたこともあり、2010年にトランス・コスモス社から転籍し、日本支社のトップに就任いたしました。

転籍当初はGoogleの拡販から着手しました。ちょうどGDN(Googleディスプレイネットワーク)を、Google社が日本で積極的に売り始めるタイミングでしたので、当社も販売を強化したという経緯でございます。元々はヤフー株式会社(現 Zホールディングス株式会社)のYDA(Yahoo!広告 ディスプレイ広告運用型)の割合が高かったのですが、1年後には逆転するくらいまでに拡販は一気に進みました。

新たなクライアント獲得が当社の成長にも繋がり、2013年には日本法人を設立し、2016年より現職を務めております。その後、2021年にはソフトバンク株式会社のTOBにより連結子会社となり現在に至ります。

当社の上場は2018年ですが、一番メリットを感じるのは採用面です。上場前、上場承認後、そして上場後では学生の応募数は大きく変化しました。

また、元々海外主体で日本支社としてスタートした我々としては、金融機関との取引などから国内でビジネスを展開することの難しさを感じてきました。それを他の代理店様の協力も得ながら一つ一つクリアしてきたことで今の成長につながっており、ブランド確立や信用力の獲得という面でも重要であったと感じています。

事業内容について

インターネット広告事業を展開しています。特に「Google」や「Yahoo!」を中心とした検索連動型広告、およびGDNやYDN、LINEを中心とした運用型ディスプレイ広告に注力しています。

最近では、いかにデータを活用した広告配信の効果を高めていくかという視点を重要視しています。また、アメリカなどでは代理店を使わずインハウスで広告戦略を実行する会社が増加しており、このトレンドを数年前からウォッチしてきた当社としてはこの流れは確実に国内でも加速するだろうと考えています。

足元ではこの内製化支援も本格的にサービスとして稼働してきています。

株式会社イーエムネットジャパン 2022年12月期 決算説明資料 より引用

当社はこれまで中小企業や地方企業をメインターゲットとして注力し、ノウハウを確立してきました。広告予算が企業の成長と共に拡大し、我々はまさにクライアントの成長に並走する立場にあります。

一方、広告業界は景気動向によって予算変動が大きい領域であり、コロナ禍など時には出稿がストップすることもありました。そして特に中小・地方企業はよりこの影響を受けやすいのです。この点、ソフトバンク社との資本業務提携は顧客層を拡大し我々の事業をスケールさせるきっかけともなりました。

同社の営業組織やクライアントのグリップ力は、簡単に真似できるものではないですし、多数のメディアや顧客データを保有しているため、インターネット広告を主軸に置くお客様にはメリットを感じていただきやすいのです。

企業として持続的成長を実現していくためにも、現在の経済環境下においても比較的広告需要が堅調な大企業もポートフォリオに組み込む必要性がありますので、引き続きバランスのよい顧客体制の構築を目指してまいります。

株式会社イーエムネットジャパン 2022年12月期 決算説明資料 より引用

顧客層拡大に向けた社内体制の強化としては、これまで個別に保有していたノウハウをアセット化として共有する取り組みを進めています。十数年前に当社に入社した社員が自身の体験談を元に非常にクオリティの高い育成プログラムを作り上げ、当社の教育体制も一気に整備されました。

当社は9割近くが新卒採用ですが、社内に蓄積されたノウハウを活用するという意味で我々の強みに繋がっていると感じています。採用も積極的に進めており、今後は人員増強に伴う事業のスケーラビリティにもつながっていくと考えています。

事業領域のマーケット環境は目紛しく変化するため、人材をいかに確保しさらに定着化させるかという意味で、採用においてもミスマッチが起こらないような取り組みを進めることを大切にしています。

中長期の成長イメージとそのための施策

当社の主力サービスである運用型広告は、インターネット広告市場の年平均成長率をさらに上回る成長を続けております。引き続きこれまでのノウハウを活かし、当事業での収益源の拡大を進めてまいります。

体制面においては、中小・地方企業については提案から分析・レポーティングまでを一気通貫で提供する体制を競争力の源泉としてまいります一方で、特に大企業向けには2023年1月から移行しております、営業・広告運用業務についての分業化体制を活かし、フロントの営業についてはソフトバンク社に担っていただき、我々は提案と運用側に特化する形で事業成長を図ってまいります。

また、先ほども申し上げましたように個人の営業員が持つナレッジを集約化することで、広告運用力強化を通じた営業生産性の向上を進めてまいります。マーケターや媒体側など多様なジャンルで社内外のプロフェッショナルをスピーカーに招いたナレッジ共有会を毎週実施しており、今後も継続していきます。 

株式会社イーエムネットジャパン 2022年12月期 決算説明資料 より引用

サービス面においては、あくまでも広告事業に軸足を置きつつ、提供幅を多様に拡張していきます。例えば、動画サブスクリプションサービスのNetflixが広告配信プランの提供を開始したように、今やネットが繋がっている環境であれば、そこに広告が出稿することができますので、インターネット広告市場は従来の枠を大きく超えてきております。

アクセス解析ツールや分析基盤サービス等、運用型広告以外の周辺サービスはもちろんのこと、ツールベンダーやコンサルティングファームなど、多様な角度から新たなサービスを実現するパートナーを選定し、収益機会を創出してまいります。

また、インハウス支援サービスも今後さらに拡大させることで、代理店手数料以外のサービス拡充を通じた持続的な成長を実現してまいります。

株式会社イーエムネットジャパン 2022年12月期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

ソフトバンク社との資本業務提携を通じ、我々の知名度や信用力が向上しており、また横の繋がりを築くことができています。

業績だけではなく、会社規模の拡大を実現するための体制は揃いましたので、ここからの中長期的な成長をぜひ見ていただき、応援していただけますと幸いです。

株式会社イーエムネットジャパン

本社所在地:東京都新宿区西新宿6-10-1 日土地西新宿ビル10F

設立:2013年4月22日

資本金:315,771,166円(2022年12月31日現在)

上場市場:東証グロース(2018年9月21日上場)

証券コード:7036

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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